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2016-05-20 第190回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年五月二十日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      井原  巧君     宇都 隆史君      大野 泰正君     赤池 誠章君      滝波 宏文君     山谷えり子君      浜野 喜史君     西村まさみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原 八一君     理 事                 猪口 邦子君                 塚田 一郎君                 白  眞勲君                 矢倉 克夫君     委 員                 赤池 誠章君                 井上 義行君                 宇都 隆史君                 衛藤 晟一君                 中曽根弘文君                 山谷えり子君                 渡邉 美樹君                 有田 芳生君                 小川 勝也君                 榛葉賀津也君                 西村まさみ君                 平木 大作君                 井上 哲士君                 清水 貴之君                 中山 恭子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        国務大臣     加藤 勝信君    大臣政務官        外務大臣政務官  浜地 雅一君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       岡本  宰君        警察庁長官官房        審議官      露木 康浩君        外務大臣官房長  山崎 和之君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        外務大臣官房審        議官       中村 吉利君        外務大臣官房審        議官       大菅 岳史君        外務省アジア大        洋州局長     石兼 公博君        外務省北米局長  森  健良君        厚生労働大臣官        房審議官     堀江  裕君        防衛省防衛政策        局次長      鈴木 敦夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (拉致問題への取組に関する件)  (朝鮮労働党第七回党大会に関する件)  (国連安保理決議による対北朝鮮制裁措置の履  行に関する件)  (日朝政府間協議合意文書に関する件)  (北朝鮮情勢に関する件)     ─────────────
  2. 中原八一

    委員長中原八一君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十五日、浜野喜史君、井原巧君、滝波宏文君及び大野泰正君が委員を辞任され、その補欠として西村まさみ君、宇都隆史君、山谷えり子君及び赤池誠章君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原八一

    委員長中原八一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官岡本宰君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中原八一

    委員長中原八一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中原八一

    委員長中原八一君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  この際、加藤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤国務大臣
  6. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 拉致問題担当大臣加藤勝信でございます。今月行った私の米国出張について御報告を申し上げます。  今回の米国出張では、拉致問題を始めとする北朝鮮人権状況改善に向けた国際協調を積極的に働きかけるべく、ワシントンDC及びニューヨークに行ってまいりました。  ワシントンDCでは、現地時間の五月二日、日本政府米国のシンクタンクとの共催により、シンポジウム北朝鮮における人権問題の解決に向けて—日米韓連携—」開催いたしました。私と米韓人権問題責任者等により拉致問題の解決に向けた日米韓連携について議論をいたしました。  ニューヨークでは、現地時間の五月四日、日本政府主催によるシンポジウム北朝鮮人権状況—人間性の回復に向けた戦略—」開催いたしました。マルズキ・ダルスマン北朝鮮人権状況特別報告者基調講演をいただき、関係国やNGOの代表等も交えて、北朝鮮人権状況改善のための、国連人権プロセスを活用した具体的戦略について、議論をいたしました。  拉致被害者家族飯塚耕一郎氏、横田拓也氏、特定失踪者家族大澤昭一氏にもそれぞれの行事に御参加いただき、肉親との再会を希求する切実な思いを訴えていただきました。また、塚田一郎参議院議員にも御発言をいただき、シンポジウムでの議論を深めていただきました。この場をお借りして、改めて厚く御礼を申し上げます。  私からは、今回の訪米を通じて、国際社会に対して、安倍内閣の最重要課題である拉致問題に政府責任において最優先に取り組んでいること、北朝鮮による拉致問題の現状及び悲惨さ、国際連携の一層の強化の必要性について発信してまいりました。  両行事を通じて、拉致問題を始めとする北朝鮮人権問題の解決に向け、米国や韓国といった関係国及び国連との連携を強化することができ、有益な取組となりました。  さらに、シャノン国務省国務次官クリテンブリンク国家安全保障会議アジア上級部長と面会し、拉致問題等北朝鮮人権状況を含む北朝鮮情勢について有意義な意見交換を行いました。  拉致問題を始めとする北朝鮮人権状況改善を求める国際社会機運はこれまでになく高まっております。今後とも、国際社会との連携を更に強化して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向け、全力を尽くしていく所存であります。  引き続き、中原委員長を始め、理事委員皆様の御理解、御協力を心よりお願いを申し上げます。
  7. 中原八一

    委員長中原八一君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 塚田一郎

    塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。  冒頭、大変残念な質問をさせていただかなければなりません。  沖縄県で非常に痛ましい事件がまた発生をしてしまいました。沖縄県警は、うるま市の会社員島袋里奈さんの遺体を発見し、昨日午後に沖縄県在住の三十二歳米軍属死体遺棄容疑で逮捕されたというふうに報道されております。  このことにつき政府はどのような対応を行ったのか、御説明を願います。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨日、十九日十五時十分頃、沖縄県警死体遺棄容疑米軍属シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者を逮捕いたしました。本件は、将来ある女性に対する米軍属による卑劣な行為であり、そして極めて残忍で凶悪な事件であると考えます。極めて遺憾なことであります。  昨日深夜ですが、私は、ケネディ米国大使外務省に招致をしまして極めて強い遺憾の意を伝えるとともに、日本政府として強く抗議をいたしました。それに対しまして大使からは、米国民米政府を代表して御遺族思いを寄せ、深い悲しみを表明する、さらに御遺族に対しても自分の気持ちを伝えたいとの発言がありました。これらは米側がおわびの気持ち日本側に伝達したものと理解しており、加えて、米国側としましても全面的に協力をする、こうした表明がありました。  こうした事件が二度と起こらないようにするためには、まずは米側の誠意ある対応が求められますが、あわせて、日本政府としましても、こうした再発防止策が着実に実施されるためにも、引き続き米側とともに取り組んでいかなければならないと考えております。
  10. 塚田一郎

    塚田一郎君 大変に痛ましい残念な事件であります。御家族沖縄県民皆様に心よりお悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、このことは二度とあってはならない、まさに言語道断の強い憤りを覚えるものでありますので、日本政府としてもしっかりと、二度とこうしたことが起こらないようにアメリカ政府としっかりとした対応、具体的な実効力のある対策再発防止を行っていただきたいということを強く要望をさせていただきたいと存じます。  加藤大臣アメリカ出張、大変お疲れさまでございました。私も、ニューヨーク国連におけるシンポジウム出席をさせていただきまして発言の機会を得させていただきました。以前にも増してこうしたニューヨークなどの場でも多くの方がこのシンポジウムに参加をして、拉致問題を含む北朝鮮人権問題の改善については非常に強い機運が出てきているのかなと、そんなことを感じたところであります。  したがって、そのこと自体は非常に評価されると思いますが、あくまでも目的は拉致被害者全員早期救出でありますので、そのことにこうした動きをどのように今後つなげていくかということが重要だと思います。それについての大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  11. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 先ほど御報告申し上げましたように、五月の二日、四日、またニューヨークでは塚田委員にも御出席をいただきまして、それぞれシンポジウム開催し、日米韓、また国連取組、こういったことを更に、国連での取組等を更に強化していくと、そういうことで議論をさせていただきました。  こうした国際社会における取組、ここ二、三年非常に高まってきているわけでありまして、この流れを更に我々としてフォローアップをしていきながら、そして圧力の中で、北朝鮮から拉致被害者全ての方の一日も早い帰国に向けての道筋、これをしっかりと描いていけるように更に努力を重ねていきたいというふうに思っております。
  12. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非、やはり国際社会が、北朝鮮人権問題についてより多くの国がこのことの実態、特に拉致問題という卑劣な北朝鮮によるテロ行為認識してもらうことがまさに北朝鮮に対する圧力になっていくわけですから、しっかりと行っていっていただきたいというふうに思います。  お手元資料を配付をさせていただきました。これはアメリカ全土で販売されておりますUSAトゥデーというニュースペーパーコピーでありまして、これがその五月四日当日の新聞であります。(資料提示)一面には、ちょうどテッド・クルーズ氏が共和党の大統領選挙から離脱するという一面の記事が載っていた、その新聞の三面に今お手元に配ったコピー日本拉致被害に関する記事が載っておりました。中には、飯塚さんや横田さん、弟さんの拓也さんのインタビュー記事も掲載されております、訳も付けさせていただきましたが。  やはりこうしたアメリカでも全国紙にこういうことが取り上げられるということは非常に有益なことだと思います。こうした流れをしっかりとこれからもつくっていくことが、今申し上げたとおり、国際社会連携をしてこの北の人権問題についての解決を迫っていく大きな力になっていくと思いますが、そうした点も踏まえて大臣として今後どのように取り組んでいかれるのか、御説明願います。
  13. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) これまでも私ども、国際世論理解とそして支持を求めるべく様々な取組をさせていただきました。在外公館とも連携しながら、海外における拉致問題に関する国際啓発行事、あるいは今回のようなシンポジウム、こういったことを重ねて、また機会あるごとに拉致問題に対する海外メディアを通じた国際広報にも努めてきたところではございます。  今回は、今お示しいただきましたUSAトゥデー、また、私が出発する前にワシントン・ポストの取材を受け、ワシントン・ポストでもこの問題を取り上げていただいたということで、正直言ってまだまだ、例えばアメリカの全ての国民方々に対してどうかといえば、決して高くないという状況でありますけれども、こうした媒体に取り上げていただくことを含めて、こうした問題があるということ、そしてこれは許されない問題なんだという共感をそれぞれの国の国民方々と一緒につくり上げていく、そういった広報を更に展開をしていきたいと思っております。
  14. 塚田一郎

    塚田一郎君 日本国内日本拉致問題を知らない国民は恐らくいらっしゃらないというふうに思います。しかし、おっしゃるとおり、アメリカに行けば、この拉致の問題というのはやはり日本で起きたこと、あるいはほかの国で起きたことというような認識がまだあるのは事実であります。  一方で、実はアメリカ人デービット・スネドンさんという方がいらっしゃいまして、この方が北朝鮮拉致疑いが濃厚だということで、今既にアメリカの上院、下院の場に決議が提出をされております。これが更なる、このデービット・スネドン氏の北朝鮮による拉致疑いが濃厚だというケースについて政府調査を求めるような内容の決議でありますが、アメリカ人でも拉致疑いがあるということ、これはまさに今後アメリカ国民、そして政府、あるいはこうした様々な形でこの拉致の問題、北朝鮮人権問題を広げていくのに私は大きなきっかけになり得るということで、アメリカ議会にも五月の連休、働きかけを行って、この決議早期採択を目指していきたいということでお願いをさせていただいております。  是非、こうしたことも含めてしっかりとこれからも政府には取組を進めていただきたいということをお願いをさせていただきます。  次に、北朝鮮労働党大会開催をされました。第七回労働党大会ということでありまして、実に長い間開催をされなかった党大会金正恩政権になって再開をされたということで、このことは大きな意味があるんだと思います。  この党大会で示された北朝鮮国家目標をどのように冷静に分析をするかということが対北朝鮮政策では極めて重要だと考えますが、日本政府としてはどのような分析評価を行っているのか、御説明願います。
  15. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 五月の六日から九日にかけまして、朝鮮労働党第七回党大会開催されました。ここにおきまして金正恩党委員長は党の活動総括報告を行ったところでございます。  そして、この報告の中で金正恩委員長は、経済建設とそれから核武力建設並進路線、これを恒久的に維持すべき戦略的路線というふうに位置付けるとともに、党規約の改正を行ってこの並進路線を明記いたしました。  また、金正恩委員長は、核武力を質、量的に更に強化していく意思、また、いわゆる彼らの言うところの衛星衛星の打ち上げを継続する姿勢を強調いたしました。もちろん、安保理決議や六者会合共同声明を遵守することなくこうした意思を示したということは断じて受け入れることができるところではございません。  また、金正恩委員長は、情勢が今後いかに変わろうとも、周辺関係が変わろうと、自主、先軍社会主義の不変の針路に従って進むということを言っております。  経済につきましては、金正恩体制におきまして初めて国家経済発展五か年戦略、これを発表いたしまして、電力問題を含む北朝鮮経済課題について言及いたしました。  党大会では党指導部の選出も行われました。特に、経済政策を担う朴奉珠首相政治局常務委員になりましたこと、あるいは李洙ヨン外相政治局員になるなど、高位の幹部の交代もあったところでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、北朝鮮においては、先軍針路は変わらないとは言っておりますが、今回三十六年ぶり党大会開催されたことからも、党の役割をこれまでよりも重視していると、このように受け止めておる次第でございます。
  16. 塚田一郎

    塚田一郎君 三十六年ぶり開催をされた労働党大会ということで、非常に重要な意味があると思います。先軍政治ということもある中で、また先党という形で、党に対しても重きを置いてこれからは運営を行っていくということの表れだと思いますが、北朝鮮金正恩氏が多分一番対外的に言いたかったことは、我々は核保有国であるということを宣言をしたかったということが一番大きな問題だと思います。しかし、このことは断じて我々は許容することはできないわけで、いかに北朝鮮非核化を実現していくかということは、難しいけれども非常に重要なテーマであります。  自国だけが、北朝鮮核開発を進めて、世界に対しては一方で非核化を言及するというのは決して受け入れることのできない私は北朝鮮の言い分だと思いますが、一方で、現実に核を保有しているという北朝鮮とどう対峙していくかということを国際社会連携をして考えていかなければならないわけで、北朝鮮核保有の既成事実化を狙っていることに対して、我が国としては、国際社会連携をしてどのようにこれを止めていくのか、牽制をしていくのか、そして非核化に向けて動かしていくのか、ここが非常に重要なところになるんですが、この点について外務大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、北朝鮮北朝鮮労働党の第七回党大会におきまして、累次の安保理決議あるいは六者会合共同声明を遵守することなく、核武力を質、量的に更に強化していく、こうした意思を示したこと、これは断じて受け入れることはできません。こうした北朝鮮による核開発は、我が国の安全に対する重大な脅威のみならず、国際社会にとりましても一連の安保理決議の明白な違反であり、重大な脅威であると考えます。北朝鮮は、責任ある核保有国などといった一方的な主張を行う前に、安保理決議等を遵守し、自らの非核化を実現する必要があると考えます。  そのためには、まず我が国としまして、関係国協力をしながら、さきの安保理決議二二七〇あるいは各国の独自の措置実効性をしっかり確保することが重要であると考えます。こうした様々な措置実効性を確保し、それが北朝鮮にしっかり伝わり、そして北朝鮮がどのような反応を示すのか、これをしっかりと確認をし、その上で北朝鮮に具体的な、そして建設的な対応をさせる、そのためには何が効果的なのか、その次の段階考えていく、こうした段階を踏みながら、関係各国協力をし連携をしていくことが重要であると認識をいたします。
  18. 塚田一郎

    塚田一郎君 よく政府は、対話圧力行動行動の原則とおっしゃいます。私は、圧力がまずあって初めて対話が生まれると思うんですね。圧力対話圧力を掛けない限り、今の北朝鮮が核を廃棄する、あるいは核を放棄するということは私は難しいのではないかなと。したがって、国際社会全体が北朝鮮にとって痛みの伴う圧力をしっかりと加えて彼らの行動改善をしていくということが求められているわけで、その意味においては、国連制裁決議二二七〇が採択されたことは意味があるというふうに思います。  今我が国は、この一月から国連安全保障理事会の非常任理事国というメンバーにも加わっております。この機を生かして北に対するこうした制裁圧力を強めていく必要があると思いますが、こうした制裁措置の中で、安保理決議二二七〇のパラグラフ四十において、全ての国に対し、決議採択から九十日以内に決議の規定を効果的に履行するためにとった具体的な措置について安全保障理事会報告するように要請がされております。  我が国対応とこれまでの各国報告状況について御説明を願います。
  19. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 委員指摘のとおり、本年三月に採択されました安保理決議二二七〇では、全ての国に対して、決議採択から九十日以内にとった措置具体的措置について安全保障理事会報告するように要請しております。国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していく観点からは、今回の安保理決議を踏まえて我が国自身が所要の措置を講じることはもちろんですが、各国決議を全面的かつ厳格に履行していくこと、委員が御指摘のとおり、そして痛みを感じさせること、これが重要であると存じます。  我が国といたしましては、安保理決議を実施するための具体的な措置につきましては、関係省庁とも緊密に連携協力して実施に移してきております。例えば、三月十一日には、決議によって指定された十二団体、十六個人に対する資産凍結措置等から成る金融関連措置も講じました。また、四月一日には、決議により特定されました船舶我が国の港に入港することを禁止するための特定船舶入港禁止法に基づく閣議決定も行っております。こうした取組につきましては今後遅滞なく安保理報告する考えであり、準備を進めているところでございます。  なお、こうした我が国を含む各国による安保理決議履行状況に関する報告につきましては、安保理に提出された後に国連によって対外公表されることになっております。現時点、まだ九十日たっておりませんが、現時点におきましてはこの二二七〇を履行するために各国がとった具体的な措置に関する報告はまだ公表されていない、こういう状況でございます。
  20. 塚田一郎

    塚田一郎君 今後、そうしたことが明らかになった際に、まさにこの履行を行っていない国があった場合、しっかりとやはりそこに対して決議履行を促していく、これを我が国がイニシアチブを取って行っていただきたい、そのこともお願いをさせていただきます。  北朝鮮人権問題については、この間、国連総会などでも決議がなされております。そして、もう一つ大事なことは、安全保障理事会においても過去二回にわたり北朝鮮拉致を含む人権問題が議論されているということで、この議題化を継続していくことが極めて私は重要だと思いますが、今まで過去二回、安保理における議題化経緯について御説明をいただきたいと思います。
  21. 水嶋光一

    政府参考人水嶋光一君) 委員指摘のとおり、二〇一四年の十二月及び二〇一五年の十二月、過去二年にわたりまして北朝鮮における状況議題とする安保理会合開催されております。  安保理では、議題会合で取り上げることを希望する場合には安保理理事国安保理議長に書面で要請することができるとされております。ただし、これに反対する理事国がある場合には国連憲章第二十七条に基づく手続事項としまして拒否権のない表決が行われることとなっておりまして、九理事国賛成投票により可決をされるということになってございます。  二〇一四年の十二月に本件会合開催された経緯といたしましては、まず二〇一四年の十二月十八日、ニューヨーク時間でございますが、このときに、国連総会会議にて採択をされました北朝鮮人権状況決議において、北朝鮮人権状況について安保理が適切な行動を取ることが促されるといったような動きもございましたので、安保理において拉致問題を含む北朝鮮人権を取り上げる機運の高まりがあったということが挙げられると思います。  そうした背景を踏まえまして、同年の十二月二十二日にオーストラリアなど十か国の安保理理事国北朝鮮状況安保理議題とすることを要請いたしました。ただ、中国が異議を示したものですから、安保理会合におきまして、議長国チャドの下でオーストラリアなどの要請表決に付されたということがございます。その結果、賛成が十一か国、反対が二か国、棄権が二か国ということで、北朝鮮状況議題採択されたという経緯になってございます。  昨年、二〇一五年十二月十日の会合の際には、米国など九か国の要請に対して中国がまた異議を示したために、議長国米国の下で表決に付されまして、賛成が九か国、反対が四か国、棄権が二か国ということで、結果として北朝鮮状況議題採択され、議論が行われることになったという次第でございます。
  22. 塚田一郎

    塚田一郎君 過去二回、多数決によってこれが議題化をされたということなんですね。常任理事国五か国、さらに非常任理事国十か国、合わせて十五か国のうち最低九か国は賛成をしないと、国連安全保障理事会での人権問題、北朝鮮人権状況に対する議題化が行われない、これが実態です。残念ながら、過去二回のケースを見ると、中国は反対、ロシアも反対と。そうすると、常任理事国の中で既に二つ反対ということが続いている中でいえば、残る非常任理事国の中で最低六か国以上の賛成を確保していかなければこの議題化が継続して行われない、これが実態であります。  そうした中で、我が国はこの一月からメンバーに非常任理事国として入っている。しかし、一昨年と昨年を見ると、二〇一四年のときは賛成が十一票、二〇一五年のときは賛成票が九票、ぎりぎりなんです。メンバーも毎年替わっていきます。日本がメンバーである非常任理事国になる今年、どうやってこの議題化を図っていくかということは非常に私は重要なことだと思いますし、今申し上げたとおりの多数を形成をしていくこと、それらの議題化を行うタイミングと併せて、政府としてどのような方針で臨まれるつもりか、外務大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、安保理において北朝鮮状況議題として取り上げる際には、特定の議題を取り上げることに反対する国がある場合は九票以上の賛成票が必要となります。  昨年そして一昨年については、議題として取り上げたのは共に十二月でありました。こうした昨年と一昨年のタイミング、そして今年の各国のこの問題に対する賛否の状況、様々なものを勘案しながら、今年、我が国としてこの問題を議題化するタイミングについては、いつが最も効果的であり、そしてしっかりと議題化を確保できるか、これを総合的に勘案しなければならないと考えます。  ですから、今年の各国状況もしっかり確認した上で、昨年のタイミングも参考にしながら今年のタイミングをしっかりと確定し、その方針に基づいて臨んでいきたいと思います。今現在、何月ということは確定しておりませんが、今申し上げましたような方針でしっかり臨んでいきたいと考えます。
  24. 塚田一郎

    塚田一郎君 私は、昨年十二月と今年の五月に国連の方で議員外交をさせていただきました。今まで、マレーシア、エジプト、スペイン、ボリビア、エチオピアなどの現在非常任理事国のメンバーである国あるいは来年一月以降に非常任理事国のメンバー入りが予定をされている国の国連の代表の方々とお会いをして北朝鮮人権状況安保理における議題化についてのお願いを、拉致問題を抱える日本の立場としてお話をしてまいりました。どの国がどういうことを言ったかということはここでは申し上げませんが、これらの国々はキーになる国だというふうに思います。  今年の場合、日本は七月に議長国を務める予定になっていると理解をしております。また、十二月ということであればスペインが議長国を務めます。実は、スペインの代表にも先日連休に会って、このことも含めてお話をさせていただきました。しかしながら、状況というのはやはり刻々と変わるわけですから、是非、そのタイミングも含めて、しっかりとこの日本が非常任理事国のメンバーである今年、来年、この議題化が継続して必ず行われるように政府としては最大の外交的努力も含めて行っていただきたいということをお願いをさせていただきます。  制裁に関して言えば、やはりキーは中国だと言われております。国連安保理決議も中国の履行状況によってはその効果が大変大きく違ってくるというわけで、中国がこの安保理決議二二七〇をどこまでしっかりと履行するかということが極めて重要であります。  この間、岸田大臣は日中外相会談等を重ねられて、北朝鮮問題についても積極的な議論を行ったというふうに伺っておりますが、具体的にこうした鉱物資源の禁輸措置等について中国がどのような対応をするのかといった議論を行っていただいているのかどうか、御説明をいただきたいと思います。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、中国の対応ですが、安保理決議二二七〇号の採択を受けて、中国外交部の報道官は、真摯かつ全面的に決議を執行する、こういった発言を行っております。また、四月五日、中国商務部及び税関総署が安保理決議第二二七〇号を履行するための措置の一環として、北朝鮮との鉱産物等の輸入禁止に関する告示を発出いたしました。  こうした中国の動きも踏まえながら、御指摘のように、先般、日中外相会談を行いました。日中間で協力すべき共通課題の三つのうちの一つとして北朝鮮問題を取り上げた次第であります。詳細については控えなければなりませんが、少なくとも王毅外交部長との間で、安保理決議の厳格な履行を含め緊密に連携をしていく、こういったことでは一致をしております。  中国は現状では北朝鮮との貿易の約九割を占めています。この中国の役割、安保理決議実効性を確保する上で大変重要だと認識しております。引き続き、国連安保理北朝鮮制裁委員会あるいは専門家パネル、こういったものに我が国としましてしっかり関与しながら、中国を含む関係国のこの決議の厳格な履行に貢献をしていきたいと考えます。
  26. 塚田一郎

    塚田一郎君 何といっても、九割の中国がしっかりとこれを行うかどうかが制裁の効果に懸かっております。引き続き、しっかりと注視をして、議論を行って、確認を取っていっていただきたいと思います。  そのことを最後にお願いをし、これはもう当たり前のことでありますけれども、被害者の御家族は大変に今高齢化をされています。先日も横田早紀江さんともお会いをしましたけれども、お父様の滋さんも最近体調が優れないというお話をされておりました。そういう意味においては、この問題は一刻の猶予もないわけでありますので、今日は傍聴席に来ていただいて、ありがとうございます。  何としても、オールジャパンで、政府を挙げて、そして我々国会を挙げて、一日も早い横田めぐみさんを含む全ての拉致被害者早期救出に向けて全力を尽くしていくということを我々もお約束を申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 白眞勲

    ○白眞勲君 民進党の白眞勲でございます。  先ほど塚田委員からもありましたように、ちょっとこれは質問通告しておりませんけれども、外務大臣にお聞きしたいと思います。  昨日ですか、沖縄県うるま市の女性の死体遺棄容疑米軍属で元米兵の男が逮捕されたことに関しまして、私も非常に強い憤りを感じるわけでございます。日米の間でしっかり連携を取っていくということで今御答弁がありましたけれども、これは日米首脳会談、今度開かれるサミットにおける、で取り上げるべきだと思いますけれども、外務大臣、どうでしょうか。
  28. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 来るべき日米首脳会談の具体的な内容についてはまだ調整中で決まってはおりませんが、この問題、日米二国間の関係において大変深刻な重大な事件であると認識をいたします。様々なレベルを通じて、この問題において米国からしっかりとした誠意ある対応を引き出すべく求めていかなければならないと考えます。
  29. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、日米首脳会談で取り上げる意思があるということでしょうか、こちらからは。
  30. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 首脳会談ですので、私の立場から今何か決まったことを予断を持って申し上げることはできませんが、あらゆるレベルを通じてこの問題の重要性をしっかり認識することは重要だと考えます。
  31. 白眞勲

    ○白眞勲君 日米地位協定についても言及するつもりはありますか。
  32. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、この問題につきましては米国に強く抗議するとともに、今、事件は捜査中であります。この捜査にまず米国側が全面的に協力をすること、そして、米軍人そして米軍属の綱紀粛正を徹底するということ、そして実効のある、そして我々の納得できる再発防止策をしっかりと示すということ、これをまずもってしっかりと求めることが重要であると思います。これをしっかり行った上で日米関係全体を考えていくべきだと認識をいたします。
  33. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、今日の委員会における、これは私、厳しいことをちょっと言わなきゃいけないんですね。というのは、当委員会における外務大臣出席に関する件なんですよ。  私も十年以上こういった委員会ずっと関わってきていますけど、毎回頭の痛いのが、当委員会開催において、外務大臣が様々な予定が入っていて都合が悪いといってなかなか開催できない点なんですね。今回特にひどくて、与野党の筆頭理事がある程度この辺でいきましょうかと、合意ですよね、合意しているにもかかわらず、どうも話によると、与党の筆頭が頼んでも、ああだこうだと理由付けて外務大臣が否定した日は無理だと言ってきたと。結局いつ開催できるか分からない。これ、与党の国対委員長が出てきて、半ば強引に出てきていると。ちょっとひど過ぎませんか、これ。  外務省は、もちろん大臣忙しいのは分かりますよ、分かる。みんな忙しいんですよ、これ。それで、今年一月四日から国会開催されて、結局開かれたのは会期末まであと十日。これだって無理やりですよ、ほとんど。条約などは、大臣出すから早く通せ通せと言っている。ちょっと勝手過ぎませんか。安倍政権、拉致問題は安倍内閣の最重要課題と言っている割には、ちょっとひど過ぎますよ、私思う。だったら、国会においてしっかりと質問にも答える必要があるんじゃないのか。  そういう面で、ここで外務省にお聞きします。条約を通すことと拉致問題の質疑とどちらが優先なんですか、お答えください。
  34. 山崎和之

    政府参考人(山崎和之君) 国会の御日程につきましては、立法府たる国会がお決めになるものでございます。行政府といたしましては、立法府の求めに応じて国会の審議に出席する必要があるというふうに認識しております。  本委員会を含めて今国会の様々な審議に対し、外務省としては、国会日程や諸般の外交日程を踏まえつつ、その開催出席に向け調整を誠実に行ってきたと考えてはおります。その中で、今回の委員会の日程の調整に当たりましては、外務大臣出席を求められている委員会が大変多いこと、今国会期間中は衆議院TPP特別委員会に加えて出席を求められたこと、また、来週の伊勢志摩サミットに向けG7外相会議開催関係国との連携強化のための外交日程が多く予定されたこと等の事情がございまして、それを説明し、種々御配慮をいただいたことに関し、深く感謝を申し上げます。  拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、安倍政権の最重要課題でございます。政府としては、早期解決に向けてあらゆる努力を傾注するとともに、国会、国民皆様への説明責任をしかるべく果たしていく必要があると肝に念じております。外務省といたしましては、本委員会における充実した審議を行っていただくことが重要だと考えておりまして、誠心誠意対応させていただきたいと考えております。
  35. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の質問に答えていないじゃないですか。私が聞いたのは、条約を通すことと拉致問題の質疑とはどちらが優先なのかと。立法府の求めに応じていないから私は聞いているんですよ。ちゃんとお答えください。
  36. 山崎和之

    政府参考人(山崎和之君) ただいま申し上げましたように、拉致問題につきましては安倍政権の最重要課題でございます。そういう立場で外務省としては対応をするということでございます。(発言する者あり)
  37. 中原八一

    委員長中原八一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  38. 中原八一

    委員長中原八一君) 速記を起こしてください。
  39. 山崎和之

    政府参考人(山崎和之君) 申し上げましたとおり、拉致問題は我が国国民の生命と安全に関わる重大な問題で、政府としては最重要課題であるというふうに認識しております。申しましたように、最重要、最も重要な課題であるというふうに認識しておりますというのが拉致問題の位置付けでございまして、他の問題との関係においても最重要課題だということで申し上げているつもりでございます。
  40. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、最重要だったら、これ、外務大臣にお聞きします。本気になって取りかかるということでやっていただきたいなというふうに私は思うんですよね。結局、言葉だけということにならないのかということなんですよ。今の話だってそうですよ。これ、自分の子供が拉致されたらどう思うのかと、こんな対応できますか、私そう思うんですよね。要は人ごとになっているんじゃないんですかということを私は聞きたいんですよ。  ですから、もっと本気になって取りかかるということで、外務大臣にお聞きします。これから委員会要請があったら、これからの要請は絶対に断らないということでよろしゅうございますね。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど官房長からも答弁させていただきましたように、今の内閣におきまして拉致問題、最重要課題であります。  国会の日程については最終的には国会で御判断いただくことでありますが、要請があった場合、誠心誠意日程を調整し答弁に応ずる、これは当然の責務であると認識をいたします。今後、誠心誠意対応させていただきます。
  42. 白眞勲

    ○白眞勲君 本当にお願いしたいなというふうに思うんですね。  それで、北朝鮮の核に関して、金正恩氏が党大会で演説した内容についてちょっとお聞きしたいんですけれども、北朝鮮は、核開発経済改革を同時に進める並進路線を恒久的に堅持すべき戦略的路線、これは先ほど石兼さんおっしゃったとおり、自衛的な核武力を質、量共に更に強化するとしたわけですよね。これ、完全に日朝平壌宣言に違反しているわけですよ。  そういう中で、恒久的とか質、量共に強化する、そういうふうにも言っているにもかかわらず、今の今までの参議院のいろいろな委員会における御報告とか何かを見ても、今までと全く同じ文面なんですね。同じ文面ですよ、向こうはエスカレートしているのに。これでは対話の展望なんか私はないと思いますけれども、どうなさるおつもりなのか、外務大臣、お答えください。
  43. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回、第七回朝鮮労働党党大会において行われた活動総括報告の中身につきましては、先ほど来質疑の中に出ておるような内容であり、我が国として到底受け入れることはできない、これはもう当然のことであると考えています。  そして、今後どう対応するかということでありますが、こうした北朝鮮の昨今の動きに対して我が国としどのような対応が最も具体的な行動を引き出すために効果的なのか、こういった観点をしっかり持ちながら対応していかなければなりません。その中にあってまず当面は、先ほども答弁させていただきましたが、さきに採択されました国連安保理決議二二七〇号、あるいは日本、韓国、米国等が独自に行った措置、こうした圧力実効性をしっかり確保することが重要であると考えます。  こうした実効性を確保し、そしてその効力がしっかり北朝鮮に届くことを確認した上で、北朝鮮がどう反応するのか、これを見極めた上で最も効果的な対応国際社会連携しながら考えていくのが当面の方針であると考えます。
  44. 白眞勲

    ○白眞勲君 国際社会連携はどんどんしていただきたいと思うんですけれども、それとは別に、外務大臣は去年の八月にマレーシアで北朝鮮李洙ヨン外相と会って、その後、私、十二月に外務大臣に質問申し上げました。そのときには、今行っている特別調査に関わる結果など、通報等は何もこちらに伝えられていないということですよね。それで、こういった状況で、引き続き先方への働きかけ、意思疎通の継続、努力をしていきたいと、そう答弁されたわけなんですが、今もやられているんでしょうか、それは。大使館ルートを通じて北朝鮮側とは引き続き様々なやり取りを続けておりますと、そのときは答弁されているんです。今も大使館ルートを通じて引き続きやり取りは続けていらっしゃるんでしょうか。
  45. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮との間においては、北京の大使館ルートを通じ、核実験あるいは弾道ミサイルの発射等挑発行動が行われた際の抗議など、様々な形で北朝鮮側に対し申入れを行い、抗議を行い、そして様々意思疎通を行っている、こういった関係は続いております。
  46. 白眞勲

    ○白眞勲君 五月の党大会の以降も話はしたんですか。
  47. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、様々なやり取りは行っています。ただ、いつのタイミングで具体的にどういったやり取りをしたか、これは従来からも詳細は明らかにしてきませんでした。ですから、いつのタイミングで最近やり取りをしたか、これは控えさせていただきます。
  48. 白眞勲

    ○白眞勲君 この核に関連して北朝鮮は、核開発の中断や核放棄は天が崩れても絶対にあり得ないと言ってきているわけですね。  ここでちょっとお聞きしたいんですけど、日本は、核兵器のない平和で安全な世界を実現するという精神にも反しているということですよね、これは当然です。その中で、アメリカ大統領が今度のサミット後の広島訪問に関して、ライス大統領補佐官が五月十五日にこうおっしゃっているんですよ、興味深いことに日本側は原爆投下の再評価や謝罪は求めてこなかったとしているわけなんですね。  ここで岸田大臣にもう一回お聞きしたいんですけれども、今回のオバマ大統領の広島訪問に関連して、報道では、アメリカ側に原爆投下の謝罪を求めない考えを事前に伝えていたというふうにあるんですけれども、事実でしょうか。
  49. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 米国との間の詳細なやり取りは控えますが、今回のオバマ大統領の広島訪問は、核兵器の犠牲者に対する慰霊と併せて、核兵器のない世界をつくっていこうという国際社会における機運を盛り上げる意味で大変歴史的な重要な機会であると認識をしております。多くの被爆者の願いも、二度と再びこうした悲劇を繰り返してほしくない、こういった思いにおいては一致をしていると考えます。  よって、この謝罪の有無ではなくして、是非こうした訪問の機会をしっかり捉えて、未来に向けて核兵器のない世界を実現する、こうした具体的な取組の一歩にしっかりつなげていくことが重要であると認識をしております。
  50. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、大臣、謝罪の有無はともかくとしと、私が聞いているのはそこなんですよ、謝罪を求めたかどうかを。謝罪を求めない考えアメリカ側に伝えたかどうか、その事実関係だけなんですが、お答えください。
  51. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この御指摘の点、具体的なやり取りは控えます。
  52. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、これは今度ちょっと外務省にお聞きします。  安倍総理はいろいろなところに海外旅行をされているわけですけれども、今まで一体何か国の首脳と延べ何回会談をして、拉致問題を取り上げた回数は幾つなのか、お答えください。
  53. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 安倍総理は、平成二十四年十二月の総理就任以来、現在、昨日の時点ですが、までに百四十三の国及び地域の首脳との間で延べ三百六十六回の会談を行っております。  そうした中で、全部網羅的にお答えをするのはなかなか容易ではございませんが、少なくとも全ての安保理常任理事国、G7のメンバー、ASEAN加盟国を含む六十八の国及び地域と延べ百四十回の首脳会談において拉致という言葉が明示的に言及されております。  それ以外の会談におきましても、まさに北朝鮮をめぐる諸懸案について、いかに北朝鮮から前向きな動きを引き出すかという観点からの意見交換は実施しているところでございます。
  54. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと私は驚きましたね。三百六十六回のうちの百四十回拉致について触れたと。これは半分以下じゃないですか。私は、やっぱりこの辺り、しっかりと拉致問題というものを政権の最重要課題であるということは私はしっかりと言うべきであると思うんですね。国際社会の中を通じた形でしっかりとやるべきであるならば、やはり拉致問題という、もっと強く取り上げるべきだなというふうに私は思っております。  そこで、加藤大臣にお聞きしたいと思いますが、金正恩氏の訴追については当然賛成だということでよろしゅうございますね、国連安保理の。
  55. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今おっしゃったのは、国際刑事裁判所というんですか、における対応ということだというふうに思います。これ、私自身というよりも、基本的には外務大臣からお答えするのが適切だと思いますが、御指名でございますので。  私どもとしてやはり様々な対応を取る中で、拉致問題担当大臣としては、どういう施策が一番拉致被害者帰国にまず結び付くのか。もちろん、今の安全を確保していく、帰国をしていく、そして犯罪者の特定をし、その犯罪者も引き渡すと、こういう四つの原則でやらせていただいておりますが、しかしまず我々が取り組むべきことは拉致被害者の方の安全確保と帰国だというふうに思っておりますので、それに向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思います。
  56. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは訴追かどうかなんですね。つまりこれは、加藤大臣はこの前、国連にも行っていらっしゃいますよね。いろいろな話を通じて、そういうチャンネルを通じてやっていると。  私は、やっぱり国連人権理事会から安保理に対して訴追をすべきであるというものも出ているわけなんですよ、それに対してどうなのかということを聞いているんです。当然、私は、ああ、それはそうすべきですというふうに言うのかなと思ったら、何かむにゃむにゃむにゃとおっしゃっているんだけど、もう一回その辺をお聞かせください。
  57. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) もう仕組みは御存じの上でお話しになっておられるんだろうと思います。ですから、それを具体的に、それをというのは、一つ一つの行動を取りながら北朝鮮から拉致被害者方々帰国を具体的につくり上げていく、まさに現実的な措置を我々は考えていかなきゃいけない。今の訴追の状況、訴追といいましょうか、安保理におけるそうした問題が承認をされ、承認という言葉がいいのかどうか分かりませんが、決定されるという状況は、なかなか今すぐにという状況にはないだろうというふうに理解はしております。  ただ、いずれにしても、いろいろな施策を取りながら、そしてそういう状況も踏まえながら、今回ダルスマン特別報告者からもこうした報告を出していただいて、専門家グループをつくるということもございます。そうした方向に含めて、我々としてはもちろん独立性の確保ということには配慮しながら最大限協力していきたいと、こう思っています。
  58. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、もう少し加藤大臣が前向きな答弁をされるかなと思ったんですね。何か状況説明されるのではなくて、御自身としてはもっと前に出た方が、拉致担当の大臣なんですから、あとは外務大臣が頑張ればいいんですよ。だから、そういった面でやってくれれば私はよかったなというふうに思いますが、まあしようがないですね。  最後に、外務大臣にお聞きします。  ストックホルム合意から二年たちました。全く動きはないです。そういう中で、北朝鮮からは一方的に調査を全面的に中止して特別調査委員会を解体すると表明してきているわけで、だったら、こちらも二年たって何の進展も、一歩も前進が見られない中で、この前の同委員会報告では対話の窓口を我が国から閉ざすことなくなんておっしゃっていますけれども、向こうが閉ざしているわけですよ、今。  ここはもう一度ストックホルム合意をやっぱりこれはしっかりと破棄するなりなんなりして、今言ったように国連安保理金正恩氏を訴追するように、外務大臣、かじを切ったらどうですか。お答えください。
  59. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 従来から我が国対話圧力の方針に基づいて拉致問題を始め様々な北朝鮮問題に対応していくということを申し上げてきておりますが、特に拉致問題は、全ての拉致被害者方々帰国を実現しなければなりません。この対話という要素もしっかりなければこうした目的を達成することは難しい、こういった課題であると認識をしております。よって、圧力、もちろん重要でありますが、対話という要素、これもしっかりと大事にしていかなければならない、こういった考えで取り組んできております。  そして、ストックホルム合意については、二年以上たち、全ての拉致被害者方々帰国が実現していないということ、誠に遺憾なことでありますが、対話という要素がどうしても必要になってくるということを考えますときに、我が国から一方的にこの対話を破棄するという態度は取るべきではないと考えます。  こういった考え方から、一方で、北朝鮮に対しまして強い圧力、これはしっかりと確保する一方で、我が国から対話の窓を閉ざすのではなくして、ストックホルム合意はしっかり維持しながら北朝鮮対応、反応を見ていくというのが当面あるべき姿であると考えます。
  60. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  61. 有田芳生

    ○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。  今日は日朝協議の終わらない課題についてお聞きをいたします。  まず、朝鮮労働党の第七回大会についてです。機構と人事については、例えば書記局が政務局に改編されたこと、あるいは政治局において軍の比重が下がったことなど特徴があるというふうに思います。全体的な問題点としては、金正恩第一書記の三時間にわたる総括報告が一番分析をしなければならないことだと思いますが、先ほどアジア大洋州局長が全般的な評価をなされました。  その上で岸田大臣にお伺いをしたいんですが、この金正恩第一書記の総括報告の中では、南北に比べてアメリカとの関係、日本との関係というのは非常に少ない比重でして、今後、北朝鮮日本に対して新たな外交的な展開を行おうという気配が見られませんが、その点どう分析されていますでしょうか。
  62. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の第七回党大会の総括報告の中にあっては、先ほど来議論になっております、核兵器国としての宣言など到底受け入れられない、国際社会として受け入れられない、こういった部分もあるわけですが、一方で、我が国に対しましては朝鮮半島の再侵略を諦めるべきであるとか、全く根拠のない一方的な記述、こういった部分もあります。また、日朝平壌宣言等を踏まえていないのではないかと思われるような発言もあります。こうした部分についても我々は受け入れることができない、このように考えております。  その上で、北朝鮮に対する対応につきましては、先ほど来申し上げているように、今、国際社会連携している様々な圧力安保理決議による措置あるいは各国が独自に行っている措置、こういった措置実効性をしっかり確保する、その上で北朝鮮の反応をしっかりと確認する、こういった方針で臨んでいきたいと考えています。
  63. 有田芳生

    ○有田芳生君 アジア大洋州局長にお聞きをします。  党大会が終わったときに、日本から駆け付けた多くのマスコミを相手に宋日昊対日大使が懇談を持ちましたが、それは承知されていますでしょうか。
  64. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 今委員指摘の件につきましては、私ども、北朝鮮の当局者とそれから報道関係者、この懇談につきましては、それを承知しているかどうかも含めて政府としてお答えする立場にないということは御理解いただきたいと存じます。
  65. 有田芳生

    ○有田芳生君 承知しているかどうかも言えないというのは、確かに、マスコミから恐らく外務省あるいは官邸などにその宋日昊メモが届いていると思いますが、それを見ていないということではなく、公表はできないというふうに理解をします。  ですから、私が、その宋日昊大使が何を言ったかという特徴をお伝えをしますと、日本側が悪いんだといういつもの言い分なんですけれども、日朝のストックホルム合意について、特別調査委員会はもう解体をしたと、表現によれば、もう棺おけに入ったということ、さらには、報告書、つまり拉致問題も含めた報告書についてはもう既に完成をしているけれども一方的に報告することはない、そう発言をしていると私は承知しておりますが、アジア大洋州局長、そのことも確認できないですか。
  66. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 先ほども申しましたように、いわゆるそこで行われた懇談の中身については私ども直接確認しておりませんので、それをコメントすることは控えさせていただきたいと存じます。
  67. 有田芳生

    ○有田芳生君 そこで、本来ならば外務大臣に日朝交渉の現状と課題についてお聞きをしようと思ったんですが、先ほどの白議員への答弁で尽くされていると思いますので、引き続いて、どう打開をしていけばいいのか、すべきではないのかという視点から人道問題についてお聞きをしたいと思います。  この拉致特別委員会でも、あるいは三月十八日の参議院の予算委員会でも、私は拉致問題を質問する中で、いわゆる残留日本人、その人たちについて質問をいたしました。  外務大臣にお聞きをしますけれども、これまでの日朝交渉の中で北朝鮮側から、戦後日本に帰ってくることのできなかった残留日本人で今も生きていらっしゃる方々、その方々についての報告というのは具体的にありましたでしょうか。
  68. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の残留日本人の具体的な現状等については、それを直接確認する手段がないことからして確定的な情報に至っておりません。よって、これまでも北朝鮮側に対し様々な機会を捉えて安否確認を求める、こうしたことで消息の把握に努めているところであります。そして、この北朝鮮の特別調査委員会調査についても、今現在、具体的な通報がない状況であります。よって、詳細は明らかになっていないというのが現状であります。  引き続き努力を続けていきたいと考えます。
  69. 有田芳生

    ○有田芳生君 私は何度も質問をしました。昨年の十月に平壌まで行って関係者に話を聞いてきました。残留日本人十数人が日本に帰りたいと切望をしている。何回もこの委員会でも予算委員会でも質問をいたしました。その十数人のうち、昨年、四人の方が日本に帰りたいという思いを抱きながらお亡くなりになっている。そのうちの一人、昨年の一月に亡くなった丸山節子さんは、これはNHKも毎日新聞も東京新聞も報道いたしました。  私は、こういう人道問題、やはり独自の課題として解決すべきだと今でも強く思っておりますが、この委員会でも予算委員会でも、そういう人たちがいるんじゃないか、いるんだと向こうは言っているというならば、例えば赤十字なんかを通じてそれを何で確認しようとされないんですか。
  70. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の残留日本人と思われる方の中で亡くなられた方があるという連絡、北朝鮮の朝鮮赤十字から日本赤十字社に対し連絡があったということ、こういったことについては承知をしております。  残留日本人に関わる問題、これ人道的な観点から取り組むべき重要な課題であると認識をしております。引き続き様々なルートを通じてこの問題についても情報収集を行っていきたいと考えます。
  71. 有田芳生

    ○有田芳生君 政務官にお聞きをします。  今外務大臣の答弁がありましたけれども、私は、具体的に十数人の方が生存していて日本に帰りたいと言っている、丸山節子さんを始めとしてそういう人たちが分かっていて、何度も言いますけれども、日朝交渉が進まない中で四人の方がお亡くなりになっているというふうに北朝鮮側は言っている。ならば、それをちゃんと確認をして、そういう人たちが帰りたいと言うならば、拉致問題の解決は前提、当たり前に頑張っていかなければいけませんけれども、そういう人たちの命を救う、帰りたい日本に帰ってもらうという、そういう取組すべきじゃないんですか。
  72. 浜地雅一

    大臣政務官(浜地雅一君) ただいま有田委員より御指摘がございましたとおり、三月の十八日の有田委員の御質問、私も詳細に読ませていただきまして、非常に人道問題であるという認識はございます。  その後、三月の予算委員会での答弁後につきましても、外務省としましては、現在は北朝鮮とは北京の大使館ルートを通じてやり取りは行っております。しかし、具体的な個々のやり取り、また具体的な内容についてはお答えすることは差し控えたいと思いますが、あくまでも北朝鮮に対しては厳しい制裁を掛けながらも、同時に対話の窓口をしっかりと開き、閉ざすことなくこちらの方から、ストックホルム合意に基づきまして、日本人に関する全ての問題を解決すべく引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  73. 有田芳生

    ○有田芳生君 厳しい対応をするのは当たり前ですけれども、人道問題は目に見えている課題があるならば、それを解決するのが当たり前でしょう。それをやっていないんですよ。  厚労省にお聞きをします。戦後、日本に戻れなかった残留日本人の数、把握されているはずですけれども、何人いらっしゃいましたでしょうか。
  74. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  厚生労働省といたしまして残留日本人の具体的な現状等について直接確認する手段がないことから確定的にお答えすることは困難でありますが、戦後、御本人の家族等から北朝鮮地域で行方が分からなくなったとして旧厚生省に対して安否調査依頼があったとして把握している方は計千四百四十人、うち戦時死亡宣告を受けた方が、裁判手続により死亡したものとして戸籍処理された方が千四百五名、その宣告を受けていない方が三十五人というふうになってございます。
  75. 有田芳生

    ○有田芳生君 その三十五人の方々の生存しているのか亡くなっているのかということを赤十字を通じて北朝鮮側に問合せをしましたか。
  76. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 厚生労働省ではいたしておりません。
  77. 有田芳生

    ○有田芳生君 つまり、外務大臣、私が感じているのは、拉致問題解決していくためにやはりいろんな方法があると思うんですよ。  そこで、お聞きをしたいんですけれども、日朝平壌宣言の中で、日本側がやらなければいけない課題として、過去の清算という表現がありますが、この過去の清算というのはどういう内容だと理解されていますか。
  78. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 過去の清算につきましては、一九四五年八月十五日以前に生じた事由に基づく様々な事柄を指すものであると認識をいたします。
  79. 有田芳生

    ○有田芳生君 これだけ日朝間が止まってしまっている状況の下で、やはりどこから風穴を空けるかというのは真剣に考えなきゃいけないという思いで今日質問しているんです。残留日本人の問題もあります。  それから、先ほど広島の話が出ましたけれども、広島、長崎で被爆した朝鮮人というのは、五万人、二万人、合計七万人いらっしゃった。その後、戦後、例えば北朝鮮には二千人の方がお帰りになった。だけれども、二〇〇七年の段階で明らかになっているのは、被爆した朝鮮人三百八十二人が生存しているということも分かっている。  私はこれ何で言うかというと、昨年十月に平壌へ行ったときに、過去の清算というのは何なんだというやり取りを厳しくやったときに、やはり向こう側の思いというのは、例えば朝鮮人被爆者の問題なんですよ。あるいは、日本軍として戦った朝鮮人の方々、いっぱいいらっしゃいましたよね。その人たちの遺骨は今でも目黒の祐天寺に眠っているんですよ。その遺骨を取り戻したい、国に返したいということで、例えば二〇〇四年には遺族の方が日本に来ようとした。だけど、残念ながら、政治的な理由で実現をいたしませんでした。  さらに言えば、三月十八日の予算委員会でも、今日来ていらっしゃいますけれども、横田滋さん、早紀江さん、二年前の三月十日から十四日、モンゴルでお孫さんのウンギョンさんと感動の出会いをされました。それからもう二年以上たっている。親族がようやく十二年たって出会えて、非常にうれしかったと早紀江さんたちはおっしゃっていた。だけど、それから二年会えていない現状、これ人道問題じゃないですか。  だから、行動行動、これは正しい原則だから、向こう側が動かないならば、被爆者の問題、朝鮮人遺骨の問題、あるいはウンギョンさんの問題、そういう人道問題で北朝鮮側と行動行動を引き出すような新たな真剣な取組というのはすべきだと思うんですよ。本気で思うんですよ。  岸田外務大臣拉致担当大臣、どう思われますか。スローガン的な政治じゃなくて、具体的にどう風穴を空けるかということをもう本当にやっていかないと、今日も来ていらっしゃいますけれども、滋さんは八十三歳、早紀江さんは八十歳です。有本恵子さんのお父さん、お母さんだってもう九十ですよ。もう本当に時間がないと何年前から言っているんですか。本当に時間がない。だから、具体的な課題、人道課題で風穴を空けるような、そういう新たな対応を取っていただけると心から思うので、最後に、岸田外務大臣加藤担当大臣、スローガンではなく、お答えください。
  80. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、この問題はもう時間との闘いであるということ、そのとおりだと思います。そうした危機感を政府全体として、日本全体としてしっかり持たなければならないと考えます。  そして、その具体的な対応についても、基本的な方針は先ほど申し上げたとおりでありますが、絶えずこの具体的な前向きな反応を引き出すためには何が効果的かという観点を検討し続ける、こういった姿勢は大変重要であると思います。人道的な問題も含めて、具体的な課題、そして具体的な動き、こういったものをどのような具体的な前向きな結果につなげるのか、真剣な検討は絶えず続けていきたいと考えます。
  81. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今御指摘ありますように、本当に一刻も猶予がならないということ、これは私どもも共有をさせていただいております。  そういう中で圧力を掛けていく、そしてその中で出てくる北朝鮮側からの様々な、今回の大会のメッセージも含めて、そういうことだと思います。一つ一つの動向、こういうのを見極めながら、拉致被害者方々の一日も早い帰国を実現する、あるいはそれに向けての方策をつくり道筋を開けていく、そのために何をすればいいのか、こういう観点からしっかりと議論し、また取り組んでいきたいと、こう思います。
  82. 有田芳生

    ○有田芳生君 人道的課題で風穴を空けるべきではないですかというのが今日の質問なんです。  もう一度言います。去年の一月に亡くなった丸山節子さんは日本に帰りたいと言って泣いて弟さんに訴えたんです。それは、特別調査委員会も聞き取りをやったんです。だけど、お亡くなりになったんですよ。そういう人たちが去年だけでも四人いるんですよ、日本人ですよ。  もし北朝鮮側が十数人そういう方々がいらっしゃるというふうに言っているんだったら、それを確認すべきじゃないですか。そして、そこから風穴を空けて、人道課題で、行動行動で新しい展開をすべきだと私は強く思っているということをお伝えをして、質問を終わりたいと思います。
  83. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  日中外相会談の中での北朝鮮問題等、通告をしてございますが、最初に、沖縄県で発生をした、またも発生した許し難い事件について聞かなければなりません。  うるま市で行方不明になっていた二十歳の女性が、どうか無事であってほしいという思いもむなしく、遺体で発見されるという最悪の事態となりました。元米海兵隊員で、現在は米軍属の男性が昨日、遺体遺棄容疑で逮捕されております。  今日の昼のNHKのニュースを見ておりますと、男は首を絞めたほか、ナイフで刺したと供述していると報道しておりました。女性がどれだけ苦しんで、絶望する中で命を奪われたのか、御家族思いはいかばかりかと思いますと、本当に心からの憤りを感じざるを得ないし、心からのお悔やみを申し上げたいと思います。  まず、警察庁、来ていただいておりますが、事件の概要について明らかにしていただきたいと思います。
  84. 露木康浩

    政府参考人(露木康浩君) お尋ねの事件でございますけれども、沖縄県国頭郡恩納村の雑木林に死体を遺棄したとして、昨日、沖縄県警察が三十二歳の米軍属の男を死体遺棄容疑で逮捕いたしたものでございます。遺棄をされた死体につきましては、本年四月二十九日に沖縄県警察が行方不明届を受理していたうるま市居住の当時二十歳の女性であると確認をされたと報告を受けております。  現在、沖縄県警察におきまして、事案の全容解明に向けて鋭意捜査を進めているところでございます。
  85. 井上哲士

    井上哲士君 アメリカからは公務中だと、こういう主張はなされているんでしょうか。
  86. 露木康浩

    政府参考人(露木康浩君) そのような報告は受けておりません。
  87. 井上哲士

    井上哲士君 地位協定上は、公務中とされますと身柄の引渡しも求められまして、日本で裁判で裁かれなくなる可能性もあるわけですね。  外務大臣にお聞きしますが、私、非常に残念なのは、昨日今日の報道を見ておりますと、安倍内閣の閣僚とかそして与党幹部、タイミングが悪いとか、オバマ歓迎ムードに水を差すとか、こういう言葉がいろんなメディアで流れているんですね。日米関係とか辺野古基地建設とか選挙にとってタイミングが悪いと、こういう程度に考えられているのかという問題なんですよ。  政府としては、この事件、どう認識をされて、どういう対応をされているのか、いかがでしょうか。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回の事件は、将来ある女性に対する米軍属の卑劣な行為による残忍極まりない、決して許すことができない凶悪な事件であると認識をしております。これはいかなる状況においても絶対に許されない、こういった事件であると考えております。  こうした認識の下に、米国に対しましては、米国大使外務省に招致をし、日本政府として強く抗議を行った次第であります。そして、抗議を行うとともに、まずは、今事件は捜査中であります、この捜査に全面的に協力することを求め、そして米軍人、米軍属の綱紀粛正、そして実効性のある我々が納得できる再発防止策をしっかり示すことを求めました。米側からは全面的な協力が表明された次第であります。  是非、こうした許すことができない事件に対して、まずは米国側からしっかりとした誠意ある対応を引き出すべくしっかり求めていかなければならないと思いますし、我が国政府としましても、こうした事件が再発することがないように、こうした対応について米側とともに取り組んでいかなければならない、このように考えます。
  89. 井上哲士

    井上哲士君 戦後七十一年、一体何度沖縄の皆さんはこの綱紀粛正、再発防止という言葉を聞いたのかということなんですね。  米占領下の一九五五年に由美子ちゃん事件というのがありました。米兵が乱暴して、幼稚園児です、由美子ちゃんを米兵が乱暴して、そして基地のごみ捨場に捨てていたと、こういう事件でありました。復帰後、一九七二年から二〇一五年までで、米関係者による沖縄の刑法犯罪は五千八百九十六件、凶悪犯罪は五百七十四件。そのたびに綱紀粛正、再発防止ということが言われてきた。もう県民は聞き飽きたという気持ちなんですね。つい二か月前にも那覇市内のホテルで米兵による女性暴行事件が起きました。  ちょうど翁長知事はアメリカに行っておられまして、ゆうべ帰ってこられましたけれども、基地あるがゆえの事件が起きてしまった、憤りもさることながら、今日までのいきさつを考えると言葉が出てこないと。これ、県民の共通の声だと思います。  今朝の地元紙沖縄タイムスは、事件、事故のたびに日米両政府に抗議し、大会を開き、綱紀粛正と再発防止を求めてきたが、これまでのようなやり方ではもう駄目だ、もはや再発防止要請で済ますレベルではないと、こう書きました。  再発防止要請を繰り返してきながら事件が繰り返されてきたと、このことについてはどう認識をされているんでしょうか。
  90. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、こうした事件に対する対応については、日本政府として米国政府にその時点時点において最大限の誠意ある対応をしっかりと求めていかなければならないと思います。  そして加えて、沖縄においては戦後七十年以上たった今に至っても大きな負担が存在する、大きな負担を負っていただいております。こういった状況我が国政府として容認するものではありません。沖縄の負担軽減について政府は大きな責任を担っていると考えます。是非沖縄の県民の皆さんの心に寄り添いながら、しっかりと沖縄の負担軽減に向けて全力を尽くしていかなければならない、このように考えます。
  91. 井上哲士

    井上哲士君 これ、負担軽減なんていう一般的な問題じゃないんですね。  具体的に聞きますが、事件が続く温床になっているのが、米軍の特権を定めた日米地位協定だと思います。これまで、凶悪事件を起こしても身柄が日本に引き渡されない、公務として日本の裁判で裁かれないなど、様々な屈辱的な思い沖縄の県民の皆さんは味わってきました。こういう日本での米兵の犯罪を犯罪と思わない、日本で犯罪を犯しても守ってもらえると、こういうことが米兵犯罪の相次ぐ私は温床になってきたと思うんですね。  この改定を一貫して県も県民も求めてきましたけれども、結局、運用改善を言うだけで一度も改定がされておりません。このことの責任はどうお考えでしょうか。
  92. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回の事件においては、容疑者の身柄は沖縄県警日本側にあると承知をしております。その中で、政府としては、まずは米国側にこの捜査に対して全面的な協力をしっかり求めなければなりませんし、そして、米軍人、米軍属の綱紀粛正と我々にとって納得のできる実効性のある再発防止策をしっかりと示してもらう、このことをまずは求めることが重要であると考えます。
  93. 井上哲士

    井上哲士君 盛んに納得できる再発防止策と繰り返されますが、これまでアメリカが行ってきた再発防止策については日本は納得していなかった、だからこういうことになっているんだと、こういう認識ですか。
  94. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 過去に様々な不幸な事件がありました。その時点時点において、日本政府米国政府、最善の対応をするべく努力をいたしました。  今回の事件においても、先ほど申し上げた要求を日本政府として行ったわけでありますが、米国政府に誠意のある対応をしっかり求めていきたいと考えます。
  95. 井上哲士

    井上哲士君 最善の対応を本当に求めてきたのかと思いますよ。  しかし、最善の対応をやったと言うならば、それやったって事件が起きているんですよ。だとすれば、もう基地の縮小、撤去しか私たちはないと、共産党は一貫してそのことを求めてまいりました。今やこれは県民の声になっております。  今朝の琉球新報の社説は、米国は米兵らが凶悪事件を起こすたびに再発防止に努めるとする、だが守られた試しがないことは今回の事件が証明する、基地ある限り犠牲者が出るおそれは否定できない、基地撤去こそが最も有効な再発防止策である、日米両政府はそのことを深く認識行動に移すべきだと、こう書きました。  この声をどう受け止められますか。
  96. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、戦後七十一年目を迎えました。その中にあって、沖縄において大きな基地負担をお願いしているということについて、政府は大きな責任を感じ、負担軽減に努めなければならないと思います。  今御指摘のあったこの地元の方々思い、声もしっかり受け止めながら、政府として負担軽減に全力を尽くしていきたいと考えます。
  97. 井上哲士

    井上哲士君 今朝の琉球新報の社説は、さらに、日米両政府はこういう事件のたびに日米安保に基づき日本の安全を守るためだとする、県民の命を奪っておいて日本の安全などあったものではないと、ここまで言っております。この声をしっかり受け止めるべきだということを重ねて申し上げておきます。  時間がなくなりましたので、日中外相会談と北朝鮮問題で一問お聞きしておきますが、私ども、特に核問題の解決には、しっかり六か国協議の場に北朝鮮を出してくる、そういう対話による解決が必要だということも申し上げてまいりました。今回の日中外相会談でこの核問題というのはどういうふうに話し合われたのか、日中間でどういう点が一致をしたのか、そしてまた、中国は今回踏み込んだ国連決議にも賛成もしたわけですが、中国としては北朝鮮にどういう対応を取っているのか、これまでの変化、どういうふうに感じていらっしゃるのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  98. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回、四月の三十日に行われました日中外相会談ですが、その際に、中国の王毅外交部長との間においては、北朝鮮問題、日本と中国で協力すべき共通課題、三つの課題のうちの一つとして取り上げ、突っ込んだ意見交換を行いました。  会談において、北朝鮮により繰り返される挑発行動に対し深刻な懸念が双方から表明されたわけでありますが、率直な意見交換の結果として、この安保理決議の厳格な履行を含め、日中間で緊密に連携していく、こういったことで一致をいたしました。  そして、中国の対北朝鮮政策の変化ですが、こうした変化ですとか評価について我が国として公の場で何か申し上げるような立場にはないと思いますが、少なくとも、この安保理決議二二七〇号が中国を含む全会一致で採択されたこと、このことは高く評価しております。そして、中国においては、真摯かつ全面的な決議を執行する、こういった旨が表明されておりますし、四月の五日に中国商務部及び税関総署が同決議履行するための措置の一環として、北朝鮮との鉱産物等の輸出入禁止に関する公示を公布するという具体的な行動を取った、こういったことも承知をしております。  先ほど申し上げました日中外相会談における一致した緊密な連携、これに基づいてしっかりと安保理決議等実効性確保に努めていきたいと考えます。
  99. 井上哲士

    井上哲士君 中国を含む六か国協議参加国の緊密な連携の中で、この問題解決のための外交的努力を一層強めるということを強く求めまして、質問を終わります。
  100. 清水貴之

    ○清水貴之君 おおさか維新の会の清水と申します。よろしくお願いいたします。  二月に、日朝合意に基づいた調査、この全面的な中止、そして調査を担当する特別調査委員会の解体、北朝鮮が一方的に宣言をしました。ああ、またかと思った方、これが多いのではないかと思う一方で、ストックホルム合意がなされたときには、もしかしたらと思った国民の皆さん若しくは被害者家族皆様もいらっしゃったと思いますので、本当に残念な結果となっていますけれども。  これまで北朝鮮側の言い分と日本側の言い分といろいろと食い違っているところもあるのかなと思っておりまして、北朝鮮側は、八人は死亡、四人は入国していないとする当初の調査結果、これを覆しておらず、日本側がこれを、納得いかないといいますか、承服できずに交渉がうまくいっていない、こういった報道もされてきました。  日本側からしますと、調査の結果、これが出てきているけれども、その内容に納得ができないから交渉がうまくいかなかった、調査結果を受け取ることができなかったのか、それとも、そもそも北朝鮮側がしっかりとした調査結果とかを出してくることがないから交渉が決裂してしまったのか、この交渉の決裂の原因についてまずはお聞かせいただけますでしょうか。
  101. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のような報道があることは承知しておりますが、北朝鮮から報告書が完成したとの連絡ですとか、あるいは調査結果の提示があったとか、こういった事実は全くございません。
  102. 清水貴之

    ○清水貴之君 としますと、やはりそもそもの北朝鮮側の態度、やり方に問題があった、そこをしっかりと問い詰めていかないといけない、抗議していかなければというふうに思うんですが、その一方で、何度も協議を重ねてこられたと思います。その中で分かってきたこととか相手側の思っているニュアンスとか、感じる部分もあったのではないかと思います。  こういったことを全てが解決してから公表するのがこれはもう一番だと思うんですが、それ以前に被害者家族皆様国民に、どこまで話せるかは分かりませんけれども、伝えていく、オープンにしていくことも必要ではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  103. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 拉致問題につきましては、まずは全ての拉致被害者方々の安全を確保し、そして全員の帰国を果たすということ、実態を究明するということ、そして拉致の実行犯の引渡し、こういったものをしっかり求めていかなければならないと思います。残念ながら、こうした結果にはまだ到達していません。引き続き北朝鮮側と厳しく対峙し、そして交渉を行って結果を出していかなければなりません。  こうした厳しい交渉を引き続き今続けている段階ですので、この段階で今までのやり取り等について明らかにするということは控えなければならないと考えます。ただ、その中にあっても、多くの拉致被害者の御家族方々を始め関係者の皆様方の思いにしっかり寄り添って、できる限りの説明をさせていただかなければならない、これが政府の立場であると考えます。
  104. 清水貴之

    ○清水貴之君 おっしゃるとおり、私も全てを何か国民にオープンにする必要はないと思うんですが、被害者の方からしますと、御家族皆様からすると、ちょっとでも、何か少しでも分かれば、情報があれば知っておきたいと思うのがもう当然のことではないかと思うんですね。ですから、その辺りの説明をされているのかなという思いで質問をさせていただきました。  今年三月の安保理決議についてもお聞きしたいと思います。先ほど塚田委員の方からもありました。決議はされましたが、やはり履行されて初めてこれは成果が出る、効果が出るものだと思います。大量の貨物が往来する港での検査、どこまでできるのかですとか、その検査要員はどうする、足りているのかなどの指摘もあります。  本当にできるのかなというところもある中で、まずは、先ほど、履行状況とか国内手続、これは九十日以内に報告という話がありましたので、改めての確認ですが、現時点ではそういった状況であるということで間違いないでしょうか。
  105. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) おっしゃるように、安保理決議二二七〇号の加盟国による履行状況の詳細については、決議採択後九十日以内に各国安保理報告することが要請されています。そして、九十日は、たしか五月三十一日が九十日目であったと承知をしております。  よって、まだこの報告出そろっていないわけでありますが、まずは報告がしっかり行われ、そしてこれは安保理としてその内容は明らかにすることになると思いますが、引き続き、安保理の下に北朝鮮制裁委員会という委員会が設けられています。また、専門家パネルも設けられています。そして、専門家パネルには日本人も出しています。是非、こうした仕組みを通じまして履行の実態をしっかり把握をし、そして履行実効性を確保する、こういった努力を続けていかなければならない、このように考えます。
  106. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非、そのような各国との協調が必要になると思いますのでお願いしたいと思いますが、今回の決議に関してはどういった結果、効果が出てくるのかはこれからだと思いますが、これまでにも決議というのはされてきていると思います。これまでの決議に関する認識を聞かせてください。
  107. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これまでの決議、そして今回の決議ですが、これまでの決議と比べて今般採択された決議は、この二二七〇号、貿易、金融、人の往来、航空・海上輸送等の面においても大幅に措置が追加、強化されています。従来の決議と比べてもかなり強力な決議になっています。よって、この決議をしっかり履行する、実効性を高めることは極めて重要であるという認識を持っています。  そういったことから、まずは安保理決議二二七〇号の実効性の確保に努めるべきであるということを申し上げています。この強い内容の決議北朝鮮に届き、どのような反応を示すのか、これをしっかり確認しなければならない、このように思っています。
  108. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本はもちろんしっかりとした態度で臨んでいくことだと思いますが、これも先ほど話が出ましたが、やはり中国など、決議履行していく、若しくは制裁を各国が協調して取っていく中で、やはり抜け穴といいますか、北朝鮮国民のルール上は、生活に支障を来すような輸出入、この辺りまでは完全にシャットアウトはできないということになっているんだと思います。ですから、石炭とか鉄とか鉄鉱石とか、こういったものの貿易、交易というのは行われているわけですね。でも、これが果たして本当に生活に支障を来さない範囲の中で収まっているのかどうか。  若しくは、先日もレストランの従業員の女性、団体で逃げ出したという話もありましたけれども、北朝鮮国外で営業しているレストランがあったりとか労働者の派遣があったりとか、様々なところで北朝鮮国内に物資が入っていく、若しくはお金が流れていくような仕組みというのもこれは残っていることだと思うんです。  こういったところまでしっかりしっかり埋めていかないと、制裁を掛ける、決議履行していくといっても、やっぱり効果というのが強まっていかないんじゃないかと思いますが、この辺りについてはいかが思われるでしょうか。
  109. 大菅岳史

    政府参考人(大菅岳史君) 御指摘のとおり、中国は現状では北朝鮮との貿易、北朝鮮の対外貿易の九割が中国との貿易ということになっております。ですので、安保理決議実効性を確保する、その上では中国による厳格な履行、これが極めて重要というふうに認識しております。  この点で、今回の安保理決議二二七〇、これが採択された後の中国政府の発表では真摯かつ全面的に決議を執行するというふうに述べておりますし、また、九十日の時点で中国を含めて各国安保理の制裁委員会報告を出す、それがきちんと実行されているかどうか、これはその制裁委員会の下にありますパネル、ここで検証していくというプロセスがございます。  日中間の、二国間のやり取りもですが、国連のこの仕組みを通じて中国による安保理決議の実施、これについてもきっちりフォローしていきたいと、そのように考えております。
  110. 清水貴之

    ○清水貴之君 私、おととし二度北朝鮮の方に渡航しております。国内の状況を見て、思っていた以上にといいますか、予想していた以上にといいますか、経済的な格差というのも生まれてきて、豊かな人が出てきているなというのを感じました。携帯電話を一般的に使っていたりタクシーが走っていたり、高級なレストランで食事をしている国民というのも多数いたように感じられました。  うまく言えないんですけれども、こういった経済格差の部分、こういったところから、国内的な貧富の差もそうですし、国外を見て、よその国を見て、自分の国はこれだけ厳しいのに外にこれだけ豊かなといいますか自由な国があるといった思いが国内に広がる、人民の間に広がることによって北朝鮮国内の体制の変化とかにもつながっていくんじゃないかというふうに私、行ってみて感じました。うまく何か伝えられないんです。この経済的な部分に何か一つポイントがあるような気がしてならないんですね。  この辺り、日本政府としては、北朝鮮経済状況でありますとか、その辺りのことをどのように認識しているのか、聞かせていただけますでしょうか。
  111. 大菅岳史

    政府参考人(大菅岳史君) 北朝鮮、極めて閉鎖的な体制をしいておりますので、北朝鮮経済格差、この具体的な状況について正確に把握することは困難でございますが、その上で申し上げれば、近年、首都平壌それから地方との間での経済格差は広がっているというふうに聞いております。  また、北朝鮮においては穀物の生産量が非常に不足しているという情報にも接しております。さらに、北朝鮮の一人当たり国民総所得、これは韓国の二十五分の一程度という推計も出ておりますので、北朝鮮経済状況全体としては極めて厳しい。そういった中で、平壌では、日本から行かれた方から伺う話も含めて、平壌はそれほどでもないように見えるというふうなのが我々の得ている情報でございます。  いずれにしましても、政府としましては、経済状況等を含めまして北朝鮮内の動向につきまして、さらにそれが北朝鮮の体制に与え得る影響、こういった点も含めて引き続き情報収集、分析に努めてまいりたいと考えます。
  112. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  113. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本のこころを大切にする党、中山恭子でございます。  拉致被害者の救出ということがほとんど進んでいない、長い時間を掛けても進めていないという一つの、もちろん北朝鮮側の問題もありますが、私自身は日本の中で北朝鮮に対する対応の仕方が少し違っているのではないかと思うことがよくございます。  昨日官邸で開かれた会議で、安倍総理は国交正常化の前に被害者を救出するとはっきりとおっしゃいました。ただし、ストックホルム合意は破棄しないということでございました。  ストックホルム合意が結ばれましたのが二〇一四年五月の末、私はこの二〇一四年という年が非常に拉致被害者救出にとって大きなチャンスのある年であると思っておりましたので、このストックホルム合意が結ばれたということに対しては非常に大きな絶望感を得たような合意でございました。  ストックホルム合意につきましては、皆様もうほとんどの方がよく御承知とは思いますけれども、このストックホルム合意は平壌宣言にのっとって作られており、日朝国交正常化を進めるための合意と言ってしかるべきだと考えております。ストックホルム合意の条文、合意を御覧いただいているかと思いますけれども、ここでは、拉致問題については北朝鮮側の措置の第五に書かれているだけでございます。そして、調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じると書かれております。この文言を読んで、外務省、合意した方々は、これで被害者を帰国させられると考えたのでしょうか。非常に驚きでございました。  この合意の意味は、北朝鮮は、調査は形を取って調査はします。前回示した死亡の状況について非常に子供だましのようなものだったので、もっとつじつまを合わせたような形のことをお知らせいたします、たとえ拉致被害者と認定されている方ではない日本人が見付かった場合であっても、御報告はしますが、しっかりとした指導者の下で去就について協議しますので、お返しすることはありませんと言っているのがこの第五の意味でございます。  それを日本側も合意してしまったということについて大変驚きとともに残念な思いをしたところでございますが、この点について外務大臣はどのようにお考えだったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  114. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ストックホルム合意についてどう考えるかということですが、従来から、この拉致問題に関しまして我が国としましては対話圧力行動行動の原則の下に臨んできました。  圧力を掛けながら、一昨年の段階北朝鮮拉致問題は解決済みであると強弁しておったわけですが、圧力を掛けながらも、一年四か月ぶり対話の窓口を開き、そして結果として解決済みであるという態度を改めさせ、そして調査を開始させた、これがストックホルム合意であったと思います。  ストックホルム合意について、結果が出ていない、全ての拉致被害者方々帰国が実現していない、このことについては御指摘のとおりですし、大変遺憾なことであると思いますが、拉致被害者方々の全員の帰国を実現するためには、対話という要素、これはどうしても欠くことができないとも考えています。  今、国際社会を挙げて北朝鮮に対して強い圧力を掛けています。我が国も、韓国、米国とともに独自の措置を打ち出して圧力を掛けています。こうした圧力はしっかり掛けなければならないと思いますが、この対話という要素、これも我が国から一方的に破棄することはしてはならないと考えております。  是非、このストックホルム合意については引き続き対話の窓口と位置付けて維持しながら、対話圧力の方針の下で北朝鮮に臨んでいきたいと考えます。
  115. 中山恭子

    ○中山恭子君 北朝鮮に関して一つしっかりと理解していただきたいと思うことがございます。  それは、北朝鮮日本との、外務省との交渉が一番楽だと考えております。したがって、外務省との対話を進めるということであれば、拉致被害者を帰さなくても日朝国交正常化へつながると考えている、ストックホルム合意を見ても分かりますが、そういう状況だということを認識していただきたいのと、もう一つは、北朝鮮対話を求めるときには、このルート、いや、こっちのルート、北朝鮮はどのルートを出して日本と交渉するかということを考えております、幾つかのルートを用意してございまして、今は外務省とのルートで対話を進めているという現状だと御理解いただきたいと思います。これがある限りは次の段取りの対話を出してまいりません。そこは是非お分かりいただきたいと思っております。  したがって、今の拉致被害者について大したことをやらなくても国交正常化に進めると思うようなこのルートは一旦中断する、止めておかないと、これでは日本は応じないよということを北朝鮮にしっかり示さない限り、拉致問題についてどうしたらいいかということを条件に出してくる対話ルートは出てまいりません。そのことをしっかりと分かっておりませんと、このルート、ずっとやっている限りは被害者は帰ってこないということでございます。  このストックホルム合意に基づいて、たまたま被害者が帰ってこなかったわけではありません。もうこの合意そのものが帰しませんよと言っている合意だということは、この条文を見れば一見で分かるはずでございます。そこは理解した上で北朝鮮と交渉を続けない限り進まない、被害者救出にはつながらないということでございます。  したがって、日本外務省と向こうの外務省は全く違うということも認識していただきたいと思っておりまして、被害者救出に当たりましては、日本としては救出それだけを専担で扱うチームをつくって、北朝鮮側と同じように、北朝鮮もそういうチームを持っております、それぞれの部署が担当しております。したがって、このチームが北朝鮮拉致問題について判断能力のある人と交渉を進める、これをやる必要がございます。  チームづくりを是非していただきたいと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。
  116. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まさにこれまで拉致被害者方々帰国の実現をしていない、全く遺憾の思いでございます。  昨日も、政府・与野党のときにもいろいろ御意見を頂戴し、またこれまで中山委員、長きにわたってこの問題に御尽力をいただき、そうしたことを踏まえての今の御提言だというふうにも承ったところでございます。  いずれにしても、私どもとして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて全力を尽くし得る、そうした体制を常に取っていかなきゃならないというのは私どももそう思っておりますし、そういった意味でも、よく関係省庁一体となってこの問題に取り組んでいき、そして、しっかりとした答え、まさに拉致被害者方々帰国の実現という答えを出し得る、そういった取組を引き続き努力をしていきたいと思います。
  117. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本側の態度を北朝鮮はしっかり見ておりますので、拉致被害者帰国がない限りやっぱり駄目なんだということを伝えるという意味でも、拉致被害者救出チームをつくって、そこが北朝鮮と交渉に当たるということを進めて、帰国のための交渉ですね、外交交渉というよりは、そういったことを進めていただかない限り被害者の救出はできないと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  また、先ほど政府一体となってというお言葉がありました。  防衛省にお伺いいたします。防衛省の所掌事務の中に拉致被害者救出ということがあると思うんですが、いかがでございましょうか。
  118. 鈴木敦夫

    政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。  防衛省は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務としております。防衛省といたしましては、北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権と国民の生命、安全に関わる重大な問題と認識しておりまして、従来から政府一丸となった取組の中におきまして北朝鮮に対する様々な情報収集等に努めてまいったところでございます。
  119. 中山恭子

    ○中山恭子君 私自身、防衛省も大いにこの拉致被害者救出に協力をしていただきたいと思っております。特に情報関係では、防衛省が持っていらっしゃる情報能力、これは拉致被害者救出に当たって大きな力を持つと考えておりますので、この点について御協力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  120. 鈴木敦夫

    政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。  防衛省は、拉致問題対策本部の一員といたしまして、関係省庁連携、役割分担を図りつつ、北朝鮮の動向に対する情報収集、分析等を行ってまいりました。  具体的には、防衛省の中におきまして、情報本部、さらには陸海空自衛隊の情報部隊を中心として主として北朝鮮の軍事動向についての情報収集を行っておりますが、いずれにいたしましても、拉致問題対策本部で平成二十五年一月二十五日に、拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策の中におきまして、「拉致被害者及び北朝鮮情勢に係る情報収集・分析・管理を強化する。」ということとされております。これを受けまして、防衛省における情報収集能力の強化等によりまして政府全体の取組に更に貢献していきたいというふうに考えてございます。
  121. 中山恭子

    ○中山恭子君 防衛省が持っていらっしゃる情報収集能力、これは他のところでは決して得られない能力だと考えておりますので、この点について是非拉致対策本部そして防衛省が一体となって動いていただくということが極めて重要であると考えております。  また、内乱と言っていいんでしょうか、北朝鮮の中に今どのように、これは外務大臣状況をお伺いした方がいいのかもしれませんが、北朝鮮の中で非常に不安定な状況が出てきた場合、この点について外務大臣はどのようにお考えですか、北朝鮮情勢について。
  122. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮の国内の情勢については、先ほども経済状況について少し質疑の中でやり取りがありました。  そもそも今の金正恩委員長の下での体制がどの程度確定したものなのか、しっかりしたものなのか、こういったことにつきましても国際社会の中で様々な議論があると承知をしております。我が国としましても、日々様々なルートそして様々な関係国とも連携しながら、情報収集、分析に当たっているわけでありますが、こうした公の場で何か北朝鮮の国内体制について明らかなことを申し上げるのは控えなければならないと思います。  いずれにしましても、国内体制についてはこれからも大きな関心を持ち、注視をし、情報収集、分析に当たっていきたいと思います。それをベースにしながら、この拉致問題解決についてどう対応していくのか、これを具体的に考えていかなければならない、このような考えの下に対応を進めていきたいと考えます。
  123. 中山恭子

    ○中山恭子君 非常に不安定なところがあるわけでございますので、邦人保護に関しての自衛隊の動きについて法改正の必要があると考えておりますので、この点につきましてもこれから御検討いただきたいと思います。  質問を終わります。
  124. 中原八一

    委員長中原八一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二分散会