○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
昨年十月まで二年九か月間
復興副
大臣として
福島に常駐しておりましたので、
復興特で
質問をさせていただくのは三年ぶりでございます。
前回のこの
復興特、三月二十二日でございますが、森
委員から、いわゆる十八歳以下の医療費無償化の件、健康管理基金の使い方についてやり取りがあったわけですが、ちょっと議論が少しかみ合っていなかったなという感じがいたしましたので、まずこの問題から取り上げさせていただきたいと思います。
前回の速記録を見させていただきました。森
委員がこういう
質問をされたんですね。この子供たちの医療費の無料化について、
高木大臣のお考えを伺いますと。これに対しまして、
大臣はこう
お答えになりました。
福島の子供の十八歳以下の医療費無償化についてでございますけれども、これは政府として熟慮を随分重ねたというふうに聞いております。ただ、特定の県の住民のみ医療費を無償化することは、我が国の医療
制度の根幹に影響を与えるなどの
課題もあって、なかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございますと、こういう答弁ございました。
実はこの医療費無償化、当時、
福島特措法ができたときは民主党政権だったんですね。確かに、民主党政権ではこの医療費無償化は非常に難しいという見解が強かったです。ところが、お手元に資料を配らせていただいているんですが、当時野党でありました公明党や自民党はこの
福島特措法を修正をしたんです。修正したお手元の条文が、現在は九十三条、当時は六十八条と呼んでいました。
何かというと、九十三条の第一項は、この健康管理基金というのが当時は
予算措置だけだったんですよ。
予算措置だけじゃなくて法定をしようと。法定をすることによって、もしこれ、
環境省が
中心で運用されていますけれども、事業をやっていく上で、それが必要になればちゃんと財源措置をする、国の意思をはっきりさせておくというのが一項だったんですね。もう一項、二項めは何かというと、「
福島県は、子どもをはじめとする住民が安心して暮らすことのできる生活
環境の実現のための事業を行うときは、前項の
福島県が設置する基金を活用することができる。」というのを加えたんです。
この趣旨はどういう条文の趣旨かというと、次のページめくっていただくと、当時の法案審議のときの議事録が付けてございます。我が党の、これ衆議院の
復興特で、
石田委員が、最後に六十八条に関してお伺いしたいと思いますということに対して、当時の民主党の平野
復興大臣がこう答えているんですね。今般の修正案が成立した際には、まずこれに基づきまして、この基金の
状況についてフォローアップをするとともに、その
状況を踏まえまして、必要となる資金の拠出を行うこととなると考えておりますということで、実はこの健康管理基金は、
最初、
平成二十三年に
経済産業省が七百八十億の政府
予算を要求し、東京電力から二百五十億の拠出があって一千三十億、これを三十年間使っていくという話だったんですが、それについても、今後の動向に応じては必要なフォローアップをして、財源措置もしていきますよということが、このときになっているんですね。
環境大臣はここを御
認識是非していただきたいんですよ。というのは、割と私も
復興副
大臣として
環境省とやり取りしましたが、もうびた一文
予算要求しないんだみたいな、もう三十年間ぎっちり使うだけなんだみたいなニュアンスでまだいるところもあるんですよ。この段階で変わっているというところはまず
認識いただきたい。
もう一つが、この下の
石田委員の
質問でありまして、続きまして、第二項についてお伺いをしたいと思いますと。第二項は、これは元々なかった項目でございまして、新たに挿入をした。これは、修正協議の中で、どうしてもこれは必要である、こういうことで入れることになりました。「
福島県は、子どもをはじめとする住民が安心して暮らすことのできる生活
環境の実現のための事業を行うときは、前項の
福島県が設置する基金を活用することができる。」ということでありますと。これ、平野
大臣に聞かれているんですが、これは、
福島県が自分で判断をして健康に関して行う事業、これについて、政府がこういう事業はだめだよと言うことはないということでよろしいんですかと、よろしいんですねと言った方がいいねという
質問に対して、裏のページに行きますけれども、当時の平野
大臣は、基本的には、
福島県の意思、
地域の意思ということを尊重するのが基本だというふうに思いますという答弁があって、さらに、この修正の提案者であります
高木美智代衆議院議員の答弁がその下にあります。六十八条第二項の趣旨は、
福島県が設ける基金について、その対象を拡大して、子供を初めとする住民が安心して暮らすことができる生活
環境の実現のための事業にも活用できることを明記したものでございます。例えば、住民が将来にわたって安心して暮らすためには、充実した医療を受ける
機会を確保することが重要でございます。多くの子供たちが放射能被害の不安から県外流出しているという
現状を踏まえれば、十八歳以下ですね、十八歳以下の子供たちについての医療費の助成なども含まれると考えておりますというのが法案提出者の答弁だったわけでございます。
そういう意味では、実は、今回、県がやっている、健康管理基金を使ってやっているこの医療費の無償化というのは、医療
制度の根幹を変えるためにやっているのでは全くなくて、生活
環境を良くしていこう、子育て
環境を良くしようということでいわゆる県の自治事務として医療費無償化をしているという考えで、それは今回の条文の二項で基金が使えるという考えなものなんですよ。
よって、この資料の一枚目にもう一度戻っていただきたいんですが、一枚目の下の段に書いてあるのが、
被災者生活
支援等
施策の推進に関する基本的な方針とは何かというと、いわゆる子ども・
被災者支援法の基本方針なんですね。これ、策定を私が担当させていただいて作らせていただきました。この中に、
被災者生活
支援等
施策に関する基本的な事項の中の十三番目に「放射線による健康への影響
調査、医療の提供等」という項目がありまして、その中に、主な具体的な
取組にこう書いてあるわけですよ。「
福島県民健康管理
調査や」とあって、その次ですが、「子育て
支援の観点からの医療費の助成等のために活用されている
福島県民健康管理基金」と。つまり、単なる医療
制度の根幹じゃなくて、あくまでも子育て
支援の観点からの
施策であると。これについては各基金の事業をちゃんとフォローアップを国としてやっていくんだということを位置付けたわけです。
実はこれ、裏話をしますが、これを書くのに相当
環境省は反対をしました。それを押し切ってこれ書いたということで、ちゃんとこれはやっていくというのが当時の野党である公明党や自民党の意思であったわけでございますので、そこをまず両
大臣に御
認識していただいた上で御
質問を。
ただ、実は、法律とか基本方針はこういうふうにしたんですけれども、
福島県に聞いてみましたところ、この健康管理基金の交付要綱が改定されていなかったと、よって、会計検査院の
指摘を受けまして、県からの一般財源化されてしまったとお聞きしました。私の在任
期間では、いわゆる交付要綱を変えなくてもこの支出はできると聞いておりましたので、この結果は非常に残念なんですけれども。
こういう、ちょっと長くなりましたが、経緯を聞いていただきまして、まず
復興大臣にお聞きしたいと思います。この
福島特措法、当時の第六十八条二項、現行の九十三条二項が修正規定された趣旨を踏まえまして、現在、子育て
支援の観点から行っている県の事業に対しても、
福島県民健康管理基金から明確に支出できますよう基金の交付要綱を改正すべきと思いますが、いかがでしょうか。