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福田(昭)
委員 ここでは長い議論ができませんけれども、なぜ地下水から表流水に変えなくちゃならないんですか。これはダムをつくるために無理やりつけた理由じゃないですか。今
地震の災害で苦労されておりますけれども、
熊本市などは、地下水を使って一〇〇%水道を供給して、私たちのお水はおいしいんですと一生懸命PRしているんですよ。この栃木市もそうですよ。地下水がおいしくて、わざわざ表流水に変える必要はありません。高い水になって、まずい水になっちゃう、こんなばかなことをやる必要は全くないというふうに思います。
次に、喫緊の治水対策をおくらせる思川開発についてであります。
一つ目は、南摩ダムの治水
効果は微々たるものについてであります。それから、
二つ目と三つ目とまとめて私の方から申し上げておきたいと思います。
今回の第六回の検証の場でも、昨年九月の台風十八号による豪雨によって大変な被害をこうむった、だから、どうしても治水対策としても南摩ダムが必要だという宣伝をしておりますけれども、これは全くうそです。
南摩ダムの
効果はほとんどありません。南摩ダムの流域面積は十二・四平方
キロと小さくて、南摩ダムの予定地の比率は、思川の乙女地点に対して一・六%、利根川栗橋地点に対して〇・一四%であります。思川や利根川の洪水に対する
効果は微々たるものだと思います。利根川に対しては、思川最下流部にある巨大な渡良瀬遊水地、洪水調節容量約一億七千万トンがあって、その洪水調節作用が働くので南摩ダムの治水
効果はゼロであります。
そして、思川下流の今回の災害での水位異常上昇の原因は、河床の上昇であります。思川地域の河床が上昇したために今回大きく溢水をしたということで、そのことがしっかり、はっきりと
平成二十七年九月の関東・東北豪雨出水報告会で示されております。
そして、そうした思川開発事業をやるという前提になっておりまして、喫緊の治水対策が実はおくれているというのが現状であります。
今回の台風十八号の被害は、私どもの日光市も鹿沼市も大変な被害を受けました。私も全ての小河川の地域を歩いてまいりましたが、そこで地元の人たちの意見は異口同音、みんな河床が上がっているという話でありました。
そこで、日光土木事務所や鹿沼土木事務所の所長たちとも意見交換しましたけれども、そのとおりですと。残念ながら、お金がなくなってきちゃったので、河川の砂利等を除去する作業というのが今ほとんど進んでおりません。業者に売ろうと思っても、土まじりの砂利は経費がかかって要らないと言われちゃっているので、多少のお金を出して買ってもらっているというのが、河床の堀ざらいといいますか、そういう作業になっているというのが実は最近の現状であります。
ですから、南摩ダムがあれば、治水
効果が発揮できて、水害が防げるなんというのは全くのでたらめだということを申し上げておきたいと思います。
次に、ダムの見直しの基本的な問題点については時間の
関係で省略をして、五番目の、思川開発事業の
目的と問題点の方に行きたいと思います。
まず、思川開発事業の
目的と
目的別事業費負担額でありますけれども、思川開発事業の
目的は、思川及び利根川中下流の洪水被害の減少となっておりますが、
先ほど申し上げたように、これは全く
効果が発揮できない。
それから、流水の正常な
機能の維持、異常渇水時の緊急水の補給、水道用水の供給、毎秒二・九八四トンとなっておりますが、既に申し上げましたとおり、治水
効果は微々たるものであり、栃木県南の広域水道計画はいまだに具体的に策定されるめどもなく、栃木県が撤退するとの判断も選択肢となっておりますので、ダムの必要性が問われることになっております。
そうしたダムに、残事業費千四十億円を参画者にこれからも負担させるということで進められているということであります。
時間の
関係で、先に行きます。
そしてさらに、頻繁に貯水量が底をつく南摩ダムについてであります。
先ほどの嶋津先生の御
指摘ですと、
国交省による南摩ダムの運用計算の結果も、たびたびダムが空になってもゴーサインが出る大変不可解なものだと
指摘をしております。そして、このことは、裁判の中でもしっかりと
指摘をされております。
そして三つ目の、思川開発事業検討の場第六回の幹事会に提出された「総合的な
評価(案)」についてであります。それは、ぜひ資料二の一と二の二をごらんください。
これを見ると、四案ですかね、費用を比較して、総合的な
評価をして、最も有利な案がダム案と結論されているわけでありますが、これを見ればおわかりのように、現状のダム案は残事業費千四十億円。その下の、三
目的ダム案、単独案、多
目的遊水地案は、それぞれ新規にやるわけですから当然費用が大きくなるわけでありまして、これを見せられれば、どこの県もダム案がいいという結論になってしまうということであります。ですから、ダムの見直しのシステムそのものが実は間違っているということであります。
そこで、今度は、私の考え方をぜひ提示をしたいというふうに思います。
括弧四に行きたいと思います。概略
評価による新たな対策案の抽出、これは全てというわけにいきませんが、新たな対策案をぜひ見ていただきたいと思います。
一つ目の、ダムの新規利水対策案の概要、資料の三を見ていただきますと、ケース四というのが
国土交通省の案に出ておりまして、「ダム使用権等の振替+ダム再開発(湯西川ダムかさ上げ)」となっているんですね。
しかし、実は、全部使用権の振りかえのみで本当に必要とする新規利水の水は
確保されちゃうということを
皆さんにも御理解いただきたいと思います。
例えばでありますけれども、今、新規利水で本当に必要なところは、小山市、古河市、五霞町かなというふうに思っておりますが、それらは全て渡良瀬水系の下流にあります、思川水系の下流にもありますけれども。
実際、こうしたその位置図をごらんいただいて、次に行きたいと思いますが、時間の
関係で、六番の、思川開発事業、ダム中止の提案についてに行きたいと思います。
まず
一つ目、思川開発事業の検証に係るダムの開発量、許可水量について、そして
二つ目、思川開発事業の水道用水の配分量等と中止対策案についてであります。
資料の六と七をごらんいただきたいと思います。
資料の六は、利根川水系全体で開発した水、毎秒の水のうち、実はここに差し引きで書いてありますが、鬼怒川水系川治ダム、湯西川ダムで毎秒一トンの都市用水、〇・三三トンの特定かんがい用水が実は余っております。それから、渡良瀬水系では毎秒一・〇六トンの都市用水が余っております。奈良俣ダム以降、利根川本流系では毎秒〇・二七三トンの水が余っております。利根川水系全体で毎秒二・三三トンの都市用水、そして毎秒〇・三三トンの特定かんがい用水が実は残っているということであります。開発した水のですね。
その後ろ、資料の七をごらんください。
思川開発事業、南摩ダムを中止した場合に、もしかして本当に必要だと思われるところに水が供給できなければ困るなということでまとめたのがこの対策案であります。
ごらんいただきますと、まず、ダムを中止すれば毎秒二・九八四トンの水はなくなるということであります。
そこで、栃木県が、毎秒〇・四〇三トン取水をしたいと言っている下野、壬生、栃木、野木町でありますが、現在、県南の広域水道計画はありません。今後、県の水道ビジョンに基づいて県南広域水道計画を策定するということでありますが、多分、策定するということになったら、みんな逃げちゃうと思います。実際、下野市、壬生町は思川に隣接しておりませんから、どこから導水していいかわからない。もし栃木県の
企業局がやるとなったら、宇都宮の方から持っていく、あるいは鬼怒川から持っていく、そういうことでも考えないと、とてもとても費用がかかって、栃木県の
企業局でもやれないと思います。位置的に非常に難しいと思います。
鹿沼市でありますが、鹿沼市は市長さんができるだけ地下水でやりたいと言っておりますが、もし必要ならば、日光市または宇都宮市から水道水を購入するということも可能であります。
さらに小山市でありますが、小山市は、
平成七年から暫定水利権で取水している。別途、渡良瀬からもとっているという話でありますが、聞くところによりますと、ほとんど思川から取水をしているようであります。
古河市でありますが、古河市は本当に気の毒に、昭和四十六年から暫定水利権で
対応している。
さらに五霞町は、思川に隣接しておりませんから、思川からとれずに利根川から取水をさせている。そういった意味では、既に使用権の振りかえで
対応しているというのが五霞町ということになります。
問題は小山市と古河市の水をどうするかということでありますが、
先ほど申し上げましたように、渡良瀬水系で使用権が実際あるのに利用されていない水が、毎秒一・〇六トンの都市用水があります。これを振りかえるということで
対応することが十分可能だと思っております。
振りかえるに当たってはいろいろ方法があるかと思います。既に水利権を持っているところから買うということもあるでしょうし、それから導水の仕方も、思川から今まで四十五年も取水して全く影響がないんだから思川からそのまま取水をしてもらうということもあるでしょうし、あるいは、どうしてもそれじゃだめだ、
国土交通省が豊水条件で暫定水利権を許可しているというものですから、もしそれがだめだというときには、渡良瀬川あるいは渡良瀬遊水地から小山市が上水を取水しているちょっと上に導水管を設けて導水をしてやれば、古河市はその下流で取水しておりますから、小山市と古河市の水は供給することは可能になるというふうに思います。
埼玉県の非かんがい期の水でありますが、埼玉県は暫定水利権もだんだん減らしてきましたけれども、しかし、この埼玉県の非かんがい期の取水は、八ツ場ダムにも大変大きく参画しておりますし、八ツ場ダムが完成すれば、埼玉県の暫定水利権は多分要らなくなるのかなというふうに思っておりますし、さらには、利根川水系には、渡良瀬も含めて、たくさんのかんがい用水がありますので、非かんがい期にはとることは十分可能なのかなと思っております。
また、北千葉広域水道
企業団は暫定水利権で取水しておりません。千葉県も湯西川ダムに大きく参画をしておりますので、湯西川ダムからたくさんの水を取水することが可能になっておりますから、多分もうそろそろ千葉県も要らなくなっているのかなと思っておりますが、もし必要ならば、利根川水系への使用権等での振りかえも可能だ、このように思っております。
こうしたことを考えると、もし最大限かかったとしても、渡良瀬川あるいは渡良瀬遊水地から小山市の取水している地点、ちょっと上に導水路を設けて水を供給してあげれば、小山市と古河市の水も十分
確保できる。五霞町の水は利根川から取水をさせてあげるようにすれば、この思川開発事業、南摩ダムはやめることは十分可能だと思います。
これができるのは、残念ながら、
石井大臣、
石井大臣しかおりません、役人たちはもうつくる方向でしか考えておりませんから。これは政治家が判断するほかありませんけれども、
大臣、いかがでしょうか。