○足立信也君 民進党の足立信也です。
今日からアメリカで大統領選挙が始まります。今、
川田議員の
質問を聞いていて、今回の大統領選挙のテーマの一つだというのを昨日テレビでやっていました。ポリティカルコレクトネス、政策的に正しいことをやるかやらないかと。つまり、今、多様性あるいはインクルーシブという話をされましたけれども、政策的に正しいことが自分に利益があるかどうかという判断の基準になってきていると。トランプ候補者の支持の方々はそちら、自分のためにどんな利益があるのかと、つまり、政策的に正しいことが必ずしもいい政策ではないという主張が今論点になっているという話を聞きました。
大臣のさっきの答弁で、やはり多様性を認め合う、これは基本的人権も尊重することも含め、私どもは基本としてやっていきたいし、
世界にそういう国あるいはリーダーが増えつつあるような気がして若干心配を覚えていると、そういう昨日今日の報道でした。
先ほども触れられていましたが、
がん対策基本法、来週十五日の可決に、これを信じて今日は
がん対策基本法について
質問したいと、そのように
思います。
御案内のように、もう
国民の半分ががんになり、亡くなる方の三分の一以上ががんであると。今年は恐らく百一万人の方が新たに罹患し、三十七万人の方ががんで亡くなると、そういうことです。
がん対策基本法の成立、これ二〇〇六年ですが、大きな二つの要素があったと私は
考えています、当時を振り返るとですね。一つは山本孝史さんです。彼は、確定診断が二〇〇六年、
平成十八年の一月だったんですね。胸腺がんです。そして翌年の二〇〇七年十二月に亡くなりました。あの尾辻参議院議員の追悼演説、名演説、もう語り継がれておりますけれども、新しい方々がいらっしゃるので、是非動画で見ていただきたいと、そのように私からお願いしたいと
思います。彼は、ステージ四でしたので抗がん剤治療を受けました。そして、その年の五月の二十二日、本
会議の代表
質問で
がん対策基本法の早期成立を訴えられたと。その後も彼は病気を押して、
がん対策推進協議会に欠かさず傍聴されておりました。
ですが、私はその前の、前年の頃からずっと取り組んでおったので申し上げますが、山本さんは実は
がん対策基本法反対でした。個別の疾患に対する立法というのは彼は反対していました。しかし、私たちが前年から準備して、
医療崩壊という言葉も出始めた頃でございまして、これは何とかしなきゃいけないという
思いがありましたが、繰り返します、個別の疾患に対する
法律というのは彼は反対だった。それから、
社会保障に関して、
医療や介護、ただというのも反対でした。
しかし、その彼の
考え方が変わってきた一つのきっかけが同じ年にありました。これがもう一つです。
福島県立大野病院事件の産科医の逮捕事件です。これは、事件自体は二〇〇四年の十二月でした。産婦が死亡されました。しかし、この執刀医が逮捕されたのが、業務上過失致死と
医師法違反の容疑で逮捕されたのがこの二〇〇六年の二月だったんです。で、その翌月に起訴されました。幸いなことに二〇〇八年に無罪が確定しましたけれども、この二つが私は大きかったと思っています。ここで
医療崩壊というのが一気に加速しました。
私は、今から二十年ぐらい前、まだ大学に
勤務していた頃、当時は告知することすらはばかられる時代でした。やっとインフォームド・コンセントという言葉が出てきました。しかし、その後はどんどんその
考え方が進んでインフォームド・コンセントからインフォームド・チョイス、選択肢を選ぶ、更にそれが進んでインフォームド・ディシジョン、自分で決定するという段階になってきました。
これは、何が原因かというとリテラシーの
格差ですね、提供する側と受ける側の。それと、これは
医療界の労働条件の劣悪さ。それから、緩和
医療というものが人を癒やすためには必要だと、治癒は治すと癒やすですから、こういう
考え方。そして、
医療訴訟の問題、これを解決しなきゃいけない、崩壊してしまう。この突破口に、今私が提示した全ての問題を抱えているのががんじゃなかろうかと、しかも
国民の半分ががんに罹患する、だから
がん対策基本法をやっぱり作ろうではないかということで山本さんにもお話をして、彼が積極的に動いてくださったというのがこの経緯でございます。是非それを御理解いただきたいと
思いますし、彼は五十八歳で亡くなりました、私はその年を超えましたので、これは私にはこの基本法を育てていかなければならない義務があると、そのように思っております。
そこで、今回の
改正案、前の
通常国会までは非常にいい
改正案ができていたと私も思っています。ちょっとだけ
内容を言います。がんの治療に伴う副作用、合併症及び後遺症の予防及び軽減に関する方法の開発などの研究の
推進、緩和ケアが診断のときから適切に提供されるようにすること、がん患者が円滑な
社会生活を営むことができる
社会環境の整備などなど、がん患者や家族の身体的、
精神的、
社会的な苦痛の軽減に向けた
改正であったと私も評価しています。これは国
会議員、がん患者と国
会議員の会等々議員連盟を中心にしっかり
現場の方々あるいは当事者の方々と話合いをしながら、いい
改正だったと思っています。
そこで、この十年間、私は
がん対策というのはかなり進んだと思っています、率直に。しかし、そんな中で、これは十分当初
考えていたよりも進展しなかったな、あるいは進展しなかったと思われるがんの種類等々がやっぱりあります。それをどのように捉えているでしょうか。