○赤羽
委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
与えられた時間は二十分間でございますが、思いを込めまして質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
まず、私は、本年一月十五日未明、長野県軽井沢で発生をしてしまいましたスキーツアーバスの転落事故について、ちょっと順番を変えまして、質問させていただきます。
この事故によりまして、乗員二名を含む十五名が死亡、また二十六名が重軽傷と、前途ある多くの青年が犠牲となる実に痛ましい大惨事となってしまいました。改めまして、御遺族の
皆様に心より哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた
皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
私は、今回の事故発生後、公明党の事故現地調査団の一員といたしまして事故現場を訪れ、そして、その足で軽井沢警察署らの
関係者の皆さんと意見交換を行いました。そして、公明党として再発防止策を取りまとめまして、先日、石井
国土交通大臣に申し入れをさせていただいたところでございます。
私は、今回、大きな夢と希望を抱きながらその夢を実現することなく亡くなられてしまった青年
たちの無念さ、また、二十年以上にわたって手塩にかけて大事に育ててこられた最愛のお子様
たちを人災ともいうべき今回の事故で突然失うことになってしまった御遺族の深い悲しみに、私自身が、やりようのない、心がふさがれる日々が続いておるところでございます。
先日、ある新聞報道で、お嬢様を亡くされた御両親様がこのようなコメントをされておりました。
一月十五日は、私
たちにとっては命日となるが、報道や旅行業者の
関係者の
皆様においては、毎年、何らかの発信、行動をしていただければ、今回の犠牲者が皆さんの心の中に生き続け、安全に対する意識のたがが緩むことを防げる一助になるのではないか。
大変な悲しみの中で大変前向きな御発言だと、私は大変感銘をしたところでございます。
こうした大変な悲しみの中での御遺族の
皆様の前向きな御発言を、私
たち全ての
国会議員そして全ての
関係者が真摯に受けとめて、まさに安全な
社会の確立に全力で立ち向かうことが、御遺族の
皆様方にお応えをする唯一の道と考えます。私はこれを必ず実行していきたい、こう決意をしておるところでございます。
まず、今回の
政府の
対応について言及をしたいと思います。
今回、事故発生直後に、石井
国土交通大臣を本部長とする軽井沢スキーバス事故
対策本部が設置をされました。同日から、
大臣、副
大臣を含む国交省の職員の皆さんを現地に派遣する一方で、事故を起こしたバス事業者への監査の実施及び事業許可の取り消し処分の決定、また、当該旅行業者への立入検査も行い、そして、再発防止のために、抜き打ちで貸し切りバスに対し街頭監査の実施がなされていることは、私はおおむね適切な
対応がとられていると評価をしているところでございます。
しかしながら、この抜き打ちの街頭監査の結果、実は、このパネル四という資料に、
皆様の方にも示させていただいておりますが、これは実は大変ショッキングなというか内容でございまして、監査車両九十六両のうち何らかの法令
違反を
指摘された車両が、実に半数近くの四十五両だったという。
これは、この軽井沢の事故が起こってから、抜き打ちとはいえ起こってからの検査なんですね。あの事故を教訓にしっかりとした安全点検をしようというのが私は当然だと思うんですが、そうした状況の中で、九十六両のうち四十五両が法令
違反を
指摘されている。これは、信じたくないというか、余りに情けなく、余りにひどい結果と言わざるを得ないと私は思います。
こうした結果は、多くの貸し切りバス事業者がいかに安全運行の取り組みを軽視しているのかというあらわれであり、業界の構造的問題、これは極めて深刻だというふうに私は思っております。
次に、貸し切りバスの業界、どこが問題点かと言われていることを言及しまして、党としての改善策を改めてここで提案させていただきます。
貸し切りバスの事業者というのは、実は、二〇〇〇年のときには全国で二千八百六十四社と言われておりました。その後、事業参入規制緩和がありまして、二〇一二年には倍近い四千五百三十六社にふえております。その結果、大手事業者の七割以上で運転手が不足している状態。また、運転手のなり手が少ないことから、運転手の高齢化も実は深刻になっておりまして、六人に一人が六十歳以上。二〇一四年には健康起因の事故が全国で九十六件も発生してしまっている。同時に、運転技術の未熟さも実は問題が
指摘されているところでございます。
そこで、まずやらなければいけないことは、私は、貸し切りバス業界のクリーンアップというか、洗浄化、悪質な業者に退出してもらうということをしっかりとやるべきだ、こう思っております。
法令
違反を起こした、なあなあにしない。これは走る凶器みたいなものなのですから、法令
違反を犯した事業者は重大な処分を科す、そして公開する。どこのバス事業者がどれだけいいかげんなのかということを利用者の皆さんに知らしめる、そうしたことによって、この業界から事業をできなくさせる。これは、
国民の命を守ることであって、当然やらなければいけないことである、私はそう思っております。その原則論を確立するべきだ、私はそう思います。
そして、次に、予防安全を抜本的に
改革しなければいけない。これはもう喫緊の
課題だと思っております。
バスの車両点検の徹底、これは当然のことでありますが、今義務化になっておりませんが、速度の制限装置。これは、長距離トラックはリミッターというのが義務化されているんですが、大型バス、長距離バスは義務化されておりません。また、デジタルのタコグラフとかドライブレコーダー、こういったものも義務化されておりません。今回のバスには搭載されておりませんでしたので、事故の状況がなかなか
分析ができない。現実の問題として直面をしております。
また、最近では、衝突被害軽減ブレーキの設置、新しい予防安全の装置もできているわけでありまして、こうしたものも大型のバスについては義務づけとしなければいけない、私
たち公明党はそう提案させていただいております。
また、運転手の運転技術向上についても、今の初任運転者に対する研修制度は大変問題があると言わざるを得ません。今の制度は、過去三年以内に別の貸し切り事業者で勤務していた運転手であれば、業務経験の内容を問わずして、初任者研修なしに大型バスに乗務することができるとなっているんです。ですから、前に別の会社で、大型バスの免許は持っているけれども、実際はマイクロしか運転したことがないというような方も、新しい会社に来れば大型バスを運転することができる。
しかし、これは、せざるを得ないような状況がある。今回も、まだ解明がはっきりしませんけれども、今回の事故の運転手さんもそうした状況にあったのではないかと言われているわけでございます。こうしたことは、やはりきっちりしなければいけない、私はそう思っております。
また、運転手の皆さんの高齢化に伴って、健康管理も大変大事な問題であります。
睡眠時無呼吸症候群の最も権威のある専門家の虎の門病院の医師の成井先生という方がいらっしゃるんですが、成井先生に伺った話によれば、バス業界の運転手の皆さんに対する睡眠、健康
対策というのは、トラック業界とか鉄道業界に比較して大変おくれていると率直な
指摘がございました。
これは国交省だけではなかなか立ち行かないところもあると思いますので、国交省のみならず、当然観光庁、そして厚生
労働省、また地域の
労働局、どうか、こういったものの横の連携をとって、しっかりこの健康
対策を遺漏なきようにしていただきたい、こう思うわけでございます。
そうした、いわゆるトラック事業者だけの話ではなくて、こうしたバス事業者が存在する背景としては、違法な旅行業の、下限割れ運賃を求める
たちの悪い旅行業者ですとか、ツアー催行社ですとか、ランドオペレーターという存在が私は大変大きなネックになっているというふうに考えております。
学生のスキーツアーというのは、これは昔からそうかもしれませんが、一泊三日ないし二泊四日で一万三千円から二万円という格安料金が当たり前、現実には下限割れ運賃になっていても全然不思議じゃない。しかし、この下限割れ運賃になっているかどうかというのは、実は利用者、旅行者の立場からわからないんですね。随分安いけれども、当然ルールを守られている運賃だろう、こう思ってやらざるを得ない。
まして、ツアーに参加するけれども、このツアーはどこのバス事業者を使うのかというのは、実はわからないんですね、現実は。義務化もありません。まあ、例えは違うかもしれませんが、飛行機を予約するときに、全日空に乗るのか、
日本航空に乗るのか、LCCに乗るのかわからないなんという変な話はないわけで、
国民の命と隣り合わせになっている話ですから、ツアーを申し込む、契約をするときには、バスの事業者がどこなのかということがはっきりわかる、そしてそのバスの事業者は下限割れ運賃をしていないということが担保される。これはやはり緩んでいるルールをしっかりと変えなければいけない、私はそう思っております。
そうしたことを実は先日、公明党として石井
国土交通大臣に申し入れをいたしました。
先日のときも申し上げましたが、貸し切りのスキーツアーバスというのは、今でも毎日相当な数が運行されております。変な言い方ですけれども、この前と同じような事件が起こるリスクというのは潜在的には存在しているわけです。必死になって国土交通省も抜き打ち検査等々やっていただいているということはよくわかりますけれども、しかし、やったけれどもまた同じことが起こったでは済まされない話であって、二十二のこれから新しい人生のスタートラインに立つ青年の夢をかなえさせることができないような大変悲惨な事故というのは絶対に起こしてはいけない、私
たちはそう思っておるわけでございます。
ですから、ぜひ、きょう、石井
国土交通大臣、細かい答弁は結構ですから、この所掌の最高
責任者として、私は、公明党の議員の魂を大いに発揮していただいて、断じて事故は起こさないという御決意をいただきたいと思います。