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宮本(徹)
委員 検討している事実はないということですから、私からは、ぜひ憲法九条の精神にのっとって、今後もその
立場は貫いていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
そこで、この武器輸出三原則を安倍政権のもとで大きく変えて、
防衛装備移転三原則で武器輸出ができるようになったわけですが、この政策変更はどこから出てきたのか。
一つは、経団連が長年求めてきたわけであります。もう
一つは、自衛隊の制服組が求めてきたのではないのかということであります。
先週メディアで、統合幕僚学校の研究報告の中で、
政府の政策変更を求めるさまざまな提言が出ていたことが報じられました。私もその資料を昨日お昼にいただきました。六百ページぐらいある報告書です。タイトルは、「
平成二十三
年度指定研究 「諸外国の最新の軍事戦略の動向に関する調査・研究」研究成果
平成二十四年三月三十日 統合幕僚学校」というふうになっております。
この中身は、基礎研究と発展研究に分かれております。発展研究の方は、それぞれの章ごとに執筆者によって提言がつけられております。「ア 国家レベルの処置が望まれる事項」、「イ
防衛省・自衛隊への提言」とあります。
この中身を見て私も大変驚いたんですが、「国家レベルの処置が望まれる事項」に書かれているものを幾つか
紹介します。
我が国においては、武器輸出三原則及び集団的自衛権の行使に関する憲法解釈を背景として、
他国との間における装備品の共同開発、共同保有、共同運用、基地の共同運用等の
防衛協力は大きな制約を受けている、国家として、これら
他国との
防衛協力の推進を前提とし、武器輸出三原則等及び集団的自衛権の行使についての検討が望まれる。これは安倍政権以前の話ですからね。
ほかの方も、この集団的自衛権の問題、多くの方が提言をされています。日米共同協力の実効性を確保するために集団的自衛権の行使の容認が求められる、あるいは、我が国においても装備の国際共同開発に積極的に参画していくことが求められるということなんです。
ほかにも、こういう提言もあります。我が国において、国家緊急事態法を整備し、有事において
防衛省が他省庁などを活用して任務に遂行できる体制を整えることが望まれる。
さらに、こういう提言もありました。米軍の
東日本大震災における支援により、
日本国民の日米同盟に対する信頼は最高潮となっているものと思われる。これを契機として安全保障の重要性を国民に周知徹底する必要がある。国民全体の安全保障観を確立するためには、まず公教育における周知に取り組むことが考えられる。一九七〇年から八〇年代のような盲目的戦争反対、成田闘争の正当化等、国策妨害を教育するのではなく、特定の思想、政党、
意見に左右されない国際的視野に立った、北東アジア地域の情勢、
日本の
防衛について考える機会を提供することが望まれる。教育内容にまで口を挟む提言を出しております。
もっといろいろたくさんあって
紹介し切れないわけですが、これが出ているのは安倍政権が生まれる前ですよ、制服組の皆さんが、憲法解釈の変更や
政府の基本政策の変更、さらには教育内容の変更まで国に対して求める提言を出していた。そしてその後、安倍政権のもとで一部実現されるということになったんですが、私は、シビリアンコントロールからいって大問題だというふうに思います。
防衛省にお
伺いしますけれ
ども、この統合幕僚学校の研究というのは、誰の指示で、何の目的で行った研究なんですか。