○倉林明子君 私は、
日本共産党を代表して、ただいま
議題となりました
電気事業者による
再生可能エネルギー電気の
調達に関する
特別措置法等の一部を
改正する
法律案について、以下、
経済産業大臣に
質問します。
二〇一二年七月にスタートした
再生可能エネルギー固定
価格買取り
制度、いわゆる
FIT制度は、
電力会社に再エネ
電気の全量を固定
価格で買い取ることを義務付けるもので、再エネ
導入促進策として一定の
効果を上げてきました。
今回の法
改正の契機となったのが、二〇一四年四月に改定された
エネルギー基本計画です。この中で、再エネは重要な低炭素の国産
エネルギー源と位置付けられ、二〇一三年から三年
程度、
導入を
最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとされました。
FIT制度で
導入が一・二五倍化したとはいえ、
我が国の再エネ
比率は
水力を除くと僅か三・二%にすぎず、OECD諸国の中で最低ランクです。スペイン二六%、
ドイツ二三%など、再エネ普及が進む
欧州各国と比較すると、その遅れは歴然としています。この現状を踏まえれば、再エネ
導入のスピードは更に加速させるべきだと考えますが、
大臣の
見解をお聞きします。
再エネの
導入を
最大限加速していくとうたった僅か五か月後、二〇一四年九月に、九州
電力が突然
系統容量の不足を口実に再エネ
事業者との新たな
系統接続の保留を発表し、これに北海道、東北、四国、沖縄
電力が続き、混乱は
全国に広がりました。
そもそも再エネ
電気を全量かつ固定
価格で買い取るのが
FIT制度の大原則です。現行法第五条で送電網を維持運営する
電力会社に対し再エネ
電源の接続が義務付けられている下で、
電力会社の一方的な接続保留など認められるものではありません。
ところが、経産省は、各
電力会社が算定した再エネの接続可能量を超える場合、これまで三十日以内に限っていた出力
抑制の範囲を事実上無制限、無補償にするという省令
改正を行いました。創設された指定
電気事業者制度は十
電力のうち七
電力が指定を受けるというもので、法の原則を骨抜きにするものだと批判の声が上がったのは当然です。この省令
改正が再エネ
導入の大きなブレーキになったことは明らかではありませんか。
大臣の認識をお聞きします。
接続可能量の算定方法も問題です。指定を受けた
電力会社のうち
原発を保有する六
電力では、
東日本大震災前、過去三十年平均の
設備利用率で
原発の
稼働を見込み、その分再エネの受入れ量を
抑制しています。
稼働を前提としている
原発は何基で、算定上の平均
稼働率は何%か、見込んでいる
発電電力量はどれだけか、あわせて、各社の
東日本大震災後五年間の
原発稼働率はどうか、明確にお答えください。
東京電力福島第一
原発事故は、
原発に対する
国民の意識を一変させました。
原発事故などなかったかのように、震災前の平均
稼働率を用いて
原発の
発電量を算定するなど、とんでもありません。動いていない
原発の
稼働分を空押さえする
仕組みを改め、
地域間連系線を活用した
全国的な
電力融通を行えば、すぐにでも再エネの買取り量を増やせるのではありませんか。
再エネの
導入を促進するために、それまでのRPS
制度から
FIT制度に転換して四年、今述べたように、再エネ最優先の接続義務はいまだ果たされておりません。この現状を放置したまま接続義務を定めた五条を削除することは、再エネ
導入の促進どころか、
抑制をもたらすものです。
電気事業法のアクセス義務で代替できるものではなく、削除すべきではありません。
大臣の答弁を求めます。
接続義務とともに重要なのが接続拡張義務です。現行法制定時の審議の際、北海道
電力が買取り量に上限を設けていた
風力発電の接続量をどう
拡大するのか、
電力会社に接続義務をどう果たさせるかが重要な論点となりました。その当時の
資源エネルギー庁長官は、
法律の
趣旨に鑑みると、当然
系統の可能量を増やさなければいけないし、それは可能だと答弁しています。その後、再エネ
電気を全量受け入れるために必要な
系統の増強、拡張は図られたとお考えでしょうか。
本
法案では、
系統の増強
対策は不十分なまま、
事業者の
認定を
系統に接続契約した後に行うとしています。これまでも、再エネ
事業者にとって、
系統に接続するための工事費と工事期間が見通せないことが参入の障害となってきました。
日本の送配電
設備は十
電力が独占し、その接続に当たっては既に接続している
発電所の
利用が優先されています。新規参入者に求められる
系統増強の工事費は、九州
電力管内で
最大で一キロワット当たり二十三・九万円、
系統対策の工期も
最大で百三十二か月と
長期化している事例も確認されています。
改正により更に
電力会社の優位性が高まり、小
規模で資金力の乏しい
事業者ほど
認定が受けにくくなることは明らかです。
一方、欧州では再エネの優先接続、優先給電がルールとされています。
ドイツでは、さらに送電
系統の運用者に対し
系統増強義務を課しています。
我が国のように
系統の容量不足を理由にした接続拒否はできません。
大臣、
FIT制度があるけれども使えない、この現状を打開するために
系統増強を義務付けるべきではありませんか。再エネよりも
原発を重要な
ベースロード
電源として優先する運用ルールの
見直しを強く求めるものです。
また、新たに
導入する
入札制度は、一定量の
導入を低
価格の落札者から順番に
調達するもので、全量固定
価格の買取りを原則とする
FIT制度の本質を変質させかねません。しかも、
入札の
対象となる
発電設備の
規模は条文上明らかにされていません。無限定な
入札制度の
導入は、
地域密着型、
中小規模の再エネ
事業者の参入を阻害する危険があるのではありませんか。
大臣の答弁を求めます。
昨年十二月のCOP21ではパリ協定が採択され、平均気温上昇を産業革命前から二度未満に抑え、さらに一・五度未満に
抑制するために努力すること、また、今世紀後半に
温室効果ガスの排出を実質ゼロにする
長期目標に向けて
対策を強化することを
世界のほぼ全ての国が約束しました。
世界第五位の排出大国である
日本は、脱炭素化のための
長期的な道筋を描き、実践していかなければなりません。そのためには、再エネの一層の飛躍的な
拡大が不可欠です。
政府は、二〇三〇年までに
温室効果ガスを二六%、九〇年比では一八%削減すること、二〇五〇年には八〇%削減するとの
目標を掲げています。
長期目標の
実現を展望した場合、いかに早く再エネ
中心の
エネルギー政策に転換できるかが鍵を握ります。
日本共産党は、二〇三〇年の再エネ
比率四〇%を目指すことを提案しています。
原発最優先、化石
燃料に偏重する時代錯誤の
エネルギー政策を直ちに転換し、
原発ゼロの決断と一体に再エネの飛躍的な普及を図る。この道こそ、
地域経済の振興、雇用創出、
エネルギー自給率向上につながるものであり、真に持続可能な未来を切り開くものであると主張して、
質問といたします。(
拍手)
〔
国務大臣林幹雄君
登壇、
拍手〕