○
参考人(
飯尾潤君) 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。大変、諸事多端な折でございますけれども、急がば回れということもございまして、このように
参議院の
議員の
皆様が
自分たちの
在り方について
考えてみようというのは大変貴重な機会だと思いまして、お招きいただきまして大変光栄だと思います。
ただ、時間がやや限られておりますので、
先生方御自身のことについてやや断定的なことを申して失礼に当たるところもあるかもしれませんが、その点はお許しいただきまして、後ほどの
質疑で疑義をお確かめいただければと存じます。
それでは、私は
政治学を専門にしておりますので、
参議院の
役割について少し
制度的な側面と実態をどのように
考えるのかという点から
考えを述べさせていただきます。レジュメをお配りしておりますので、それに沿ってでございますけれども。
まず、
二院制という問題でございます。ちょっと前段の話でございますけれども、
議院内閣制を
日本は取っております。
内閣総理大臣を基に
内閣が成立しておりますが、
一般的に
政治学を申しますと、
議院内閣制というのは、有権者は
国会議員を選び、
国会議員が首相あるいは
内閣を選び、
内閣は
官僚たちをつくって
行政をするという点では非常にシンプルな
権限の連鎖があるというふうに
政治学では
考えております。
ところが、
一つだけ例外がございます。
二院制を取った場合においては、
二院の
関係の整理のいかんによってはこの
デモクラシー、
民主制の原理が貫徹しなくなるという問題が実は指摘されておりまして、多くの国で実は、歴史的には、
二院を置いている国では様々な試みがされてきて、悩んでいる国もあるということでございます。
そういうときに、大問題からすると、そもそも
二院制が定められた頃、大昔の頃でございますけれども、どういう
考え方かというと、せっかく
法律を作るのであればみんなの
意見が一致するまで
議論をすればよいという
考え方でございます。ところが、実はこれが元々
二院制にはあった
考え方でございますが、後ほど御説明しますように、
福祉国家化、
行政国家化しますと
法律の数が増えてきて、
考えがまとまらなければ
法律がなくてもいいではないかという
考え方がなかなか通りにくくなる。もう日頃からするとそれはなかなか
行政停滞するという問題があって、そういうことになってくると
二院制の
役割も少し変わってくるということでございます。そのことはちょっと後でもう一回戻りますので、布石のために
お話をいたしますが。
そう
考えてもなお、
現代、
二院制を取るのはどういうわけだろうかといいますと、多くの場合は、
日本の場合、
衆議院ですが、
下院とは違う
タイプの
上院、違う
意見を代表させることによって、違うちょっと観点を導入しようということでございます。
代表的な例は
連邦制を取っている国、多くの国では、
現代の
民主制の国では一人一票ということを
前提にしておりますけれども、
連邦制を取ると、
連邦制を構成する各州というのは立派な
国家でございますので、それの代表をそれぞれ大小にかかわらず選ぶというようなことをしている国があるのは御存じのとおりでございます。ただ、その場合においては、幾らか
デモクラシーの
原則は曲げられるというわけですね、小さな州の方がたくさん代表されるというようなことが起こってくる。そのときに、その
チェック機能はどこまでかということです。
アメリカのように、現在でも、まとまらなければ
法律がなくてもいい、あるいは、
予算案についてまとまらなければ
政府を閉じてしまえばよいという
考え方の国もあれば、いや、それは現実的でないのでそこは調整しよう、
話合いをやろうという国もあれば、
話合いがまとまらなかったときにおいてはどちらかの院を
優越するということ、
日本もその
類型ではありますけれども、
衆議院に、
下院に
優越を与えるというような
タイプのことはございます。
にもかかわらず、
チェック機能というのはどういうことだろうかというと、やはり
一つは、
審議において
採決の結果はともかくとして、様々な
意見を検討した結果、その結論が出されるということは重要だろうということが
一つ。あるいは、
採決の結果はいずれ調整されてどこかのことになるとしても、
修正ということもあるかもしれない。
大枠のところでは
意見は押し通すことがあっても、
修正してより良いものにするということはあるかもしれないということが
一般に
二院制の意義として知られているわけでございます。ただ、これは国によっていろいろでございます。
ただ、
日本の場合を見てみると、実は、後から
お話をしますが、
衆参は極めて似た
状況、
選挙制度も似ておりますし、それから
議事手続も似ておりまして、そうすると
衆議院は、大体どこの国でも
下院の方は
内閣を選出しますので
与野党関係極めて厳しいんですね、そうすると、数の
論理が働いて多数決でということになりがちでございます。
ところが、それで第
二院はそうではないという、
上院はそうではないという例も多いんですが、
日本の場合は、実は
参議院が
衆議院に似ているという、まあ向こうが似ているという
考え方もありますが、というために、ちょっと同じような数の
論理が
参議院にも働いてなかなか
独自性が発揮できないということです。それを端的に示すのが、言葉はあれですが、いわゆるねじれと言われるのは、これは
両院の多数派が異なる
状況でございますが、そのときにこれは
参議院の
権限が非常に強く意識されるときです。
ところが、数年前までございましたが、そういうときに何を見るかというと、実は
参議院は意外と
審議がされなくなるというわけですね。なぜかというと、
衆議院のものをそのまま
参議院に持っていって、それでもめたりすると戻ってしまうからもう
衆議院で
修正をしてしまおうということ、しばしば行われたわけです。
意外と
権限が強いときに
参議院が
機能をなかなか果たせない、自由な
議論ができないというのは、ちょっと私にとってみれば
参議院の
機能を果たすという点では残念なことだというふうに
考えております。そういう点では、
参議院は
衆議院と違うという
場所になって、しかもその数の
論理が余り出てこないという
場所にする必要は、そういうことをしないとなかなか
審議はできないんではないかというふうに
考えます。
そのときに、まあ学者の
議論ですが、ちょっとこれ古い
政治学で、最近は実は違う言い方をすることが多いんですが、やや複雑ですので簡単に
お話をいたしますと、
国会を始めとする
議会は世界中、大体二つの
類型がございます。
一つは
アリーナ型議会といって
与野党対決が非常に盛んだという
議会、もう
一つは
変換型議会と言っておりますが、これは
与野党横断合意型ということです。
実は、
アリーナ型の方は非常に
議会の公開が盛んでございまして、テレビなんかで中継する。逆に言うと、
与野党横断合意型は
委員会なんかはほとんど非公開にしておりまして、そこで
与野党もう入り乱れて
議論を尽くしてどんどん
修正すると、こういう
国会であります。あるいは、公開されているようでも、
アメリカなんかもそうですが、非公式の
協議会が多用されるという、それで何とかもう
法案ずたずたになるまで
修正して通していくと、こういう
やり方でございます。
じゃ、
日本はどちらかというと、御
案内のように
与野党対立型でございます。ただし、
与野党対立型でそのまま
二院制をやっていると、これなかなか大変なことになるということが今の話でございます。そういう点から
考えると、何が
ポイントかというと、そこは変えられないとすると、その
大枠のところは変わらないとして、じゃ、
参議院に何ができるのかというと、もう少し具体的なところでちょっと違った問題があるというわけです。
日本は
与野党対決型でございますが、実は最終的に普通、
与野党対決型の
国会を持っている国は、ほとんどの場合、
採決をどんどん
政府側がやってしまいます。ですから、
法案の
成立率非常に高いんですね。ところが、
日本は、最近ちょっと高くなっておりますけれども、時期によっては
法案の
成立率高くないのは、実は
会期不継続の
原則を始めとする
会期制の縛りがあって、
審議未了、
廃案ということが起こる、そういう
タイプの国だからでございます。
そうすると、実は、
審議はともかく、時間を使えば
法案がブロックできてしまうという、
野党に意外な権力ができてしまいまして、
慎重審議を求めると表向きは言っているけど、実は
廃案を狙うという作戦が取れてしまう。そのために、
採決時期をめぐる攻防が非常に熱心になる。しかも、そういうことになると、
政府側の、
与野党対立でございますから、
政府提出法案の
審議を
中心にして、しかも、それも
質疑だということでございまして、
自由討論なんかは余りできないという、これは
政府側からすると、
自由討議されると時間を取ってしまって
自分の
法案成立しなくなるものですから、
自由討議じゃなくて、もう一生懸命
大臣出ますから
質疑にしてくださいと。
野党側からすると、
大臣が出てくると追及の場が出るものですから、まあそれでいいよということになりまして、立場の違う者同士が非常に
質疑という形でやり取りをするということが特徴になっているというわけであります。ただ、こういうことを
衆参共にやると、
参議院の
独自性というのはなかなか発揮できないという、先ほど申し上げたとおりでございます。
そういう点で、
参議院の
チェック機能とは何かというと、しばしば誤解されますけれども、
法案を止めてしまうとか成立させないというようなことを
中心にすると、
チェックをやや超えておりまして
共同責任になってしまうということからすると、
チェックというと、まあ
与野党対立を超えた
チェック、
与野党ということはあるけど、
衆議院に対して、
参議院議員の良識からすると、
与党議員であっても
政府議案をちょっと
修正した方がいいんではないかと、
野党の
議員であっても、どうせ成立するのであればそれを
前提に少し改良しようということをするということが恐らく
参議院の
チェック機能ということではないだろうかという点から
考えると、
大枠内での
修正をするということをどう
考えるかということでございます。
ただ、これなかなか容易ではないのは、
修正してしまいますと、また例えば
衆議院の先議ですと再び
衆議院に戻っていく、時間が掛かるということを
考えて、大体、普通、
政府側はこれ嫌うわけでございます。もう大体
参議院が
会期末ぎりぎりに
議論をしているところで
修正されると、もう一回
衆議院に行くものですから、そうすると成立しないと同様だということになってしまうということでございます。
そこで、二番目の点でございますが、
審議活性化のために、大きな
制度はこのままで
審議活性化するためにはどういうことを
考えるかというと、まずは
審議時間の確保をしないといけない。それは、そのためには
会期制のやや緩和。これは、
野党側から見ると人質に取るということは難しくなることを意味しますけれども、
参議院の
審議を
活性化するためには幾らかそういうことをやっていかないといけないということです。
会期を長くするということもありですし、あるいは、継続された
案件については今よりもそれまでの
審議が生きるようなそういう
考え方を取るとか、いろいろ
考え方があり得ますが、そういうことをして、そうすると
会期末になって時間がないからどんどん
採決するということは避けられるということでございます。
それから二番目は、
先ほどお話をしました、
日本の場合、やや
国会法は特別、諸外国に比べて非常に不思議なというのは、実は、
衆参それぞれには
議院の
自律権があるのに、
議事の基本は
両方とも
法律で決めてしまっているということでございます。
法律で決まってしまっているものですから、
両方とも同じということになって似てしまう。そういう点でいうと、どこまでやるかは別ですけれども、
国会法というのを
両院関係調整法みたいにしておいて、それぞれの
議院の、
参議院とか
衆議院の
議事の
やり方はそれぞれが
議事規則で決めるというのが
やり方で、そうすると、
衆議院とは全然違う
やり方を
参議院が取ることができるというわけです。
これが、
国会法がとりわけ
参議院に負担を掛けているのは、
参議院議員の皆さんは定数が少ないんです。そうすると、
衆議院と同じ
やり方をしていると
委員会を回すのが非常に大変になるという問題がありまして、少ない
人数でも
審議をするためには違う
やり方を取るということも大切で、そのためには少しこのことを
考える必要がございます。
それから三番目には、そうなってくると、
人数が少ないということを
考えれば、やはり重点的に同じように
審議していては難しいかもしれない。
予算委員会は
国会の華ではありますけれども、これは
衆議院に優先が認められている
分野。それに物すごい手間を掛けることがよいのかどうかということもあります。むしろ
法案の
審議を
中心にして並行してでもやるということもあり得るかもしれません、
衆議院と
やり方を変えれば。あるいは、
日常的立法、
日切れ法案等については、もっと簡略化するということもあり得ます。そうすると、これを
審議したいと
参議院議員の方がお
考えの
議案については、少し重点的にやるということも
考えられるのではないか。
それから最終的に、しばしば言われます
両院協議会の活用ですが、
与野党対立型では
一般に
両院協議会というのは御
案内のとおり
機能しないわけですね。
両方の多数がぶつかったりするということです。
ですから、そういう点では、
両院協議会を
機能させようとすると
与野党対立を緩和しないといけないということで、そうすると、
衆議院の方は
与野党対立強いから、
議案に賛成した
会派から全員出てくる、全員がそちらの
会派だということはあるかもしれませんが、
参議院は違う
やり方を取るということで幾らか妥協を図るということがあり得るかもしれません。にもかかわらず、やはり
両院協議会は、使われるというのは先ほどの
参議院の
役割と同じでございまして、
大枠内の
修正ぐらいしか
両院協議会は使えないと。
根本原則で対立しているものを
両院協議会でということはなかなか難しいということがございます。
そこで、今
お話をしたことは現在の
制度を
前提にするという
改良策でございますが、これは
憲法改正の課題にもなりますけれども、やっぱり
衆参の
権限再分配をして、より
参議院は
参議院らしくなることによって、少し
役割を変えていくことによって問題を解決するということです。これ、しばしばどうもこの話をすると
衆議院の優位と言われるわけですが、
世の中バランスでございますから、
衆議院の
優越があれば
参議院の
優越がある
分野もあるという、言わば
衆参の取引みたいなことがないと成り立たないのではないかというふうに思います。
福祉国家、
行政国家化のことは
お話をしましたが、ここで
ポイントは、そういう
法律は
政府提出法案になるということなんです。
かつて二百年前の三権分立が熱心だった頃は、大体
法律というのは余り
日常生活と
関係なかったものですからゆっくりやっておったんですが、ほとんどは、今、
日常生活と
関係するものは、実際に
法律を実施する
行政機関が立案しないとそういう具体的なことはできないということなんです。ということは、
法律のかなりの部分が
政府提出法案になるということでございますから、そういう点でいうと、
政権運営に関わる
責任と
立法とが重なってくる
分野について
参議院がブロックしてしまうということは、実は、憲法上、
衆議院の
優越で
内閣は成立しているのに、それが実は
原則が崩れてくるということであります。
そういう点でいうと、そこに幾らか
参議院、とりわけ
参議院の
野党側の自制が必要になってくるということでございます。しかしながら、これはなかなか、
権限があれば使うものですから、ねじれてしまえばブロックする。これは、
与野党立場を変えればどの党でも一緒だというのは、この十年間観察したところでございます。
そういう点でいうと、重大なことを申し上げますが、そうした
立法、
行政に必要なような
立法については、
参議院は幾らか
権限を放棄するということが、実は
参議院の
審議を充実させる非常に重要な意味を持っている、ちょっと矛盾のようなことを言っております、ということでございます。
そのことは、御
案内のように再議決要件の問題でございまして、再議決要件三分の二というのは、実はこれ、憲法の制定過程でもございますが、やや
アメリカ流の
考え方が入っておりまして、
議院内閣制とは異質でございます。
議院内閣制は過半数あれば
内閣成立しているのに、三分の二がないと再議決ができない。たまたま今のように三分の二があるときもございますが、それはちょっと憲法上の矛盾がここに生じているために、
政府は成立しているのに予算関連
法案が通らないというのは、
予算案について
衆議院の
優越を定めた
日本国憲法の
立法者の意思等とは反することが実際生じた。やや条文に問題があるというふうに
考えざるを得ないわけであります。
ただ、そういうふうに
考えると、条文に少々問題があっても、やはりここはお互い譲り合うと。再議決可能であっても
参議院議決を尊重するというふうに
衆議院がすれば、逆に言うと
参議院の方もメンツも立って、
参議院の方では重要な予算関連
法案はブロックしないというようなこともあり得ると。そういう慣例をやっぱりつくり上げていくと。いずれその慣例が成立した上に、併せて憲法の条文を変えるということもあり得るだろうというふうに私など思っておりますけれども。
そういう点で
考えますと、やはり
参議院は
法案成立、予算関連
法案に限定してもいいかもしれませんが、まあまあいろいろこの区別が難しいと
考えると、予算成立に関わる
権限を放棄する。例えば、もう過半数で通ったものを否決することはしないとか、
修正はしても
審議未了にはしないとか、そういうことでございます。
しかしながら、これは取引でございます。その代わり
参議院についてはこういう
権限を、我々が
衆議院の議決を尊重するんだから
衆議院も
参議院の議決を尊重してほしいという
分野をつくるということでございます。
じゃ、どういう
分野かということでございます。
実は、
与野党対立でなくて、そうでないような処理が必要な
分野はどんな
分野があるか、これが
参議院にとって非常に必要な
分野だと
考えていますが、
一つは、立憲的保障と言っていますが、
参議院議員は任期も固定で長いということからいうと、憲法というのは
与野党を超えたゲームのルールでございますが、そのルールの守り手になるというのは
一つでございます。これが
与野党対立でなければ、お互いに立場は違ってもまあやっていこうということでございます。これは具体的に次に申し上げます。
それから、それと同様のことですが、そういう憲法に関わらなくても超党派で
議論した方がいいよという人権問題みたいな問題は、例えば少数者の権利どうするのかというような
タイプのことは、そんな
与野党でどうこうと争うものじゃなくて、みんなで知恵を集め、国民の
意見も分かれてくるからじっくり
議論をして、国民の理解を得た上で
立法しようというようなことは
参議院に非常に向いている
分野でございます。
あるいは、選挙で多数を決めたからといって、結論が出るかどうか分からないような専門的な
分野は、こういう
調査会を開かれて、勉強されて、専門知識を身に付けられた
参議院で
議論をすると。そうすると、専門家の
意見として
衆議院はそれを尊重するというのもあり得るかもしれません。
あるいは、時間の掛かるもの。
衆議院はどうしても次の選挙が、もう二年ぐらいで選挙があると気になってしまいますが、任期の長い六年任期であると、じっくり
議論をしましょうという、こういう、この
調査会なんかもそういう場だと思いますけど、そういう問題はもう
衆議院じゃなくて
参議院に任してほしいというのも
一つであろうかというふうに思います。
じゃ、具体的にどういうことかというと、順番に、時間そろそろありませんが、お許しいただいて少し
お話をいたしますと、
参議院のみに付される
立法以外の
権限、例えば決算を、後から
お話ありますが、決算、
行政監視については、もう
衆議院よりも
参議院の権能を物すごく尊重するような
立法の立て付けにするということ。あるいは、人事における独自の
機能。
国会承認人事っていろいろありますけれど、大体ほとんどは行
政府が任命する人事についてです。行
政府にそれを任命する人事を多数派を持っている
衆議院が
議論してもしようがないところがあって、例えば政治的中立を必要とされるようなそういう機関の人事については、実は行
政府、
政府と近いことが問題であるから、
政府を離れて
与野党の共通のそういう
参議院が持つということです。
それから二番目は、先ほど御説明した立憲主義ですが、例えば
日本国憲法を改正するとすると、
憲法改正の発議は
参議院だけが持つというのも
一つの
考え方でございます。
それから三番目は、
参議院においては
与野党対立でないんだから、
与野党を超えて
議員立法に熱心に取り組む、そういう
議員立法については
衆議院も尊重するということでございます。
さらに、そういう点でいうと、四番目、
参議院については、こういう
案件は
参議院を尊重しよう、
政府も、じゃ
参議院先議に、
政府案を
参議院に出すから、
参議院でどんな
修正をされてももう
政府も
衆議院も受け取りますよ、御自由に
修正してくださいと言って
参議院に出されるというのは
一つでございます。それは、先ほどの
衆議院の議決を尊重する
分野との取引ということになります。
申し上げたいのは、こうした日常的な
国会運営ということを、
衆議院とは違う
国会運営をしているうちにこの
両院の
関係は新たなものになってきて、必要であれば
憲法改正もあってもよいかもしれませんが、そういうことをしなければ、再びねじれたときには
参議院無用論が出てきたり、あるいはねじれないと、誰も
参議院に注目しないと
参議院無用論が出てくると。どちらにしても困ったということをなくするためには、違う
タイプの
審議の工夫が必要ではないかというのが私の
意見でございます。
以上でございます。どうもありがとうございました。