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武見敬三君 グローバルなレベルでのこうした新しい
仕組みづくりという点で
日本が非常に主導的役割を果たして、ここまで国際機関同士を連携させるに至った。実は国連機関同士の調整というのは最もややこしくて、みんながやりたがらない。それを一貫して我が国がこの一年半以上の間にその働きかけをやったことによって初めてここまで来ました。このことについては各国も非常に高く
評価しているところであります。
次は、このグローバルなレベルの次に国レベル及びコミュニティーレベルでどういう危機管理のシステムをつくるかが大事になってきます。その国レベルでの危機管理というのは、まさにプリペアドネスと呼ばれるものでありますけれども、WHOの中でインターナショナル・ヘルス・レギュレーションという国際規則があって、その中でそれぞれメンバー国にいろいろな、コアキャパシティーと呼ばれる義務化された能力が
確保されることが求められています。しかし、なかなか途上国ではそのコアキャパシティーを自ら
確保することができないという
状況が
現実にある。それがまさにエボラのアウトブレークも生んでしまったわけです。
そこで、改めてそうしたコアキャパシティーを
強化しようということで、これはもう
日本が大いに提案をして、WHOの機構
改革を通じて先ほどのような危機管理の
仕組みをつくって、この危機管理の
仕組みの中で、ただ単に危険な感染症が発生した後迅速に対応するだけでなくて、事前にこうした危機管理の体制を現地国がしっかりと組み立てられるような
技術的指導をWHOもより確実にやれるような
仕組みをつくろうということになっています。それに対しても
日本が資金的協力をしているわけであります。
他方で、財務省は、国際局を通じて、世界銀行にあるIDA、あの資金を本来のインフラストラクチャーのような経済部門の資金として使うだけじゃなくて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、すなわちヘルス、この危機管理についてもIDAの資金の活用ができるように今努力をしてくれています。恐らく十二月以降にそれがめどが付くだろうと
思います。
そうすると、WHOがアフリカの例えばAという国の政府に対してこういった危機管理の
技術協力をする、そしてそこで必要とされる資金は世界銀行がIDAの資金を通じて提供をする、そしてそれが上手に調整をされることによって、受入れ国政府は、そうした危険な感染症が発生したときの初期の診断、そしてまた同時に、その病原菌等に係る解析能力を最低限
確保し、かつその情報を確実に連携する情報システムを
確保することによって、早期にこうした危険な感染症が発生したことを確認をし、それに対応した隔離措置等などが緊急にできるという
仕組みをつくることが必要になります。そういったものを実際につくれるようにするために、このWHOの危機管理の
技術協力とそれから世界銀行のIDAの資金協力というものがきちんと受入れ国にとって受け入れやすいような調整する
仕組みが現地国に必要になります。
さらにもう一つ、現地国がこれらの指導や協力をしっかりと消化して自らの中央政府及び
地方政府の行政能力を
強化する、その受入れ能力の
強化が必要になります。その受入れ能力の
強化というものについては、私は是非JICAがそうした
技術協力をユニバーサル・ヘルス・カバレッジの
強化の一環としてこうした国々に対して
支援すればいいと思う。
そうすると、WHO、それから世界銀行、さらに我が国JICAを通じた
支援というもの、さらに、それを受け入れる政府、受入れ国政府というものが、四つがいかに国レベルで連携をして、こうしたインターナショナル・ヘルス・レギュレーションのコアキャパシティーを
強化するかというそのシステムづくり、メカニズムづくりと言っていいかもしれません、そういったものを国レベルでつくることが求められることになります。
現に、もう我が国はそのことを提唱して、TICADⅥでもこうした内容についてのセミナーも開かれて、我が国主導で、そしてこれに対する実際新たなこうした
仕組みをつくろう、そしてアフリカの中に六か国か七か国か、さらにはアジアでも何か国かこういったパイロット的な国を選んで、まずはこのやり方でやってみようじゃないかということになってきた。これを確実に我が国が実行すれば、引き続きこの危機管理に関わる
議論をするときに
日本を外してはもう世界は
議論できなくなります。いかにこれを確実に進めていくかということが今非常に重要になってきている。
そして、それを実際に実行をしていくということに加えて、今度は世界銀行のジム・ヨン・キムの方から我が国に対して、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジという、SDGs3の中で確認された共通の政策概念というものを達成するために、引き続きそれをフォロー
アップしていくUHC
会議といったようなものを定期的に
日本が主催して開いてくれないかという要請が来ているはずです。
これを受けて、そのUHCの中の一部として、危機管理に関わるこういうパイロット国などにおけるこうした現状というものをそこでしっかりとモニタリングして、そして
評価するというようなセッション、これらをこのUHC
会議の中にきちんと設けて、そして来年の秋ぐらいに取りあえずこういう形で始まりましたよというような姿を示すということができると、これはもう完璧に、グローバルなレベルだけではない、国レベルにおけるこうした新しい
仕組みづくりのルールメーカーとして
日本がその役割を果たしたということになるんですよ。
こういう流れを是非つくっていただきたいと思っているわけでありますけれども、外交というのは実は外務省所管なんです。ところが、外務省の中にはこういったやっぱり保健医療分野の
専門家がいないんですよ。したがって、こういった分野においては
厚生労働省がこうした外交的役割を新たに果たす時代に私は入ってきたと思う。そういう体制を
厚生労働省の中に私はつくることが非常に重要になってきて、我が国の外交の体系というものも新しくつくり直す、そういう時代に私は入ってきたと
思いますよ。
この点に関する
大臣の御所見を伺っておきたいと
思います。