○宮崎(岳)
委員 民主・維新・無
所属クラブの宮崎
岳志でございます。
本日も引き続き
消費税を中心に
質問をさせていただきますが、まず、これまでの質疑を聞いていった中でちょっと感想を申し述べたいというふうに思うんです。
昨日、公明党の斉藤鉄夫
先生が
質問をされまして、そのときに、
軽減税率について、低
所得者対策になるかならないかの
議論は、率で見るか額で見るかの違いである、
逆進性であると言われる場合は率で見ているのに、高
所得者の方に恩恵があるという場合は額で見ている話であるという
指摘がありました。
これは当を得た
指摘であるなというふうに思いますし、ある意味、斉藤
先生の非常に誠実なお人柄があらわれているような、含蓄のある言葉だなというふうにも思ったんですけれ
ども、それを聞いていて、やはり与党
議員の皆さんも、例えば、支持者の方などから厳しい声もこれについていただいているんじゃないかなというようなことも感じました。与党の
立場として、なぜこういうことが理解されないのかという、ある意味で疑問のようなもの、戸惑いのようなものもあるんじゃないかなというふうに感じた次第です。
私
どもも含めて、あるいは国民広く一般もそうかもしれませんし、
専門家もそうかもしれません、低
所得者の対策になっていないではないかというふうになぜこれだけ
指摘するのかということを、根本に立ち返って考えなければならないと思うんです。決して、単なる政治的な思惑とか、あるいは、ためにする批判というわけではないわけであります。
これが、もし低
所得者対策も何もない状況で二%上げる、八から一〇にするということがまずあって、その中で
軽減税率が出てくるということであると、なるほど、これは
逆進性が
緩和されるんだな、そういうふうな受けとめ方をされたと思うんです。
しかし、今回は、最初から低
所得者対策というものがあるということはもとより決まっていたわけであります。総合合算
制度、
給付つき税額控除、
軽減税率という三案がありまして、そのレールというものは、四年前の三
党合意で既に引かれていたということであります。
その上で、
軽減をすれば、当然その分の税収が減る、逆に言えば、
財源が必要になるということでありますから、限りある
財源の中で、では、どうやって低
所得者対策を実現するんだろうということがまずあったわけであります。
軽減がなくて一〇%というものとの比較ではなくて、最初、合意で取り決められた三案の中でどうするのかということがまずあったということだと思うんです。
三
党合意時点で私
どもは与党であったわけです。私もこれは調べていて気づいたんですけれ
ども、私たち、三年三カ月政権にいたんです。私は中二年落選をしているんですけれ
ども、復活して再選をさせてもらったということなんですが、与党を三年三カ月やりました。これはちょっと驚きの事実だったんですが、今の自民党の二期生の方よりも与党
経験が長いということにはたと気づかされまして、ああ、うそのような本当の話もあるものだなというふうに思ったんです。
そのときにやはり徹底的な
議論を行っているんです。
軽減税率についてももちろん
議論したし、
給付つき税額控除、あるいは総合合算
制度、こういうところについて非常に徹底的な
議論をいたしました。その中で、
軽減税率には大きな効果がない、あるいは、あるにしても効率が非常に悪いんじゃないかという結論になって、それがなくなったという経緯があります。
その後、三
党合意で、二〇一二年の六月だったと思いますけれ
ども、協議をする中で、やはり当時の自公の方から、
軽減税率をぜひ入れてくれという話があって、そこに、一回民主党案では消えたものが戻ってきた。こういう経過だったんです。
軽減税率というのは、低
所得者対策としての効果が薄い。かつ、例えば
事務負担、
インボイス、
線引き、あるいは業界と政治との癒着、そういった
課題がいろいろ残るということでありましたから、我々は政権からおりましたけれ
ども、
軽減税率というのは、まずそのままの形で出てくることはないだろうというふうに考えていたところもあります。野党になってからもです。そして、実際、当初そのとおりになりかかったわけであります。マイナンバーを使ったポイント制の還付案みたいなものも出てきたりした。
しかし、いろいろ経過があって、では
軽減だということにもう一度なったわけです。
そのときに私
どもも、野党として見ていて考えました。
軽減税率はいろいろな問題がある、ならば、どういう工夫をして与党の方から御提案があるのかなと。
インボイスが大変とか効果が薄いとかいうことは最初からわかっておりました。そのまま出してくることはないんだろうと。
例えば与党
議員の中からは、個別に、例えば
インボイスを使わなくてもできる案が個人的にはあるんだということも仄聞をすることもありました。あるいは、
軽減対象の
品目を狭めて、そのものについては五%に下げて、そして一〇%、五%の二
段階でやるという案もあったかもしれません、同じ例えば一兆円という枠を使うなら。また、
軽減税率に
給付つき控除を組み合わせるとか、別のやり方もあったかもしれません。
しかし、出てきたものは、ある意味何の工夫もない、二%ただ上げるだけ、食料品で一律というものであって、しかも、なぜか新聞がついている。ちょっと理屈として、何というのでしょうか、根本的な問題を解決しようという姿勢がちょっと見られないんじゃないかなという案で、正直、我々としてもちょっとがっかりしたというところはあるわけであります。それが本音であります。
特に、その直前に出てきたのが、マイナンバーを使ったポイント制の還付という余りに複雑過ぎる案だったがために、その後に出てきたのが今度は余りに単純過ぎるというか、簡素な案だったものですから、面食らったという面があるのかなというふうに、これまでの我々の視点から見た
議論の総括といいますか、一定の所感でございます。
その上で、積み残されたさまざまな問題についてちょっと
議論をさせていただきたいんですが、資料を御用意させていただきました。免税
事業者、特に農業に関することをまず取り上げたいというふうに思います。
こちらの資料を見ていただければと思うんです。これを私が自分でつくって、なかなかよくできた表だなというふうに自画自賛しておるんですけれ
ども、私はこういう表をつくるのが結構好きで、自分でつくりながら考えをまとめたりしているんです。
農家があります。先日言ったように、農業センサス等を見ますと、販売農家のうち販売額が一千万円を下回るもの、恐らく大半が免税
事業者だと思いますが、それが全国に百三十数万軒ありまして、全国の農業者の八割以上を占めている。その農家は免税業者なんです。そして、この表を見てもらえばわかりますが、
インボイスを
発行できないということになります。そして、購入した
事業者の方は、
インボイスがないと仕入れ税額控除ができないものですから、
消費税の分の
負担を自分のところで丸かぶりするということになります。
ですから、
事業者というのは、免税業者から買うということは、
インボイスが
発行された後はまずなくなります。そうしますと、免税業者は売り先が限られてくるということです。
この表を見ていただきます。一番左、JA、これは無条件委託販売です。一般的なJAに卸すという場合はこういう形をとるというんですが、これは、
特例措置でJAがかわりに
インボイスにかわるものを
発行してくれる。これはオーケー。
次は、市場で競りで売る場合。これも、市場の方で
インボイスにかわるものを
発行してくれる。これもオーケーということであります。
問題はそこからであります。例えば商社とか問屋さんとかに卸す、いわゆる商系の取引をするということになりますと、かなりの部分が、基本的にはそういう卸商社みたいなところに農作物を売るということはできなくなります。もちろん、向こうが
インボイス要らないよと言ってくれればいいんですが、なかなかそういうことにはならない。あるいは、非常に安く買いたたかれるという形で
インボイス要らないよと言ってくれるかもしれませんが、基本的には売ることができなくなる。
それから、規模は小さいけれ
どもやる気のある農家の
方々が、レストランや食堂、
スーパー、直接そういったところと取引をするという場合もあります。レストランで、地域の、丹精を込めてつくった人の、農家の顔が見える野菜を使ってサラダをつくっておりますなんていう看板を出してサラダを売る、取引をするという場合も、そこに卸すことはできない。あるいは、地元の
スーパーに直接卸すということもできなくなる。あるいは、直売所を通した場合も、
事業者に売る場合はできなくなる。
ただ、
消費者に売る場合は、この
消費者の方が
インボイスは基本的に要らないわけですから、ここには売れるということになりますし、
消費者に直接販売もできる。
しかし、この図でいえば、七つの経路があるうちの三つが基本的にできなくなる。ちょっと長くなりましたけれ
ども、これの問題についてどのように
対応するんでしょうか。改めて伺います。
事業負担が重くなっても課税業者になるということなのか、それとも、そうじゃなくて別に手だてがあるのか、この点について、まず
麻生財務大臣にお教えいただきたいと思います。