○
津村委員 日本の
住宅市場について議論をします。
建設、
不動産業界は、
日本経済を量的、ボリュームの面で支えると同時に、
国民生活の質、クオリティーの
向上に直結をする大変重要な
業界でございます。
資料を配付させていただきました。1番をごらんいただきたいというふうに思います。
我が国の
GDPと
住宅投資の
推移ということでございますが、青い
棒グラフが
GDP、そのうちの赤い
棒グラフの
部分が
住宅投資の
推移でございます。
GDPは、この六十年間で十二倍に
拡大をいたしました。黒い
折れ線グラフは
GDPに占める
住宅投資の
割合でございます。ピークで九・八%。私が二十数年前に
日本銀行に入行いたしまして、当時の
調査統計局の
景気分析をしていたときには、大変優秀な同期が
住宅投資の担当をしておりましたけれども、当時は六%内外でありました。しかし、現在では、この
折れ線グラフ、一番右を見ていただきますと、二・七%と
住宅投資の
GDPに占める
シェアは大変落ちてきているわけであります。
今、
安倍政権は、二〇二〇年の
GDPの
目標として六百兆円ということをうたっておりまして、この
グラフからごらんいただきますと、ここからあと五年で六百兆円というのは大変高い
目標だということになるわけですが、これを達成していくためには、
住宅投資のマーケットの規模を、後ほど述べますように、
拡大していくというのはなかなか難しい
目標でございます。少なくともしっかりと維持していかなければいけないということが、アベノミクスの
GDPの
目標を達成するために必要な条件の
一つだと思うわけですけれども、以下述べますように、今回の
法改正が
住宅市場の
拡大という面において
マイナス要因になるのではないかということを議論させていただきたいというふうに思います。
おめくりいただきまして、
配付資料の2番、左上の2の1が
住宅需要の
推計の
考え方でございます。
住宅需要の
推計につきましては、
利子率であるとか
人口であるとかさまざまなマクロ的な
要因を、いわゆる
計量分析といいますか、マクロ的に
推計する方法もありますが、こちらはボトムアップ型といいますか、
要因に分けて、
一つ一つの
要因がどうこれから
推移していくかを分析したものであります。
住宅需要というのは、前の時期、前期の
住宅数は、いろいろ古くなっていくものですから、残存の
住宅数は減っていく。それに加えて
増加要因としては
三つのものがあると思います。
一つは、
世帯数がふえていく、
人口がふえたり、あるいは若い方が実家を離れて
独立をして新たに
世帯を構える、この
世帯増の
要因が
一つ。もう
一つは、
建物の
経年劣化によって新たに建てかえをするという
需要。そして
三つ目は、その他
要因、
ミスマッチ要因とも言いますけれども、例えば、引っ越しをして、建てかえではないんだけれども新たに
住宅を構える必要がある、あるいは、趣味とは言いませんけれども、まだ十分に住める家に住んでいるにもかかわらず、新しい家の方がいいということで、みずから進んで新しい家を
購入するようなケースもあるかもしれません。
この
三つの
要因に分析して
考えていきますと、それぞれ、これから
拡大していくのはなかなか厳しいということが見えてきます。
2の2、二ページ目の右上の
グラフをごらんいただきますと、
世帯数の
見通し、これはかなり正確な
人口の
見通しですので、かなり正確に
推移すると思いますけれども、二〇一八年から二〇一九年を境に減少しています。既に
日本の
人口は
減少局面に差しかかっておりますけれども、例えば、先ほど申し上げましたように、地方から大学に進学するとか、そういった
独立をするという若い方はまだまだいらっしゃいますので、まだ
世帯数自体は
増加を続けておりますが、
人口減少の圧力で、間もなく、数年のうちに
世帯数は減っていくだろう。
そして、下の二つの
グラフは、
住宅の
長寿命化をあらわしたものでございます。六〇年代、七〇年代に建てられた
建築に比べて、八〇年代、九〇年代、そして恐らくは、二十一世紀になってから建てられた
建築はより
長寿命化しているということであります。
そう
考えますと、先ほど私が申し上げた
三つの
住宅需要の
増加要因、
世帯増、建てかえ、そしてその他の
ミスマッチ要因。そのうちの
世帯増は、もう間もなく見込めない。建てかえ
需要も、
住宅の
長寿命化によってこれから減っていくであろう。残りは
ミスマッチ要因だけでありますけれども、今回の
中古住宅の
流通を
拡大していくという政策が、新規の
住宅着工にとってはマイナスの
要因である。つまり、新しい家を買おうか
中古の家を買おうかというときに、
中古の
住宅を
拡大していくわけですから、新規
住宅着工にはマイナスになるのではないか。
中古の
住宅を買っても、一部
リフォームのための経費を除けば、経済成長にプラスにはなりません。しかし、新規
住宅着工は、先ほど申し上げたように、
GDPの重要なファクターです。今回、
中古市場を
拡大することは、これは
国民生活という面では大変意義深いことだと思うので、
GDPが全てではないと思うわけですけれども、
安倍政権は
GDPというのを最も重要な成果
目標として掲げているという中で、今回の政策はそれに逆行するのではないかというのが私の指摘でございます。
一枚めくっていただきますと3、これが
住宅着工の予測でございます。
これは
民間の予測でありますから、さまざまな分析が可能かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、青い
棒グラフ、基礎的な
需要、
世帯増と建てかえ
要因から
推計した基礎的な
需要は、これからますます減っていきます。この
推計は、
ミスマッチ要因をかなり大きく見積もってこの数字でありますけれども、私が先ほど申し上げましたように、今回の国交省さんのKPI、成果
目標としては、
平成二十五年に四兆円規模の
中古住宅の
流通市場を
平成三十七年には倍の八兆円にするという成果
目標を掲げているわけで、現在の年間十六万八千五百、十七万戸の
中古住宅の販売数を倍にするというふうに仮定すれば、新規着工戸数は現在九十万前後ですけれども、これがさらに十七万戸減少するということになります。
4番の
グラフがそれをあらわしておりますけれども、新規
住宅着工、水色の
棒グラフはずっと右肩下がりのトレンド、先ほどは予測でしたけれども、これは現実の数字ですが、右肩下がりになっておりまして、二〇一三年は消費税の前の駆け込み
需要ですけれども、基本的には九十万前後でございます。
この九十万戸をさらに十七万戸、
中古市場にシフトすれば、
GDPには相当なマイナスインパクトになると思いますが、
内閣府をお呼びしております、今回のこの
宅建業法の
改正によって一体どの程度の
GDPのマイナスが見込まれるのか、お答えください。