○中根康浩君
民進党の中根康浩です。
私は、
民進党・無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
障害者の
日常生活及び
社会生活を総合的に支援するための
法律及び
児童福祉法の一部を
改正する
法律案に対して質問いたします。(
拍手)
まず初めに、このたびの
熊本、大分を中心とした九州地方で
発生の
地震でお亡くなりになられた
方々の御冥福をお祈り申し上げ、被災された
方々に心よりお
見舞い申し上げます。
被災地では、いまだに大きな
地震が続いています。生死の重大な分かれ目となると言われる七十二時間を過ぎて、
被害の実態が徐々に判明するに従い、今回の
震災被害の重大さが明らかになってきています。
こうした深刻な
状況の中で、昨日は
TPP特別委員会の
審議が丸一日行われ、
安倍総理も
河野防災担当大臣も
委員会室に拘束されていました。
民進党、安住国対委員長は、腰を落ちつけて
審議できる
状況ではないとして、
TPP特別委員会の開催の見送りを提案いたしましたが、
与党側は、ぜひ進めてほしいという
安倍総理の意向により開催を押し切ってしまいました。
このようなやり方に対しては、昨日も我が党の大西健介
議員が
審議時間を消化したいだけではないかと
指摘したように、
政府の
災害対策優先は口先ばかりで、
TPPの
審議時間を積み上げることに腐心している姿にしか
国民には映らないのではないでしょうか。
例えば、ここにおられる命と健康と暮らしを守るべき塩崎厚生労働
大臣は、みずから
陣頭指揮をとって、医療の問題、住まいの問題、食料や水の問題、トイレの問題、災害弱者
対応などなど、やるべきことが幾らでもあり、
TPPどころではなかったのではないでしょうか。
塩崎厚生労働
大臣、昨日の一日は、
震災対応ではなく、
TPP特別委員会対応優先でよかったのでしょうか。
お尋ねいたします。
私の地元には、自動車関連企業が集積しています。その一つ、アイシン精機の子会社、アイシン九州の
熊本の工場が被災し、ドア部品やエンジン部品などの供給がストップし、トヨタも部品
調達に支障が生じ、愛知県内でも操業が停止されます。工業生産への
影響が長引けば
日本経済全体にも大きなダメージとなり、今後、雇用や学生の就職活動にも悪
影響がもたらされかねません。
九州の
震災の雇用に対する
影響をどのように
認識しておられるか、厚生労働
大臣に
お尋ねいたします。
ところで、このたびの
熊本地震の
政府の非常
災害対策本部の本部長は
河野太郎防災担当
大臣です。阪神・淡路大
震災や
東日本大震災の
対策本部長は
総理大臣でした。まさか
政府は、
熊本地震災害対策を軽く扱っているわけではないでしょうね。
今回の
地震の前震、本震、
余震の連続性や規模を
考えると、この
地震を軽く見てはいけないし、車中泊を続けている避難者も多数いるという
実情を見たとき、
政府を挙げて
全力で
対策を講ずるべきと
考えています。
我が党は、
対策本部長を
安倍総理に格上げすべきだと
思いますが、菅官房長官の
答弁を求めます。
東日本大震災の重要な教訓の一つは、災害時における災害弱者
対策のはずです。
高齢者、赤ちゃん、理解されにくい発達
障害の子供たち、意思疎通の困難な
障害者や女性に配慮した福祉
避難所の開設などが、今回の
熊本地震の
被災地においても求められているはずです。
福祉
避難所など災害弱者
対策は十分行われているのですか。
お尋ねいたします。
また、塩崎厚生労働
大臣は、こうしたことも十分
対応した上で、昨日の
TPPの
審議に臨まれたということでしょうか。
次に、
法案について質問してまいります。
旧民主党は、政権時に、
障害者等が当たり前に
地域で暮らせる
社会を目指し、
障害福祉
施策の充実に取り組んでまいりました。
特に、二〇一〇年は
障害者政策にとっては画期的な年でした。この年の一月七日、
障害者自立支援法違憲訴訟原告団と当時の長妻厚生労働
大臣が裁判の和解のための基本合意文書を結んだのです。二〇一〇年四月から低所得者の
障害福祉サービス等の
利用者
負担を無料化し、一二年の通常
国会で、
障害者自立支援法を廃止し、
制度の谷間をなくすため、
障害者の範囲に難病等を加えた
障害者総合支援法を成立させました。そのときの附則の
検討規定に基づく
改正が本
法案です。
障害種別や程度、年齢、性別を問わず、家族介護だけに頼らずに、一番心配されている親亡き後への不安を解消し、安心して
地域で自立した生活ができる
法案になっているかどうか、精査する必要があると
考えます。
具体的に伺ってまいります。
本
法案は、高齢
障害者が
障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを
利用する場合に、介護保険の
利用者
負担を
障害福祉
制度により軽減できる
仕組みを設けるとしています。
しかし、厚労省は、
負担軽減の
対象者について、六十五歳に至るまで相当の
長期間にわたり
障害福祉サービスを
利用していた一定の高齢
障害者に限定するとしています。
厚労省は相当の
長期間として五年程度を想定していて、例えば、六十歳を超えて
障害認定された方は
負担軽減の
対象にならない見込みです。また、若年の
障害者の方、例えば、三十代でALSを発症して
障害福祉サービスを
利用していた方が四十歳から介護保険サービスを
利用する場合も、
対象となりません。
負担軽減の
対象とならない
方々に対しては何の救済策もないのですか。明確な
答弁を求めます。
また、介護給付を
利用するためには介護
認定を受けなくてはなりません。例えば、
障害支援区分六の知的
障害者が介護
認定を受けると要介護二ぐらいになると言われています。このような場合でも、今まで
障害福祉サービスで受けていたものと同じサービスが受けられるのか、
答弁を求めます。
さらに、この
負担軽減の
仕組みは償還払いとなっていますが、代理受領を認めるなど、一時払いのできない低所得者への配慮を求めますが、いかがでしょうか。
厚労省は、
障害福祉
事業所が介護
事業所になりやすくする
方針ですが、
事業所の事務の複雑化や
負担増への支援は盛り込まれていますか。いかがでしょうか。
この
仕組みが、将来の介護保険と
障害福祉の統合への布石との不安の声について、どのように
説明されるでしょうか。
本
法案は、定期的な巡回訪問や随時の
対応により、円滑な
地域生活に向けた相談、助言等を行うサービスを新設するとしています。
対象は、
障害者支援
施設やグループホーム等を
利用していた
障害者でひとり暮らしを希望する者等と想定されています。この等の中に何が含まれるのか、明らかにしていただきたい。
また、支援
内容に個別の介護を含め、親御さんが元気なうちに
地域で自立した生活を送ることができるように、親元などからひとり暮らしをする場合も
対象に含めるべきだと
考えますが、
見解を伺います。
改正案では、最重度の
障害者であって重度訪問介護を
利用している者に対して、入院中の医療機関においても、
利用者の状態などを熟知しているヘルパーを引き続き
利用することができるようにしています。
そこで、実際に支援を必要としている
障害者が
利用できるかどうかが重要となりますが、厚労省の
説明では、
障害支援区分六の者を
対象とする予定とされていますが、
障害支援区分が四や五の者であっても、例えば、言語
障害が強いとか、なれた人でないと意思疎通が困難な人がいます。区分六以外の人であっても、個別の必要性に応じて
利用できるようにすべきと
考えますが、いかがでしょうか。
骨格
提言に示された多くの改革案のうち、今回の
改正案に盛り込まれたものは一部にすぎないとの見方があります。
法案附則第二条では、施行後三年を目途に、積み残し
課題について必要な
措置を講ずる旨の規定があります。積み残された意思疎通支援など、今後も引き続き
実現に向けて
検討していくことを約束していただきたいと
思いますが、いかがですか。
本
法案では、
障害者の
地域生活支援に関するサービスなどを新設するとしていますが、サービスを担う人材の処遇改善を行わなければ、十分なサービスを提供することはできません。処遇改善を行わなければ、
法案に規定されたサービスの充実は絵に描いた餅になってしまいます。今からでも遅くはありません。
政府・
与党は、介護職員等の処遇改善
法案を否決したことを猛省し、
障害福祉従事者の処遇改善を行うことを表明すべきではありませんか。明確な
答弁を求めます。
安倍政権が取りやめた総合合算
制度は、
制度単位ではなく、家計全体をトータルに捉えて、医療、介護、保育、
障害福祉に関する
負担の合計額に
上限をかける
制度です。この
制度があれば、
障害福祉サービスに加えて、介護保険サービスや保育所など、さまざまな
制度を
利用している世帯の
負担を抑えることができます。これを取りやめることは、
障害者の支援を拡充するという本
法案の
趣旨に反するのではないですか。
一億総活躍をうたう
安倍政権のもとで
障害者の
方々へ向き合う
姿勢について
お尋ねいたします。
障害者差別解消法が四月一日に施行されました。この
法律の合理的配慮という理念は、
障害者政策を
社会モデルに転換するもので、この国の風景を変える力を持つと確信しています。また、この
法律の特徴は、自治体による上乗せ、横出しを期待していることです。
しかし、
障害者からの相談を踏まえて、
障害を理由とする差別を解消するための
取り組みなどを協議する、
障害者差別解消支援
地域協議会の準備が進んでおりません。全国の自治体のうち、協議会を既に設置した、もしくは設置予定という自治体は約三割にとどまっています。このままでは、
障害者の要望が差別解消の
取り組みに反映されにくくなることが
懸念されます。今後、どうやって、全国の自治体で協議会を設置するのか伺います。
民進党を含め野党は、今
国会に児童扶養手当法及び
国民年金法の一部を
改正する
法律案を提出いたしました。その中に、
障害基礎年金の加算の
対象となる子供の範囲を
拡大し、二十歳未満の学生等を追加することを盛り込んでいます。
障害基礎年金を受給している世帯の子供が大学等に進学しやすくなることが期待されます。しかし、残念ながら、現時点では、本
法案について
与党の皆さんの賛同が得られる見込みは立っておりません。
このままでは、
安倍政権は、
障害者支援、子供の貧困
対策に後ろ向きと言われても仕方がありません。
障害基礎年金の加算の
対象となる子供の範囲を
拡大することに対する
政府の
見解を伺います。
政府から上から目線で一億総活躍などと言われなくても、もともと全ての人が、みんな違ってみんないい、みんなそのままで輝いている存在のはずです。
障害者政策は弱者
対策ではなく、一人一人の個性や特性を引き出し、育て、生かすことだと
考えます。
人の世が人の世らしく、全ての人が生まれてきてよかった、いてくれてよかったと喜び合い、認め合い、支え合う共生
社会を
実現していくため、
民進党は
障害者政策に
全力で取り組むことを申し上げて、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣塩崎恭久君
登壇〕