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野村哲郎君 今、
大臣の方から、また総理の方から、法人
経営も家族
経営も大事なんだと、両方やっぱり相まって日本の
農業の基盤を支える
経営体をつくっていきたいと、こういう大変決意のほどを伺ったわけでありまして、こういう話を聞かないと、なかなか、今回のTPP
対策でも大規模化、大区画化、もう大きくなければ駄目だと、こういうふうなやっぱり
地元では受け止めをされておるのが一般的であります。ですから、そういう今まで営々としてやってこられた家族
経営も同じように育成していくんですよということを発信していただいたことは大変心強かったなというふうに思っております。
時間がありませんので、もう会計
検査のこの
指摘に基づきます
質問はこれで終わらさせていただいて、次にTPPについて
質問をさせていただきたいと思います。
政府は、昨年十月の五日にTPPの大筋合意を行いまして、十一月二十五日には関連
政策大綱を
政府対策本部で決定し、そしてさらに、
農水省では十二月二十四日には影響試算の発表がございました。
この一連の流れについて、地方の生産現場ではなかなかこれは理解が進んでいないと、こういうこともありまして、昨日は私
どもの
地元の
鹿児島でも
農水省の方で説明会が開かれたというふうに伺っておりますし、日本全国、今説明会を農水の方ではやっておられるというふうに思っておりますが、ただ、なかなか、私も回ってみますと、TPPの大筋合意の内容、それから国内
対策等々についての理解がまだ進んでいないなというのを実感をしております。それもそのはずで、大筋合意に至る交渉経過は、これは保秘義務が掛かっていて
情報公開がなされなかったというのが一つあります。それからもう一つは、突然合意内容が発表されまして、現場では大変な戸惑いと不安があったことはもう事実であります。
こういったような
状況の中で、
森山大臣の方から、
地元鹿児島のことをおもんばかって、どうもこの大筋合意について誤解に基づく不平あるいは不満というのがいっぱいあるよと、あなたは
是非地元を回って的確な
情報を、正しい
情報をつないでくれと。
大臣になられたものですから時間的な余裕がないということで、私は、離島を除きます県内の全
JAを回りまして意見交換会をさせていただきました。全ての
JAを回りましたけれ
ども、その体験も踏まえて御
質問をさせていただきたいと思います。
その前に、昨年の十二月二十四日に公表された影響試算では、
農林水産分野での影響は生産
減少額が一千三百億から二千百億と、こういうふうに発表されておりました。このことにつきましては、さきの
予算委員会でもまた
質問が特に野党の
皆さん方から出ておりましたが、二十五年の試算に比べるとこれは余りにも差が大き過ぎる、あるいは過小評価じゃないかと、こういう
お話が実はございました。
しかし、今回の試算を出すに当たっては、必ずこれは前提条件が付されておるわけでありまして、その前提の条件の置き方によって数字はいかようにも変わってくると、こういうふうに思っておりますし、なかなかそこのところが
農家の
皆さんや国民の
皆さんには分かりづらいところだというふうに思っております。実際、著名な大学の先生が出されますと、
皆さん方そっちの方を信じておられるのか信じないのか分かりませんが、こんなに
政府の出した試算と差があるのかと、こういうのがあります。私は、今、現段階でこの数字だとかあるいは金額の多寡を議論するよりも、まだまだ別な議論をしていかなければならないのではないのかなと。
特に、影響というのはどういうふうになってくるというのは、今はシミュレーションして前提条件を置くわけでありますが、一つ考えていただきたいのは、我々もこれは
政府の方ともいろんな検討をさせていただきました。オーストラリアとのEPAの交渉のときもありましたし、その結果もあります。
確かに、
農家の、特に牛の
農家の
皆さん方は、オーストラリアとEPAを結ぶと、どっとこれは安い牛肉が入ってきて、そして価格が下がる、そして、我々牛飼いができなくなるのではないかという懸念をされておりました。私もやっぱりそのことを懸念をいたしまして、いろいろ役所の
皆さんとも議論をさせていただきましたが、現状はどうだろうかということであります。
昨年の一月から十一月までの輸入の実績を調べてみますと、実は減っているんです、輸入が。そして、じゃ価格はどうかと。我々が懸念した、国内の牛肉の価格、枝肉価格が下がるんじゃないかという懸念をいたしておりましたが、逆に大変高めの、高いところでとどまっておりますけれ
ども。いずれにしても、私
どもがEPAを締結する前に懸念したことが今はこれは
実態として出ていないということであります。
それはいろんな要素があろうと思うんですね。一つは為替の問題があるだろうし、あるいはまた世界的な牛肉の需給がどうなっているのかということもあるわけでありまして、いろんな前提を考えていったときに、なかなかこの影響試算というのが本当にそうなのかというところはやはり考えていかなけりゃならないというふうに思っております。
私は、今回のその影響試算を出された、その中で最も重要なところは何かというところがあります。その影響試算を出された中で、こう書いてあります。関税削減等の影響で低価格による生産額の
減少が生じるものの、体質
強化対策による生産コストの低減、品質向上や
経営安定
対策などの国内
対策により、引き続き生産や
農家所得が
確保され、国内生産量が維持されるものと見込むと、こうなっています。
要はここなんだろうというふうに思います。いわゆる国内生産量が維持される、そして生産量を減らさない、このことが私は今回の
対策の肝になる部分だというふうに思っております。それは、
消費者の
皆さん方も、安いものが入ってくる、それでいいということじゃなくて、やはり関心の高いのは、安定的に安心、安全な食料が手に入るのかというところが非常に関心が高うございます。
ですから、そういう意味では、食料自給率は少なくとも維持していかなきゃならない、ここが私は、今回のこのTPPの
対策の大きな肝になっていくというのを申し上げましたが、そこだというふうに思うわけであります。
総理もさきの衆議院の
予算委員会で
答弁されました。食料の安定供給を将来にわたって
確保していくことは国家の最も基本的な責務であると、こういうふうにお答えいただいておりますが、まさに国民の関心はそこにあるというふうに思います。
しかしながら、一方では、国民への食料の安定供給をするためには、現在生産している
農家が今後とも持続的に
経営できていかなければなりません。そういったことをよく石破
大臣は
農水大臣時代に、その選択の幅は狭い、時間は短い、だから早急にやっていかなきゃならないんだというのを常々私
どもにおっしゃっておられまして、それを思い出すわけでありますが、そういう短期間の間にどう再構築していくかというのが非常に今大事なときではないかというふうに思っております。
そこで、今回、十一月に活力創造本部で決定いたしました
農林水産分野におけるTPP
対策においても
経営安定、安定供給のための備えが明記されておりますが、
農家の
皆さん方、一方、
消費者にはそういうことをやっていく、食料自給率を維持しますよというやっぱり約束をしていただいて、そして
農家には、
経営安定
対策をやりながら、そしてTPPに備えていきますということが最も期待されているのではないのかなと、こんなふうに思うわけであります。
私は、先ほど申し上げました
地元での意見交換会の中でも申し上げてきたのは、発効されるのは二年後とも言われていると、この二年間の間にどうにかやっぱり基礎体力をつくるべきであると。そのための、今回二十八年度
予算で、畜産クラスターであるとか、あるいはまた産地パワーアップ等々、あるいはまた
農業農村整備
事業でもそうでありますが、いろいろ国内
対策でこれだけ、まだ分からないのにこれだけの金を付けるのかいというのがありますが、私は、ここ二、三年の間にやはりこの体力をつくるためのこれは
予算措置なんだと、こういうことを実は説明を申し上げております。
したがって、TPP発効後にどういう影響が出てくるか、そこはもうそのときの我々一生懸命、臨機応変に適時的確な
政策を打って、
農業者の
皆さん方が今後も持続的に
経営ができるようにということを申し上げておるわけであります。
ですから、ここの切り分けをしていかないと、どうしても全体の国内
対策はもうこれで終わりということではないということだけは、
是非、総理の方からも、また
森山大臣の方からも、時間がなくなりましたけれ
ども、御
所見をいただければ有り難いというふうに思います。