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政府参考人(野村正史君) お答えをいたします。
まず、鬼怒川の堤防決壊の要因でございますけれども、昨年の関東・東北豪雨では、栃木県、
茨城県に大雨特別警報が出されるというふうな
状況の下で、九月九日から十日にかけ、鬼怒川流域におきましても二十四時間降水量が過去
最大を記録するというふうな、そういう地点が多数に上るなど、本当に記録的な大雨に見舞われたところでございます。この大雨により鬼怒川の水位は大きく上昇し、堤防が決壊した地点では堤防の高さを上回るような水位となりました。
この堤防決壊を受けて、国土交通省では、決壊直後の九月十二日に専門家から構成される鬼怒川堤防
調査委員会を設置し、現地
調査を含む
調査検討を行いました。
その検討の結果、堤防決壊の主な原因として、堤防を乗り越えた洪水により川裏ののり尻部が洗掘されたこと、これちょっと分かりづらいのでもう少し平易に申し上げますと、川と反対側の町側の堤防の付け根付近が堤防を乗り越えた水流に洗われてえぐり掘られていく、そういうことになるわけですけれども、これによって堤防本体が町側の方から徐々に流出をしていって、ついには決壊に至ったと、そのように考えられるとの結論を得ております。
それから、済みません、今二点目にございましたので、今後の鬼怒川の対策でございますけれども、今回の甚大な
被害を踏まえまして、そういう河川管理施設では防ぎ切れない洪水は必ず
発生するとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、昨年十二月に水
防災意識社会再構築ビジョンというものを国交省では策定をしたところでございます。
このビジョンに沿って、鬼怒川下流域におきまして、国、
茨城県、常総市など沿川の七市町によるハード対策そしてソフト対策が一体となった取組を鬼怒川緊急対策プロジェクトとして、今年度、
平成二十七年度から実施してございます。このプロジェクトの一貫として実施する鬼怒川の河川改修は、今回の出水と同規模の洪水を安全に流すため、漏水対策を含む堤防
整備あるいは河道の掘削など、
平成三十二年度の完成を目指して緊急的、集中的に進めることとしております。
なお、
平成二十八年度の
予算の配分額でございますけれども、恐縮ですが、現在、最終の調整を行っているところでございます。
それからまた、国、
茨城県、それから関係する、これは少しエリアが広がって十の市及び町から成る協議会を設置いたしました。そして、
被害軽減のための目標、具体的には、例えば鬼怒川、小貝川の大規模水害に対して逃げ遅れゼロ、こういうふうな目標ですけれども、これを関係する市、町の
共有の目標として掲げた上で、ハード対策とソフト対策を一体的、計画的に推進し、円滑かつ迅速な避難、あるいは氾濫水の排水、そして的確な水防活動を実現してまいるとしているところでございます。
引き続き、県、市など関係公共団体とも連携しながら、
地域の安全、安心の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。