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吉良委員 岸田大臣、外交をつかさどる
立場としてもう少し、今おっしゃったことは当たり前のことですけれども、先ほど来の
エープリルフールじゃないですけれども、もっと踏み込んで
答弁というかコメントをいただければというふうに思っています。
外務省の皆さんが経済局を
中心に、TPPはもちろん経済
連携、それこそ交渉が始まったら寝る暇もなくやり続けているわけですよね。そのときに、
日本の農業を開放すればもっともっと相手国からとれるものもあるのに、それがネックになって皆さん苦労しているんじゃないですか。経済
連携、
日本も市場開放すれば、もっともっととれるものがあって、
日本の国益を増進できるわけじゃないですか。そこに対して、外交のトップとしてもっともっと意欲を示していただきたいと
思います。もうこれ以上、このことについては問いませんけれども。
委員の皆さんには、先ほど言いました本間研究会の中で、資料の二番目になりますけれども、「「平時」「有事」における食料
安全保障の分類と対応」、この表にもぜひ目を通していただいて、先ほど私が申し上げましたように、漠然とした不安ではなくて、具体的にどういうことがあれば、実際、食料
安全保障に
リスクが出てくるのかということを事細かに見ていく、それぞれの
リスク要因に対してどう対応していくかということをきちっと事細かに対応していけば、何とか乗り切れるという印象もぜひ持っていただきたいというふうに思っています。
繰り返しますが、その上でも、
日本の農業を強くして、輸出余力を持って、有事に備えた農業にしていただきたいと思っています。
続いてになりますけれども、実はインドネシアの新幹線プロジェクト、このことについて少し質問させていただきたいというふうに思っています。
まず、民主党政権時代、私が
外務政務官をやっているときに、実はインフラプロジェクトというものの、ある教科書的なものをつくりました。そして、在外公館の大使に全部送らせてもらって、
あと経済局の重立った人たちに全部読んでもらいました。手前みそになりますけれども、私
自身が商社時代にこういうプロジェクトに深くかかわっておりましたので、そのことの経験も生かして、そういうような教科書みたいなものをつくらせてもらったわけです。
実は、その際に、その教科書的なものの中で強調したことは何か。それは、当時、民主党政権でも、インフラ海外展開というようなことで、インフラ輸出に力を入れようとしていました、また入れていました。けれども、そのときの多くの役所の人も政治家も、実は単純に機器だとかシステムだとかプラントを買い付けるプロジェクトと、事業を行うための事業権を入札するプロジェクト、これを峻別できていなかったんですね。
こういう例があります。
私
自身、政務官のときに、国土交通省の政務官と一緒に、ブラジルの新幹線プロジェクトについて売り込みに行きました。今、頓挫しておりますけれども、オリンピックが開催されるリオデジャネイロからサンパウロを越えてカンピーナスというところまでの新幹線を建設するというプロジェクトでありました。
そのときに、申しわけないけれども、同行した政治家だったり役所の人も、
日本の新幹線がどれだけ安全性が高いのか、またパンクチュアルなのか、こういうようなことを一生懸命ブラジル政府に売り込んでいたんですね。でも、実はその新幹線プロジェクトというのは、ブラジルの国鉄だとかブラジル政府に新幹線のシステムを売るというプロジェクトではないんです。さっき言った、リオデジャネイロからカンピーナスと言われるこの路線、まさにJR東海ならJR東海さん、やってくれというプロジェクトだったんです。
つまり、システムを事業会社が購入して、購入するためのファイナンスも全部集めて、そして、その購入した機器、システムでもって鉄道事業を運営して収益を上げて、そして
投資コストをきちっと回収してください、こういうプロジェクトなんですね。
ですから、そういうプロジェクトであった場合には、実は売り込む先は相手の国とかではないんです。その事業権入札の中で事業権を獲得できそうなグループに対して売り込むというのが実は事業権入札なんですね。
そういう
意味で、申しわけないですけれども、ここにいらっしゃる
委員の中にも、また政治家の多くの皆さんも、今言ったシステム、機器を売り込むということがインフラ輸出と思っている方が非常に多くいらっしゃるんじゃないかと
思います。もちろん、そういうプロジェクトもあるんですよ。ただ、今議題にしようとしているインドネシアの新幹線プロジェクトというのは、まさにこの事業権を付与せんとする、入札にはなりませんでしたけれども、プロジェクトなんです。
だから、そういう
意味で、私のこれを取り上げた趣旨は、多くの皆さんがあのインドネシア新幹線プロジェクトに対して非常に不満を持っておられる、その不満というのは何か。
一つは、ジョコ
大統領の誕生によって、
日本がJICAを通してFSまでやってあげて、
日本が丁寧にプロジェクトに対してアドバイスをしてきて、そして、
日本の優秀なシステムを含めて、
日本ならインドネシアの期待に応えられますよというプレゼンをずっとしてきたにもかかわらず、突如中国にさらわせてしまった。ある
意味では、インドネシア何考えているんだ、ふざけるなという国民の、議員の人たちもそうでしょうけれども、その怒り。
一方で、何で中国に負けるんだ、
日本の新幹線はこれだけ優秀で、今言った安全性それから時間厳守、これほどすばらしいシステムはないのに、何でこんなすばらしいものを抱えていながら中国に負けるんだ、こういう意識が強いというふうに私
自身は思っていますし、そういうふうに聞いています。
けれども、私
自身がこのプロジェクトをよくよく見たならば、先ほど言いました事業権の入札であるがゆえに、いろいろな
リスクを抱えている。そういう
意味で、場合によっては結果よしではなかったのかということをあえてこの場で申し上げて、さっき言った、必ずしも根拠のない国民の怒り、不満、不安といったようなものを解消したい、このように思っているわけです。
繰り返しますけれども、単なる機器、システムの輸出であれば売り切りで終わりです。また、そこにファイナンスをつけてあげて、ファイナンスをきちっと政府なら政府が保証して終わりです。けれども、事業権入札というのは、事業権をとりたいと思っている人たちの競争が一方であり、もう一方では、事業を採算性という
意味で成立させていくという自分との戦いがあるわけです。ですから、この自分との戦いに大きな
リスクがあるときに無理して事業権をとりに行くというのは、より大きな
リスクを抱えてしまうということになるわけですね。
本来なら、どういう入札でしたかというようなことを聞きたかったんですけれども、ちょっと時間が押していますので、私
自身もかなり結論めいたことを申し上げましたけれども、今回のこのインドネシアの新幹線プロジェクトで、
日本ではなく中国に行ってしまったということについての
外務省としての評価についてお聞きしたいと
思います。