○浅田均君
日本維新の会、浅田均です。我が党を
代表して、
憲法に対する
考え方について申し述べます。
憲法の歴史を振り返ると、イギリスで誕生した近代
立憲主義や、イギリスの基盤を受け継ぎつつ現代の
憲法、現代
立憲主義の原型を作ったのがアメリカ独立革命とその所産である合衆国
憲法であるということが分かります。
佐藤幸治先生によりますと、合衆国
憲法の
構成は次のようになります。すなわち、
主権者である人民が
憲法制定権力者として、
人権の保障と
権力分立ないし抑制、均衡の統治構造を定める
憲法典、成文
憲法を
制定して
政府を創設し、立法権を含む
政治権力に対する
憲法の優位性を確保するために、独立の
裁判所に
憲法適合性に関する最終的
判断権、司法審査権を付与するというものであります。
このような
観点から
現行憲法を概観するとき、問題になるのは、本来の
憲法制定権力者である
日本国民が直接
憲法論議に参加できなかったことであり、また、いまだに参加できないことです。
現行憲法は、
国民主権主義、
平和主義、
基本的人権の
尊重という
基本的な
価値を
国民に根付かせたという点で評価できます。しかし、後述するように、
憲法裁判所や
未来志向を欠く等の点で不備があるのもまた確かです。したがって、
参議院憲法審査会での
議論が九か月ぶりに開催されたことを評価したいと思います。
ただ、戦後初めて
憲法改正がリアリティーを持って語られる状況であるにもかかわらず、
憲法審査会がほとんど開かれなかったのは極めて残念ですし、
国会は
憲法改正に関する
国民の意思表示の
権利、つまり
国民投票を行う
権利を奪うべきではありません。
衆参
両院の
憲法審査会は、
調査は何年も掛けて繰り返し行ってきましたが、
憲法改正原案についての
審議は一度も行っておりません。我々
日本維新の会は、今年三月に
憲法改正原案を作成し、メディア等を通じて
国民に訴えかけております。
さきの
参議院選挙もこの
憲法改正原案を掲げて闘い、
国民の負託を一定程度得ていると考えております。
この
審査会で各
会派がそれぞれの
改正原案を持ち寄り、
改正の是非を
議論できるようになってほしいと願っております。どの条項の
改正にも反対の
会派は、その都度反対の
立場で討論されればよいことで、
審査会の開催には是非御協力いただきたいと思います。
我が党は、
憲法改正は特定のイデオロギーの表現のためではなく、
政策的な
課題の
解決のために行うべきものであると考えております。
法律に立法事実が必要であるのと同様、
憲法改正についても言わば
憲法事実が必要です。また、
憲法改正は最終的には
国民投票で決することになりますが、過半数を得ることは大変難しい。
憲法改正の
項目として、国論を二分するような安全保障や
危機管理等の問題よりも、ほとんどの
国民が身近で切実に感じている問題を取り上げるべきでしょう。
以上のような
考え方に基づき、我が党は以下の三点について
憲法改正原案をまとめ、発表をしました。
一点目は、教育の無償化です。
子供の貧困問題に見られるとおり、教育の機会平等が十分に保障されておらず、将来世代への投資は全く不十分です。少子化、人口減少と相まって子供や子育て世帯への一層手厚い支援が必要であることは、どの党も反対はないでしょう。こうした
必要性に正面から応えるのが教育の無償化です。
憲法でしっかり定めることにより、国に予算措置と立法化を義務付けていくべきです。
政権が替わっても教育無償化の方針が堅持されるためにも、
憲法で定めるべきです。我が党の
調査の結果では、四二%が賛成、二五%が反対となっております。
二点目は、国と地方の
統治機構の
抜本改革についてです。
地方における経済の衰退と人口の減少は急速に進んでおります。戦後繰り返された国主導の地方振興
政策は残念ながらことごとく失敗したと言わざるを得ません。東京一極集中を打破して地域の自立を確保し、
我が国を多極分散型
国家にしていくべきことも、ほとんどの
会派が賛成できるはずです。このため、地方の
権限と財源を抜本的に強化する形で、国と地方の関係を
憲法で新たに定めるべきです。
待機児童問題は地域差が大きく、国で一律の対応をすることが特に難しい問題です。大災害からの復興も土地利用規制を被災地自治体に任せる等、現場での柔軟な対応を可能にすべきです。地域のことは地域が決めることができるよう
憲法上の根拠をしっかり定めるべきだと考えます。我が党の
調査によると、
統治機構改革に関し五五%が賛成、反対は二三%でした。
三点目は、
憲法裁判所の設置です。
安保国会で分かったのは、
安全保障法制について誰が
違憲判断をするのかよく分からなくなっているということでした。元
法制局長官、元最高裁判事、学者等は
違憲立法審査権を持っておりません。本来は、やはり全ての
憲法問題について
憲法適合性に関する最終的
判断権を有する
憲法裁判所を設置すべきです。我が党の
調査結果では、
憲法裁判所の設置に関しては四七%が賛成、反対が二〇%でした。
以上が、
憲法に対する
日本維新の会の
考え方です。