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吉田(宣)
分科員 公明党の
吉田宣弘でございます。
本日は、
予算委員会第一
分科会にてこのように質問の機会を賜りましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。実りある議論としてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
本日は、憲法のらち外に置かれた国民がいたのではないか、そういった問題意識のもと、ハンセン病裁判について質問をさせていただきます。
ハンセン病裁判は、社会一般的には、らい予防法違憲国家賠償訴訟と呼ばれておりますけれども、ここでは、質問の便宜上、ハンセン病裁判と呼ばせていただきます。
このハンセン病裁判を、改めてその
概要について確認をさせていただきますが、一言で申し上げれば、ハンセン病に罹患した患者を感染のおそれがあるとして隔離することを認めたらい予防法が憲法に違反するとして熊本地方
裁判所に提起をされた国家賠償訴訟です。そして、結論については、国民の皆様も御承知であると思いますが、厚生労働省、当時の厚生省の患者隔離政策及び
国会議員の立法不作為のいずれもが違法であり、不法行為に基づく賠償が原告のハンセン病患者の皆様に認められたわけでございます。
政府は、この判決について、控訴するか否かの決断を迫られたようでございます。
御記憶の方も多いかもしれませんが、当時の厚生労働
大臣、我々公明党の大先輩である坂口厚労
大臣が、四面楚歌の中で、控訴断念を強く主張し、一切譲らなかった。
大臣の首をかけての決意であったと、後に続く後輩でございます私は、この坂口厚労
大臣の闘いに衷心より深く敬意を表するものでございますが、坂口元
大臣のこの決意は、当時の総理
大臣、小泉総理の心も揺り動かしたものと思います。結果、小泉総理は控訴断念を決断し、熊本地裁の判決が確定し、裁判が終結したわけでございます。
控訴断念を決断したときの
内閣総理
大臣談話では、次のように述べられております。
今回の判断に当たって、私は、
小泉元総理のことです、
内閣総理
大臣として、また現代に生きる一人の人間として、長い歴史の中で患者・元患者の皆さんが経験してきた様々な苦しみにどのように応えていくことができるのか、名誉回復をどのようにして実現できるのか、真剣に考えてまいりました。
我が国においてかつて採られたハンセン病患者に対する施設入所政策が、多くの患者の人権に対する大きな制限、制約となったこと、また、一般社会において極めて厳しい偏見、差別が存在してきた事実を深刻に受け止め、患者・元患者が強いられてきた苦痛と苦難に対し、
政府として深く反省し、率直にお詫びを申し上げるとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念を捧げるものです。
と。
小泉元総理の談話に込められた心の痛みは、今質疑に立たせていただいている私の心にも通っているところでございます。
この小泉総理の談話は有名ですけれども、加えて、判決では立法府の責任も認められた。そこで、立法府においても、例えばここ
衆議院において、
熊本地方
裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟判決について、
政府は控訴しないことを決定した。本院は永年にわたり採られてきたハンセン病患者に対する隔離政策により、多くの患者、元患者が人権上の制限、差別等により受けた苦痛と苦難に対し、深く反省し謝罪の意を表明するとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるものである。
さらに、立法府の責任については、
少し省かせていただきますが、
ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図るため、我々は、今回の判決を厳粛に受け止め、隔離政策の継続を許してきた責任を認め、このような不幸を二度と繰り返さないよう、すみやかに患者、元患者に対する名誉回復と救済等の立法措置を講ずることをここに決意する。
と決議がされております。また、
参議院においても同様の決議が行われております。
今、私は、この質問をさせていただいていることについて、今の決議にありました、全面的な解決を図るためという言葉を胸に置きながら、質問をさせていただいているところでございます。
このように、ハンセン病問題は、行
政府及び立法府がその責任を明確に認め、救済のための立法措置を講ぜられたことにより、判決以降、被害者の救済が進められてきたと承知をしております。このような結論を導いたものは、
裁判所の判決によるものであったわけでございます。
裁判所は、まさに司法が人権の最後のとりでとして、強力な国家権力の間違いを是正する見事な役割を果たしたと言えます。
そこで、お伺いをさせていただきます。
お聞きしたいのは、改めてではございますが、国民の皆様に、憲法が採用する三権分立のもと、
裁判所が果たす役割について御教授を願いたいと思います。