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矢倉克夫君 今、
内閣府の方から、このソーシャル・インパクト・ボンド、イノベーションを進めていく上でもというような御説明もあったところであります。評価の在り方についても今着実に進められているというような
状況をお伺いもいたしました。
それで、麻生
大臣に、まずこのソーシャル・インパクト・ボンド、ちょっとSIBと略させていただきたいと思うんですけど、SIBを例に、まず私からは、民間資金を行政サービスの提供の原資として活用する意義についてちょっと感じることを述べさせていただいた上で、
大臣には後ほど、行政的課題解決に向けて民間資金を活用することの意義、どのようなものとお考えかをちょっとお尋ねしたいというふうに思っております。
まず、私、ソーシャル・インパクト・ボンドを通じて感じた民間資金を使う意義、一般的に感じることは、国家財政が非常に厳しくなっている中、それを歯止めをするという期待、増え続ける
社会保障についての対策費という
部分での期待というのはあると思います。ただ、それだけではなくて、先ほど
内閣府からも話もありました。私が感じたのは、民間資金活用をするということの本質というのは、
社会的課題解決に向けた様々な手法を生み出していくイノベーションの創造力だというふうに
理解もしております。
その
内容を二つほどちょっと申し上げたいというふうに思うんですけど、まず、行政がお金の出し手であると、やはりどうしても限界があるんですね。これは、行政というのは平等や公平でなければならないと。
あと、税金を扱っている
部分で失敗も許されないという雰囲気の中で、お金を掛けるにしても、ここに掛けるべきだというところを必要以上に選別をせざるを得ないようなところがやはり可能性としてはあるんだなというふうに思います。
それで、資料、また二にちょっと戻っていただきたいと思うんですけど、先ほどの資料を見て、イギリスの再犯防止の事例なんですけど、これ見て思うんですけど、元本償還の条件というところがどういうものかといえば、受刑者を
三つのグループに分けて、一つのグループでも再犯率がこのプログラムを受けなかった同種の犯罪者と比較して低下をするかどうかというところがこれは償還になっている。
これは、あるサービスを受ける人と受けない人というその二つの部類に分かれて比較検証をしていく。逆を言えば、一部の人にしか行政サービスは受けれないというような事態であるわけですけど、これも聞いた話では、当初もイギリスでは、こういった一部の人にだけ受益させるようなプログラムというのは、やはり税金を使うとか、平等、公平を重んじるという
立場からなかなか踏み出せなかったようですけど、やはり民間の資金を使うということで踏み出すことができて、結果、下に書いてあるとおり、全国平均に対して再犯率が二三%下回ったというのがあります。
重要なことは、やはり行政などでは、発想にとらわれない柔軟さで資金を投じることができるという、これが民間資金を使う一つのいい面でもあるかなというふうに思います。
あともう一個は、ちょっと長くなって恐縮なんですけど、やっぱり民間から資金を集めるためには、行政成果を先ほど
内閣府が言ったように見える化しなければいけないと。その結果、効果が上がらなかった場合なんですけど、原因を検証することができて、その次につなげることができる、失敗から学ぶことができるというところもこれは大きいと思います。
こちら、ちょっと資料にはなくて恐縮なんですけど、同じような再犯防止の事例で、アメリカの方でライカーズ島という刑務所に収監されている人、それについて施されたプログラムがありました。再犯減少を一〇%達成できれば払い戻すという条件だったんですけど、最終的には八・四%しか、八・四%でもすごいと思うんですけど、できなかったと。投資としては払戻しができないのでこれは失敗だったわけなんですが、ただ、客観的な
状況を数値として把握して、ここまでしかできなかったということが見えることで、その後の課題解決にもやっぱりつながっていくという。
行政がお金を出したプロジェクトだったら、そこまで検証はしないでそのまま続けていくか、それとも知らないうちにやめていくのか、やはりそういうような事態がある。これは民間がやったから、客観化をして、それについての事後のいろいろと検証というのができるようになるというところであります。ちなみに、こういうようなお金を集めるには、当然、ただの経済価値を生むようなことだけを目的としているお金だけではなくて、
社会的な課題というものを公益実現をするというお金を集めなければいけないわけですけど、こういった性質のお金を民間から集めることで失敗から学ぶということも可能になると。
長くなりましたが、ちょっとまとめますと、結局、民間資金の活用というのは、政府負担の肩代わりというだけではなくて、行政的課題解決のために民間からお金を受けるという流れをつくる、加速させていって、それがサービスを提供する側の人々の
リスク許容度を広げていくと。言わば人々の行動に働きかけていってイノベーションを生んでいく余地というものをどんどん与えていく、そういうものであると思います。
組織とか活動に関しての学びや改善というものを生んでいくというふうに、こういうところに民間資金を活用する意味があるというところを私は申し上げたいというふうに思うんですが、そこで麻生
大臣にお尋ねいたしますが、行政的な課題解決に向けてこういった民間資金のお金の流れをつくる、活用するということについてどのようにお考えか、御所見をいただければと思います。