○角田秀穂君 公明党の角田秀穂です。
私は、公明党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
東日本大震災からの
復興のための
施策を実施するために必要な
財源の
確保に関する
特別措置法及び
財政運営に必要な
財源の
確保を図るための
公債の
発行の特例に関する
法律の一部を改正する
法律案、
所得税法等の一部を改正する
法律案について、
賛成の立場から
討論を行います。(
拍手)
初めに、いわゆる特例
公債法案について、主な
賛成理由を述べます。
間もなく
東日本大震災の発災から丸五年を迎えます。しかしながら、五年たった今なお、十七万人を超える方々が避難
生活を余儀なくされているという現実を私たちは重く受けとめなければなりません。
政府・与党が一丸となり、被災者の声をしっかりと受けとめ、引き続き、
生活の再建、人間の
復興に重点的に取り組んでいく必要があります。
そのため、本法案では、
復興財源を
確保するための
復興債の
発行期間を五年延長し、新たに
平成二十八年度からスタートする
復興・創生期間を起点に
復興を加速化させ、避難
生活をしている方々に、もとの暮らしができるように取り組んでいくこととしております。これからも被災者に寄り添いながら必要な
施策を講じていくことが極めて重要です。
また、
平成二十八年度から三十二年度までの五年間、特例
公債を
発行できるようにし、
民主党政権以来、
目標としてきた二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化
目標の達成を目指しております。
もちろん、むやみに国の借金をふやすことは許されません。財政法の特例という基本はしっかりと踏まえた上で、特例
公債の
発行を抑制し、プライマリーバランス黒字化
目標や
経済財政健全化計画を推進していくことが重要です。
その点、本法案では、各年度において特例
公債の
発行額の抑制に努めることとしており、無駄な
発行をしないための
措置が講じられていることも評価をいたします。
政府が掲げている
経済再生なくして
財政健全化なしとの方針のとおり、まずは
経済の底上げに力を入れることが重要であると考えます。
次に、
所得税法等の一部を改正する
法律案について主な
賛成理由を述べます。
今般の税制改正では、公明党がかねてより一貫して導入を主張してきた
消費税の
軽減税率制度について、
消費税の
引き上げ時から実施することが盛り込まれました。
軽減税率制度は、
社会保障の
財源確保に留意しつつ、
消費税率の
引き上げに伴う痛税感の緩和を図るものであり、何よりも、毎日の
生活に必要な食料品や飲料品だけでも税率を軽くしてほしいという庶民の切実な願いに応える重要な
制度であります。
また、低
所得者ほど税
負担が重くなる
消費税の逆進性の緩和の
観点から見ても、
負担軽減割合は
所得の低い人ほど大きくなる、すなわち逆進性緩和に効果があることはこれまでの議論でも明らかになっております。
平成二十四年に
民主、自民、公明の三党で合意した
社会保障と税の一体改革では、合意に基づいて修正された税制抜本改革法により、低
所得者に配慮する
観点から、総合合算
制度、給付つき税額控除、複数税率すなわち
軽減税率制度の導入について総合的に検討することとされました。
この三党合意に基づいて、
政府・与党として丁寧な議論を積み重ねてきました。その結果、給付つき税額控除では痛税感の緩和につながらず、
制度の前提となる
所得や資産の正確な把握が可能となる見通しも立っていないことなど、大きな
課題があり、
軽減税率制度が唯一現実的かつ適切な
制度との判断に至ったものです。
これに対して、
軽減税率制度も含めて検討することで同意したその当事者である
民主党が
軽減税率制度を
批判していることについては、
国民に対しても極めて不誠実な態度と言わざるを得ません。
次に、
軽減税率の対象品目については、酒類、外食を除く食料品全般及び一定の新聞の定期購読料とされました。
生鮮食料品だけでなく加工食品も対象となったことにより、
国民の痛税感をさらに緩和することができ、逆進性対策としても効果的な
制度となっております。
また、外食を除くとしたことで、その線引きは極めて重要です。定義が揺らいでは恣意性が入る余地が出てしまい、租税法定主義の根幹が揺らぎかねません。定義をしっかりと踏まえながら、税務当局においては滞りなく円滑な導入に万全を期すよう強く求めます。
また、
事業者等の事務
負担を
軽減するため、区分経理や事務
負担については、インボイス
制度の導入までの間、これまでの帳簿方式を
基準にした簡易な
制度で
対応を行うこととしております。
特に、中小企業、小
規模事業者の
負担軽減のために、今年度の予備費から九百九十六億円を
確保して、レジの購入額の三分の二または四分の三を補助するほか、電子受発注システムの改修についても三分の二を補助し、
補助金を超える分についても低利融資を利用できるようにしています。
また、今年度
補正予算において、商工
会議所などの中小企業団体が実施する講習会や相談窓口の設置などの
事業者へのサポート体制
整備のため、百七十億円が計上されております。
来年四月の円滑な導入に向け、
政府一体となって
取り組み、
事業者の
負担軽減に努めていくことが何よりも重要です。
次に、本法案で、国、
地方を合わせた法人実効税率を二〇%台に引き下げるとしている点は、企業の体質改善を促し、
日本経済の再生を加速化させるものと考えます。企業の収益や税率引き下げにより生まれる資源が、内部留保にとどまらず、設備
投資の拡大や賃上げなどにつながることが重要です。
政府においては、法人税改革の効果が十分に得られるよう、さらなる
取り組みを求めます。
財源については、外形標準課税の拡大などで
確保しますが、
日本経済の屋台骨である資本金一億円以下の中小企業には適用されないこと、また、
事業規模が一定以下の中堅企業で
負担増となる場合の
負担軽減措置を
拡充している点は、実情を踏まえた適切な
対応と評価をいたします。
他方、
国民生活に対する税制上の配慮もなされております。
三
世代で同居するために自宅をリフォームした場合には、
所得税額を
最大で二十五万円減税することや、ローンを組んでリフォームする際は、
最大六十二万五千円分を五年に分けて
所得税額から控除する仕組みが盛り込まれております。
三
世代同居は、
子育てしやすい
環境を
整備する
観点からも重要であり、
希望出生率の向上にも資するものと考えます。
また、現在、相続等によって発生する、使われる見込みのない古い空き家の数は、毎年、平均六・四万戸
増加し、そのうちの約七五%が旧耐震
基準のもとで建築をされております。この現状を踏まえ、空き家対策としての税制上の
措置も講じております。
具体的には、相続した空き家については、三年以内の空き家または除去後の土地を譲渡した場合、譲渡
所得から三千万円を非課税にすることとしており、
政策的な効果が期待されます。
以上、主な
賛成理由を述べさせていただきました。
財政健全化は
我が国の
最大の
課題です。二〇二〇年プライマリーバランス黒字化という
目標を堅持しつつ、
国民の理解を得ながら、丁寧にこの問題に取り組まなければなりません。
また、
経済成長の成果を速やかに
地域や家計へと循環させることも重要です。公明党は、
国民の皆様に景気の改善を実感できる
政策の推進にこれからも全力で取り組んでいきます。このことをお約束し、私の
賛成討論といたします。
ありがとうございました。(
拍手)