○難波奨二君
民主党・新緑風会の難波奨二でございます。
私は、ただいま
議題となりました
平成二十六
年度決算について、
会派を代表して、
安倍総理並びに
関係大臣に質問いたします。
冒頭に、去る十五日未明に起こりました長野県軽井沢町における
バス事故で亡くなられた
方々の御冥福と、負傷された皆様の一日も早い御
回復をお祈りいたします。
ツアー会社並びに
バス会社が法令により厳しく処罰されることは当然であります。しかしながら、このような痛ましい
事故が起きた背景には、過度な
規制緩和による競争激化が要因の一つと考えられます。
平成十二年の貸切りバス事業への
規制緩和は、新規参入の事業者を激増させ、運賃の下落を招くと同時に、適正な価格による契約が行われないため、雇用
環境の劣化等を招き、ドライバー不足により慢性的な過労によって
事故が引き起こされるという悪
循環が生み出されました。
安全がないがしろにされることは絶対に許されません。そのためには、過度な
規制緩和を改め、行政による指導と監視の
強化が必要と考えます。前途有為な若者
たちの命を奪ったこのような
事故が二度と繰り返されぬよう、再発防止策について
総理にお聞きいたします。
次に、
総理が
アベノミクスの
成果であると胸を張る株価について質問いたします。
今年に入ってから、二営業日を除いて東京株式市場の日経平均株価は下落し続けております。菅官房長官は、十八日の記者会見において、このような
現状に対して、市場の変動に左右されず、内外の情勢を直視しながら、必要な
政策を着実に進めていくと発言されていますが、株価の下落基調は止まりません。
円安誘導などにより高騰してきた株価が、
投資マネーの減少、原油安や中国
経済の減速など、海外における要因で下落してきたことについて、今後どのような手段で
対応されようとしているのか、一連の株価下落をどのように受け止めているのか、また、株式市場における
アベノミクス相場の終えんが近づいてきたとの認識はありますか。
総理、お答えください。
さて、
安倍総理が、野党の
憲法五十三条に基づく
臨時国会の召集要求を無視したことは、明らかに
憲法違反であります。
平成二十六
年度決算は、本来ならば、昨年秋に
臨時国会を開催し、提出されるべきでした。本院では決算
審査を重視しており、決算
審査の充実を図るため、与野党合意の上、決算の早期提出を
内閣に求めてきたからです。その結果、
平成十五
年度決算以降は十一月の二十日前後に決算が提出されるようになり、決算
審査の充実が図られてまいりました。
にもかかわらず、私
たちの
臨時国会召集要求は無視され、決算の提出は一月まで遅れました。
総理は、参議院の要請は無視しても構わない、
予算ならまだしも、決算の
審査は重要でないと考えているのでしょうか。
決算
審査を重視してきた参議院を軽視していることに対し、
安倍総理に猛省を促すとともに、決算
審査に対する
総理の認識を伺います。
次に、
債務抑制策について伺います。
平成二十六
年度一般会計決算は、二十五
年度比で新規国債発行額が四・九兆円の減となるなど、一見すると財政
改善が進んでいるように見えます。
しかし、
ばらまき的な
予算編成によって、
税収の増加分を国の
債務抑制へと結び付けられず、多額の
債務負担は将来世代に先送りされているのが実情です。その結果、二十六
年度の新規国債発行額は三十八兆円と依然として高い
水準にあり、累積
債務残高は、
平成二十六
年度末において一千五十三兆円にも上り、
税収の約二十年分もの規模となっております。
将来の世代に
債務負担を先送りすることは許されません。
実効性のある国の
債務抑制策と利払い費の増加への
対応について、
総理、お答えください。
平成二十五年八月に閣議了解された中期財政計画によると、三十二
年度までに国と
地方のプライマリーバランスの対
GDP比の黒字化が
目標に掲げられ、昨年六月に閣議了承された骨太の方針においてもその方向性は堅持するとされています。しかし、昨年七月に
内閣府が公表した試算によると、
経済が再生するケースにおいても三十二
年度のプライマリーバランスの対
GDP比の黒字化は見込めないという結果が出ており、
政府内での見解が一致しておりません。
このような事態は、
政府内における
債務残高の抑制に対する見通しが全く現実にそぐわないことを表している証左ではありませんか。
総理は、それでも三十二
年度のプライマリーバランスの黒字化を
達成できるというお考えなのでしょうか、お答えください。
平成二十六
年度決算において、
社会保障関係費は三十・一兆円となり、
歳出決算総額の三〇・五%を占める規模となっております。また、
少子高齢化の進展の中で今後も更なる
社会保障関係費の増加が見込まれ、その財源をいか
にして
確保するかということは、まさに喫緊の
課題であります。
我が国の財政は
債務残高が一千兆円を超えるという危機的な
状況の中で、
総理は、
衆議院予算委員会等の場において、
社会保障分野の抑制も聖域ではないと述べられております。しかし、
憲法が第二十五条で保障する生存権や第十三条で保障する幸福追求権は、
国民一人一人がこの国で尊厳を持って
暮らしていく上で必要不可欠な権利であり、これらの権利がおろそかにされることは断じてあってはなりません。
財政再建と増大する
社会保障費の財源
確保という二律背反する時代的制約の中で、ナショナルミニマムやシビルミニマムをどのように
確保していこうとするのか、
総理の見解を求めます。
安倍政権は、
消費増税によって
国民負担を求める一方で、度重なる税制改正により、法人実効
税率の大幅な引下げを行っております。実施した
企業減税が本来の目的であるべき
企業の
設備投資や
労働者の所得の向上に結び付くことなく、二十六
年度の
内部留保額は二十五
年度に比べ八・一%増加して三百五十四兆円と多額に膨らんだにもかかわらず、
設備投資額は一・六%増、
給与総額は一・四%増にとどまっております。
税制改正が単に
企業の
内部留保を増やす結果になっている
現状に対して、その是正のためにどのような手段を講じる必要があると考えているのか、また
政府・与党の一部に意見があるとされる
内部留保課税について、その適用の可否を含め、
総理、お答えください。
平成二十七年九月末時点において、国庫短期証券を含めた国債一千三十九兆円のうち、外国人
投資家による保有は約一割に相当する百一兆円となっております。特に、国庫短期証券においては、百四十一兆円のうち五十五兆円が外国人
投資家に保有されています。そのシェアは約四割と非常に高いものとなっております。
そもそも、
日本の国債の信頼性は、その大半が
国内で消化されていることに由来しています。しかし、株式市場から逃避した
投資マネーは比較的安全な資産とされる円や
日本国債に向かっています。外国人
投資家による国債の保有は、投機的な要素が強く、金利の上昇や不安定化につながるおそれはないのか、外国人
投資家の国債保有に関する
総理の御認識を伺います。
特定秘密保護法に基づき秘密指定された文書に関して、会計検査院から要請があれば提供するように定める通達を
内閣官房が昨年の十二月二十五日に関係機関に発出していたとのことです。
通達
内容は、法案提出の際に整理しておくべき
課題であったとともに、二年以上にわたって放置された事態は
安倍政権の会計検査院軽視の
姿勢の表れ以外の何物でもありません。これほど長い間適切な措置がとられず、検査院からの指摘を受けて後手の
対応となったことについて、菅官房長官に
説明を求めます。
決算
審査においては、詳細かつ明確なデータが必要不可欠なものであることは論をまちません。
平成二十六
年度決算では、一般会計における
歳出決算額九十八・八兆円に対して、特別会計における
歳出決算額は三百九十・二兆円となっていますが、両会計の間には重複額などが含まれているため、
歳出の純計額は二百二十六・七兆円となっております。両会計間における重複額の存在などにより、各
施策における
予算額や執行額が非常に分かりにくいのが
現状です。
このような決算
審査における
問題点の解決の方法として、かねてより決算書の各目明細書を作成することを提案させていただいているところでありますが、その
必要性は
政府においても共有されていると認識をしています。
総理は、昨年の本
会議で、実務的な問題も含めて検討を行っているところと答弁されていますが、決算の各目明細書の作成と
国会への提出に向けた具体策の検討
状況についてお述べください。
政府が戦前に設けた旧外地特別会計のうち、終戦間際の昭和十九、二十
年度の二
年度分の決算が、約七十年を経て、本年一月四日、今
国会に提出されました。
当該決算は、当時の
予算書、
日本銀行の国庫金出納記録等を踏まえて可能な限り記載したにすぎない、言わば不完全なものであります。実際に決算の中身を見ましても、歳入
歳出の合計額については記載があるものの、歳入
歳出共に各科目の内訳についてはほぼ空欄となっており、そもそもの
妥当性、適正性を検証することはできません。その取扱いについては、決算委員会においても協議いたしますが、通例の是認とは決し難い案件であります。
両
年度決算書の不備に関する
政府の
説明責任について、麻生
財務大臣、お答えください。
質問を終えるに当たり、一言申し上げます。
少子高齢化による
人口減少と
税収減という難問への答えは大変困難なものであります。現在、
政府の言う
景気回復の
実感は全
国民に共有されておらず、また
地域間格差も生じています。このような中、国や行政の
支援が全
国民、全世代に
実感できるような
予算編成が求められています。そのためには公平公正な富の分配や税の再配分が極めて重要と考えます。
政府が編成した
予算が適正に執行されているかを監視し、財政民主主義を推し進めるためには、本院における決算
審査の充実と次
年度予算への反映が必要不可欠であることを指摘して、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕