○池内
委員 一千四百七十万円という
予算は決して国家
予算としては巨額であるというふうには私は思わないので、ぜひ毎年配っていただけるように、現場からも、ぜひ増刷してほしいという声も届いていますので、行っていただきたいと思います。
そしてJKビジネス、そしてこれから触れるAVビデオなどの危険を啓発するページをつくっていただきたいということを私も要望しましたが、
検討いただけるということで、ぜひやっていただきたいと思っております。
きょう取り上げたいテーマのもう
一つは、アダルトビデオと
性暴力の問題です。
膨大な量のアダルトビデオが今流通をしています。そこで流されている
女性の映像のうち、果たしてどれだけの人たちが自分の選択で自分の意思で出演しているのか。
長らく信じられてきた言説があります。AVには被害者などいない、
女性は皆同意のもと撮影に応じているし、それ相応の対価も得ているのだから問題はないと。私は、それは本当だろうかというふうに思います。とりわけ裏ビデオと言われるものとか、インターネットを通じて配信されている画像というのがどうなのか。
二〇一五年の九月に、AVに出演を強要された
女性が契約不履行として損害賠償を求められた裁判で、損害賠償の必要はないとする、とても注目すべき判決が出されました。
ちょっと事件の概要を紹介したいと思います。
この裁判の当事者となった
女性は、ある繁華街の駅頭でスカウトマンから、タレントにならないかと勧誘をされた。Aさんは、普通のタレントだと考えて、わいせつな行為をするとは想定をしないままに営業委託契約書に署名捺印をしました。当時は高校生で、保護者の同意もなく、契約書のコピーも本人には渡されませんでした。普通のタレントとして扱われると思っていたら、最初からわいせつな仕事をさせられた。その後も、契約書の存在を盾にわいせつな仕事をさせられて、プロダクションの一存でAV撮影も強行されてしまいました。
女性は、やりたくないと懇願をしたけれ
ども、既に契約が成立しているので、もし従わなければ違約金が生じると、高校を卒業して進学をしていた彼女には到底支払うことができない金額を示されて、彼女はやむなく応じざるを得なかった。撮影の一日目には数名の男性によって性行為を繰り返し強要された、そのショックで放心状態にあるときにAV出演の契約書に署名捺印をさせられたということです。
その後もAVの撮影が続いて、もうやめさせてほしいと何度も懇願したけれ
ども、聞き入れてもらえなくて、あげくに、AVに出演しなければ一千万円の違約金が必要だとおどされて、AVの撮影に従事をさせようとしたわけなんです。
女性は出演を拒否して、こうした
女性の救出、
支援を行っている民間団体、PAPSという団体ですが、自力で探し当てて相談をしたわけなんです。相談を受けたPAPSは直ちに契約解除の通告を行って、プロダクション側から
女性に損害賠償請求を行った。けれ
ども、そのプロダクション側の要求が認められずに今回
女性は救われた、こういう案件です。
この判決は、こうした状況に置かれている多くの
女性たち、恐らく沈黙を強いられている
女性たちにとても大きな励ましとなったと私は思います。なぜなら、この判決以降PAPSに寄せられた相談が、二〇一三年には一件だったものが、二〇一五年には十二月七日までに七十九件もの相談が寄せられて、三月三日に国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが記者会見で公表して、さらにふえているんです。三月二日までに百三十一件に達したということです。私はこれすら氷山の一角だというふうに思いますけれ
ども、これを見ても、いかに多くの
女性たちがAVの
性暴力被害を受けてきたかということがわかるというふうに思います。
重ねて言いますが、判決は、AVへの出演は、原告、これは芸能プロダクションのことですけれ
ども、この原告が指定する男性との性行為をすることを内容とするものであるから、被告、これは
女性の方です、この意に反して従事させることが許されない性質のものである、このように決して、契約解除が正当であるというふうに述べました。
これは本当に私は画期的な裁判だったと思います。契約書があるからAVへの出演は拒否ができない、多額の違約金を払うことができないのでやむなく出続けなければならないというふうに沈黙をずっと強いられてきた、声を上げることさえもできなかった
女性たちにとって、本当に大きな力となる判決だと思います。
河野大臣と
加藤大臣にお伺いしたいんですけれ
ども、私は、現に被害を受けている
女性たちが、本来違法であったはずの、この無効となるべき契約破棄に立ち上がることができるようにしていくためにも、新たな被害を生まないというためにも、この判決の趣旨を広くポスターなどで国民に広報すべきだというふうに思うんですけれ
ども、いかがですか。