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宮崎(岳)
委員 どうもそれは、地方創生の発想からいえば地方に行けばいいというふうに決まっている、ところが地方に行けと言って、各省庁むちゃくちゃな抵抗をしてきてにっちもさっちも進まないという中で、既に廃止が決まっている、原則廃止という話になっているものを移転でお茶を濁したから、省庁の側も、だったらいいでしょうという程度で実現した話じゃないか、こういう話を言っているわけであります。
ほかに、先ほど申し上げた四十九件の一部移転というのがあるんです。最初の紙、それを私の方で検討したんですね、その紙の中身をどう書いてあるかなと。
そうすると、その中で、拠点を設けるという表現になっているのが十個しかないんです。既存の拠点を拡充すると書いてあるのは二カ所です。ほかのところは、文面からいっても、
連携とか研修とか合宿とか。つまり、そこで共同研究をやります、ただ、こっちの研究者は東京におりまして、向こうの地元の研究者と研究成果を突き合わせて共同研究するとか、分野を分けてそれぞれでやって後で突き合わせるとか、あるいは何泊何日の合宿だけその地元に行ってやります、これも移転だ、あるいは何泊何日の研修だけやります、これも移転だというふうにしているんですね。そうするとほとんど移転の実態はないじゃないかというのが、私が今回言いたいことなわけです。
一件一件細かく見てみましょう。
まず、三十七件の
連携、研修、合宿。これは、聞いてみても、基本的には少なくとも常勤のスタッフは一人も行かない
可能性が高い。もちろんパートさんを地元で雇うとかということもないとは言いませんけれども、基本的には、東京から常勤の研究員なり講師みたいな人が現地に赴任していって、そこに住んでやるということはほぼないだろうというふうに、この三十七件については思います。
残り十二件、全部移転を除く。これはどうかということについて、ちょっと一件一件見ていきたいんです。
イノベーション・コーストに基づくNEDO支所等を持ってきてくださいというのが
福島県から出されて通っているんですが、これは、震災復興と廃炉のためにロボットを使う、それを現地で開発する、そのためにロボットのテストフィールドみたいなものをつくるとか、そういった話でありまして、これは既にできるということは決まっているんです。その中身はもちろん詳細にできていませんが、イノベーション・コーストというのはもともとできる話で、本年度
予算にも百四十五億円
予算が計上されているんですよ。だから、今回の地方移転の
枠組みで移転が決まったというものではありません。これは水増しじゃないかと私なんかは見てしまうわけです。
そのほか、JAXAの防災データのバックアップ拠点というのを山口にも置けよ、それから水産総合研究センターの
連携拠点というのを山口にも置けよ、防衛装備庁艦艇装備研究所の研究拠点を山口にも置けよと。十四件しか拠点あるいは拡充がないんですが、総理の地元に三つもあるので、なかなかすごいなとは思っておるんですけれども。
まず、JAXAの件。これは物はできるんです。ただ、人の方ははっきり決まっておりません。山口大学に研究者の方、高名な方がいらっしゃるようで、そこにこちらからも一人、二人行くのかな、それとも行かないのかなみたいなレベルの話です。
水産総合研究センターは、下関にある水産大学校と独法として統合する予定なんですね。統合するわけですから、当然スリム化が行われます。スリム化が行われて管理部門とかは人が減るんですが、その中で、もしかしたら減らした人間の中から、部門をちょっとかえるとか、
連携センターみたいな役職をこれまで給与計算していた人につけるとか、あるいは人の異動を伴うのかもしれませんが、そういったこともあり得るので、人がふえるかどうか正直判然としない。
それから、防衛装備庁の艦艇装備研究所。どんな機能を持たせるか、何を移転するのかというのが全く未定なんですよ。これは珍しいんです。本来、そういうものはみんな落選されているんですが、この場合は通っているんですね。これは、オスプレイの
関係でいろいろ御迷惑をかけていて、そういったことも含めてお土産なのかなという指摘も出ているのは事実であります。
それから、高齢・障害・求職者支援機構の教材開発拠点。これは鳥取です、
大臣の御地元。すばらしい、
大臣の御地元に一つあるんですよ。ほかのところはないんですから、ほとんどの県は。これも数人常駐するかなという話です。
それから、国立美術館の工芸館の展示拠点。国立美術館の工芸館というのは、そもそも、キュレーターというんですか、学芸員が五人ぐらいしかいない組織なんです。いろいろ物品を石川に持っていこうということで、拠点はできるだろうと言われているんです。ただ、人を送るかどうかは決まっていない。もともとが少ないということもあります。
これは馳
大臣の地元ですよ。
文部科学大臣の馳さんがいて、文部科学省所管の独法があって、その独法に馳
大臣の強い意欲で何とか拠点が設けられる、こういう話であります。
実際に、北国新聞という地元の新聞があるんですけれども、ここで記事があって、馳
大臣が北国新聞社の会長さんと懇談をして、「必ずしも東京にある必要がない施設だ。石川は工芸王国であり、前向きに検討したい」「「北陸新幹線開業で金沢と東京のアクセスが格段に良くなった。技術が進歩し、首都圏と地方で
情報の共有化がスムーズに図れるようになった」と、実現が十分に可能との認識を強調した。」こういう記事が出ております。
私はここで、総理や石破
大臣や馳
大臣が自分の地元に持っていくのはけしからぬということをきょう言うつもりはないんですよ。だって十四件しかないんですから、それだけでもありがたいことですよ。ちゃんと動かしている、そういう人たちが政治力を使って役所を抑え込んだんだと。(発言する者あり)だったら、ほかのところでも政治力を発揮していただきたいんですよ、そこは。
次もちょっと見ていただきたい。ちょっと説明が長くなって申しわけないんですけれども。
産総研の研究拠点というのがあります。名古屋と九大につくるんですけれども、これは名古屋大と九大の中に事務所的なものを設けるというもので、名大の方は数人の研究者が行くだろうと言われています。九大の方はまだそこまで、行かない
可能性もあるというぐらいですが。いずれにせよ、地元で世界トップクラスの研究をやられていて、そこに共同研究で行くという話であって、これもありがたいことではあるかもしれないが、しかし、地方創生とか地方移転とかいう
枠組みの中の話なのかなということは正直思いますね。これは国家戦略みたいな、もっと違う
枠組みの話じゃないかというふうな気がします。
そして、
地域連携拠点というのは、石川と福井ですか、同じ産総研の拠点ができるんですが、これは、スペースは設けるけれども人は常駐しない方針です。ただ、東京に勤めている人が、名刺を二枚持つのか肩書きを二つ持つかという形で週に何日かそこに行くとか、そういう形になるというふうに言われております。
それから、農研機構の出先の拡充というのもあるんですが、二カ所あるんですけれども、こちらも大
規模に人をふやそうという話じゃないです。ふえないかもしれないし、一人、二人かもしれない。
そうすると、広島、
福島はもともと移転が決まっていましたという話だから除くとして、最初の国立健康・栄養研究所、これは実態のある移転だと思うんですよ。それを含めても、大阪に三十八人、名古屋に数人、これは三大都市圏です。そのほか、山口に一人、二人かな、鳥取に数人かな、石川に一人行くのかな行かないのかなという話をしていて、大阪、名古屋を入れても五十人前後なんです。
大臣がいみじくも最初に言ったとおりですよね。もしその大阪、名古屋みたいなところを除いてしまえば、十人行くかどうかみたいな
数字だと思うんですよ。
これで実態のある移転というふうに言えるんですか、
大臣。いかがですか。