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参考人(
石川和男君) おはようございます。
石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私の名前で
資料A4縦の形で配付をさせていただいておりまして、この表紙に書いてございますように、本法案について私は、これは衆議院の方でも
参考人として出させていただきまして、その旨を表明いたしましたけれども、この法案は、いろいろそれは不満もありましょうけれども、まず一歩また踏み出すということにおいて早く成立をし、そして来年四月に全面施行ということになると思うんですけれども、私としてはもうちょっと早く施行してもいいんじゃないかなと。そのぐらいこの
改正法案は早く施行するということではあるんですけれども、それに向けてちょっと細かな点がかなりあるということの提案、今後のこの
国会における
審議において活用していただきたいような視点。
それと、この法案の附則の二十条というのがありまして、ここでは、規制法の場合には大概今はどの
法律案でもそうなのですが、三年後に見直すといういわゆるサンセット条項というのがございまして、それに向けてどう考えていくかと。今回踏み出してまた三年後に恐らく踏み出すとどんどんどんどん進化していくということになると思いますけれども、その視座というものについても今日提案をさせていただきたいなと思っております。
めくっていただきまして、大きく四点ほど提案をしたいんですが、まず
一つ目は、やはり今、
山地先生もおっしゃっていましたけれども、再生
エネルギー自体は、これは推進はするわけです。もうこれは国是です。ですからこの
法律ができているわけなんですけれども、やはり全部が全部百点満点ではなくて、どうしても再生
エネルギーというと最初に、私もそうですけれども、今ようやく落ち着いて再生
エネルギーを見る、マスコミ論調なんかもそうですが、そういうものを見ますと、やはりコストの面で結構心配しなきゃいけないものがあると。これは、コストが高いというものを推進するという方法もあるんですけれども、やはりなるべくこれは
電気の
需要家、言わば
電気の
需要家というのは
国民ほぼ全員ですので、その
負担をいかに抑え、時には削減をしながら進めていくかという発想が大事かなというふうに思います。
この
課題ということで、上に二つ、二行書いておりますけれども、まず
賦課金の全体額をいかに抑えていくかということと、それからその次に、
減免措置があります。これは、特に産業界ですね、産業界という別に業界のことを思うわけではなくて、そこには多くの人が働いていて、日本の競争力というものの源泉でもありますので、そういった分野への配慮というものが引き続き必要であろうということであります。
それで、この
法律、
FIT法は二〇一二年七月に
実施されて、そこから固定
価格買取りが始まったわけでございますね。二〇一二年七月というと、東日本大震災の一年半の後。東日本大震災は三月十一日午後二時四十六分です。その六時間ぐらい前に
閣議決定されたのがこの
FIT法であります。つまり、
FIT法というのは原子力事故を踏まえたものではないということなんですね。
この下に私はフランスのことも書きました。ドイツを例に取ってこの
法律は進められてきたわけですけれども、私、ドイツへ去年行ってまいりまして、やはり現地に行くべきだなと思いましたのは、ドイツだけを見ていると、いわゆる両目があって片目しか見ていないことになります。両目を開くと、ドイツの左が、地図で見ると左というか、こっち側にはフランスという国がありまして、これがまたちょうどいいあんばいなんですね。ドイツだけだと人口八千万人、フランスは六千万人、日本は一億三千万弱と。フランスとドイツを合わせると一億四千万で、これちょうどよくなるわけですね。ついでに言いますと、
電気はEUはつながれておりますので。
どうもドイツだけ見ていると調子が悪いというのが、今の日本の
FIT法の、まさに今日こういう
法律改正案を
審議しなければいけないような状況、つまり高いということなんですね。高いということです。ドイツは高いです。私が去年試算いたしましたら、ドイツの平均家庭、一ユーロ百三十円ぐらいで計算しますと二千四百五十円から二千六百円の
賦課金です、ドイツの一般家庭。日本は、私は一番最後のページに書きましたけれども、我が家は自営業もやっておりますので少々高いんですが、千円弱です。恐らく今年は千円超えると思いますが、それも仕方がない。仕方がないんですけれども
負担は
負担と。
これをいかに抑えるかという発想でこの一番を提示させていただいておりますけれども、やはり、元々は再
エネを進めるのは原子力ありきだったんです。石炭もありきだったんです。ところが、原子力事故が起きて、その後に本格的な
審議になって再生
エネルギーをやろうかというような論調になって、恐らく日本人はほとんどは原子力事故があったから
FITを設けたんだろうというふうに思っているんじゃないかと思うんですね。ところが違うんです。違います。つまり、原子力がいいとか再
エネがいいとかいろいろ好き嫌いはあるにしても、そんなわがままを言っている場合じゃないですね、
我が国は。とにかく国産
エネルギーはないと。
エネルギー安全保障ということを考えれば、国産
エネルギーを増やすんですけれども、本当は再生
エネルギーと原子力、原子力は純国産なわけですけれども、この二つでいくはずだったのが、片っ方だけどかんとなくなっちゃったわけですね。これが問題なんです。
したがって、ここを、原点に立ち返るというのは、この下に書いてあるフランスとドイツの両方を見ましょうというのがこの数字でありまして、これ見ていただきますと、ちょっと青い字なんですけれども、ドイツは再
エネ先進国、高いですね。ドイツの比率は高いです、再
エネ。フランスは逆に、再
エネ比率はそんなに大したことはありませんが、原子力比率が高い。フランスだけを見るわけにもいかないです、そこまで日本は原子力できませんので。じゃ、ドイツだけを見ればいいかというと、それは今まさにこの法案を
審議しなければならないような国情になっておるわけですが。これはブレンドするとどうなるかというと、大体再
エネが二割ぐらい、原子力が四割ぐらいと。恐らく震災前の日本の
エネルギー政策というのはこのぐらいの路線でいくだろうというふうに見越しておったわけですけれども、震災が起きて事故が起きてしまいましたので、どうしても原子力については冷や水が掛けられたというのが今の状況だと思います。あれから五年たっておりますが、なかなか正常化への道というのはもうちょっと時間掛かるかなというのが私の率直な感想であります。
次のページをめくっていただきまして、要するに抱き合わせですね、セット販売じゃないですけれども、抱き合わせで考えていくという原点に立ち返ると私はいいんじゃないかと。ここに書いておりますけれども、再
エネは推進するんです。後で出てまいりますけれども、再
エネ一〇〇%にいずれ必ずすべきだと思います。まあひ孫の世代ぐらいだと思いますが。すべきだと思いますが、それまでの間、再
エネをどうやって振興していって、
国民負担を上げずに、ということを考えれば、再
エネが高いという悪評だけはどうしても払拭しておきたいというのが私の思いであります。
本法案では
太陽光の
入札制度、これは非常にいいことだと思いますけれども、いかんせんこれだけでは到底賄えない。
年間数兆円にも及ぶ追加燃料費を到底競争だけで削減することは、これはできません、できないです。
したがって、やはり原子力というものをきちんとブレンドして、原子力の、既設の原発ですね、既設の原子力
発電所です、これをきちんと正常化させることによって安い
電気と、再
エネはまだ高いのでありますけれども、それを相殺しながら全体として安い国産
エネルギーでいくというのが、私は、このまさに
国会の場で議員の先生方からそういう大所高所からの
議論も是非とも進めていただきたいという思いでございます。
ただし、その場合には、本
委員会とはちょっと関係ないかもしれませんが、
原子力規制委員会の規制基準の
運用というものが、これがややちょっと世界の非常識的なものがまだまだありますので、ここをきちんと改善するということが必要だと思います。ちょっと話は広がりますけれども、トータルパッケージで、政治ですので、官庁のように縦割りではないので、是非政治の世界で縦割りを排した形で、そういう視点で、三年後の見直しじゃないですけれども、考えていただければなというふうに思います。
二つ目でございまして、次のページです。2.とありますが、さっき
山地先生もおっしゃいましたが、
FITは卒業すると思います、いずれ必ず。そのときに大量の
設備が残ります。
太陽光が多いと思います。これは個人あるいは中小
事業者でも設置しやすいからだと思いますが、たくさん残る。それが、
設備を引き続き有用に活用して再生
エネルギーの
発電量も維持していくということを考えると本当に一般家庭ないしは中小
事業者がその体力を維持し続けることができるだろうかというふうに考えると、私は、絶対できないとは言いませんけれども、今までの
我が国の歴史を見ると、やはり中小よりも大手の方が体力もある、人もいるということで、そちらの方に集約していくということを私はそろそろ考えてもいいんじゃないかなというふうに思っております。
FITが始まって四年目ですので、何となく日本の個人も法人も、再生
エネルギー。特に
太陽光、
風力に対するスタンスというものが見えてきたわけでありますけれども、もはやおととしぐらいに起きた
太陽光バブルのようなことは起きないと思いますけれども、しかし
設備自体はもう
認定されていますので、それをどうやって安定的にずっとやっていくかと。何か放置されて捨てられるというのは余りにももったいない。そういう事態がなくなるように、きちんと大手、例えば
電力会社とかガス会社とか、大きな
エネルギー資本に集約していくような、そういうことも三年後の見直しに向けて是非ともこの
国会の場で
議論をしていただきながら、そういう
長期的な目標も据えていただければなというふうに思っております。
次のページをめくっていただきまして、三つ目でありますが、再生
エネルギー。水力、地熱、
バイオマスというのは安定
電源でありますので、これはもう独り立ちできるわけでありますけれども、恐らく
FIT法の意図というのは、主に
太陽光、
風力、何というか我々の身近にある
自然エネルギーだと思います。ですから、メディアでもよく再生
エネルギーで登場するのは
太陽光、
風力だと思います。
しかし、残念ながら今の人類の持つ技術では不安定ですね。本当はバッテリー、蓄電池のようなものが安く普及してくればいいんでしょうけれども、なかなか、今日本でも一生懸命やっていますけれども、世界でもやっていますけれども、そう簡単にはいかないということで、当面は太陽、
風力というのは不安定
電源として考えざるを得ないと。
そのときに、当然、しわ取りですね、この図にもありますけれども、これは
火力、日本の場合には主に石油
火力あるいはガス
火力でバックアップをするということになりますけれども、ここの
火力電源の安定的な
投資回収策。
火力が駄目になっちゃったら再
エネも駄目になりますから。水力、地熱は別です、
バイオマスも別です。
バイオマスはもう
火力発電ですが。太陽、
風力については、これはどうしてもぶれちゃうので、このぶれをなくすというその
仕組みは、現在は大手
電力会社の
火力発電所が担っていると。現場も何遍か見学させてもらいましたけれども、石油
火力の現場の方は大分しわ取りのスキルができてきたようで、そこは日本はやっぱりすごいなと私は思いましたけれども。
いずれにしても、ただ、採算性という問題があるので、そこについては是非、再
エネを進めるための
火力の安定化策という視点で御
議論をいただければなというふうに思います。私はここで、下に
制度化と書きましたけれども、これは業界に向けたガイドラインとかそういう類いの話ではありません。これはもう規制的、
制度的にやるしかないと。規制というと聞こえは悪いですけれども、いずれにしても、
FIT法あるいは
電気事業法の中できちんとこれを
措置するような視点で
議論をしていただければなというふうに思います。
それから、次のページ、四番目ですが、これは少々細かいものも含めて幾つか。
まず一番目ですけれども、
価格算定
委員会で毎年毎年決まっているんですけれども、私は、これは言わば料金認可のようなものと非常に近いなと思っております。役所の行政の実務的な話をしますと、この
価格算定
委員会のプロセスそのものは極めて公明正大なものでありまして、何ら文句の付けどころは私は手続上はないと思っておりますが、問題は、幾らにするんだというところなんですね。この幾らにするんだというところというのは査定というふうに言いますけれども、この査定の基となる数字がこの表にもありますけれども、日本はかなり高いですね、太陽、
風力は高いと。これは輸入燃料ではないんですね。天然ガスを輸入するとか石油を輸入するとかという輸入燃料ではないので、どうしても国際的な相場に何で合わないのかというところをぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ考えてみますと、ちょっとこれは査定のところの手法が違うんじゃないかなと、私は、かなり実務的ですけど思っております。
ここについては、今、
価格算定
委員会の方で
政府の方に委ねる形になっていますけれども、是非、
国会の場でも、これ
消費者が払うお金ですから、ここについては外国はこんなだぞと。特にやっぱり欧米、ヨーロッパですね、ヨーロッパ諸国と比べてこれは幾ら何でも調子が悪過ぎるというふうに、これは一目見れば分かると思うので、そこは是非、
国会の場で
審議いただきまして、
政府の方に対して大きな宿題を課すということを私は求めたいというふうに思っております。
それから、二つ目、三つ目でありますけれども、
入札、こういったものについてもそれぞれ書いておりますけれども、割愛いたします。
次のページでまとめということで、やはり
国会のメッセージ、
国会から
政府に対するメッセージとしては、震災以降原子力が止まってしまいました。いろいろ問題がありますけれども、しかし、
国民の金はなるたけ国内で使うという観点じゃないかなと私は思います。外に出ていっている金を日本の国内に戻してそれで再生
エネルギーを振興するという、そういう、言ってみれば、よくよく考えたらそうだなというようなことをそうだなというふうにやっていただきたいというのが
一つ目の丸であります。
二つ目は、これはまさに既
認定未稼働というものが何十万件もあるかのごとき今の
太陽光の状況なわけですけれども、すぐ逃げる再
エネの関係筋は要らないと。ちゃんとやる人だけ残っていただくというようなことで、この
制度の
運用について万全を期してもらいたいということであります。
そして、下に書いていますけれども、私は将来再
エネ一〇〇%というのはあると思います。当然あると思います。運輸燃料も含めてあると思います。遠い先だと思いますけれども。しかし、今
FIT法ができているこの国では端緒にいると思います。まだ黎明期です。恐らく幼稚園ぐらいのレベルじゃないでしょうか。これが大人になっていって一〇〇%になるまできちんと見るために、その補完としての原子力と
火力というものを過渡的なものとして捉えてやっていく、いずれ必ず再
エネ一〇〇%にするという目標を持って、それまでの過渡的なものとしてどういうふうに有効に使い切るかということをいま一度認識をしていただければなと思います。
そして、ちょっと飛びます。最後のページ。
石川家ということでちょっと僣越でございますけれども、我が家の再
エネ賦課金の推移でございます。これは生のデータをそのまま私のホームページからコピペしましたけれども、千円弱です。これが我が家の四人家族の
負担であります。
ありがとうございました。