○穀田恵二君
質問に先立ち、冒頭、一言します。
本日、
北朝鮮は、水爆
実験を実施したと発表しました。
北朝鮮による
核実験の強行は、地域の平和と安定に対する極めて重大な逆行であり、一連の国連
安保理決議、二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に明確に
違反する暴挙であり、
日本共産党は、厳しく糾弾するものであります。
私は、
日本共産党を代表して、
安倍総理に
質問します。(
拍手)
ことしは、
日本国憲法公布七十年という節目の年です。
憲法は、「
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が
国民に存することを宣言し、この
憲法を確定する。」と高らかにうたっているのであります。
ところが、安倍自公政権は、昨年の
通常国会で、この
憲法の精神をじゅうりんし、歴代
政府の
憲法解釈を百八十度転換して、集団的自衛権の行使を可能とする安保法制、すなわち戦争法の強行成立という暴挙を行いました。
憲法違反、立憲主義、
民主主義の否定の暴挙であり、断じて許すことはできません。
この暴挙に対して、
国民的運動は空前の広がりを見せました。強行成立の後も、世論調査では戦争法
反対が
国民の多数であります。主権者の一人として暴挙を決して忘れない、
安倍政治を許さないと、戦争法の廃止、立憲主義の回復を求める運動として一層の広がりを見せています。総理、この声が聞こえているのですか。
私
たちは、戦争法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を断固として求めるものであります。
答弁を求めます。
総理は、強行成立後、今後も誠実に粘り強く
説明を行っていくと述べました。ところが、
野党が
憲法五十三条に基づいて求めた
臨時国会の
召集さえ無視して、戦争法の具体化、実行にひた走っています。
十一月には、新たな日米間の同盟調整メカニズムと共同計画策定メカニズムの設置に
合意しました。
これらの仕組みを通じて、平時から緊急事態まで切れ目なく、地球規模で軍事
協力を推し進め、そのための共同計画を策定、更新するとしています。これは、アメリカが世界の紛争に軍事介入したときに、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、
日本が参戦するための体制づくりそのものではありませんか。
戦後初めて五兆円を超す軍事費の増大も見逃すわけにはいきません。財政の面から戦争法を支えるものにほかならないではありませんか。これをどう
説明するのですか。お答えください。
パリで同時テロ事件が発生し、アメリカを初めとする有志連合は、過激派組織ISに対する空爆を初めとした軍事作戦を強化しようとしていますが、軍事作戦の強化では問題は
解決しません。逆に憎しみの連鎖を生み、テロと戦争の悪循環をつくり出すことになります。自衛隊を派遣することは絶対にやってはなりません。
問題は、世界からどうやってテロをなくすのかということです。
私
たちは、一つ、国連
安保理決議に基づき、テロ組織への資金提供の遮断、テロリストの国際的移動の阻止、テロリストの武器入手の防止など、テロ組織を直接抑える、二つ、貧困や
政治的、宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を行う、三つ、シリアとイラクでの内戦、混乱を
解決し、平和と安定を図るための
政治的、外交的努力を図る、四つ、難民として苦しんでいる人々の人権を守り抜くための国際的な
支援を抜本的に強める、以上の四点を提案するものです。総理の見解を求めます。
沖縄の米軍基地問題です。
沖縄県の翁長知事は、昨年十月、名護市辺野古への米軍新基地建設にかかわる埋立承認を取り消しました。これに対し、
政府は、私人の権利救済を
目的とした行政不服審査
制度を悪用して工事を再開し、承認の取り消しそのものを消し去ろうと翁長知事を裁判に訴え、さらに、露骨な地域振興策で住民を分断しようとしています。
沖縄は、第二次世界大戦の末期、本土決戦、国体護持のための捨て石にされ、県民の四人に一人が犠牲になった苛烈な地上戦が繰り広げられました。戦後もサンフランシスコ講和条約第三条によって本土から分断され、その後も米軍の統治下に置かれ続けました。そのもとで、国際法にも
違反し、住民の土地が強権的に奪われ、広大な米軍基地は構築されたのであります。この歴史を総理はどう認識しているのですか。
普天間基地について
政府は、一日も早い危険性の除去を強調しますが、そもそも、一九九六年に返還を
合意しながら、移設条件をつけ、世界一危険な基地を放置してきたのは誰か。深夜、早朝の米軍機の飛行を野放しにし、米軍のオスプレイ配備計画をひた隠しにしてきた事実を忘れたのですか。住民の安全よりも米軍の運用を優先してきた
政府の姿勢こそ改めるべきであり、今こそ移設条件つきをやめ、普天間基地を直ちに閉鎖、撤去することを強く要求するものであります。
次に、
経済と暮らしの問題です。
安倍政権の三年間が進めてきたのは、世界で一番企業が活動しやすい国をつくることを標榜し、大企業がもうければ
国民も潤うという
経済政策でした。このもとで、
経済と
国民の
生活の状態はどうでしょうか。
大企業の経常利益は六割以上も増加、史上最高の大もうけで、内部留保も三百兆円を突破しています。他方、
国民の
所得と消費は、実質で見れば三年前を下回ったままで回復していません。
生活保護の受給者数は過去最高となり、いわゆるワーキングプアは一千百万人を超えるなど、
アベノミクスが深刻な格差拡大と貧困をもたらしたのであります。今や
安倍総理の
経済政策の誤りは明瞭ではありませんか。
答弁を求めます。
そもそも
経済とは、経世済民、すなわち世を治め、
国民の苦しみを救うことです。公正な分配、富の再配分をすることが求められているのです。
にもかかわらず、
安倍政権は、経団連の意向を受け、税制改正大綱に、「「稼ぐ力」のある企業等の税
負担を軽減する」と明記し、大企業に対する優遇税制をさらに拡大しようとしており、一六年度以降に法人実効税率を二〇%台にしようとしていることは重大です。
しかも、この減税の
財源を、法人の課税ベースの拡大、外形標準課税の拡大により
確保するとしています。これまで法人税を
負担していない赤字企業や中堅企業への課税を強化しようというのであります。赤字企業などに増税を行い、それを
財源として、もうけ過ぎで内部留保をため込んでいる大企業に減税するなど、とんでもない税制です。稼ぐ企業にこそ応分の
負担を求めるべきではありませんか。
答弁を求めます。
一方で、
国民には、一七年四月の
消費税一〇%への大増税を押しつけようとしています。
軽減税率と称していますが、何が軽減ですか。食料品や新聞などの税率を八%に据え置くだけにすぎません。新たに四・五兆円を超える
国民負担を押しつける口実であり、一世帯
当たり、今より四万円以上の大増税になるのは明瞭ではありませんか。
消費税率を一〇%に
引き上げることは、低
所得者ほど
負担割合が高い
消費税の逆進性がますます進むことになります。これは
政府も認めてきたことではありませんか。低
所得者対策を言うならば、
消費税増税を中止し、
消費税頼みの道から転換すべきです。
その上、この間の
社会保障改悪に続けて、来年度は、
年金の
給付引き下げ、入院給食費の
負担増、福祉
給付金の半減や診療報酬の減額などの改悪をしようとしています。総務省や厚労省の調査でも、全ての年齢層で
社会保険料の
負担がふえ、
所得が少ない人ほど
負担割合は増加しています。
社会保険料と
消費税が、二重三重に
国民の家計に
負担を押しつけ、苦しめています。
憲法が保障する生存権を侵害するという状態と言わなければなりません。総理の見解を求めます。
東
日本大震災、福島原発事故による被災者の問題です。
あと二カ月で、東
日本大震災、東京電力福島第一原発事故から五年が
たちます。五年がたとうとする今でも、十八万人を超える被災者が避難
生活を強いられています。災害関連死は三千三百三十八人にも達しています。
政府が、復興計画による大型事業を推し進める一方、
医療費や
介護保険料の
負担減免など被災者に対する
支援を早々と地元に押しつけてきたことが、こうした深刻な事態を引き起こしているのではありませんか。被災者の基本的人権がないがしろにされている現状をどう認識しているのでしょう。
被災自治体に自立を促すとして地元
負担を押しつけることは、一日も早い復興に努力している被災者や被災自治体に水を差すことになりかねないではありませんか。
商店が成り立つためにも、
人手不足の水産加工業など、なりわいと地場産業を復興する上でも、住まいの再建は待ったなしの状況にあります。そのためには、被災者
生活再建
支援金を最低でも五百万円、住宅が再建できる水準に
引き上げることが不可欠ではありませんか。
福島原発事故について、事故による被害が続いているにもかかわらず、一方的に避難指示を解除し、帰還するかどうかの選択を迫り、東京電力が損害賠償を打ち切るなどは言語道断です。直ちに改めるべきであります。
東電福島原発事故そのものの原因究明はいまだ不十分です。収束どころか、ふえ続ける汚染水問題
解決のめどさえ立っていません。原発事故が発生した際の住民の避難
対策や
生活再建を保障する
対策も曖昧なまま、川内原発を初め既存の原発を再稼働させるなどは、決して行うべきではありません。
最後に、
民主主義と
政治のあり方についてです。
憲法の前文は「
日本国民は、正当に
選挙された
国会における代表者を通じて行動し、」と始まります。
一昨年の総
選挙で、
自民党は、全有権者の一七%にすぎない支持で二百九十もの議席を獲得しました。小
選挙区制による虚構の多数議席の力で、
憲法違反の戦争法の成立まで強行したのです。これが正当な代表と言えるのか、主権者の声を聞け、これが
国民の声です。
国民は、
国会の議席と民意の乖離を根本から改めることを求めています。
七十年前の女性参政権以来、
選挙権年齢が十八歳からに拡大することし、
国民の代表の選び方について
国民的
議論をすべきです。
選挙制度の基本原則は、
国民の多様な民意を鏡に映すよう正確に
国会の議席へ反映するものでなければなりません。これに逆行する現行小
選挙区制は廃止すべきであります。同時に、金の力で
政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止、
憲法違反の
政党助成金の廃止を求めるものであります。
総理、立憲主義とは何でしょうか。たとえ
国会で多数を持つ政権党でも、
憲法の枠組みに反する
政治をしてはならないということではありませんか。
立憲主義、
民主主義、平和主義の擁護と再生は、誰もが自由で尊厳ある暮らしを送るための
前提となるもの、これは多くの市民の共通の思いです。立憲主義を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる
安倍政権が
憲法改正を口にするなど、断じて許されません。
日本共産党は、
憲法の精神が息づく
日本の
政治の歴史的転換の年とするため全力を尽くす決意を表明して、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕