○松島
委員 もう
一つ特許の話なんですが、私は、金融
機関が中小企業融資の際に、経営者の個人保証に頼るのではなくて、その企業の成長力や将来性を買ってしっかりと融資をしていくべきだということをずっと推進してまいりました。その観点におきまして、今、経済産業省特許庁がこういうことの協力を、中小企業が持っている特許の価値について金融
機関の人にわかってもらうような書類づくりというのを一生懸命手伝っているようで、これは頑張ってくださいということだけ申し上げたいと思っております。
話がかわります。
昨年、大村智博士がノーベル生理学・医学賞を、そして梶田隆章博士がノーベル物理学賞を受賞し、
日本じゅうが沸きました。二十一世紀に入ってからの自然科学系の三賞の国別の受賞者数は、アメリカが五十五人でトップ、
日本は十五人で二位となっております。この表を参照していただければと思っております。
この表の一覧表にも書き込まれているんですが、発見した事象の論文発表など
研究の中心期とノーベル賞の受賞の時期は、一般的に十数年から三十年近く離れております。今、この
日本のどこかで頑張っている
研究が何十年かたってノーベル賞を受賞する可能性があると思うと、どきどきいたします。
大臣も
委員の
皆さんもそうじゃないかと思っております。
一例を挙げますと、
日本のお家芸として省エネの切り札ともなっている青色LEDは、二〇一四年にノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇博士と天野浩博士、当時八十五歳と五十四歳ですが、この子弟コンビが、一番
最初、青色発光ダイオードに必要な窒化ガリウムの良質な結晶化に成功したのは一九八六年のことです。まだ
大学の教授と
大学院生の時代でした。そして、その後、八九年に世界で初めて青色発光を実証したのです。
両博士の
研究には、国の科研費が使われました。そして、赤崎博士は、豊田合成とともに青色発光ダイオードの製造
技術の実用化に
取り組み、九五年に事業化に成功しています。さらに、二〇〇〇年代に入り、天野博士がエルシードという会社とともに製造
技術を改良し、熱のこもらない効率のいいLEDの製造
技術を実用化して、大量生産への道を開きました。ここに
イノベーションが花開いたわけです。
どちらにもJSTの開発委託費が投じられて、成功の後、一方は返済済みで、もう一方は返済中でございます。
新産業創出、社会改革につながる発明を生み出した産学官
連携のモデルだと思うんですが、このように長い年月がかかります。
こういう
意味で、
科学技術への投資は未来への投資と言えます。
日本と諸外国の
科学技術関係予算を、このグラフを見ていただくとわかるんですが、伸びがずっと
日本が悪い。これについては、この後、同僚議員が詳しく説明することになっておりますので、御
答弁いただければと思っております。
最後に、
一つだけお話しいたします。
今、
情報工学というのが随分熱心に進められて、
AIとかビッグ
データ、IoT、そういったものが注目されております。
そこで、
一つだけお願いがございます。
素材産業というのも大きな変革、化学は化けるものであり、例で申し上げますと、今回、特定国立
研究開発法人の
一つとなりました産業
技術総合
研究所、この前身の
一つの場所で炭素繊維というのがおよそ半世紀前の一九五九年に生まれました。
そして、その後、私はかつて一九八六年ごろ、つまり、発明の後二十五年ぐらい、四半世紀ぐらいたったときに、経済記者として、東レの軽くて丈夫な炭素繊維がテニスのラケットやゴルフのシャフトに使われているというような記事を書いたことがあります。そして、さらに四半世紀ほどたった今や、ボーイング787の素材として機体重量全体の五割を占める、それぐらい炭素繊維は活用をされています。
このように、素材産業というのは、大きく、これも時間をかけて発達、実用化に
イノベーションを生んでいくものです。
次の素材として、例えば、紙の原料であるパルプをナノのサイズまで小さくしたセルロースナノファイバーというのが、鋼鉄の五倍の強さで、鋼鉄の五分の一の軽さ、つまりかさばらないということで、新素材として、産総研が中心となって産学官
連携のフォーラムを設けて、これも開発に取り組んでいるところでございます。
私は、経産副
大臣だった二年前に、新木場の木材会館で行われたこのフォーラムの
設立総会に参りました。勝手に推測していたのは、恐らく、需要の減少で苦しんでいる製紙業界とか木材の業界を救うためにやっているんだろうと思ったら、あに図らんや、集まった三百人近い中心の
方々、圧倒的に、ユーザーとなり得る電機、自動車、建材、そういった業界の方たちで、びっくりした次第でございます。
こういう役立つ出口を考えた新規素材の開発も、
科学技術イノベーションと考えて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
科学技術の予算の伸ばしていただきたい話については、同僚議員にかわります。