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山本太郎君 こんな簡単な
質問に対して一言で答えられないというのが非常に怪しい、そう思っちゃうんですよね。一言で答えられるんですよ。しかも、答えてほしいことを答えていない、
質問に答えていない。
その答えていなかった部分についてお話しします。そもそも予防原則って何ですかということをお話しする。
環境や食品による人体などへの被害の重大性が科学的に完全には分かっていなかったとしても、予防対策としてそれを実施する、原因物質などを排除するという考え方。危険か安全か、はっきり分からないものに関しては危険という
認識を持って
措置をする、これ真っ当な考え方ですよね。この予防原則に基づいた
措置が人々の健康や生命を守るためにいかに重要か、私たちの国は身をもって
経験している。つまり、予防原則の重要性は
日本の公害
経験からも明らか。
例えば水俣病、一九五三年頃、熊本県水俣市周辺で発生、たくさんの住人が水銀中毒による中枢神経障害を引き起こした。原因は、新
日本窒素肥料が海に廃棄した廃液中のメチル水銀。魚介類で生体濃縮され、これを食べたことにより起こった。被害の
拡大を防ぐ機会は何度もありました。
ざっくり振り返ります。一九五三年頃から猫が死に至る奇病が相次ぐようになった。三年後、五六年五月、原因不明の奇病が人間に対して多発しているという報告が病院から水俣の保健所に入った。これが水俣病の公式発見とも言われていますよね。その年の十一月、水俣病の原因は重金属中毒であり、魚介類の摂取によって人体に侵入、汚染源はチッソの水俣工場の廃液が疑われると熊本大学医学部研究会が報告。翌年八月、熊本県は被害の
拡大を防ぐために、食品
衛生法による水俣湾産魚介類の捕獲、販売
禁止措置を厚生労働省に打診、しかし
厚労省は、この
地域の魚介類が全て有毒化しているという明らかな根拠が認められないので、当該
地域で捕獲された魚介類全てに対して食品
衛生法の規定を適用することはできない、そう言った。結果、どうなったか。被害はより
拡大した。
一九五九年三月、水質保全法、工場排水
規制法のいわゆる水質二法が施行。しかし、水俣湾周辺は推定水域に指定されず、アセトアルデヒド製造施設も特定施設指定されず、排水
規制も行われなかった。魚介類の捕獲、販売が
禁止されたのは一九七三年六月。最初の兆候として注目された猫が死に至る奇病から二十年もたった後。二十年ですよ。何度も予防原則に基づいた
規制を行うチャンスはあったけれども、放置したことにより多くの被害者が発生した。
予防原則の非適用による典型的な失敗例として、アスベスト被害も有名ですよね。環境省自身も、アスベスト問題に関する環境省の過去の対応についてというレポートで、予防的アプローチができなかったことがアスベスト被害を
拡大させた原因と認めている。
ほかにも予防原則に基づいた施策が行われず被害が
拡大した事例は、イタイイタイ病、四日市公害、六価クロム鉱滓事件、土呂久ヒ素公害、カネミ油症事件、杉並病などなど、被害が確認されてから対症療法的に取り組んだのでは手遅れであり、取り返しが付かない。だからこそ予防原則が重要なんだということですよね。
ここで、通告した
質問で聞くつもりだったんですけれども、時間がもうないので、そのまま進みます。
何を聞いていたか。遺伝子組換え作物による健康被害はあったんですかということを聞いた。そして、そればかりでなく、日米並行協議で一年以内に
承認を完了させる約束をした四つのアルミニウム添加物に対して健康被害はありますかという
質問をした。それに対する答えはもう分かっているんです。ない。ないなんです。どうしてか。人体に影響があると科学的根拠に立脚したものでなければ人体に影響があるとは言い切れないので、ないという答えになる。遺伝子組換え作物は御存じのとおり諸説あり、虫も食わないものを子供に食べさせるのか、そういう人々もいる。そして、早速アメリカ様に差し上げた。一年以内に
日本の
承認を完了しなさいよという四つのアルミニウム添加物のうちの一つはEUでは
禁止されています。
予防原則に立ち、もっと慎重になるというスタンス必要なのに、何か違う方向行っていません。国民の健康と生命を守ることにつながること、予防原則に立つ以外ないんだって話なんですよ。
続いて、先ほどの発言から、
大臣にもう一度お聞きしたいんですね。資料一にある以前の発言。
TPPのSPS規定は、WTOのSPSと同様の
措置をとる権利が認められる。ここからです、聞きたいことは。つまりは、予防原則に基づいた
措置もとれるという理解でいいですか。イエスかノーかでお答えください。先ほど長い
答弁を返された紙さんのときにも、イエスかノーかで言ってくれたら答えるのにということをおっしゃっていました。予防原則に基づいた
措置もとれるんですか、WTOと同じようにということですよね。そういうことでよろしいでしょうか。