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公述人(
高橋靖君) 座ったままで失礼させていただきます。
御紹介いただきました
水戸市長の
高橋でございます。
本日三月十日、水戸の日にこのように地方の
状況をお聞きいただく、そういうチャンスを与えていただきましたこと、心から御礼と感謝を申し上げたいと思います。
早速でありますが、社会保障・国民生活ということで、子ども・子育て支援、介護あるいは医療について、時間の許す限りお話をさせていただきたいと思います。
水戸市の人口は約二十七万一千人でありまして、今、合計特殊出生率が、
平成二十六年において一・五一となっております。ゼロ歳から五歳までの就学前児童は約一万四千人となっています。現在、第六次総合計画の中で、未来への投資プロジェクトと題しまして、子育て支援、教育といったところに重点化しようというところで、今施策を展開しているところであります。
本市の子育てにつきましては、国のまちづくり交付金等を活用させていただきながら、町中やあるいは商店街に多世代交流・子育て支援センターを二か所ほどつくらさせていただいて、そこで、相談業務であるとかあるいは一時預かりであるとか、さらにはお子さんあるいは保護者の居場所づくり等に努めているところでもあります。そういった中で、一方、今話題となっております待機児童の数がやっぱり慢性的に多くなっている
状況でもございます。
平成二十一年度から国のいわゆる子育て支援
対策臨時特例交付金、いわゆる安心こども基金を活用させていただいて、さらには、
平成二十五年度からは待機児童
解消加速化プランを積極的に活用させていただきながら、待機児童
解消に向けた民間保育所の整備を行ってまいりました。
平成二十一年からこの間、現在開所できたものが十二か所あります、認可保育所でありますけれども。定員利用を千人増加をさせていただいた結果、直近の十月一日における待機児童は、前年度と
比較して百二十一名少ない百七十五名となっております。このままのペースでいけば、何とか
平成二十九年度には待機児童が
解消できるかなという計画を立てているところでもあります。
引き続き、国の保育所等整備交付金を活用させていただきながら、需要を見て、保育所の整備に努めていきたいと考えております。
ただ、一方で、この内容を見てみますと、どこの市町村もそうだと思うんですけれども、待機児童の中のいわゆる三歳未満児が水戸市も約八七%を占めている
状況であります。やはりこういったことで、ゼロ、一、二というこの三歳未満児に対してしっかり光を当てていかなければならないということで、
平成二十一年度からは家庭的保育事業も県内で初めて始めたところなんですけれども、引き続き、二十八年度から子ども・子育て支援新制度における小規模保育事業、今回の
予算にも入っているみたいでありますが、その小規模保育事業を安心こども基金を活用させていただいて積極的に整備、展開をしていきたいというふうに考えております。さらには、今後、事業所内保育施設等にも着手をしていければなと考えているところでもあります。
やはりそういった多様な市民の保育ニーズに対して、多様化した形で保育サービスを提供していかなければなりません。ただ一方で、小規模保育施設については、三歳以上になるとどこか転園をしなければならないということがありますから、連携施設をしっかりつくっていかなければならないというふうに思っています。その選択の
一つが認定こども園になってくるのかなというふうにも思っております。
水戸市においては、私立幼稚園十六園のうち十二園が幼稚園型又は幼保連携型認定こども園に移行が進んでいるところであります。しかしながら、どうしても保護者が保育園に選択肢を一本に絞ってしまうものですから、なかなかそこの周知が至らなくて、認定こども園の利用がなされていない
状況にあります。やはり連携施設として特に認定こども園の利活用を促進するため、PRであるとかあるいはその機能をしっかり説明する責任を地方としても果たしていきたいと考えておりますので、また国においても全国的に周知をしていただければ有り難いというふうに思っております。
さらに、全国的な問題となっております保育士不足でありますが、県庁所在地であります本市であっても、保育士数の確保ができず、勤務体制等に支障が生じて認可定員まで受入れが困難な保育所も存在している
状況にあります。保育士の
人材不足は深刻でありまして、保育士確保のための
人材派遣会社などを利用して運営をしている保育施設もございます。
水戸市では、ハローワーク水戸とタイアップしまして、職場体験の受入れであるとか、あるいは就労応援フェアへの参加で潜在的な保育士の確保を試みているところであります。さらに、保育士の確保とその処遇改善として、
平成二十七年度におきましては、保育所の運営費として支払われる公定価格に処遇改善部分が反映されているということでございますが、今後とも、保育士が働き続けられるよう、一層の処遇改善と保育士加配に関する環境整備について国にお願いをしたいというふうに考えております。
また、保護者の
負担なんですが、新制度に移行いたしまして、特に幼稚園の保育料が統一されたこと、あるいは階層区分を決定するための基準となる対象税目の変更によりまして利用者
負担が増になった方も中にはいらっしゃいます。そういった中で、少子化
対策として今国会で審議されている多子世帯の軽減制度が成立されることは大変意義がありまして、未来への有効な投資になるというふうに私は思っております。しかしながら、現段階における多子世帯の軽減策が制限年収三百六十万円となる予定であると伺っているんですけれども、本市においては、そうなりますと約三割の方しか該当しないということでありまして、その辺の枠の
拡大を検討していただければ有り難いというふうに思っております。
さらに、子育て支援の一環として子供の医療費助成についてなんですけれども、本市におきましても、県制度に準じた一定の
所得制限を設けて、中学校三年生までを対象に約二万六千人に現物支給によって、この給付方法で実施をいたしております。一方、国においては、地方が行う現物給付による医療費助成の取組に対し国民健康保険国庫
負担金等の軽減調整措置を講じております。水戸市においては全体で八千万円になるんですけれども、そのうち約一千万円が子供の医療費助成によるものでございます。
非常にこの国の減額調整措置というのが地方の少子化
対策を推進する上での足かせになっているところでもございます。こういった中で、国において子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を立ち上げて、今秋をめどに報告書がまとめられるべく検討がなされるということを伺っております。非常に歓迎するものでありまして、是非より良い方向をお示しいただければ有り難いというふうに思っております。
是非、この軽減調整措置を撤廃するようにお願いを申し上げたいのと同時に、マル福利用者の適正受診、あるいはジェネリック医薬品の利用促進、そういったことも併せて地方と国とで知恵を出し合っていくべきではないかなというふうに思っております。
次に、介護について述べさせていただきます。
介護保険制度、法施行から十五年がたちますが、急激に高齢化が進んでおりまして、本市においては、要介護認定者が
平成十二年のときには三千五百人でありましたが、現在は一万二千三百人に増加しております。それに伴って、保険給付額も、
平成十二年約六十億円だったものが、現在は二百億円を超える規模となりました。
国において、介護保険制度を持続可能な制度とするために、介護予防や地域包括ケアセンターなど新たな施策を打ち出しております。本市においても、お手元のパンフレットのように、
高齢者支援センターを八か所整備をさせていただいて、中学校区ごとに割り振りをさせていただきました。しかしながら、やはり地域資源であるとか
人材の確保、ネットワークの構築など新たな
課題も見えてきたところでございます。
この地域包括ケアシステムの中で、いわゆる介護の担い手をどうすべきか、地域のNPOやボランティアをどのように育てていくか、そういった
課題が生まれてきております。そういった中、やはり在宅での介護ということは、共稼ぎ世帯も多くなっているし認知症も多くなっていることから、やはり限界がございます。
そういった中で、やはり安価に入所することができる特別養護老人ホームの整備が非常に重要となって、ニーズも高まっているところであります。介護を機に仕事を辞める介護離職のストップと入所待機者の
解消を目標に、水戸市は毎年
一つずつ整備をさせていただきました。この第六期の事業計画においても二百五十床の整備を見込んでいるところであります。入所対象者の要介護度が引き上げられたこともあって、待機者は四百名
程度で、少しは
減少しております。
これからも、国、県の補助を利用をしながら引き続き整備をしていきたいというふうに考えておりますが、ただ、
平成二十六年頃から、施設開設時における介護職員の確保に苦労しているという話を聞くようになりました。また、せっかく介護の仕事に就いても、長続きせず職を離れていくという職員もあると耳にしております。その
影響もありまして、開設後満床になるまでの期間が長期化しているという現象が現れています。
ちなみに、本年一月三十一日の調査では、水戸市の場合、定員千三百四十一床に対して入所は千二百五十九床となっておりまして、四百人の待機者がいながら八十二、約六%が空きベッドになっているということで、職員の手配が必要であるというふうに思っております。
介護の現場は誇りとやりがいのある職場であると思いますが、高い資質と経験を積んだ介護職員を確保して介護職員の離職ゼロを
実現するために、介護従事者の処遇改善が必要であるというふうに思っております 是非、職務に邁進できる体制を構築するための更なる
財政支援をお願いをしたいというふうに思います。
また一方、施設の整備が進むと、サービスは良くなるんですけれども、介護保険料も
上昇します。水戸市でいえば、特別養護老人ホームを
一つ整備をすると大体八十円から百円上がります。これまでも、前期に比べて施設整備に伴う増だけでも二百五十円ありました。その結果、第六期の基準月額五千九百円となりまして、前期と比べて一九・七%、茨城県内においては二番目の高い保険料となってしまいました。
平成二十七年四月から、
消費税を財源とする公費
負担の投入により、低
所得者の保険料の軽減に取り組んでおりますが、今後、更に保険料が
上昇していくことが見込まれます。このような保険料の
上昇は特に低
所得者を
中心に生活を圧迫して、保険料
負担の限界が近づいているというふうに認識をしております。介護保険制度の存続性の確保が困難になりつつある
状況があるというふうに思っております。
今、折半ルールになっております。公費の
負担が五〇%、そして国民
負担が五〇%ということになっております。そういった公費
負担の割合というものを見直すなど、特に、国、県、市の
負担割合というものもやはりみんなで、地方と国が協力し合って知恵を出していくべきではないかというふうに思っております。
時間がないんですが、次に、医師確保策、医療についてのお願いでございます、お話でございます。
茨城県においては、人口十万人当たりの医師数が全国四十七都道府県中四十六位ということでありまして、特に、診療科別で見ますと、小児科医が全国最下位、産婦人科医が四十一位、外科医も四十四位ということで低い数字になっているところでもございます。非常に、本県においては医師の絶対数の不足に加えて地域偏在、特に南北格差があります。それから診療科目の偏在、つまり、小児科であるとか産婦人科が厳しいという
状況であります。特に、救急医療において地方の医師不足地域の拠点病院では完全な休日を取ることもままならないという
状況にありまして、医師が奮闘しているという
現状があります。
厳しい勤務環境の中で、修学金の義務年限を終えた医師が、医師が集中して待遇の良い大都市に職場を移行しているという
現状もございます。また、地方の拠点病院では指導的立場の常勤医師が不足をしております。更なる若手の常勤医師の確保を困難にし、負のスパイラルに陥っている
現状があります。
そういった中で、国の方で公的病院に対する特別交付金を出していただいて、今、公的病院、周産期であるとかあるいは救急医療のための助成をさせていただいております。是非この特交について引き続き維持をしていただきたいというのと同時に、地域医療介護総合確保基金、これも茨城県の方で設置して、水戸市の医師会の新しい看護学校の施設整備なんかにも使っておりますので、是非この基金についても引き続き財源の確保をしていただきたいというふうに思っております。
特に小児科、産婦人科が厳しくて、小児科が水戸市で平均年齢六十一・三歳です。そういった
状況も鑑みて、医師の地方への特段の御
配慮をいただけますようによろしくお願いを申し上げます。
早口で申し訳ございませんでした。