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黒田参考人 まず
最初に、
設備投資について一言触れたいと
思いますが、二〇一五年度は、前年比八%増という、かなり大きな
プラスになった模様でございます。そういった高いレベルに対して、二〇一六年度について、御
指摘のように
マイナスでスタートするようになっておりますけれども、そもそも、非常に高いレベルであるということと、それから、短観の
設備投資の計画は、常に、年度当初は
マイナスから出まして、その後だんだん
プラスになっていくという癖がありますので、過去の平均と比べますと、特に悪いというわけでなくて、むしろしっかりした計画になっておるということを御
説明申し上げたいと
思います。
それから、為替が円高になったこと、これはそのとおりでありまして、それが、先ほど申し上げた、特に大
企業の製造業のDI等に
マイナスの影響を及ぼしたということはそのとおりであろうというふうに思っております。
ただ、為替につきましては、いろいろな変動もございますし、基本的には
経済の
ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということに尽きると
思いますので、十分為替の動向については注視してまいりたいと
思いますけれども、
金融政策自体としては、為替にターゲットしているわけではなくて、あくまでも
物価を二%の
上昇になるように
金融政策を運営していくということに尽きるのではないかというふうに思っております。
なお、足元の
消費、特に昨年の十—十二月のGDPの数字とか、そういう面でかなり弱い数字が出ていることは事実でございます。
ただ、御
承知のように、GDPのQE、四半期ごとの速報につきましては、
消費は家計
調査をベースに推計がされておりまして、家計
調査については、いわゆるサンプルバイアスがあるというふうに言われておりまして、この点につきましては、過般の統計
委員会におきましても、家計
調査は、構造的な
調査というか、ある
時点の断面を知る上では非常に有益であるけれども、景気の流れ、四半期ごとの景気の動きとか毎月の
消費の動きを判断するものとしては限界があるということが言われておりまして、そういった
意味では、
消費が弱目になっているということは事実ですけれども、GDPの統計とか、あるいは、家計
調査の統計が語るほどに弱いかどうかということについては疑問が残っている。
ただ、昨年の暮れの十二月の暖冬であるとか、ことしも一月は暖冬だったわけですけれども、そういうものが衣料品の
消費などにかなり影響が出たということは事実でありまして、販売統計からもそれはうかがえますので、
消費が強いということではないと思うんです。弱目になっていることは事実ですけれども、GDP統計や家計
調査が示すほど弱くはないのではないかというのが、エコノミストというか、統計を分析している方の御
意見ではないかと思っております。