○蓮井明博君 ただいま御紹介いただきました一般社団法人四国地区信用金庫協会会長の蓮井明博と申します。
本日は、衆議院
予算委員会の十五名の先生方にわざわざ高松までお越しいただきました。その上で、このような貴重な機会を設けていただきましたことに深く感謝申し上げたいと思います。
早速ですけれ
ども、私からは、当地におけます景気情勢や
中小企業等の現状、さらには
地方創生への取り組みについて簡単に申し上げたいと思います。そして、御審議の参考に供することができればありがたいというふうに考えております。
まず、当地の景気情勢でございます。
香川県内の景気も、緩やかな回復基調をたどっています。すなわち、個人消費や住宅投資は持ち直し傾向にあるほか、設備投資は底がたく推移しています。
こうした中で、とりわけ労働需給は着実な改善を続けております。有効求人倍率を見ますと、昨年の九月に一・五〇倍と、一九九三年以来二十二年ぶりに一・五〇倍台の水準となりました。その後も改善を続けておりまして、昨年の十二月には一・五四倍と、
全国は一・二七倍でありますので、それを上回る水準となっているという
状況でございます。
こうした労働需給の改善は、堅調な公共投資や
企業の設備投資を背景とした建設、運輸業、製造業等での求人増に加えまして、個人消費の持ち直しや外国人観光客の増加などを映じました
サービス業の求人増などが主な要因となっております。
さらに、小売業等における構造変化も、その部分を映じた部分も少なくないと思われます。例えば、香川県では県外からの大型小売店の進出が目立っておりまして、人口十万人当たりの大型小売店舗数、これは
平成二十五年の
調査ですけれ
ども、六・三カ店ということで
全国第五位のレベルであります。また、
コンビニエンスストアの出店競争も加速している
状況であります。こうした動きを映じまして、パート等を中心に小売業等の求人数が高水準で推移しているという
状況でございます。
次に、当地の
中小企業等の現状でございます。
今申し上げた
状況下、
企業の生産動向は横ばい圏内の動きとなっています。
企業収益面でも、輸出関連など高操業が続いている一部の
企業では比較的好調な水準を維持しています。
その一方で、地場の中小
零細企業においては、原材料価格の高どまりに加えまして、今申し上げた人手不足感の強まりもありまして、引き続き収益性の厳しい
状況が続いているという
状況です。
ちなみに、若干データは古くなりますけれ
ども、民間の
調査会社東京商工リサーチが国税庁統計を用いてまとめたものによりますと、
平成二十五年度の香川県の赤字法人比率は七五・一七%と
全国五位の高い水準となっています。これは四国の他県も同じような傾向でありまして、徳島県は七八・九一%と
全国第一位、愛媛県も七四・四四%と同七位の位置にあります。こうした点を見ていただきますと、地場の中小
零細企業におけます収益力の脆弱性というものがうかがわれるのではないかというふうに考えております。
こうした中、御承知のとおり、
平成二十六年の六月には小規模
企業振興基本法が成立いたしました。私
ども信用金庫を含めまして地域金融機関というものは、従来から、地域の経済や雇用を支える重要な存在であります中小
零細企業に対しまして、
経営改善や事業再生などで支援申し上げ、地域経済の発展に努めてきたところでございます。今後は、
地方創生の観点からも、創業促進、さらには事業承継、販路開拓支援等によりまして一段とこういった点に注力し、地域経済の活性化にさらに貢献していく必要があるというふうに考えております。
この点、当地においても、創業や農商工連携、六次産業化支援、ABL等新たな金融手法の
導入において、
政府系の金融機関などと連携する動きが見られています。
ちなみに、十金庫あります四国地区の信用金庫においても、日本政策金融公庫と創業支援等で連携を強めているほか、独立行政法人
中小企業基盤整備機構とも連携して、小規模
企業共済
制度を活用しながら、
事業者の
経営相談に積極的に応じる、そして、さらなる成長を支援するための融資
制度の創設、推進に取り組む、そういった動きも見られているところでございます。
中小企業、小規模
事業者は、何といっても日本経済あるいは地域経済の裾野を形成する極めて重要なセクターでございます。今後とも、国を挙げての振興策の実施をぜひともお願いしたいと思います。
第三は、
地方創生への取り組みについてです。
香川県が昨年策定したかがわ人口ビジョンとかがわ創生総合戦略では、現状のまま対策を講じなかった場合は、二〇六〇年の県の人口、ちなみに現在は約九十八万人でありますけれ
ども、これが約六十万人まで減少するとした上で、これに対処するための戦略、すなわち、「1人口の社会増減をプラスに転換する。」、移住の促進、産業の育成等による雇用の創出、「2人口の自然減を抑制する。」安心して出産、子育てができる環境づくり、「3人口減少社会に適応する。」地域の資源を生かした観光、交流の拡大、安心して暮らせるための防災対策の充実等々を挙げておりまして、二〇六〇年に人口約七十六万人を維持するように努めるということで、今、施策が展開されているところであります。
私
ども地域金融機関も、
関係機関等と連携しまして
地方創生への取り組みを一段と強化していく必要があると認識しておりますけれ
ども、国におかれましても、頑張っている地域に対しましては強力な御支援をお願い申し上げたいと思います。
以下では、
地方創生につながると思われる取り組みにつきまして、現状既に動き始めているものを中心に、若干の事例を御紹介したいと思います。
一つ目は、二〇一〇年に始まって三年ごとに開催されます
瀬戸内国際芸術祭です。
瀬戸内の島々を舞台に、現代アートや建築を手がかりに地域の再生を目指す試みでありまして、三回目となることしも、春、夏、秋の合わせて百八日間、海の復権をテーマに、
瀬戸内海の十二の島と
二つの港、高松港と宇野港周辺を会場にして開催されます。
ちなみに、前回の二〇一三年は、予想を超える約百七万人の来場者でにぎわい、また昨年の九月には、
瀬戸内国際芸術祭実行
委員会が第一回ジャパン・ツーリズム・アワードで、地域固有のコンテンツを通じた広域連携への
可能性と地域活性化への挑戦が高く評価され、はえある大賞を受賞いたしました。
こうした
瀬戸内国際芸術祭の盛り上がりもありまして、
平成二十六年に県外から香川県を訪れた観光客入り込み数は約九百六万人となりまして、
瀬戸大橋が開通しました昭和六十三年の一千三十五万人、それから二回目の
瀬戸内国際芸術祭が開かれました
平成二十五年の九百十八万人に次ぐ過去三番目の高い数字となっております。つれて、外国人の宿泊者数も、
平成二十五年は前年比二・二一倍、二十六年は一・五二倍、ともに
全国でも高い伸びを示しているところでございます。
二つ目は、
瀬戸内地域の観光産業育成に向けた動きであります。
平成二十五年の四月に、
瀬戸内を共有する七県、兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の各県が、
瀬戸内ブランドを確立し、交流人口の拡大による地域経済の活性化と豊かな地域社会の実現を図る目的で、
瀬戸内ブランド推進連合を立ち上げています。
目下、
瀬戸内地域におけます観光関連
事業者や地域金融機関、地銀さん、第二地銀、信用金庫、それに日本政策投資銀行などとも連携を図りながら、より強力な推進体制、いわゆる日本版DMOを構築する計画が進んでいるところでございます。
三つ目は、四国八十八カ所霊場と遍路道の世界遺産登録に向けた動きであります。
弘法大師空海上人により開創された四国八十八カ所霊場は、
平成二十六年に開創千二百年を迎えたところでありまして、内外の注目を集めました。昨年の四月には、文化庁の日本遺産にも選ばれております。こうした中、四国の産学官によります四国八十八箇所霊場と遍路道世界遺産登録推進協議会が、二〇二〇年までの世界遺産登録に向けまして、一六年度の暫定リスト入りを目指し、さまざまな取り組みを進めております。
最後になりましたけれ
ども、四国への新幹線
導入に向けた要望活動について付言させていただきます。
昨年の春、北陸新幹線が金沢に延伸し、ことしの春は北海道新幹線の開業が予定されております。御高承のとおり、四国では新幹線は基本計画にとどまっておりまして、このままでは四国だけが新幹線空白地域になりかねないという
状況でございます。
このため、四国四県や経済団体で構成します四国鉄道活性化促進期成会などが
関係先に要望活動を行っているところであります。改めてここで申し上げさせていただきますと、産業競争力の強化あるいは観光振興はもとより、災害に強い鉄道網の形成に貢献するという新幹線の
導入につきましては、真剣に
議論しておくべき時期に来ているのではないかというのが
地元の声でございます。
以上で私の意見陳述を終えさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)