○井坂
委員 民民の契約で当事者が納得していればいいという、原則はそうだと思うんです。ただ、ここは
厚生労働委員会でありますし、まさに過労死ラインを平均で超える職種、業種にこの国家資格が今なってしまっているというこの
実態は、ぜひ労働
大臣として改善をしていただきたい。
時間がないので提案にとどめますが、今は公定価格の話をしましたけれ
ども、その先の、歯
医者さんと技工士さんの間の値段づけ、これも七、三告示が守られているのかいないのか、ずっと国会で
議論になっているわけであります。ここも民民なので、七割、三割を強制はできないわけでありますが、ただ、この契約も、一人親方みたいな技工士さんが大半ですから、自分で契約書を書いて、何かつくり直しも全部技工士の持ち出しだみたいな、そういう契約も多いというふうに聞いております。
歯
医者さんは営利企業ではないので下請法の対象外だということでありますが、下請法のような発想で、
厚生労働省がちゃんと歯
医者さんと技工士の標準契約書みたいなものもつくって、技工士さんが不当に損をしないような、そういう工夫もぜひ実務上やっていただきたい。これは本日は提案にとどめておきたいというふうに思います。
次に、旅館の耐震
工事について伺います。
これは耐震改修促進法で、昨年末までに、旅館、ホテルは耐震診断を義務づけられて、そして、その診断結果を自治体に報告して、それが間もなく発表される、こういう流れになってきております。これは古い旅館なんかは耐震
基準を満たさないところが多いわけでありまして、今後、耐震改修の
工事を、公表されたら当然やっていかなければいけないわけであります。
そこで
大臣にお伺いをしたいのが、この耐震改修の
工事をする間、旅館は閉鎖あるいは大規模な営業縮小をしなければなりません。当然、その
工事の間はお客さんをとれないわけですから、ホテル、旅館というのは、労働集約型、たくさんの人、地元の人を雇って働いてもらっている産業、これを耐震改修の
工事の間は一旦お休みしていただかなければいけない、その間は収入は一切ないですから、ではどうするのか。首にするわけにもいかないし、かといって、その間お給料を払い続けられるのか。
まさに、こういうときのために、雇用調整助成金というものが
厚生労働省にあるわけであります。
お配りした
資料の二枚目が雇用調整助成金の概要でありますが、これは一つだけネックがありまして、経済上の理由により事業の縮小を余儀なくされた事業主が労働者の雇用の維持を図った場合に、その費用を助成する。経済上の理由によりということが一つネックになって、実は、去年、
公明党の議員が国土交通
委員会でこの
議論をしたときも、経済上の理由だから、耐震改修の間はこの雇用調整助成金は全く使えませんと。当時は参考人だったので、
大臣ではなかったですから、参考人は法律どおりの答弁しかされなかった、こういう経緯があります。
しかし、
大臣も想像していただきたいのは、ホテル、旅館というのは、やはり観光地、多くは地方にあって、非常に小さな町や村で物すごい数の雇用をそこで生み出しているわけであります。それが今回、耐震
基準以下だということで公表されて、これからようやく国の補助率も上がって慌てて
工事をするわけでありますが、
工事の間、雇用の維持ができません。これは、やめてもらったら地方の雇用にも悪影響。
工事が終わって、では、いざまた帰ってきてもらおうと思っても、もうほかのところにみんな勤めてしまっていますから、今度はまた人を集めるのが大変。そういう意味で、本当に地方の経済に大きな影響をこのままだと与えかねません。
もう一枚めくっていただきたいんですが、これはちょうど今回の九州の震災に対して、雇用調整助成金を特例的に柔軟に運用します、こういうことになっています。大変いいことだというふうに思います。
見ていただきたいのが「対象となる事業主」で、ふだんは経済上の理由ということで、ここをかっちり運用されているわけでありますが、地震ということもあって、交通手段の途絶によりお客さんが来ないとか、あるいは風評被害により観光客が減ったとか、あるいは事業所、設備などが壊れて使えない、こういうときでも、これによる雇用調整に助成金を払いますと非常に柔軟に運用してくださっているわけであります。
私、ここまでできれば、例えばですけれ
ども、今回、耐震改修、ということは耐震
基準以下だということが国土交通省に公表されてしまうわけでありますから、あそこの旅館は耐震
基準以下だ、危ない、こういう風評被害もあり得るというふうな見立てで、風評被害あたりにでもひっかけて、あるいは、これも震災のときと全く一緒です、設備が使えない、こういう形での事業縮小で、柔軟に雇用調整助成金を使って
地域の雇用を守るべきだというふうに考えますが、参考人、いかがでしょうか。