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参考人(
エスティファノス・アフォワキ・ハイレ君)(
通訳)
赤石清美先生、
政府開発援助等に関する
特別委員会委員長、そして
参議院議員の
先生方、まず最初に感謝の言葉から申し上げます。このような機会にお招きいただきましてありがとうございます。
戦略的官民
パートナーシップの地平を構築していくことの必要性に関して今日は
意見を述べさせていただきます。
TICADプロセスを通して
アフリカと
日本の間で構築をしていかなければなりません。
これから正式なプレゼンテーションに入ります前に、まず私の方から、簡単ではありますが、自己紹介と、それから私の国の紹介をさせていただきたいと存じます。ざっくりとしたエリトリアの紹介をさせていただきます。
まず、データから。紅海の海岸線でございますが、三千三百キロメートルにわたります。そのうち本土を囲むものが一千三百五十キロ、そして島々を囲むものが千九百五十キロとなっております。そして、島の数ですが、三百五十四の島を有しており、国土面積は十二万平方キロメートルです。
小さな国だと思っていらっしゃるかもしれませんが、そういうわけではありません。イギリスほどの国土を有しております。二十五年間独立国としてやってきております。そして、国づくりに関しましては百三十二年、そして人類の歩みと同じだけの古い歴史を有しております。六百五十万人のユダヤ教、キリスト教、イスラム教、それからアンナ教などの信者が、調和の下に、平和のときも戦争のときも共に生き、そして死んでまいりました。GDPの
成長率ですが、一人当たり、独立当時は百四十USドルであったものが、その後二十五年たって、今七百五十USドルにまで拡大しております。
まず、
アフリカの角におけるこの
地域のルートですが、エリトリアの海岸線を含んでおります。この地図で御覧のように、お手元に配付しておりますが、大動脈といたしまして、
アフリカの角において大変重要なルートを持っております。スーダン、マッサワ、アッサブ、ジブチ、モガディシュ、モンバサ・
ケニア、こういったところからつながっております。先ほど
マイナ大使からも
お話があったとおりです。
紅海における港においてどういった潜在的な影響があるのか、影響を及ぼすことができる
地域というのをここに書いております。御覧のように、マッサワ、こちらが内陸部に影響力を持っています。アッサブそれからジブチですけれ
ども、やはり似たような形で示されているように、内陸部に向けての影響力を持っております。
では、幾つか歴史的な観点について、この
地域について
お話をさせていただきます。
まず、
東アフリカの一九二〇年の地図を御覧ください。エリトリア、アビシニア、それからソマリランドが示されております。
御覧のように、東の部分にアングロ、エジプシャン、スーダン、それからウガンダ保護領、それから
東アフリカ保護領と呼ばれるところがあります。これらがナイル川の水のリソースを支配しておりました。これが産業革命の時期でありまして、水が大変重視されていた。水の支配というのがこういった地理の構築、構造につながったということになります。
スエズ運河がございます。エリトリア、ソマリランド、これはフランス領、イタリア領、イギリス領という形でありますけれ
ども、こういった戦略的な要衝を支配してきたのは、これらの国ということになります。
それから、アデン湾のこちらの保護領に関しましてはイギリスの支配下にありました。
この地図の様相が大きく変わったのが、石油のブームがこの
地域で起こった、掘削が始まったときということになります。このことを
先生方に
お話ししたいと今日思って参りました。この点は、この
大陸を見るときにとても重要な地理的な要素ということになります。
それでは次に、政府間
開発機構が示しておりますこの
地域の
統合のインデックス、指標、スコアを見ていきたいと思います。
ケニア、ウガンダなどのパフォーマンス、
統合のパフォーマンスが大変高いということが分かります。ジブチも高まってきております。エリトリア、エチオピア、こちらの二か国に関しましてもこの
地域の
統合に寄与しております。スーダンも寄与しています。
南スーダン、それからソマリアに関しましては、残念ながら、現在
統合の
プロセスには
関与しておりません。
これまで
日本からエリトリアに対して供与されました
ODA、一九九三年から二〇一〇年までのデータを示しております。二九%が食糧支援、二一%が無償資金、これは食料生産のための無償資金提供です。それから、一六%、これが
都市部の給水事業のものです。八%が道路建設のための機器の提供です。そして、八%、これが東
地域、つまり紅海の東
地域の漁港の
開発事業ということになります。それから、緊急無償資金としての提供、恵まれない農民に対する無償資金の提供、
医療サービスの改善のための事業、それからまた砂漠バッタの大発生の制御の緊急対応、マッサワ港の機器提供の事業、
教育、栄養における介入の
プロジェクト、それからまた高等
教育の専門家の調整の
プロジェクト、それからまた首都であるアスマラにおけるジェンダー・リソース・ライブラリーの建築の事業などがあります。
ODA、
日本からいただいたものにより、様々な事業がこれまで実施されてまいりました。
そして、次のリストでありますけれ
ども、
リクエストをエリトリア政府から行ったものということになります。これらの
リクエストに関しては大変ポジティブな、前向きな回答をいただいております。
ただ、
エネルギーの
調査に関する
協力に関しては例外です。二千万ドルのサポートを
エネルギーに関してサポートとして支援するという回答をいただいておりますけれ
ども、皆さんの
参考といたしまして配付資料の中にこちらに関しては書いております。
例えば、エリトリア・プリスティン・コースタル・エンバイロンメントというふうに書かれているこの資料、これが
一つ参考資料として提供されております。それから、
日本のOAFICのチームの漁港の
調査ミッションの報告も含めております。それから、エリトリアの
開発事業における
日本の
投資の機会に関する資料、それから
日本とエリトリアのバイの会合のトーキングポインツの資料、それから
日本とエリトリアの政府間の
経済協力における政策協議の対話の資料などを配付資料として提供しております。
では、今日のプレゼンテーションの本題に入っていきたいと思います。
まず、簡単ではありますが、
日本の冷戦後のグローバルな方針について触れさせていただきます。それから、国連の改革に関して、特に
アフリカ、
日本に集中的に
お話をさせていただきます。それから、
TICADと
アフリカ連合
委員会、それから
地域経済圏のこの
TICADプロセスへの参画について触れさせていただきます。そして、
TICADとその他
アフリカ五十四か国について触れさせていただき、そして簡単な結論、まとめとして
お話をさせていただきます。
日本の冷戦後のグローバルポリシーというのは全方位的なものであります。G7を通して、若しくはG8を通して、それからASEANを通して、中国を通し、またテロとの闘いの展開もされておりますし、原子力
エネルギーということで、
日本の
エネルギーの供給の二七%が原子力
エネルギーであるということで、
アフリカはそういった
意味でも、
エネルギー供給という
意味で
日本に対してとても重要な
役割を
アフリカが果たすことになります。海洋と領土の紛争、北朝鮮、核
開発と拉致の問題、インド、韓国それから中央アジア、中東の石油、それから日米同盟、
TICAD、それからカンボジア、モザンビーク、ゴラン高原、東ティモール、ハイチ、
南スーダンなどにおける平和維持活動な
どもございます。それから、ジブチにおける海賊対策拠点、TPP、西
アフリカにおけるエボラ大流行に対する対応などがありました。
これらの様々な全方位的な方針、
日本のグローバルな戦略を鑑み、
アフリカと
日本の指導者が
意見交換をするということはとても重要だと考えます。さらに、緊密な形で相互の利益ということを考え、短期的、長期的な視点を持ち、現在の多極化する
世界の中で新たに生じる問題に対してどういった対応が可能なのかということを考えていかなければなりません。全方位的な外交を通し、それからまた、その国に特異的な政策を通して何が対応として可能なのかということを考えなければなりません。
では、次に国連の改革に関してです。
アフリカは
日本が安保理の常任理事国になることで恩恵を得ることができるのでしょうか。若しくは、
アフリカが常任理事国になった場合、
日本は恩恵を得ることができるのでしょうか。それからまた、国連の改革により
日本、
アフリカは恩恵を得ることができるのでしょうか。そして、
日本や
アフリカは特に核兵器という
意味では平和国家の志向を貫いてきました、これが今後も可能なのでしょうか。そして、
日本と
アフリカは今ある弱みに対してしっかりと真摯に向き合っていかなければなりません、それができるのでしょうか。そして、国連の平和維持活動に関して
アフリカと
日本は目線を合わせることができるのでしょうか。
日本は
アフリカにとっての軍事的
脅威なのでしょうか。その逆はどうなのでしょうか。
日本の
天然資源というのは大変乏しい。それに対して、
アフリカには多くの
天然資源があります。現在の
日本の対
アフリカ資源外交は一体どういったものなのでしょうか。そして、現在の
アフリカの
日本向けの
資源外交というのは上流、下流それぞれにおいてどういったものなのでしょうか。そして、現在の政策、現在使える
貿易、
投資の枠組みというのは一体どういったものなのでしょうか。いかなる形で物、サービスの生産に適した
環境をつくっていくことができるのでしょうか。製造、包装、輸送、市場へのアクセス、
日本から
アフリカ、
アフリカから
日本に向けてどういったものになっているのでしょうか。まだ改善の余地があるのでしょうか。
アフリカの長期的な
開発アジェンダ二〇六三ですとか二〇三〇
アジェンダ、このSDGの
アジェンダなどに
TICADの
プロセスは沿ったものなのでしょうか。どのような形で制度的な基盤をつくっていくことができるのでしょうか。具体的な形で、
大陸とそれから
日本の
ニーズや要件にどのような形で政治的そして政策の面で外交、
経済コミットメントを果たしていくことができるのでしょうか。
インフラ面で、産業面で、
農業、漁業、それからガバナンス、健康、
教育、それから研究などの
領域でです。そして、それ以外の
開発関連の付随サービスに関して、二〇一六年から二〇一九年までの間、どのような取組が可能なのでしょうか。
では、
TICADと
アフリカ連合
委員会、そして
地域経済圏に関して述べさせていただきます。
TICADⅥが
ケニア・
ナイロビで二〇一六年八月二十七日、二十八日に開催されること、これは新しい
チャンスだと考えています。
アフリカの短期、長期的な
開発の戦略をしっかりとフォーカスされた
TICADプロセスに盛り込んでいく
チャンスだと考えています。
それから、これから相互の取組を
アフリカと
日本の間で取組として続けていく中で、持続可能な、大変重要な制度的なつながりを
日本と
アフリカの間でつないでいく、そのような
環境づくりをすることができると考えています。それから、
地域経済圏、そしてメンバー国がこのようなつながりの直接の便益を得ることができると考えます。
TICADとそれから
アフリカの五十四か国ということに関してですが、
アフリカに関して、
アフリカは
一つという言い方をしますけれ
ども、
アフリカには五十四か国の国が存在しております。ですから、
TICADに関してどのような
協力が必要なのかという政策の対話に関しまして、常にその国民、その国を
中心に据えたものでなければなりません。二国間の話合いを通して、
経済的、
社会的、文化的な
日本の輸出の対象とするということがそれぞれの利益にかなうと考えます。戦略的な利益を
日本は
アフリカの国から得ることができると考えます。
それからまた、
日本からの
アフリカへのツーリズムという
意味でも戦略を考えることができます。
日本の
企業、
アフリカの
企業の
ビジネスの構築、NPO、NGO、それから市民
社会、
日本、
アフリカの各国において
協力関係を築いていくことができます。スポーツ、音楽、アート、映画、メディア、様々な
領域でです。
まとめに入りますけれ
ども、
TICADプロセス、これは戦略的、そして堅牢なPPPを
アフリカの諸国と
日本の間で基にすることで構築していかなければなりません。
日本の
ODAは、
アフリカの国それからその国民に手を差し伸べ、
自助努力を通した
地域の
統合を手助けしていかなければなりません。
日本の
ODAは
アフリカの国民に届かなければなりません。それからまた、
日本の
ODAはそれが頓挫するようなものであってはなりません。また、
アフリカ大陸での終わりなきブーメランゲームの触媒となってもなりません。そして、
日本の
ODAはピラミッド的な
社会をつくることに寄与してはなりません。多くの人が取り残されてしまうような
社会をつくることに寄与してはならないということです。
ODAのこの
特別委員会に関しまして、これから
TICADⅥの
成功に向けて一〇〇%のサポートをいただくことを願いたいと思います。より包括的な、より広い
意味での協調
関係が
TICADⅥの
プロセスを通して実現できると考えています。平和を構築し、それから
統合をすることが可能になります。
日本は、正直な対話を
TICADⅥを通して
是非持っていただきたいと思います。そうでなければ、
アフリカが取り残される危険というのが高まります。つまり、全てのステークホルダーが
協力をすることがとても必要です。この
アフリカの
地域において競合してはならないのです。
ありがとうございました。