○平木大作君 私は、公明党を代表して、ただいま
議題となりました
女性の
職業生活における
活躍の
推進に関する
法律案について
質問をいたします。
今から二十八年前の一九八七年、働く母親が子連れ出勤することの是非を問うアグネス論争が
日本中で巻き起こりました。
出産後、
子供を連れて
職場復帰したことに対して様々な意見が闘わされたこの論争は、一種の
社会現象としてアメリカのタイム誌にも取り上げられた事象でした。
この論争の一つの特徴は、当時、子連れ出勤する彼女に最も反発したのが、家庭に入るために
仕事を諦めた
女性や、反対に
キャリアを優先して結婚を諦めた
女性たちであったということです。つまり、論争を通じて浮かび上がったのは、
仕事と
育児の
両立が難しかった当時の
日本において、
女性たちが
人生の選択に大きな不満を抱いているという現実でした。
その後、
日本でも
仕事と
家庭生活の
両立を
支援するための制度が少しずつ
整備されてきました。一九九二年に
育児休業法が
施行され、
男女共に
育児休暇の取得が可能となり、また、
企業内
保育所を持つ
企業も四千社を超すなど、当時に比べれば制度面では働く
女性に優しい
社会に近づいてきたと言えます。一方で、そうしてつくった制度が十分に
活用されていないといった
指摘も多くなされるところです。
アグネス論争から二十八年が経過した今、働く
女性を取り巻く
環境はどう変わり、依然として何が
課題として残るのか。
男女共同
参画社会を目指す上で本
法案の持つ意義は何か。有村
女性活躍担当大臣にお伺いいたします。
安倍
政権では、二〇二〇年までに
指導的地位に
女性が占める
割合を三〇%以上とする
目標を掲げ、本
法案も
企業に対して積極的な
女性の
登用を促すものとなっています。
こうした
取組に対して、
企業の側からは時折、
女性にげたを履かせることになる、
登用する人材がいないといった批判的な声が聞かれます。しかし、
女性を無理に引き上げるべきかといった議論の前になすべきことがあるはずです。それは、
企業における人事慣行が、配置や昇進、教育訓練などの面で
男性と
女性の間に実質的な
格差を生じさせるものとなっていないか、まずはきちんと検証すべきということです。
最近の調査では、
女性の主な
離職理由は、結婚や
育児だけではなく、むしろ
仕事の行き詰まりや職務
内容への不満にあるといったことが分かってきています。これは、要するに、
職場において
女性は、昇進意欲が乏しい、どうせ結婚や
出産によって辞めてしまうといった先入観から、重要性の低い業務が割り当てられる傾向があり、このことが
女性にとっても、やりがいのある
仕事が与えられないことで意欲が失われ、最終的には
離職する原因になってしまっているというものです。
本
法案では、
事業主行動計画を
策定するために、
企業は
女性の
活躍に関する
状況について
把握、
分析することとなっていますが、以上述べたような
格差の実態を踏まえた
行動計画にすることが肝要です。
政府としても、
企業内の人事慣行が
男女雇用
機会均等法の
趣旨に沿った形で運用されているのかをきちんと検証するよう、
事業主行動計画の
策定に関する指針を通じて促すべきと考えますが、
塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
働き方の是正も
課題です。これまで、多くの
職場で
男性並みに長時間働けるかどうかが
女性が
管理職になるための暗黙の条件になってきました。これは、すなわち、
本気で
女性の
活躍を推し進めるのであれば、長い
労働時間に代表されるこれまでの働き方を
男性も含めて変えていかなくてはならないということです。
特に、
育児休暇については、
女性の
育児休業取得率が九割に迫るところまで増加した一方、
男性は僅か二%。
職場に
男性社員の
育児参画に対する根強い
抵抗感があることや、上司が部下の育休取得を妨げるパタニティーハラスメントの
存在も
指摘されており、早急な是正が必要です。
このように、長時間
労働を是正し、
男性社員の働き方や
両立支援の在り方を見直す
取組については、例えば政労使
会議などの場を使って、
政府から積極的な問題提起を行い、是正を促すべきと考えますが、
塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
本
法案では、
従業員三百人以下の
企業については、義務ではなく
努力義務にとどめることとされました。しかしながら、実際は、
女性の
登用に関して言えば、大
企業よりもむしろ
中小企業の方が進んでいることが分かっています。
厚生労働省の調査でも、五千人以上の大
企業では
女性の
管理職に占める
割合が三%にすぎないのに対して、三十人
未満の
企業では既に一七%にまで達しています。
問題は、
中小企業の場合、コスト負担の重さなどから短時間
勤務制度等の
整備に二の足を踏むことが多いのに加えて、業績低迷時は自粛ムードから
育児休業取得率が大幅に落ち込むなど、せっかく制度を導入しても利用が抑制されてしまうことです。
女性労働者のおよそ三人に二人を雇用し、
女性の
登用にも積極的な
中小企業の
取組を
支援することの意義が大きいことは明らかです。
政府は、昨年、こうした
状況を受けて、
女性の
活躍推進に取り組む
企業に対する助成金制度を創設いたしましたが、残念なことに広く
活用されているとは言えない
状況です。周知を徹底するとともに、
中小企業にとって使い勝手の良い制度に改善する必要があると考えますが、
塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
最後に、忘れてはならないのが家庭における
女性の
家事、
育児負担の問題です。
総務省の調査によると、三歳
未満の
子供がいる共働き家庭において、
女性の週平均
家事労働時間が三時間二十一分であるのに対して、
男性は僅か三十七分。
育児時間は、
女性三時間三十三分に対して、
男性六十分。
企業がどれだけ
両立支援策を
整備しても、極端に重い
家事、
育児負担を解消しない限り、
女性が
職場において
能力を存分に発揮することはできません。
現在、民間においても
家事支援サービスやベビーシッターなどが広がっていますが、トラブルに至るケースも発生しており、品質、価格両面で安心して利用できる制度を整える必要があります。
政府としても、こうした
支援体制の
整備を進めるのと同時に、我々
男性が
家事や
育児に積極的に取り組むことへの
意識改革の旗振り役となっていただきたいと思います。
政府として、今後どのようにして
家事、
育児負担の軽減に取り組むのか、最後に有村
女性活躍担当大臣にお伺いして、私の
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣有村治子君
登壇、
拍手〕