○池内
委員 これほど
日本社会と経済のありようをゆがめる
法案を、ほとんど審議しないままに採決することに、断固抗議をいたします。
私は、
日本共産党を代表し、ただいま議題となりました
カジノ解禁
法案に反対の討論をいたします。
本
法案は、
特定複合観光施設の
整備をうたっていますが、その本質は、
日本でこれまで許されてこなかった民間賭博、
カジノを解禁しようというものです。
刑法は、刑罰をもって賭博を厳しく禁じています。
国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で
文化的な
社会の基礎をなす勤労の美風を害し、
国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるからです。これを覆す
カジノ解禁は、断じて許されない暴挙だと言わなければなりません。
カジノ解禁が何をもたらすか。暴力団関係者の関与、マネーロンダリング、周辺地域の治安の悪化、
ギャンブル依存症の多発、青少年への悪
影響など、まさに
社会悪そのものです。
提案者も、このリスクの発生を否定することができませんでした。さまざまな
対策を講じると述べましたけれども、そのためには莫大な
社会的費用を必要とします。
カジノ事業者のもうけのために
社会悪を発生させ、そのために莫大な公費を使う、私は、これほどばかばかしい
法案というのは聞いたことがありません。
提案者は、
カジノによって夢のような経済効果があると言います。しかし、
シンガポールの例を繰り返しているだけで、具体的な根拠は何も示していない。
我が党が
質問でも明らかにしたように、
IR方式の
施設の破綻というのは、
世界のあちこちでもう既に起きています。経済効果は何の根拠もありません。あるのは、賭博を通じて巨大なお金が右から左へと流れ、
カジノの胴元に巨額なテラ銭が転がり込むという、このことだけです。
暴力団など反
社会勢力が
カジノ利権に食い込みを図ることは、わざわざ
証明するまでもなく、火を見るよりも明らかです。マネーロンダリングの場となることも、
世界の
カジノの実態を見れば、防ぐことなどできないでしょう。
国民にとってより深刻なのは、
ギャンブル依存症の拡大です。
既に
我が国には五百三十六万人もの
ギャンブル依存症の患者がいることが審議の中で明らかになりました。
ギャンブル依存症というのは、慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至るという極めて重篤な疾患です。これらの患者をそのままに、新たな
ギャンブル依存症患者を生み出すなどということは、到底許されることではありません。
提案者は、
カジノ収益から出る納付金で
ギャンブル依存症対策を講じるなどと述べましたけれども、これこそまさに本末転倒のお手本です。
ギャンブル依存症に真剣に取り組むというのであれば、新たな発生源をつくらないことこそ必要だと言わなければなりません。
賭博には、必ず敗者が存在します。大数の法則で、必ず胴元が勝つ、ここに
カジノ営業の根拠があります。
日弁連が行った破産調査の結果によると、ギャンブルが原因と見られる破産者は全体の五%にも上っている。
カジノは、多重債務者をつくり出さざるを得ません。韓国の江原ランドなどでも、そのことを如実に示しています。この間、官民一体となって行ってきた多重債務者
対策にも、これは逆行するものだと言わなければならない。
青少年への
影響も深刻なものがあります。とりわけ、
提案者が言うように、
家族ぐるみで出かけるところが
IRというのであったら、そこに公然と賭博場があるということは、青少年に対し、賭博への抵抗感を喪失させてしまうことになる、これは明らかです。
どこからどう見ても、この
法案には一かけらも賛成できるところはありません。
政府は、
カジノを中核とした
IRを
成長戦略の目玉に
位置づけていますけれども、賭博によるあぶく銭を当てにして経済政策を掲げるなど、余りにも不健全、経済政策の退廃だと断ぜざるを得ません。
日本は、額に汗してこつこつと働く、その勤勉な
国民性に支えられて現在の経済水準を獲得してきました。一人一人の
日本人の努力によって築き上げられてきた、
世界に誇る景観、
文化遺産、
社会の安全、ここにこそ
日本の
観光の未来があります。健康で
文化的な
社会の基礎をなす勤労の美風を害し、怠惰浪費の弊風を生じさせる本
法案は、決して
成立させてはなりません。
以上、述べて、反対理由といたします。
なお、修正案は、本
法案の中身を何ら変えるものでなく、反対いたします。
最後に、こうした重大な
法案を、わずかな審議時間で、
政府への質疑もなく、
国民の声も聞くことなく強行する
委員長及び与党、維新の責任を厳しく
指摘して、反対討論を終わります。(拍手)