○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏でございます。
今日は、二点、最近
金融の世界で起こっていることと、将来大きな課題になるかもしれないことにつきまして御
質問させていただきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。かなりボリュームがあって今日だけで終わるかどうかは分からないんですけれ
ども、継続してこの問題は取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
説明が要ると思いますので、役所の方に説明をお願いしますという感じにしようと思ったんですけれ
ども、役所
言葉で説明すると難しいということで、私、できるだけ自分の
言葉で説明したいと思いますので、若干しゃべりが長くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
まず一点目なんですけれ
ども、ハイ・フリークエンシー・トレーディングという、いわゆる高速取引についてお話をしたいと思います。
随分時間の感覚というのは変わってきまして、十年一昔というふうに昔言っていたと思うんですが、まあそれは過去の話です。
企業も、長期計画はなかなか今立てにくくなっていて、もう
四半期ごとに計画を立てなければならない、評価されるという時間感覚になってきました。随分物事が高速で起きる
時代になってきたんですけれ
ども、特に取引の世界では、証券所のシステムが随分今高速化していまして、単位が〇・〇〇一秒未満とか、一ミリ秒とか、そんな単位で取引が行われています。一秒というと、もう何千回も取引ができますので、一秒は長期というふうに捉えるのが今の
時代でございまして、それが逆に、最近
金融のボラティリティーが大きいというふうに言われますけど、その原因じゃないかとか、いろんな課題ができてきているわけです。
その中で、例えば
アメリカでは結構これ話題になったんですけど、しばらく前の二〇一〇年五月に、
アメリカの市場でいわゆるフラッシュクラッシュという、瞬発的に暴落が起きたということがありました。ニューヨーク・ダウが数分間で千ドルぐらい一気に下がっちゃったんですね。これは、このHFT、ハイ・フリークエンシー・トレーディングが原因じゃないかというふうに言われているんですけれ
ども、実際、最近それについて本が出まして、「フラッシュ・ボーイズ」という本なんですけれ
ども、これは結構実態をかなり赤裸々に書いた小説に近いような本なんですけれ
ども、こういうのを読んでも、本当に、これは一般投資家が読むと、こんな世界で自分が戦えるんだろうかとか、そういった思いにもなってしまうような本です。
日本でも随分このHFTを通じた取引のシェアというのが拡大していまして、今東証の取引の三割から四割はこの高速取引で行われているんじゃないかというふうに言われております。実際、東証でも、世界の
流れに乗るということだと思うんですけど、二〇一〇年にアローヘッドという高速の取引のシステムが導入されまして、注文の処理スピードが一ミリ秒と短縮されました。それだけじゃなくて、同時に、コロケーションというふうに言うそうなんですけれ
ども、東証の取引のシステムがあるセンターの中に、証券会社に場所を貸すんですね、そこに証券会社もサーバーを置くと。そうすると、距離が近いので、一マイクロ秒といいますけど、百万分の一秒単位で電気信号は先に届くと、それによって、相手よりも百万分の何秒か先にデータが届くことによってより有利になるという、こういったための場を貸して東証も手数料を取っているといったようなことも起きております。
もう完全にスピードの世界になっていまして、これスピードに乗って戦える証券会社等はいいんでしょうけれ
ども、我々のような一般の取引者からすると、全く勝負にならないというか、同じ土俵で勝負できないという、こんな感じになって、かえって市場から一般の投資家を遠ざけているといったような
状況も起きている、若しくは起きるんじゃないかというふうに思います。
ちょっとイメージまだ分からないと思うので、今日、一応この絵を用意いたしました。これ、八時五十九分五十九秒台という話なんですけれ
ども、大体市場が九時に開いて九時に寄り付きが、値が決まってくるんですけれ
ども、大体ぎりぎりで、どのぐらいで買えるかなというふうに思って注文を出すわけですけれ
ども、余り早く出すよりも、大体どのぐらいの価格かが見えてきてから注文を出すと。
例えば、八時五十九分五十九秒、一秒前に、この価格になるなと思って注文のキーを押すといったのが人間は精いっぱい、どんなに頑張っても一秒ぐらい掛かってしまうと思うんですけれ
ども、これ、五十九分五十九秒の間に何が起きているか。この一秒間の動きなんですけれ
ども、九時の僅か〇・五秒前ぐらいから一気にキャンセルの信号がたくさん届いてキャンセルが起きています。
これは何かというと、一秒前に多分千円ぐらいで買えるなと思って、例えば成り行きで注文をしてしまったら、その一秒前の〇・五秒とか〇・三秒とか、そのぐらいの間にたくさんの板のキャンセルとかが起きまして、実際価格が、千円と思ったら実際九百円だったりとか千百円だったりとか一気に動いてしまうわけです。人間の目から見たら、言ってみたらこの板、気配値が本当の気配値なのかどうかというのも実は
判断できないような
状況が高速取引の中では起きてしまっているわけです。こんな
状況が今市場では頻繁に起きています。
この中で、さらに東証は、去年の九月にこのアローヘッドのシステムを更新しました。もちろんこれは気配の本数を増やすだとか、システムの信頼性を増すだとか、安定性、利便性を目指した更新でもあるんですけれ
ども、同時に、更にこの注文スピードを短くして、〇・〇〇一秒だったのが更にその半分以下、未満のスピードでも取引ができるような形にしました。
こういった高速化は、かえって市場参加者からすると不公平感を広げることになって、むしろ市場の後退につながる
可能性もあると思いますけれ
ども、こういった点につきまして御
見解をまずお伺いしたいと思います。