○藤野
委員 私の質問は、別に多重性を否定しているわけじゃないんです。どんどんそれは多重にしていただいたらいいと思うんです。しかし、外部電源というのはまさに一番基礎になるものであって、その量だけじゃなく質を高めるべきじゃないかという質問なんですね。
配付
資料の四を見ていただきますと、これは
高浜原発の仮処分決定の判決から抜き出させていただきました。
「外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第一の砦であり、外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなる。福島
原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が
事故に直結することはなかったと考えられる。」こういう
指摘であります。
また、「多重防護とは堅固な第一陣が突破されたとしてもなお第二陣、第三陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、第一陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となるような備えの在り方は多重防護の意義からはずれるものと思われる。」こういう
指摘なんですね。
ですから、第一のとりでがやはりしっかりとしないといけないわけですし、先ほど配付
資料一でも言いましたけれども、第一のとりでががらがらと崩れちゃったら、第二のとりでにアクセスすらできなくなる可能性もあるわけで、その
意味からも、やはり第一のとりでであるこの、まさに今、Cクラス、訂正といいますか、むしろ後退というか、要するに、敷地の外のものは
規制の対象外だ、こういうあれなんですね。しかし、その
規制の対象外のものに外部電源を今依存しているという
状況であって、実際、
関西電力は、土台が崩れかけただけで緊急に飛んでいって工事するわけですよ。
もう一つ紹介しますと、
関西電力は、これはまずいということで、全社
調査しまして、三つの要件、鉄塔周辺の最大斜度、角度が三十度以上かつ逆T字基礎かつ建設時に詳細な地質
調査を実施していないもの、これを基準に自分のところのあれを選びまして、対象となる八百九十三基のうち四百九十七基がこれに該当すると。その四百九十七基のうち、さらにA、B、C、Dにランク分けして、A、一番危ないものについて対策を打つということまでやっているわけですね。
ですから、事業者でさえそういうことをやっている。なぜなら、やはりこの外部電源は失うと大変なことになるわけで、これは何か他人事のように
規制委員会が考えるような話ではない。
代替電源とおっしゃいましたが、海外では、スウェーデンで二〇〇六年七月に、代替電源と言われる四系列全ての電源が失われたという事件も起きております。
日本でも、冒頭紹介しました、高浜四号そのもので緊急自動停止が起きる、電気のショートでですね、そういうことも起きているわけで、ですから、多重といいますけれども、それぞれがやはり強固じゃないと本当の
意味での多重にならないというふうに思いますので、これは人ごとではなく、本当に第一のとりでをしっかり堅固にすべきではないか。
伺います。ちょっと時間の
関係であれですけれども。
規制外であるということはやはりおかしいんじゃないかということを
規制委員会で議論したのか、こう聞きましたら、議論していない、こう言うわけですね。これもびっくりしました。やはり議論ぐらいすべきだと思うんですね。議論してどうなのか。実際、関電はそうやって動いているわけで、そうしたことを
規制委員会もしっかり知見として踏まえて、やはり基準を設けていく、対策をとっていくということが必要だというふうに現地で強く感じました。
そして、もう一つ、現地でちょっとお聞きしたことで、どうしてもお聞きしたいんです。これも時間の
関係であれなんですけれども、ちょっとはしょりますが、
関西電力の代表取締役副社長執行役の豊松秀己氏にさまざまな御
説明をいただいて、そのときに、私、この
委員会でも質問したんですが、要は、高浜三、四号の審査の際には、一、二号には燃料を装荷せずに、一、二号に三、四号の緊急時
対策所を置く、そういう前提で審査をしてそれを通したということなんですね。
私、何か不思議だと思っていまして、一、二号を動かさないという前提で三、四号の審査を通したのに、そのわずか一カ月後に一、二号を動かすという変更申請を関電さんは出された、何でだろうと思っていたもので、豊松副社長にお聞きしたんですね、いつ、なぜそういう
判断をされたんですかと。そうしたら、副社長はこうおっしゃったんですね。いつとかなぜとか、そういう感じじゃなくて、当初から一、二号は動かそうと思っていた、こうおっしゃいました。
これは他の
委員の方もいらっしゃったのでお聞きになったと思うんですが、いつとかなぜとか、そういう感じじゃないんですね。もう当たり前だと言わんばかりで、当初から考えていましたよと、ぽんとおっしゃったので、私は、ある
意味率直な御発言だな、本音をお話しになったんだなと感じました。やはり、こういう
委員会に来てしゃべられるのと違って、
関西電力の敷地で、いわばホームですから、そういう感じのする御発言だったとお聞きをしました。
委員長にお聞きしたいのは、皆さんがなされた審査の前提というのは、一、二号は装荷しない、動かさない、だから、三、四号の緊急時
対策所という重要な施設を一、二号の中に置く、こういう前提なんですね。ところが、副社長は当初から動かそうと思っていたと。これは率直に
委員長はどのように感じられますか。