○谷亮子君 ありがとうございました。ただいまの御答弁によりますと、やはり
捜査機関が例外事由に当たると
判断して
録音、
録画をしなかった場合に、
公判で例外事由の
存否が問題となった場合、
裁判所による審査の対象となりまして、
捜査機関側の責任としてこれは例外事由を
立証する必要があるということで
理解いたしました。
例外事由が恣意的に運用される余地がないとの御答弁でございましたけれども、一方で、十九日の参議院の
参考人質疑におきましては、例外規定に当たるかどうかは非常に抽象的で曖昧であり、
被疑者の
言動により、
録画すれば
自白しそうにないと
捜査官が
判断すれば
録画しなくてもよくなるなど、現在、またこの法施行後においても引き続き同様に
取調べ官が
取調べをして
取調べ官の裁量によってその
取調べの
録音、
録画をすることが決まることから、何もこれは変わらないのではないかという運用を懸念する声がありました。
録音、
録画が有効なものとしてその機能を十分に発揮するためには、やはり新たな冤罪が生まれないように、
捜査機関による安易な
判断を許さず、ここは適正であり客観的な制度の運用を行っていただきますよう、その運用でいかれると思いますので、そこをしっかりと推し進めていっていただきたいなというふうに思っております。
続きまして、合意制度の対象を
特定犯罪に限定した理由について伺ってまいりたいと思います。
今回の改正案の柱の一つとして、他人の
犯罪事実の
捜査又は訴追のため、必要なときに
検察官と弁護人との間での協議を通じ、
被疑者又は
被告人側において他人の
犯罪事実を明らかにするための重要な
供述等の協力をすることと引換えに、
検察官が
特定の
刑事事件を不訴追とすることや
特定の求刑をすることで特に合意できるとする制度、いわゆる司法取引が設けられております。現行の刑事訴訟法には取引による
事件処理について定めた規定はなく、これまでは、例えば
検察官が
被疑者の弁護士に対し、被害者との示談が成立すれば起訴猶予にすることを暗黙のうちに示唆し、弁護人がそれに応じるといった運用などを捉えて、実質的には取引による
事件処理は手続の各場面で既にかなり広範に行われているという指摘もなされたということでございます。
今回の改正案に盛り込まれました合意制度はそのような運用とは異なりまして、
捜査、訴追及び
公判を含む
刑事事件の処理への
被疑者、
被告人による協力と、それに対する国家機関側からの一定の恩典の付与につき
被疑者、
被告人と
検察官が協議を行い、それに基づいて合意をする仕組みを正式に導入しようとするものであります。具体的には、例えば首謀者の関与を明らかにするなどして
捜査に協力し、見返りに刑事処分を軽くしてもらうといった取引的な要素を伴う
証拠収集
手段であるということでございます。
このような合意制度は
捜査・
公判協力型と言われておりまして、アメリカなどでも導入されております。
被疑者が自らの罪を認めて刑の軽減を求める自己負罪型の導入は見送られたものと承知いたしております。そして、対象となる
犯罪は、租税に関する
法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する
法律又は金融商品取引法の罪など一定の財政経済
犯罪や、薬物・銃器
犯罪などの
特定犯罪に限定をされました。振り込め詐欺などの
事件では、末端の
被疑者を逮捕しても首謀者まで
捜査がたどり着けないというケースも多くありまして、合意制度で首謀者を
特定することができれば、
犯罪の全容究明につながり得るものと思われます。
そこで、お伺いしたいと思います。
今回の法案で導入しようとしている合意制度は、
被疑者や
被告人が
検察官に他人の
犯罪情報を提供し、見返りに起訴の見送りや軽い求刑などを求める
捜査・
公判協力型のみ創設することとされています。法制審議会の特別部会においては
捜査・
公判協力型と自己負罪型の両方の検討が対象になっていたものと伺いましたけれども、最終的に
捜査・
公判協力型のみ創設することとなった経緯についてお聞かせいただきたいと思います。