○清水
委員 私は、今の
河野大臣の述べられた答弁については意見があります。
といいますのは、今おっしゃられたのは、
値段だけではなく、
バスの
安全性について、
消費者に対してちゃんとその評価がわかるように表示するような流れをつくっていこうということなんですが、これは裏を返せば、
消費者にその責任を負わせるということにつながる場合があると私は思うんですよ。
というのは、やはり学生というのはお金がないですから、百円でも安い
バスツアーを選びますよ。リフト券がついて、弾丸
ツアーであっても一万円から三万円ということであったら飛びつくんです。だから若い学生が乗るわけですね。
しかも、どの
バスが安全なのか、どの
バス会社が信用できるのかということも含めて
消費者の側に委ねるというのは、私はちょっと本末転倒だと思います。どんな
バスでも、参入している
バスは全て、スキー
ツアーバスは安全だということが前提でなければ、それは本当に国としての
役割、
消費者庁としての
役割を果たせるのかなというふうに私は思うんですね。
それで、今回の
バス事故の原因というのは、やはり根は深いと私は思うんです。
今回、ゼミ生を亡くされた尾木直樹さん、通称尾木ママと言われておりまして、テレビや週刊誌でも有名な方ですが、直接
お話を伺いました。やはり、ずさんな経営を続けていた
バス事業者、とんでもない、違反を繰り返し。同時に、キース
ツアーですか、ダンピングして、法定料金を払わずに請け負いさせる、とんでもない。しかし、そうした
事業者を放置し続けてきた国の責任を尾木直樹さんは問うておられるんですよ。
これはやはり根は深くて、二〇〇〇年の規制緩和以降、
バス事業者が参入して、過当競争が拡大して、
お客さんのとり合いになって、
値段のダンピングが横行し、法令違反を繰り返す
バス事業者が増大した。そして、そのしわ寄せはどこに行ったかというと、やはり
バスの運転手。低賃金、あるいは非正規、アルバイト、こういうところに押しやられていくということがあったと私は考えております。
そういう点では、本当に
消費者庁としてこのような
事故を起こさないというのであれば、国交省任せにするのではなく、また、
消費者の方に
安全性を確認させる、選択を委ねる、そういう責任を転嫁するのではなく、
消費者庁として、誰もが乗る、国民が乗る
ツアーバスは安全だというふうにしていくという心構えがとにかく大事だと私は思っています。
その点で、私は
二つ言いたい。
一つは、国交省でいいますと、やはり参入規制。これを緩和したことによって悪質業者がどんどん参入してきた。大体、監査員というのは三百数十人で十二万社あるトラック、
バス、タクシーを監査する。とても追いつきません、
バスだけで四千五百ぐらいあるわけですから。実際、今回
事故を起こした業者に対しても、漏れていたということですよね。
ですから、そういう点でいうと、国交省に対して、規制をしっかりとやりなさいという観点と、もう
一つは、運転手の健康管理ですよ。
運転手の過労死というのは全産業の労働者の約三割を占めるんですよ。今の自動車運転者向けの改善基準告示というのは、一日十六時間拘束できます。十三日連続勤務が許されています。インターバル時間は、制限されているのが最少で八時間しかありませんから、八時間寝ることもできないこともある。だから、この自動車運転者向けの改善基準告示をやはり見直すべきだということがずっと現場からは言われているんですよ。
となると、
消費者庁としては、国交省に対しては、規制をもっとしっかり強化しろ、悪質業者をしっかり取り締まれるように監査の体制を強化しろということ、そして、
厚生労働省に対しては、自動車運転手の健康管理、ひいては改善基準告示の見直し。これはずっと言われてきていることですけれども、国交省も厚労省も推進しないんですよ、現状。これを誰が指示するのかといえば、私はこれは
消費者庁しかできないと思うんです。
そういう観点が
大臣におありかどうか。そういう心、牙をむくというふうにおっしゃいましたね、「
消費者庁は常に牙をむき、」と。それは、産業育成省に対して、
事業者の
利益を優先させるというよりも、やはり
消費者の安全の
立場で、言いにくいことも、時にはやはり規制をかけることも
消費者庁が言わなければならない、そういう決意はございますか。