○宮崎(政)
委員 県民の中にもさまざまな考えの方がおられるでしょう。
日本は民主主義
国家ですから、さまざまな言論も自由もあっていいと思っています。ただ、多くの沖縄県民、ほとんどと言った方がいいんじゃないのかもしれないですけれども、先
住民族だと思っていませんし、ましてや、一億三千万人の
日本人が、沖縄県民というのは先
住民族なんだというふうに思っている人はいないと私は思っています。
そういう私の個人的な考え、そして多くの
国民の
皆さんと同じ
立場であると思っていますが、まことに失礼な話じゃないかなというふうに思うわけです。言ってみれば、私の家に勝手に入り込んできて、うちは三人子供がいるわけですけれども、この子供の一人に向かって、君
たちは兄弟だと思っているかもしれないけれども、兄弟じゃないよというふうに勝手に言われているんじゃないか、こういう印象すら受けるわけであります。
先ほども申し上げたように、
日本人全体が恐らく知らない、
皆さんは知らないと思いますけれども、知らないばかりか、言われている沖縄県民もほとんど知らないというような
状況で、勝手に先
住民族として扱われているということなわけであります。
今、法的拘束力がないという御答弁でありましたけれども、私
たちにしてみたら、
政府に、勝手なことを言わせないでくれ、
責任を持って、事実と異なるようなことを言わないでくれというふうに抗議をしてほしいんですよ。この
民族分断工作と言ってもいいようなことを放置しないでほしいと私は思っています。
この勧告は国益にかかわる大きなリスクがあると思っています。資料の一の、先ほど読み上げましたが、二〇一四年、平成二十六年八月の勧告には、再度読みますが、こう書いてあるんです。
締約国、これは我が国ですね、
締約国は、法制を改正して、琉球及び沖縄のコミュニティーの伝統的な土地及び天然資源に関する権利を十分保障するためのさらなる
措置をとるべきだと言っているわけです。
尖閣諸島を含む沖縄の土地、天然資源がどこに、誰に帰属するのかということを問題にされかねない話であります。
改めて言うまでもないことですが、沖縄、尖閣諸島を含めて、
日本の国土であります。当たり前のことに、あえて疑問を差し挟まれているかのような印象が拭えないですね。沖縄というのは、紛れもない
日本であります。
民俗学者の柳田国男という人がいます。方言の研究が有名であります。京都から生まれた言葉が同心円のように周囲にどんどんどんどん広がっていくので、都から遠く離れたところでは、例えば東北と九州で同じ言葉が残っている、方言周圏論というのを彼は研究して
日本の民俗学を打ち立てていった人でありますけれども、沖縄でも全く同じような言語があるんです。
例えば、昆虫のトンボというのがいますけれども、トンボは、最も古い言葉では、古事記でアキズというふうに表現をされるそうであります。これがどんどんどんどん同心円状に広がっていって、東北の岩手県や宮城県ではアゲズというふうな方言の言葉が残っている。そして、どんどんどんどん九州の方に行くと、宮崎県や鹿児島ではアケズと言う。沖縄の古い方言では、昆虫のトンボのことをアーケージューと言うんですね。同じなんです。
つまり、こういう古事記に記された言葉、万葉言葉も沖縄には残っていて、言語
一つとってみても、
日本語を使う
日本人が古来から沖縄に住んでいるということであって、私
たち沖縄県民は紛れもなく
日本人でありまして、先
住民族ではありません。
政府には、
国連に抗議をして、こういう承服できない勧告を撤回させてほしいと思っています。
資料の三をごらんいただきたいと思います。
資料の三は、沖縄県の豊見城の市議会が昨年の十二月二十二日に、先
住民族だという勧告を撤回させてくれという議会決議をしております。上から四段落目、「しかし、」というところから始まるところでありますけれども、「しかし、私
たち沖縄県民の殆どが自分自身が先
住民族であるとの自己認識をもっておらず、県民の知らないところでこのような勧告が出されているのは甚だしく遺憾であると言わざるをえない。」こういうふうに指摘をしています。全くそのとおりだと思います。
沖縄には、さまざまな困難な問題が今もありますよ、これは。基地の問題、戦争を踏まえた歴史的なさまざまな問題。基地の問題なんかは、過重な負担を解消してほしい、もっと
日本国全体で分かち合ってほしい、何とかそういうことが解決に結びつく
行動に結びついてほしいという思いをふつふつと、百四十万県民みんな持っています。
歴史という意味では、誇るべき
文化も持っています。私自身も、実は、沖縄では琉球王朝絵巻といって、中国の冊封体制だったときに、冊封使が首里城に来たときに、王様に認めるよというふうにやった絵巻の行列儀式というのを復元したものがありまして、私も初めて参加したのは二十年前ぐらいになりますけれども、そんなものに参加して、中国から来た役人さんの格好をして行列を歩いたりみたいなことをしています。大人も子供もこんなことをやったりして、
文化を大切にして、誇りに思って保存している。
でも、そのこととこの問題は全く違うんです。全く異質なものでありますので、放置することなく、しっかりと
対応してもらいたいと思っております。
既に、資料の一と二で示したように、四回も勧告されているんです、同じような趣旨で。これが累次にどんどんどんどん積み重ねられていってしまうということになると、しかも、承服できない勧告が出たにもかかわらず、抗議もしない、撤回も求めないということになれば、これがあたかも既成事実であるかのようにひとり歩きすることも考えられないでしょうか、国際
社会で。どうか、そういう
取り組みをしてもらいたいと思っております。
政府としての見解をお聞かせください。
〔
委員長退席、中根(一)
委員長代理着席〕