○荒井
委員 熊本県というのは小児医療体制の非常に整備されたところとして有名なところなんですね。したがって、こういう拠点病院が機能を大きく喪失したんですけれども、現地の小児科医の先生方あるいは関係者が非常に大きな努力を払ってその
解消に努めている。
ところが、このぐらいの震災が
首都圏を襲ったときには、恐らく
首都圏では、対応は
熊本のような形にはいかないだろう、第一、小児科の医療を必要とする子供たちがどこにいるのかということが把握できていないはずだということを
指摘されるお医者さんもおられます。こういう点を考慮していただいて、
熊本の事例を、ぜひ早くに回復のための努力をされて、その知見が
首都圏にも応用できるような、そういう体制をぜひ組んでいただきたいというふうに思います。
さて、きょう、
日本経済新聞に「気象庁の敗北宣言」という記事が出ました。非常にショッキングな記事であります。非常に残念です。というのは、
地震の問題について国民はどこを頼りにしたらいいのかというと、やはり気象庁なんですよね。その気象庁が今回、あるいは私は東北の
津波のあれについてもそうではないかと思うんですけれども、そこが今大きな課題になっているのではないかというふうに思います。
私が議員になったときに阪神・淡路の大震災がございました。あのときにも
高速道路が落ち、そして新幹線の橋梁部分が大規模に倒壊をしたときであります。あのときに
調査に入った人が鉄道研究所の石橋さんという方でありまして、その石橋さんがそこをつぶさに見た結果、JR東
日本の東北新幹線の
地震強化工事をやらなければだめだということを当時のJR東
日本の幹部に具申をし、東
日本の東北新幹線の補強工事が始まりました。
ほぼ終わったぐらいのときに、その石橋さんという方が当時の東
日本の社長に談判をいたしました。ある
トンネルの直前のここはどうしても強化しなければならないということを言ったそうです、強化するのには数億かかるわけですけれども。もう
民間企業となっておりましたから、株主責任もありますから、どうしてだねと言ったら、彼は言いました、
技術者としての私の勘ですと。言う方も言う方ですけれども、よしわかった、それではやれと言ってやったのが直江津の
トンネルの直前の高架橋の補強工事でありました。
工事が終わって数年後に中越の
地震が起き、まさしくそこで、二百三十キロで走っている新幹線が脱線をしたわけであります。しかし、脱線をしても一人の死者も出さなかったということで、むしろ
日本の新幹線
技術のすぐれたそういう能力というものが世界的に評価をされたこととなりました。
私は、気象庁というのは、この石橋さんの役割をする、そういうことが必要なんじゃないかと思うんです。そして、
大臣、政治家や幹部は、この東
日本の社長の役割をしなければならないんじゃないでしょうか。
地震の予知というのは、あるいは予測というのは大変難しい、
技術的には困難だということになっているんですけれども、この
あたりは危ないという判断は、私は、
技術者あるいは研究者には何となくわかっているんじゃないんだろうかというようにも思うのであります。
例えばこれですね。震度七の
地震が二回訪れたのは想定外だというのが気象庁の見解であります。今までそうだったんでしょう。だけれども、東北大震災のあのときに、二日前にマグニチュード七以上の
地震があのすぐそばで起きているんです。そして、一部の科学者は、それが誘発をしてあのマグニチュード九・〇という巨大な
地震が誘発されたのではないかという見解を持っています。
そして、マグニチュード七・〇のあの
地震のときに、もうあそこはひずみがたくさんたまっていますから危ないと警告を出すべきだったんだろうか、科学者の良心として警告を出すべきだったのではないだろうかといまだに悔やんでいる人たちがおります。京都大学の防災研究所の西村先生とか、東北大学の一部の
地震学者であります。
私は今回も、最初が前震で、その後に起きたのが本震だと言っていますけれども、その前震と言われているときにもっと、あの東北大震災のような例があるわけですから、
地震の誘発というものを招きかねないということを想定するべきだったのではないだろうかというふうに思うんですが、気象庁、いかがですか。