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2015-07-03 第189回国会 参議院 本会議 第30号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十七年七月三日(金曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第三十一号
平成
二十七年七月三日 午前十時
開議
第一
特許法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) 第二
不正競争防止法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第三
特定船舶
の
入港
の
禁止
に関する
特別措置
法第五条第一項の
規定
に基づき、
特定船舶
の
入港禁止
の
実施
につき承認を求めるの件(衆
議院送付
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の法
律案
(
趣旨説明
) 以下
議事日程
のとおり ─────・─────
山崎正昭
1
○
議長
(
山崎正昭
君) これより
会議
を開きます。 この際、
日程
に追加して、
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
について、
提出者
の
趣旨説明
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山崎正昭
2
○
議長
(
山崎正昭
君) 御
異議
ないと認めます。
農林水産大臣林芳正
君。 〔
国務大臣林芳正
君
登壇
、
拍手
〕
林芳正
3
○
国務大臣
(
林芳正
君)
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
の
趣旨
につきまして御
説明
申し上げます。
政府
においては、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン等
に基づき、
需要フロンティア
の
拡大
、
需要
と
供給
をつなぐ
バリューチェーン
の
構築
、
生産現場
の
強化等
の
農政改革
を進めてきたところでありますが、これらの
改革
が
成果
を上げるためには、
政策
を活用する
経済主体等
が積極的に
活動
できる
環境
を整備していくことが必要不可欠であります。 こうした
観点
から、
平成
二十六年六月に閣議決定された
規制改革実施計画
及び
日本再興戦略改訂
二〇一四を踏まえて、
農業協同組合
、
農業委員会
及び
農業生産法人
に関する
制度
の一体的な
見直し
を行うこととしたところであります。 次に、これらの
法律案
の主要な
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、
農業協同組合法
の一部
改正
であります。 まず、
農業協同組合
の
事業運営原則
を明確化し、
農業協同組合
が
事業
を行うに当たって
農業所得
の
増大
に
最大限
の
配慮
をしなければならないこととするとともに、
農畜産物
の
販売等
の
事業
の的確な遂行により
利益
を上げ、その
利益
を
事業
の
成長発展
を図るための
投資
や
事業利用分量配当
に充てるよう努めなければならないこととしております。 加えて、
自主的組織
としての
運営
を確保する
観点
から、
農業協同組合
は、
事業
を行うに当たって、
組合員
及び
会員
に
利用
を強制してはならないこととしております。 さらに、
農業所得
の
増大
に資する責任ある
経営体制
の確立を図る
観点
から、
農業協同組合
の
理事
の
過半数
を、
原則
として、
認定農業者
又は
農産物販売
、
法人経営
に関し実践的な能力を有する者でなければならないこととしております。 また、
農業協同組合
及び
農業協同組合連合会
は、その
事業
を
対象者
の
ニーズ
に応じて適切に
運営
する
観点
から、必要な場合には、その選択により、
新設分割
や株式会社、
一般社団法人
、
消費生活協同組合
及び
社会医療法人
への
組織変更
ができることとしております。
昭和
二十九年に
農協
の
経営指導
により
農協組織
を再建するために導入された
農業協同組合中央会制度
については、これを
廃止
して自律的な
制度
に移行することとし、
都道府県農業協同組合中央会
は
農業協同組合連合会
に、
全国農業協同組合中央会
は
一般社団法人
に、それぞれ移行することができることとしております。 また、
一定規模
以上の
信用事業
を行う
農業協同組合等
は、今後、安定的に
信用事業
を継続できるようにするため、
公認会計士
又は
監査法人
による
会計監査
を受けなければならないこととしております。 第二に、
農業委員会法
の一部
改正
であります。 まず、
農業委員会
の事務として、
農地等
の
利用
の
最適化
の
推進
に重点を置くことを明確にしております。 次に、
農業委員
の
選出方法
について
公選制
を
廃止
し、
市町村長
が
市町村議会
の
同意
を経て任命する
方法
に改め、
農業委員
の
過半数
は、
原則
として、
認定農業者
でなければならないこととしております。 さらに、
農地等
の
利用
の
最適化
を
推進
するため、
農業委員会
は、
担当区域
において
農地等
の
利用
の
最適化
の
推進
のための
活動
を行う
農地利用最適化推進委員
を委嘱することとしております。 また、
都道府県知事
又は
農林水産大臣
は、
農業委員会相互
の
連絡調整等
の
農業委員会
の
支援業務等
を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、
都道府県
又は
全国
に一を限って、
農業委員会ネットワーク機構
として指定できることとしております。 第三に、
農地法
の一部
改正
であります。
農業
の六次
産業化
を促進する
観点
から、
農地
を所有できる
法人
の
要件
のうち、
役員
の
農作業従事要件
について
役員等
のうち一人以上の者が
農作業
に従事すればよいこととするとともに、
議決権要件
について
農業者
以外の者の
議決権
が総
議決権
の二分の一未満まででよいこととしております。 このほか、
農水産業協同組合貯金保険法
及び農林中央金庫及び
特定農水産業協同組合等
による
信用事業
の再編及び
強化
に関する
法律
を
改正
するとともに、
農業倉庫業法
を
廃止
する
措置
を講ずることとしております。
政府
といたしましては、以上を
内容
とする
法律案
を
提出
いたしましたが、
衆議院
におきまして、
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
に対し、
政府
は、この
法律
に基づく
農業協同組合
及び
農業委員会
に関する
制度
の
改革
の
趣旨
及び
内容
の
周知徹底
を図るとともに、
組合
の
事業
及び
組織
の在り方についての
当該組合
の
構成員
と
役職員
との徹底した
議論
並びに
農地等
の
利用
の
最適化
の
推進
についての
農業
の
担い手
を始めとする
農業者
その他の
関係者
の間での徹底した
議論
を促すことにより、これらの
関係者
の意識の啓発を図り、
当該改革
の
趣旨
に沿った自主的な
取組
を促進するものとする
規定
を追加する修正が行われております。 以上、
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げた次第であります。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
4
○
議長
(
山崎正昭
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、
質疑
の通告がございます。順次発言を許します。
野村哲郎
君。 〔
野村哲郎
君
登壇
、
拍手
〕
野村哲郎
5
○
野村哲郎
君
自由民主党
の
野村哲郎
でございます。
自由民主党
を
代表
いたしまして、ただいま
議題
となりました
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
について
質問
をいたします。 私は、
昭和
四十四年から
平成
十六年まで、三十五年間にわたって
鹿児島
県
農協中央会
に奉職し、
地域農業
の振興、
農家組合員
の
経営
安定、
農協経営
の
健全性確保
に携わってまいりました。そのような自らの経験と
農業現場
の実態を踏まえて、さらには、
日本
の原
風景
である
農村
の情景を思いながら、幾つか
質問
をさせていただきます。 そもそも、
農業協同組合
は、その名のとおり
組合員
の
相互扶助組織
であり、
協同組合
の
発祥
は、世界においては、イギリスで設立された
ロッチデール公正先駆者組合
やアメリカの
ニューハーモニー平等
村、そしてドイツの
ライファイゼン信用組合
、フランスの
労働者協同組合
などであると言われております。我が国においては、
二宮尊徳
の
指導
で生まれた
報徳社
、
大原幽学
が主導した
先祖株組合
が
協同組合
の
発祥
と言われております。そして、私の
地元鹿児島
県
沖永良部
島では、当時流刑されていた
西郷隆盛公
の
指導
に基づいて、明治三年に島民の
相互扶助組織沖永良部社倉
が設立されております。 これらの
組織
に共通する思想は、独り勝ちするのではなく、みんなで分かち合うことであり、まさしく
協同組合
の
理念
である、一人はみんなのために、みんなは一人のためにという考え方であります。 こうして誕生した
協同組合
は、
時代
の変遷を経て、戦後の
農地解放
とともに、
小規模農家
の
相互扶助組織
として
農業協同組合
が誕生いたしました。現在、
農協
に対する様々な御
意見
があることは承知しておりますが、少なくとも
地域
においては、
相互扶助
の精神の下、
協同組合
として
組合員
の
農業経営
を支え、
地域
の
インフラ
としてその
役割
を果たしてきたことは紛れもない事実であります。
経営規模
が小さく
経済力
の弱い
農家
が集まって
農協
を
組織
し、その
農協
が集まって
県組織
、
全国組織
となり、
農産物
の
販売
や
農業資材
の
購入
において、
企業
やメーカーとより対等に近い
関係
で
交渉
ができるよう取り組んできたのが
農協
の
歴史
であり、
総理
が
国会
で述べておられた、目をみはるような美しい棚田の
風景
を支えてきたのは、一人の大
農家
ではなく、その
地域
で
農業
を営む一人一人の
農家
の
皆さん
であり、その
農家
の
皆さん
とともに歩んできたのが
農協
なのであります。 そこで、
林農水大臣
は、
農業協同組合
が
歴史
的に果たしてきた
役割
をどう評価されているのか、さらに、今後に期待する
農協像
について御
所見
をお伺いしたいと存じます。 次に、
衆議院
での
委員会質疑等
を見ますと、
農協改革
がどのように
農業者
の
所得増大
に結び付くのか、また、
全中
の
一般社団法人化
など、単に
組織いじり
ではないか、さらに、
職能組合
への純化ではないかとの
指摘
も出ております。 そこで、
林大臣
から、これらの疑問や
懸念
について、丁寧に、
納得
のいく
説明
をお願いいたします。 次に、
改正内容
について御
質問
申し上げます。 今回の
改正案
では、第七条第二項において、「
組合
は、その
事業
を行うに当たつては、
農業所得
の
増大
に
最大限
の
配慮
をしなければならない。」との
規定
を新たに設けてあります。もちろん、
農業協同組合
である以上、
農家組合員
の
農業経営
の安定と
所得向上
のために
最大限
の努力をするのは至極当然のことだと思います。 一方で、
農村地域
においては、
農業分野
だけでなく、
信用
、
共済事業
や
生活資材
の
供給
、
医療福祉
などの
分野
で
地域住民
の
暮らし
を支える
役割
を
農協
は果たしております。今回の
法改正
で、その
役割
がどうなるのか大変心配する声が
地方
にはあります。特に、
過疎化
や
高齢化
の
進展
で、
企業
の撤退や廃業によって
農協
の提供する
サービス
が
最後
のとりでとなっております。 今回の
改正
で新たに設けられたこの七条第二項の
規定
は、あくまでも
農協事業運営
の
原則
を明確にしたものであり、これまで
農協
が
地域
に提供してきた様々な
サービス
を制限するものではないと理解しておりますが、
農村地域
で不安を感じておられる
皆さん
の心配を払拭するためにも、
農水大臣
の明快な答弁をお願いいたします。 次に、
中央会制度
の
廃止
についてお伺いをいたします。 今回の
改正案
では、
農協法
上の
中央会制度
を
廃止
し、
都道府県
の
中央会
は
農業協同組合連合会
へ、
全国農協中央会
は
一般社団法人
へ
組織変更
し、
監査部門
は別
法人
に移行することとされております。
昭和
二十九年の
中央会制度発足
以来、
中央会
は
農協
の
事業
や
経営
についての
監査
や
指導
、
農協
や
連合会
を
代表
する
機能
や
総合調整
など幅広い
役割
を果たしてきています。 このような
中央会
の果たしてきた
役割
を考えるとき、今回の
農協法改正
でどうしても理解できない点があります。それは、
都道府県中央会
は
農協法
に定める
法人
となり、一方、
全国農協中央会
は
農協法
に
根拠
を置く
法人
でなく
一般社団法人
となりますが、この
改正内容
が
組織
的にも
法体系
上も
整合性
が取れるのかという点であります。このことについて、
納得
のいく合理的な
説明
を
林大臣
に求めます。 次に、
農業委員会等
に関する
法律
の一部
改正
について
お尋ね
します。 今回の
改正案
は、
農業委員
の
公選制
を
見直し
、
農業者等
からの
推薦者
や公募に基づいて
市町村長
が任命することとするほか、新たに
農地利用最適化推進委員
を設置し、これまで
農業委員
が行っていた
農地利用状況調査等
の
業務
を担わせる、さらには、
都道府県農業会議
、
全国農業会議所
を
農業委員会ネットワーク機構
に移行する等となっております。 この
法案
についても、
衆議院
の
審議
の
過程
で様々な疑問や
懸念
が
指摘
されました。したがって、
現場
で混乱が生じないよう、きめ細かな対応を行う必要があると思いますが、
林農水大臣
の
所見
をお伺いします。
最後
に、一言申し上げたいと思います。 脱皮できない蛇は滅びるとのニーチェの
言葉
があります。
社会
や
経済
の
進展
とともに、
改革
への
取組
は必要かつ重要なことであります。 このため、
JAグループ
では、
自己改革
の確実な実践を図るため、十月には
全国農協大会
を開催し、向こう三年間の
取組
を
組織
決定すると聞いています。こうした
取組
によって、
農家
の
所得向上
や
地域住民
の
暮らし
を支える
組織
として、今後ますます
JAグループ
がその
役割
を果たせるよう、
政府
も自らのこととして一体となって取り組むことを切にお願い申し上げ、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣林芳正
君
登壇
、
拍手
〕
林芳正
6
○
国務大臣
(
林芳正
君)
野村議員
の御
質問
にお答えをいたします。
農協
が果たしてきた
役割
と今後期待する
農協
の姿についての
お尋ね
がありました。
農協
は、
組合員
の
相互扶助
を
理念
とする
農業者
の
協同組合
であり、
昭和
二十二年に
農協法
が制定されて以降、小規模で多数の
農業者
が共同して
事業
を行うことにより、
農産物流通
や
生産資材
の
供給
などにおいて大きな
役割
を果たしてきたと考えております。 ピーク時である
昭和
六十年には、
農協
の
農産物取扱高
は
農業
総
産出額
の約六割、また、農薬の
取扱高
は
出荷金額
の約八割を占めておりました。しかしながら、
社会経済情勢
が変化する中で、
農協
の
農産物販売
や
生産資材購入
における取扱いのシェアは大きく低下してきており、
農業者
、特に
担い手農業者
の
ニーズ
に十分に応えられているとは言い難い
状況
にあります。 このため、今回の
農協改革
では、
農協
が
農業者
の
協同組織
であるという原点に立ち返って
農協システム
の
見直し
を行うこととしております。こうした
改革
により、
地域農協
が
担い手農業者
と力を合わせて
農産物
の
販売力強化等
に積極的に取り組み、
農業所得
の
向上
により、
担い手
を始めとする
農業者
から評価される
組織
となっていただくことを期待しているものであります。
農協改革
と
農業者
の
所得増大
との
関係
についての
お尋ね
がありました。
安倍内閣
においては、
農業
を
成長産業
とし、
地方創生
の核としていくため、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
に基づき、
需要フロンティア
の
拡大
、
需要
と
供給
をつなぐ
バリューチェーン
の
構築
、
生産現場
の
強化
を
産業政策
の柱とする
農政改革
を進めてまいりました。 こうした
政策
が
成果
を上げるためには、これらの
政策面
の
見直し
と併せて、
経済主体
が
政策
も活用しながら自由に
経営
を展開できる
環境
を整えていくことが必要不可欠です。特に、
農協改革
については、
地域農協
が意欲ある
担い手
と力を合わせて
創意工夫
を発揮し、自由な
経済活動
を行うことにより、
農産物
の
有利販売
に全力投球できるようにすることで
農業所得
の
向上
につなげていくことにしております。 このため、
改正法案
では、責任ある
経営体制
を確立するため、
理事
の
過半数
を
認定農業者
などにするとともに、
農業所得
の
増大
に
最大限
配慮
するなど、
経営目的
を明確化し、選ばれる
農協
とするため、
農業者
に
事業利用
を強制してはならないことを
規定
しているところです。 また、
連合会
、
中央会
については、
地域農協
の自由な
活動
をサポートする
観点
から
見直し
、特に
中央会
については自律的な
制度
に移行することとしたところです。 今回の
改革
を契機として、
農業者
や
農協
の
役職員
が徹底した話合いを行い、
役員体制
をどうするか、
販売方式
をどうするか等を検討し実践していけば、
農協
はその力を十分発揮し、
農業所得
の
向上
につなげていくことができるものと考えております。
農協法
第七条第二項の
規定
の
趣旨
についての
お尋ね
がありました。 今回の
改正
により新たに
規定
することとした第七条第二項は、
農協
は
農業者
の
協同組織
であることから、
事業
を行うに当たっては
農業所得
の
増大
に
配慮
することを求めるものです。一方で、第七条第一項では、従来と同様、
農協
は
准組合員
を含めて
組合員
のために最大の奉仕をすることを
目的
とすることを
規定
しております。したがって、第七条第二項を
規定
したからといって、
農協
が実際上果たしている
地域
の
インフラ
としての
機能
を制約するようなことにはならないと考えております。
中央会
の
組織変更
についての
お尋ね
がありました。
中央会制度
については、
地域農協
の自立と自由な
経済活動
を促し、これを適切にサポートするという
観点
から、自律的な新たな
制度
に移行することとしたところです。 この中で、
都道府県中央会
については、
地域
の
農協
を直接の
構成員
とする
組織
であり、また、
会員
の
意思
の
代表
、
会員相互
間の
総合調整
といった
機能
のほかに、
経営相談
、
監査
といった
会員農協
が
利用
する
事業
を行うことから、
農業協同組合連合会
に移行することとしたところです。 一方で、
全国中央会
については、基本的に
都道府県中央会
を束ねる
組織
であり、また、
全国監査機構
を外出しして
監査法人
を設立することとしていることから、
組織変更
後の
役割
は、
会員
の
意思
の
代表
及び
会員相互
間の
総合調整
ということになります。このため、
全国中央会
については、
農協連合会
ではなく、
会員
の
相互
の
支援
、交流、
連絡
などの
活動
を行う
団体
の
法人形態
として
一般
に広く活用されている
一般社団法人
へ移行することとしたところであります。
農業委員会法
の
改正
について
お尋ね
がありました。
農業委員会法
の
改正
については、
衆議院
の
審議
の
過程
で、
公選制
を
廃止
すると
地域
の
代表性
が失われてしまうのではないか、
農業委員
と新設する
農地利用最適化推進委員
との
役割分担
はどうなるのかといった
指摘
があったところです。
農業委員
の
選出方法
については、今回の
改正
で、
公選制
から
市町村議会
の
同意
を
要件
とする
市町村長
の
選任制
に改めることとしておりますが、この際、
市町村長
は、あらかじめ
地域
から
推薦
を求め、また
募集
を行い、
推薦
を受けた者及び
募集
に応募した者に関する情報を整理、公表し、その結果を尊重して
委員
を任命しなければならないこととしております。このため、今回の
改正
後も、
農業委員
は
地域
の
農業者
の
代表
としての
側面
を持っており、
農業委員会
の
活動
に
地域
の特性や
地元
の事情を適切に反映していくことが可能と考えております。 また、
農地利用最適化推進委員
は、現在の
農業委員
の
機能
が、
委員会
としての
決定行為
、
委員
の各
地域
での
活動
の
二つ
に分けられることを踏まえ、
二つ
の
機能
それぞれが的確に
機能
するようにするため新設するものです。
改正
後は、
農業委員
は
合議体
としての
意思決定
を行うこととしており、具体的には、
農業委員会
に出席して
議決権
を行使し、
農地
の
権利移動
や
農地転用
の許可に当たって具申すべき
意見等
を
審議
することとなります。 これに対し、
推進委員
は、自らの
担当区域
において、
担い手
への
農地利用
の
集積
、
集約化
や、
耕作放棄地
の
発生防止
、解消といった
農地等
の
利用
の
最適化
の
推進
に関する
活動
を行うことになります。具体的には、
出し手農家
に対して
農地
の貸出しを積極的に働きかけ、
農地中間管理機構
と連携しながら
担い手
への
集積
、
集約化等
を進めていただくことになります。
衆議院
の御
議論
では、今回の
改正内容
が
現場
でよく理解されていないとの御
指摘
もあったところであり、
法案
を御
審議
いただき、成立させていただいた暁には、
現場
への
周知徹底
をしっかりと行ってまいります。 以上でございます。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
7
○
議長
(
山崎正昭
君)
徳永エリ
君。 〔
徳永エリ
君
登壇
、
拍手
〕
徳永エリ
8
○
徳永エリ
君
民主党
・新緑風会の
徳永エリ
です。 私は、会派を
代表
いたしまして、ただいま
議題
となりました
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
について、
林農林水産大臣
に御
質問
させていただきます。 私の
地元北海道
のおいしいお米、ゆめぴりか、ななつぼしは
テレビコマーシャル
でもすっかり有名になりましたが、二十年ほど前までは、
北海道
のお米はおいしくないと言われ、
道産米
の
道内食率
も三〇%台でした。ところが、今は、
稲作農家
の
皆さん
の長年の苦労が実り、
特A品種
の
北海道ブランド米
は
全国
的にも大変に人気があります。さらには、
業務用米
、
酒米
、
モチ米
まで何でもそろう
北海道
は、味も品質も収量も
日本
一の米どころとなりました。 しかし、これまでの
北海道農業
は、国策に翻弄され続けてきた
歴史
があります。一九六一年、
農業基本法
が制定され、国は零細な
農業
の
規模拡大
による
生産コストダウン
を目指しました。都府県に先駆けて大
規模化
を進めた
北海道
は
基本法農政
の優等生と言われましたが、その一方で、
規模拡大
に伴って五十四万人の
農業人口
が十年で三十三万人まで減少いたしました。大量の離農が生まれ、町や村の
人口減少
にもつながりました。そして、一九七一年には
稲作
、一九七九年には酪農の
生産調整
が始まると、大
規模化
した
北海道農業
は身動きができなくなり、今度は
劣等生扱い
を受け、四九%という厳しい
減反率
を国から押し付けられました。 しかし、苦しい中で、
北海道
の
稲作農家
は、おいしいお米を作るんだ、そのことを諦めずに、国がやろうとしないので、
農業協同組合
が、
組合員
である
農家
から
拠出金
を集めて
道立農業試験場
の
品種改良
のための
研究費
を支え続け、その結果、きらら三九七が誕生し、次々とおいしい
道産米
の
生産
に成功していきました。 さらに、
民主党
の
農業者戸別所得補償制度
により、
生産コスト
と
販売価格
の差額、恒常的な赤字を補填する
交付金
が大
規模層
に手厚く交付され、
農地
の
集約
が進み、
所得
も増えたことにより
後継者
や
新規就農者
も増え始め、緩やかな
構造改革
が進み、
北海道
の
農業
の
現場
では着実に
政策成果
が上がっていたんです。 しかし、
安倍政権
に交代以降、
TPP交渉参加
、
農地中間管理機構
による
企業参入
の
加速化
、
農業者戸別所得補償制度
の
廃止
、そして、昨年の
史上最悪
の米価の下落、
北海道
だけではなく
全国各地
の
稲作農家
は
所得
が大きく減少し、
規模拡大
に伴う
投資
による
借金返済
の見通しも付かず、将来を悲観して自死者も出ています。さらに、今度は、
食用米
は余っているからと、
飼料用米
、牛や豚の餌を作らせ、一方で、米国から
TPP
で
食用米
を大量に追加輸入しようとしています。そして、今回の
法改正
では、
小規模家族経営農家
を守ってきた
農家
の
セーフティーネット
である
農業協同組合
、
農業委員会
、さらに
農地
まで財界、
企業
にコントロールさせる仕組みをつくろうとしています。
農業
、
農村
に新
自由主義
を持ち込み、戦後の
民主的改革
を壊そうとしている
安倍総理
の描く戦後レジームからの
脱却農政
は間違っています。
農業
、
農村
の
所得倍増
、息をのむような美しい
田園風景
、どんなに
耳当たり
の良いスローガンを並べても、
農家
の
皆さん
の心には
総理
の
言葉
は響きません。
安倍政権
による
企業参入
を軸とした
農政改革
では、
農業
、
農村
の明るい未来は全く見えません。
食管法時代
の
米行政
に
代表
されるように、国や
地方公共団体
は、これまで
農協系統
を
生産調整政策
の
推進
に使ってきた
側面
があり、
行政
の
代行的業務
を行わせてきました。米の集荷を一手に
地域農協
が引き受け、その頂点に立って
監査
や
指導
を行ってきたのが
JA全中
であります。
総理
は、
全中
の強力な
指導
、
監査
の下で
単位農協
の自由な
経営
が制約されており、
中央会制度
をなくすことで、
単位農協
が
経済活動
を活発に行い、
農業者
の
所得向上
につながると
説明
しておられますが、これまでの
国会審議
の中で、
JA全中
によって
単位農協
が自由な
経営
を阻害されてきたという具体的な事例が全く示されておりません。 そもそも、何の
根拠
もないのになぜ
法改正
をしなければならないのか、全く理解することができません。
全中
の
監査
・
指導権
をなくすことで、なぜ
単位農協
の
活動
が活性化され、
農業者
の
所得向上
につながるのか、
大臣
の
納得
いく
説明
を求めます。 今回の
法改正
で、
全中
を二〇一九年九月末までに
一般社団法人
とし、
全中監査
や
指導権限
が
廃止
されます。さらには、
組合
に関する事項について
行政庁
に
意見
を述べる
建議権
もなくなります。となると、
一般社団法人
となる
JA全中
は、
法改正
後、どのような
役割
を担うことになるのでしょうか。また、
JA全中
を、なぜ
都道府県中央会
と同じ
農業協同組合連合会
ではなく
一般社団法人
に転換する必要があったのかについても御
説明
をお願い申し上げます。
農協
は、
農業者
のための
協同組合
であると同時に、
地域
のための
協同組合
でもあります。厚生病院、Aコープ、ガソリンスタンド、高齢者福祉施設、葬祭場。人口の少ない
地方
の町では、採算の取れない
事業
を
農協
が引き受け、
地域
の生活
インフラ
を支えています。
准組合員
になり
利用
している人もいますが、病院などは
一般
の方々も
利用
しています。 一定の員外
利用
割合の規制があり、規制に違反しないで
利用
するには、当面は
准組合員
になってもらうことになると思いますが、一方で、
改正案
は、
准組合員
の
事業
の
利用
状況
を法施行後五年掛けて調査、検討するとしています。その結果、
組合員
よりも
准組合員
の
利用
率が高いのだから、
組合員
でない人も広く
利用
できるようになどとして、
政府
は、
改正案
の
規定
にもあるように、
農協
の株式会社化を求めかねません。株式会社になれば、採算が取れない
事業
や支店はいずれ撤退、閉鎖となり、
地域
の生活
インフラ
、命綱が失われてしまうことになります。 そもそも、なぜ
農業協同組合
をその
目的
、
理念
が全く異なる株式会社にする道を開いたのか、その理由を伺います。 さらに、
改正案
は、現行法第八条における
組合
の
目的
について、営利を
目的
として
事業
を行ってはならないとの文言を削除するとともに、
改正案
第七条第二項では、
組合
は
農業所得
の
増大
に
最大限
配慮
すべきとの
規定
を新たに設けています。この
改正
は、
農協
は
農業者
の
職能組合
に純化し、
農業所得
の
増大
に集中せよとの
趣旨
と思われます。 しかし、
農協
が
組織
体として持続する上で適切な
利益
を求めることは当然の責務であり、現行法の、
農協
は営利を
目的
とせずの文言があっても、これまで何の支障もありませんでした。そして、
農協
は正
組合員
と
准組合員
から構成されており、
農業所得
の
増大
を最大の
目的
とわざわざ
規定
することは、
農協
の
地域
社会
への貢献という大きな
役割
を薄めるとともに、いずれ
准組合員
制度
を
廃止
するとの考えを示すものではありませんか。
農業委員会
についてお伺いいたします。
農業委員
は、
農地
の
権利移動
についての許認可や、
農地転用
の
業務
を中心とした
農地
行政
の執行という極めて重要な
機能
を担っていることから、
公選制
を維持してきました。
法改正
により、
公選制
を
廃止
し、
市町村長
による
選任制
に変更するとしています。
政府
は、これまで
農業委員
の多くが無投票で当選し、選挙が形骸化してきたことを理由としています。しかし、それは
地域
の
農業者
がこの人ならと信頼していることのあかしであり、
公選制
をやめる理由にはなりません。
選任制
で
市町村長
が適切な人物を選任することはどのように保証されるのでしょう。 さらに、
改正案
では、
地域
に住んでいない人も
委員
になることができますが、
地域
との結び付きがない
農業委員
が
地域
からの信頼を得ることが果たしてできるのでしょうか。
農業者等
から
推薦
及び公募による候補者を求めるとしていますが、定数を超える
推薦
又は公募があった場合、
最後
は
市町村長
の裁量となります。
市町村長
の恣意的な選任が行われる可能性は排除できません。
市町村長
に何らかの圧力が掛かる場合も考えられます。恣意的な選任が行われれば、
農地
を守るという
農業委員会
の使命を果たすことができなくなってしまいます。
公選制
を維持するべきだと考えますが、
大臣
の御見解をお伺いいたします。
改正案
では、
農業委員
を半減し、新たに
農地利用最適化推進委員
を
農業委員会
が委嘱するとしています。
推進委員
は
現場
の
活動
を担い、
農業委員
は
合議体
の
決定行為
を行うと
説明
しています。また、
推進委員
は
農地中間管理機構
と連携して
農地
集積
業務
を行うことが
規定
されていますが、
農業委員
にはそうした
規定
はありません。 なぜ今まで
農業委員
一本でやってきたことを
二つ
に分けるのか。
政府
は
推進委員
に何を期待しているのでしょうか。
農業委員
と
推進委員
の
役割分担
は明確になっているのでしょうか。
法改正
により、
現場
がぎくしゃくとし、混乱が生じる
懸念
があります。
農業委員
と
推進委員
の
関係
や
役割分担
がどうなるのか、それぞれの人数はどう決めるのか、分かりやすく御
説明
ください。 また、
推進委員
の委嘱に当たっては、
農業委員会
が
農業者
に対して、候補者の
推薦
を求める、また
募集
を行うということですが、具体的にどういう人について
推薦
を求め、
募集
するのか、経歴や経験など選ぶ基準は定めるのか、女性の積極的な登用の仕組みは考えるのか。また、
推進委員
は、どこからの指示で、どういう
方法
で
農地
集積
のための
地域
での
交渉
や調整を行うのかということが非常に重要です。 極端な話、バブル期の地上げ屋のような人やディベロッパーのような人が
農村
に入ってきては大変です。
政府
のイメージする
農地利用最適化推進委員
はどんな人なのか、具体像をお伺いいたします。
農業生産法人
の
要件
の緩和についてお伺いいたします。 今回の
農地
法改正
により、
農地
を所有できる
法人
、
農業生産法人
を
農地
所有適格
法人
と改め、
要件
を緩和し、
企業
の
農業
参入を一気に進めようとしています。二五%まで限定されていた
一般
企業
の出資比率は五〇%未満まで緩和されることになります。このことによって、資本力のある
企業
が
農地
を大規模に買い占める可能性は否定できません。そうなると、
農地
を奪われた
農業者
は、
企業
に雇われなければ
農業
を続けられないということになりかねません。我が国の
農村
から
農家
、農民がいなくなり、
農業者
は
企業
の一労働者として、サラリーマンとして働く
時代
がやってくるということなのでしょうか。
大臣
は、
利益
確保を最優先する
企業
が
農業
に参入することで我が国の食料
生産
と
農地
を維持できるとお考えですか。
企業
は農民と違って、もうからなければやめてしまいます。やめてしまえば
農地
は荒廃します。荒廃した
農地
は簡単に元には戻らないんです。
農業生産法人
の
要件
緩和は、
総理
がおっしゃるような、息をのむような美しい
田園風景
を壊してしまうことになるのではないでしょうか。 官邸主導の
農業
改革
、そして今回の
法改正
の狙いは明らかです。五年後、
農協
はどうなっているのか、
農業委員会
はどうなっているのか、
農村
コミュニティーはどうなってしまうのか。
政府
は、
農協組織
や
農業委員会
がこれまで果たしてきた
役割
を無視し、悪者に仕立て上げ、農民のこれまでの苦労や努力を踏みにじり、日米の財界の要求に応え、結論ありきで独善的に
法改正
を行おうとしています。
農業
、
農村
に競争と効率、
利益
最優先の
経済
至上主義を持ち込もうとしている、この
法案
が成立すれば、
地方創生
どころか
地方
解体、
農村
崩壊、民主主義の破壊につながります。 我々
民主党
は、
地域
、そして農民を守り、
日本
の食料安全保障を確立するために全力で必死で戦い抜くことをお約束し、私の
質問
を終わらせていただきます。 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣林芳正
君
登壇
、
拍手
〕
林芳正
9
○
国務大臣
(
林芳正
君) 徳永議員の御
質問
にお答えいたします。
全中
の
監査
権限
廃止
と
農業者
の
所得向上
の
関係
について
お尋ね
がありました。 今回の
農協改革
は、
地域農協
が自立して、自由に
経済活動
を行い、
農産物
の
有利販売
など、
農業者
の
所得向上
に全力投球できるようにすることを中心に据えて、
農協システム
全体の
見直し
を行うこととしております。
昭和
二十九年に導入された、
行政
に代わって
農協
の
指導
、
監査
を行う特別認可
法人
である
中央会制度
についても、
地域農協
の自由な
経済活動
を適切にサポートするという
観点
から、自律的な新たな
制度
に移行することとしております。この一環として、
全中監査
の義務付けも
廃止
することとしておりますが、こうした
中央会制度
の
見直し
により、
地域農協
の
役員
が従来以上に
経営
者としての責任を自覚して、
農業者
のメリットを大きくするよう、
創意工夫
して取り組んでいただくことを期待しているものであります。 こうした
農協改革
と
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
に基づく各種の
政策
が連動することによって、
農業
の
成長産業
化に道筋が付き、
農業者
の
所得向上
につながるものと考えております。
中央会
の
組織変更
についての
お尋ね
がありました。
中央会制度
については、
地域農協
の自立と自由な
経済活動
を促し、これを適切にサポートするという
観点
から、自律的な新たな
制度
に移行することとしたところです。 この中で、
都道府県中央会
については、
地域
の
農協
を直接の
構成員
とする
組織
であり、また、
会員
の
意思
の
代表
、
会員相互
間の
総合調整
といった
機能
のほかに、
経営相談
、
監査
といった
会員農協
が
利用
する
事業
を行うことから、
農業協同組合連合会
に移行することといたしました。 一方で、
全国中央会
については、基本的に
都道府県中央会
を束ねる
組織
であって、また、
全国監査機構
を外出しして
監査法人
を設立をすることとしていることから、
組織変更
後の
役割
は、
会員
の
意思
の
代表
及び
会員相互
間の
総合調整
ということになります。このため、
全国中央会
については、
農協連合会
ではなくて、
会員
の
相互
の
支援
、交流、
連絡
などの
活動
を行う
団体
の
法人形態
として
一般
に広く活用されている
一般社団法人
へ移行することとしたところであります。
農協
の株式会社への
組織変更
についての
お尋ね
がありました。
農協
は、
農業者
が自律的に設立する
協同組織
であり、
農業者
が
農協
を
利用
することでメリットを受けるために設立されるものであります。一方で、
農協
は、
過疎化
、
高齢化
等が進行する
農村
社会
において、実際上、
地域
の
インフラ
としての
側面
を持っているのも事実であります。しかしながら、
農協
という
組織
形態のままでは、員外
利用
規制等により、
農業者
でない
地域住民
に対し、
地域
の
インフラ
としての
サービス
を提供していくことが難しくなることも考えられます。 このため、今回の
改正案
では、
農協
がその選択によって、生活購買、ガソリンスタンドなどの
事業
を分割して、株式会社へと
組織変更
できるようにすることとしております。株式会社への
組織変更
を選択すれば、
農業者
であるか否かにかかわらず、誰でも
事業利用
をできるようになり、また、従来の
准組合員
も株主として
議決権
を持って
運営
に参加できるようになるものと考えております。
農協
の
目的
についての
お尋ね
がありました。
農協法
第一条は、
農協
が
農業者
の
協同組織
であることを明記しており、
農協
は、
農業者
が
農産物
の
販売
や
生産資材
の調達などの
事業
を
利用
することでメリットを受けることを主
目的
として設立する、
農業者
の
職能組合
であります。 しかしながら、現在の
農協
は、
信用事業
や
共済事業
に力を入れる一方で、
農業者
、特に
担い手
の
農業者
の
ニーズ
に十分応え切れておらず、結果的に、
農協
の
農産物販売
や
生産資材購入
における取扱いのシェアも低下傾向にあるといった問題があります。 このため、今回の
改正
により新たに
規定
することとした第七条第二項では、
農協
に、
農業者
の
協同組織
として、
農産物
の
有利販売
や
生産資材
の有利調達等に積極的に取り組むことを求める意味において、
農業所得
の
増大
に
配慮
することを
規定
したものであります。一方で、第七条第一項において、
准組合員
を含めて
組合員
のために最大の奉仕をすることを
目的
とすることを引き続き明確に
規定
をしており、第二項を追加したからといって、
准組合員
制度
を
廃止
するようなことにはならないものと考えております。 なお、
准組合員
の
利用
規制の在り方については、五年間調査を行った上で検討し、結論を得ることとしております。
農業委員
の
選出方法
についての
お尋ね
がありました。
農業委員会
は、
農地
に関する市町村の独立
行政
委員会
であり、
担い手
への
農地利用
の
集積
、
集約化
、新規参入の促進、
耕作放棄地
の
発生防止
、解消など、
地域農業
の発展を積極的に進めていくことが期待をされております。 一方で、
農業委員会
の
活動
状況
については、
地域
によって様々であり、
平成
二十四年のアンケート調査によれば、
農業委員会
の
活動
を評価している
農業者
は三割にすぎず、
農地
集積
などの
農家
への働きかけが形式的である、遊休
農地等
の是正
措置
を講じないなど、
農業者
から余り評価されているとは言い難い
状況
も見られるところであります。これは、
農業委員
の四割が兼業
農家
であり、
担い手
など
農業経営
に真剣に取り組んでいる方が主体となっていないことに起因する面があると考えております。 これらを踏まえ、今回の
法案
では、適切な人物が確実に
農業委員
に就任するようにするため、
公選制
から
市町村長
の
選任制
に改めることとしているところであります。その際、
市町村長
は、
市町村議会
の
同意
を得ることに加えて、あらかじめ
地域
からの
推薦
を求め、また
募集
を行い、
推薦
を受けた者及び
募集
に応募した者に関する情報を整理、公表し、
推薦
及び
募集
の結果を尊重しなければならない、こういうふうにしておりまして、
市町村長
が合理的な理由なく恣意的に
委員
を選任することが困難な
制度
にしているところであります。
農地利用最適化推進委員
について
お尋ね
がありました。 現在の
農業委員会
の
機能
は、
委員会
としての
決定行為
、
委員
の各
地域
での
活動
の
二つ
に分けられますが、この
二つ
がそれぞれ的確に
機能
するようにしていく必要があります。このため、今回の
法改正
では、
農業委員
とは別に
農地利用最適化推進委員
を新設することとしております。
改正
後は、
農業委員
は
合議体
としての
意思決定
を行うこととしており、具体的には、
農業委員会
に出席していただいて
議決権
を行使し、
農地
の
権利移動
や
農地転用
の許可に当たって具申すべき
意見等
を
審議
することとなります。 これに対して、
推進委員
は、自らの
担当区域
において、
担い手
への
農地利用
の
集積
、
集約化
や、
耕作放棄地
の
発生防止
、解消といった
農地等
の
利用
の
最適化
の
推進
に関する
活動
を行うことになります。具体的には、
出し手農家
に対して
農地
の貸出しを積極的に働きかけ、
農地中間管理機構
とも連携しながら
担い手
への
集積
、
集約化等
を進めていただくことになります。
農業委員
及び
推進委員
の定数については、政令で基準を定めることとしておりますが、
農地利用
の
最適化
の
成果
を上げることのできる人数を確保できるよう、今後、適切に検討をしてまいります。 どのような者が
農地利用最適化推進委員
になるのかとの
お尋ね
がありました。
現場
において
農地利用
の
最適化
に向けた
推進
活動
を行っていくためには、
地域
の
農地
所有者や
農業者
の信頼を得て、
農地利用
の調整を公正かつ円滑に
実施
していく能力が必要になってまいります。このため、そのような能力を有する者が
推進委員
となることが望ましいと考えているところでございまして、
地域
からの候補者の
推薦
や
募集
により、こういった方が
推進委員
となるよう工夫をしているところであります。
企業
の
農業
参入と
農業生産法人
の
要件
緩和について
お尋ね
がありました。
企業
の
農業
参入については、
平成
二十一年の
農地
法改正
でリース方式での参入は完全に自由化をされておりまして、
法改正
前の約五倍のペースで参入が進んでいるところであります。このように、リース方式での
企業参入
については、
農業
界、産業界が連携して前向きに
推進
していける
状況
にあり、特に
担い手
の不足する
地域
において
企業
がリース方式で参入していただくことを期待をしておるところであります。 また、
農地
を所有できる
法人
である
農業生産法人
については、今回の
改革
で六次
産業化
を行いやすくするため、
役員
の
農作業従事要件
及び
議決権要件
の
見直し
を行うこととしております。 今回の
見直し
を行ったとしても、
法人
の総
議決権
の
過半数
は
農業者
が保有するとともに、
役員
の過半が加工、
販売
を含めた
農業
に常時従事するという
要件
は維持されることから、
農業者
による
経営
支配は確保されており、
企業
が自由に
農地
を買い進めるということにはならないと考えております。 以上でございます。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
10
○
議長
(
山崎正昭
君) 若松謙維君。 〔若松謙維君
登壇
、
拍手
〕
若松謙維
11
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。 私は、公明党を
代表
して、ただいま
議題
となりました
農業協同組合法等
の一部を
改正
する等の
法律案
に対し、
林農林水産大臣
及び
関係
閣僚に
質問
いたします。 現在、主業
農家
の
農業所得
は勤労者
所得
に比べて約三割低く、
農業
から
所得
が生まれないという多くの
農家
の方々の声が聞かれます。我が国の
農業
は大変厳しい
状況
に置かれていると断言いたします。こうした
状況
を打開し、
農業者
の
所得向上
と営農の継続を確保するためには、
農業
の
成長産業
化を図る大胆な
農業
政策
の
改革
を断行し、併せて
農業
関係
組織
の
改革
を行う必要があります。 まず、福島県会津
地方
の
農家
の方々からの実際の声に触れながら
質問
をいたします。 昨今の米価下落や急激な円安による肥料の高騰などにより、米
生産
農家
の収入は大きく減少するなど、生活
環境
は大変厳しい
状況
にあります。全農は、二十七年産の
飼料用米
について、二十六年産の三倍強となる六十万トンを目標に挙げていますが、
食用米
から
飼料用米
への転換を中心とする
政策
で米価安定が確保できるか不透明です。 また、米価が下落した際には収入を補填する、いわゆるナラシ対策
制度
に加入する際の規模
要件
を
廃止
するなど、加入
要件
が緩和されたのであれば、加入を促進し、
農家
の収入減のリスクを減少させるべきと考えますが、
農林水産大臣
の御見解を伺います。 さらに、
農家
のほとんどが
農協
に加入しており、
農家
は、
信用
、共済に熱心な現在の
農協
の姿に不安を持ちつつも、現実問題として
農協
を頼りにしています。こうした
状況
で、今回の
農協改革
の
趣旨
が
現場
の
農家
に十分に伝わっておらず、不安を感じているとの声が多く聞かれます。
農業者
の不安を解消するため、今回の
改革
の
趣旨
及びその
内容
を
現場
に丁寧に
説明
すべきと考えますが、
農林水産大臣
の御
所見
を伺います。 次に、
農業
の
成長産業
化について伺います。
安倍内閣
では、
農業
を
成長産業
と位置付けており、
農産物
の流通、加工、そして輸出の流れを良くすれば
成長産業
としての可能性を引き出すことができます。その
観点
から二点伺います。 まず、
農地中間管理機構
の活用についてであります。 この二十年間で、
耕作放棄地
は約四十万ヘクタール、滋賀県の面積とほぼ同じ規模に倍増し、
担い手
農家
の
農地利用
は全
農地
の約五割程度にとどまっています。そのため、
農地中間管理機構
を
利用
して
農地
の
集積
、
集約化
を進めることは極めて重要です。そのためには、今回の
農業委員会
改革
で新設した
農地利用最適化推進委員
が
現場
で重要な
役割
を果たすべきであり、そのために必要となる複数以上の人数を確保すべきと考えますが、
農林水産大臣
の御
所見
を伺います。 さらに、
農業所得
の
向上
のためには、
農業者
を始めとする
農業
の
現場
が
経営
感覚を
向上
させ、高付加価値化、六次
産業化
、輸出等に取り組むことが必要であり、これらの実現のためには
経営
の基本である毎月の予算実績管理を実行することは不可欠です。今回の
農協
等の
改革
を進める際には、
農協
自身が予算実績管理を実行すべきです。 国は、
農協
に
農業経営
指導
力を
向上
させるためにはどのようなサポートをするお考えでしょうか。同時に、昨今の世界的な和食ブームを捉え、
日本
の
農業
を成長
分野
へとつなげるための輸出オールジャパン体制を
強化
すべきと考えます。
農林水産大臣
のお考えを伺います。 次に、
農協
監査
について伺います。
地域農業
の
経営
力、国際競争力を高めていくためには、
農業者
に一番近い
農協
が適切にリスクを取りながら、
農産物販売
力の
強化
、輸出の
拡大
などで
農業者
に
所得向上
の機会を創出していく必要があります。このような
事業
活動
となるためには、
農協経営
におけるガバナンス
強化
が不可欠です。このため、
農協
の
事業
に精通し、ノウハウを蓄積してきた
農協
監査
士を活用していくことが重要と考えます。
農林水産大臣
の御
所見
を伺います。 また、
監査
費用は、これまでは
農協
や
連合会
が負担する賦課金で賄われていましたが、
公認会計士
監査
に移行することで、
農協
から直接、
監査法人
に支払うことになります。
政府
として、今回の
監査
制度
の
見直し
の中で、
農協
の実質的負担が増えないよう何らかの
措置
を講ずるべきと考えますが、
農林水産大臣
のお考えを尋ねます。
最後
に、福島の
農業
復旧・復興について
お尋ね
いたします。 東京電力福島第一原発事故から四年が経過しましたが、汚染水対策等の未解決により、福島県農産品に対する風評被害が一向に改善せず、避難指示区域以外でも、福島県内で
農業
を続けざるを得ない
農業
従事者にとって非常に厳しい
経営
環境
が続いています。 先日、
地元
の食材を使って会津料理を提供する貴重な情報発信の場であった都内の店が風評被害に勝てず、閉店を余儀なくされました。風評被害対策は大変重要であり、
平成
二十七年度以降も継続すべきと考えます。復興
大臣
及び
農林水産大臣
の答弁を求めます。 また、風評被害を受けた
農業者
の
経営
は厳しい
状況
にあるため、
農業者
への融資と既存借入金の返済については、
農業者
の個々の事情に応じて柔軟に対応すべきと考えますが、
農林水産大臣
の答弁を求めます。 以上、
農業者
の声を交えながら、
農協法改正
について幾つかの
質問
をさせていただきました。 私ども公明党は、
農業現場
を元気にするにはどうしたらよいか、常に
現場
目線で
政策
を考えてきました。本
法案
の成立によって
農業
の
成長産業
化がますます前進することを期待し、私の
質問
を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣林芳正
君
登壇
、
拍手
〕
林芳正
12
○
国務大臣
(
林芳正
君) 若松議員の御
質問
にお答えいたします。 ナラシ対策の加入促進についての
お尋ね
がありました。 米価等が変動した場合の
セーフティーネット
としては、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策を
措置
しているところであります。 このナラシ対策については、昨年の通常
国会
で
担い手
経営
安定法を
改正
し、二十七年産から、対象となる
担い手
について、
認定農業者
、集落営農に認定
新規就農者
を加えるとともに、いずれも規模
要件
を課さないこととしておりまして、これにより、
担い手
であれば幅広く対策に加入できることとしたところであります。 こうした
制度
の改善点を周知し、ナラシ対策への加入促進を図るため、昨年来、
都道府県
段階、市町村段階での
説明
会を開催するとともに、個々の
農業者
に対する分かりやすいチラシの配布などの
取組
を行っているところであります。
農協改革
の
現場
への
説明
についての
お尋ね
がありました。
農協
は、
農村地域
において、
信用
、
共済事業
を始め様々な
サービス
を提供しておりますが、特に
農産物販売
等の
農業
関連
事業
において
農業所得
の
増大
につながるようしていくことが最も重要であると考えております。 このため、今回の
農協改革
においては、
地域農協
がそれぞれの
地域
の特性を生かして
創意工夫
しながら自由に
経済活動
を行い、
農産物
の
有利販売
など、
農業者
の
所得向上
に全力投球できるようにすること、
連合会
や
中央会
は
地域農協
の自由な
経済活動
を適切にサポートしていくこととしております。
地域農協
が
農業者
の
所得向上
に向けた
活動
を進めていくためには、
農業者
や
農協
の
役職員
が徹底した話合いを行い、
役員体制
をどうするか、
販売方式
をどうするか、六次
産業化
や輸出
拡大
にどう取り組むかなどを検討していくことが必要です。 このような
観点
からも、
農協改革
の
趣旨
や
内容
を
農業者
の方々などに周知し、理解を深めていただくことが重要であると考えており、今後も
現場
に対して丁寧に
説明
してまいります。
農地利用最適化推進委員
について
お尋ね
がありました。 現在の
農業委員会
の
機能
は、
委員会
としての
決定行為
、
委員
の各
地域
での
活動
の
二つ
に分けられますが、この
二つ
がそれぞれ的確に
機能
するようにしていく必要があります。 今回の
法改正
では、
委員会
としての
決定行為
を行う
農業委員
とは別に
農地利用最適化推進委員
を新設し、
担い手
への
農地
の
集積
や
耕作放棄地
の
発生防止
といった各
地域
における
現場
活動
を
農地中間管理機構
と連携して積極的に行っていただくこととしたところであります。
推進委員
の定数については、政令で基準を定めることとしておりますが、
農地利用
の
最適化
の
成果
を上げることのできる人数を確保できるよう、今後、適切に検討してまいります。
農協
による
経営指導
力の
強化
についての
お尋ね
がありました。 今回の
改革
は、
地域農協
が
担い手農業者
と力を合わせて
農業所得
の
向上
に全力投球できるような
環境
を整備しようとするものです。 したがって、
地域農協
においては、
担い手農業者
と
農協
の
役職員
が
農業所得
の
向上
に向けた
農協
の
業務
の在り方等について徹底して話し合い、実践していただきたいと考えております。この中で、
担い手農業者
の要望があれば、
農協
が
農業者
の
経営
管理を
支援
していくといった
取組
を行うことも重要であり、実際に記帳代行や
経営
分析、
経営指導
等に取り組んでいる事例もあると承知をしております。 いずれにしても、
政府
としては、今回の
農協改革
の
趣旨
を十分に
周知徹底
していきたいと考えております。 農林水産物の輸出促進についての
お尋ね
がありました。
平成
二十五年の和食のユネスコ無形文化遺産登録を追い風に、更に輸出を伸ばしていくため、米や牛肉などの品目別にオールジャパンの輸出体制を確立したところでありまして、このような体制を積極的に活用して、
平成
三十二年の輸出額一兆円目標の前倒し達成を目指してまいります。
公認会計士
監査
への移行に関する
農協
の負担及び
農協
監査
士の活用についての
お尋ね
がありました。 今回の
農協改革
においては、
会計監査
については、
農協
の
信用事業
をイコールフッティングでないといった批判を受けることなく安定して継続できるようにするため、
信用
金庫、
信用
組合
と同様、
公認会計士
による
会計監査
を義務付けることとした上で、
改正
法附則第五十条において、
公認会計士
監査
への移行に関して、
政府
は
農協
の実質的な負担が増加することがないよう
配慮
することなどを
規定
しているところであります。 この
配慮
規定
の具体的な
内容
については、法成立後に検討していくことになりますが、まずは、これまでの
農協
の負担がどれくらいかなどを確認し、
公認会計士
監査
となった場合の負担がどの程度になるかを検証していくことから着手することになるものと考えております。 また、新たに
農協
に対する
監査
を行うこととなる
公認会計士
や
監査法人
においては、これまで
全中監査
に従事してきた
農協
監査
士のノウハウを活用することが有効であると考えておりまして、
改正
法附則第五十条においては、
農協
監査
士の活用についても、
政府
は適切な
配慮
をするものと
規定
しているところであります。 福島県産農産品の風評被害対策についての
お尋ね
がありました。 農林水産省においては、風評被害対策として、福島県が行う福島県産
農産物
等についての広報
活動
に対して、復興庁と連携し、
平成
二十七年度予算額で約十六億円の
支援
を行っております。 なお、六月二十四日に開催された全閣僚がメンバーとなっている復興
推進
会議
において、農林水産物等の風評被害対策に必要な
事業
は、
平成
二十八年度以降も復興特会で
実施
する
事業
と位置付けられたところであります。 今後とも、
関係
省庁等と連携し、風評被害の払拭に取り組んでまいります。 原発事故による風評被害を受けた
農業者
への対応についての
お尋ね
がありました。 風評被害を受けている
農業者
に対しては、
日本
政策
金融公庫による低利の農林漁業セーフティネット資金を活用し、その
経営
維持に必要な資金繰りを
支援
しているところです。また、既往の債務についても、被災
農業者
に対し償還猶予などの
措置
を適切に講じるよう
関係
金融機関に要請するとともに、
農業者
の
経営
状況
に応じて、公的な借換え資金の活用により既往債務の負担の軽減を図っております。 引き続き、これらの
措置
を活用し、風評被害の影響を受けている
農業者
の
経営
状況
を踏まえて適切に対応してまいります。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
竹下亘君
登壇
、
拍手
〕
竹下亘
13
○
国務大臣
(竹下亘君) 若松議員より、福島県産の農産品の風評被害対策についての
お尋ね
がございました。
平成
二十六年六月に策定をいたし、先月フォローアップした風評対策
強化
指針に基づきまして、
関係
省庁が一丸となって、福島県産米の全袋検査等の放射性物質検査の徹底や、消費者等に分かりやすい情報発信といった
取組
を行っております。 また、先ほど
農水大臣
から答弁のございましたとおり、先日、六月二十四日の復興
推進
会議
におきまして、農林水産物等の風評被害対策に必要な
事業
については、
平成
二十八年度以降も復興特会で
実施
するとしたところでございます。 引き続き、
関係
省庁と連携をいたし、
農産物
等への風評被害の払拭に取り組んでまいります。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
14
○
議長
(
山崎正昭
君) 紙智子君。 〔紙智子君
登壇
、
拍手
〕
紙智子
15
○紙智子君 私は、
日本
共産党を
代表
して、
農業協同組合法
の一部
改正案
について
質問
いたします。 本題に入る前に、緊急の課題である北洋サケ・マス漁についてお聞きします。 ロシア二百海里内のサケ・マス流し網漁を
禁止
する
法案
がロシアで成立しました。水産業は
北海道
の基幹産業です。道東
地域
の根室市は損失額を二百五十億円と発表、
北海道
経済
にも重大な影響が出ます。日ソ漁業協定があるのに、操業の一方的な
禁止
を容認するのではなく、今後も操業が継続できるよう
日本
政府
は外交努力を尽くすべきです。官房長官、
農水大臣
に答弁を求めます。
安倍総理
は、就任後の施政方針演説で、世界で一番
企業
が活躍しやすい国にすると宣言し、昨年は、四十年以上続いてきた米の減反を
廃止
します、民間
企業
が障壁なく
農業
に参入できる
時代
がやってきますと演説しました。 戦後レジームからの脱却、岩盤規制の打破を掲げる
安倍総理
は、今年、六十年も変わらずに来た仕組みを抜本的に改める、
農協
、
農業委員会
の
改革
を断行すると繰り返しました。 施政方針演説の第一に
農政改革
を掲げてきたわけですから、本来、この本
会議
にも
総理
自ら進んで出席し、
説明
すべきです。一言申し上げておきます。 まず、
農産物
の輸入自由化路線について
林農水大臣
に伺います。
総理
は、アメリカ議会上下両院合同
会議
で、二十年前の
農業
の開放に反対した、ところが、
日本
の
農業
は衰えたと述べました。開放しなかったから
農業
は衰退したのでしょうか。 一九八〇年代、ガット・ウルグアイ・ラウンド
交渉
が始まり、
日本
はアメリカの圧力に押されて牛肉、オレンジなどを開放しました。九〇年代以降、
日本
農業
の総
生産
額や
農業所得
のみならず、兼業
所得
も加えた
農家
所得
すら低落の一途をたどり、食料自給率も下がり続けました。 既に
日本
は十分開放された国です。しかも、価格支持など
農業
保護
政策
からの撤退を強引に進めたため、
日本
農業
の成長
分野
である畜産、果樹、
稲作
は大きな打撃を受けました。昨年は米価暴落で、
所得倍増
どころか半減だとの悲鳴が
農家
から上がっています。こうして
日本
農業
を衰退させた歴代自民党農政の責任をどう考えているのでしょうか。その反省もないまま、更に開放を進める
TPP
交渉
の早期妥結を図ろうとしています。 大統領貿易促進権限法、いわゆるTPA法が米国議会で可決されると、
総理
は、大きな前進だ、
日本
とアメリカのリーダーシップで早期妥結に力を尽くすと述べました。TPA法の可決を手放しに喜んでいいのでしょうか。TPA法では、
農産物
貿易について、
交渉
相手国の関税を合衆国の当該産品と同じかそれより低い水準まで削減する、また、合衆国を不利にするような諸手法を撤廃、例えば遺伝子組換え技術に影響を与えるような表示や制限義務の撤廃を求めています。つまり、アメリカははっきりした目標を示して妥結を迫ってくるのです。現に、米国通商
代表
部のフロマン氏は、議会はTPAを通じ高い水準のルールを定めることを期待していると、
日本
などを牽制する発言を行っています。 これで農産品重要五品目を除外するとした衆参両院の農水
委員会
決議を守ることができるのですか。自民党の六つの政権公約を守ることができるのですか。甘利
TPP
担当
大臣
並びに
林農水大臣
の答弁を求めます。
TPP
交渉
は、一部の多国籍
企業
のために各国のルールを変えさせ、主権を脅かすものだからこそ反対世論が広がっているのです。
日本
農業
と
地域
経済
を破壊する
TPP
交渉
からの撤退を求めます。 次に、
農政改革
について
農水大臣
にお聞きします。
衆議院
では、
審議
するほどに、参考人からも、
地方
公聴会でも、
政府
の答弁は分からないし、実情にかみ合っていないと疑問が膨らみ、批判が噴出しました。今回の
農政改革
は、誰のための何のための
改革
でしょうか。 規制
改革
会議
が昨年五月に公表した
農政改革
案が出発点になっています。
農業
への参入を求める財界は、規制
改革
会議
を足掛かりに、
農業
関係者
の
意見
も聞かずに
改革
案をまとめたため、
JA全中
は抗議の決議を上げました。片や、
農協
金融の規制緩和を求めるアメリカの在日商工
会議
所は、
日本
政府
及び規制
改革
会議
と密接に連携し、成功に向けた
支援
を行うと表明しました。背景に財界とアメリカの要求があることは明らかではありませんか。しかも、
全中
が
自己改革
案を発表すると、当時の
農水大臣
は、
政府
の考えとずれがあると圧力を掛けました。
農業
組織
を変える今回の
改革
案は、
日本
の
農業
の土台を破壊するものではありませんか。答弁を求めます。
農協法
の
改正
について
質問
いたします。
政府
案では、
組合
は営利を
目的
として
事業
を行ってはならないとの
規定
を削除し、
農業所得
増大
に
最大限
の
配慮
、高い収益性を実現に変えました。収益性を上げるために、
利益
は少なくとも
農業
の将来に必要な
分野
を切り捨てることになりかねません。
協同組合
の性格を形骸化させ、営利
企業
化を求めるものではありませんか。お答えください。 なぜ
農協改革
が
農家
の
所得
を増やすことになるのか、いまだに誰も
納得
していません。
安倍総理
は施政方針演説で、
農家
の
所得
を増やすための
改革
だと強弁しましたが、
林農水大臣
は、この
改革
だけで
農家
の
所得
が増えるとは考えていないと私に答えました。参考人からも、
中央会制度
を
改正
すれば
農業所得
が
向上
するというのは理解に苦しむと言われています。
農水大臣
、なぜ
農家
の
所得
が増えるのか、改めて具体的に示してください。
准組合員
の
事業
の
利用
規制の問題も重大です。
地域
の銀行や商店、病院が減り、
農産物
の直売所、
信用
、
共済事業
、ガソリンスタンド、福祉
事業
などを行う総合
農協
が
地域住民
の生活の支えになっています。
准組合員
は
農協経営
や
地域
経済
の支え手となっているのです。
利用
を規制すれば総合
農協
の
経営
は成り立ちません。五年後の
見直し
規定
を入れたのは、財界や大
企業
が
信用
、
共済事業
をビジネスチャンスとして狙っているからではありませんか。明確にお答えください。
農業委員会
の
公選制
の
廃止
も重大です。
農地
は複雑な
歴史
と利害、権利
関係
など重層性を持っています。どこを、誰が、どのように
利用
するのが一番適切かを最も把握しているのは
農業者
自身です。だからこそ、耕作する
農家
の声を反映させ、
地域
をまとめる合理的な在り方として、
農業者
自らが
代表
者を選ぶ
公選制
という仕組みを取ってきました。
公選制
から
市町村長
の任命制に変え、定数も半減すれば、
農地
の番人である
農業委員会
の
役割
が後退するのは明らかです。
農業委員会
を
行政
の下請機関に変質させるものではありませんか。答弁を求めます。 また、
法律
で保障された
農業委員会
の
農業
、農民に関する
意見
の公表を削除することは、
JA全中
の社団
法人
化や建議
規定
の削除と軌を一にしたものであり、
TPP
反対の先頭に立ってきた
JA全中
とともに
農業委員会
の弱体化を狙ったものではありませんか。答弁を求めます。 このほかにも解決されていない問題が山ほどあります。出口先にありきではなく、
納得
できるまで時間を取って
質疑
を行うように強く求めて、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣林芳正
君
登壇
、
拍手
〕
林芳正
16
○
国務大臣
(
林芳正
君) 紙議員の御
質問
にお答えをいたします。 ロシア水域における流し網漁業の
禁止
についての
お尋ね
がありました。 本件については、我が国漁業者が操業を継続できるよう、
安倍総理
からプーチン大統領に対して再三にわたって働きかけを行うなど外交努力を尽くしてまいりましたが、結果的に
法案
が成立したことは極めて残念であります。 流し網漁業の
禁止
により、
北海道
の道東
地域
を中心に
地域
経済
への大きな影響が
懸念
されますので、直ちに担当官を派遣して、現地の
状況
と
関係者
の意向を把握し、
関係
府省と連携しつつ万全の対策を講じてまいる所存です。
総理
演説の
趣旨
及びこれまでの農政の責任についての
お尋ね
がありました。
総理
は、農産品の市場開放が不十分であったことが
農業
が衰退した原因だと述べたということではなく、この二十年の間に、
農業
従事者の減少、
高齢化
が
進展
したことを申し述べたものと承知しております。 農政については、これまで、その時々の
農業
を取り巻く
状況
に応じて必要な施策を講じてきたものと考えておりますが、近年、
生産
者の
所得
の減少や
農業
従事者の減少、
高齢化
、
耕作放棄地
の増加等が
進展
していることは事実であります。 その要因として、国民の食生活が大きく変化する中で、例えば米のように、
需要
が減少する作物の
生産
転換が円滑に進められていなかったこと、
稲作
のような土地
利用
型
農業
の部門においては、
担い手
への
農地
集積
が遅れたこと、
農産物
の価格が低迷する中で、農作物の高付加価値化が実現できなかったこと等の事情があったと認識しておりますが、こうした
状況
を一つ一つ克服し、国内
農業
の活性化を図っていくことこそが農政を預かる者の責任であると認識をしております。
TPP
交渉
における農林水産
委員会
決議及び公約の遵守についての
お尋ね
がありました。
TPP
交渉
においては、
平成
二十五年二月の日米共同声明において、我が国の農産品にはセンシティビティーがあること、
TPP交渉参加
に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められないことが確認されました。これを受け、
安倍総理
は
TPP交渉参加
を決断したと承知しており、
平成
二十四年十二月の
衆議院
選挙で掲げた公約をたがえないよう
交渉
しているところであります。 衆参両院の農林水産
委員会
においては、重要五品目などの確保を最優先することなどが決議されております。
TPP
交渉
に当たっては、この決議が守られたとの評価をいただけるよう、
政府
一体となって全力を尽くしてまいります。
TPP
交渉
からの脱退についての
お尋ね
がありました。 現在、厳しい
交渉
を行っている中で、
交渉
からの撤退について言及することは不適切であると考えております。 今回の
改革
案は誰のための何のための
改革
なのかについての
お尋ね
がありました。 今回の
改革
のポイントは、
農業者
の
協同組織
であるという
農協
の原点に立ち返り、
地域農協
が自由に
経済活動
を行い、
農産物
の
有利販売
など、
農業者
の
所得向上
に全力投球できるようにすることであります。 このため、
地域農協
について、
農業者
のメリットを大きくできるよう、
組合
の
事業運営原則
を明確化し、
事業
を行うに当たっては
農業所得
の
増大
に
最大限
配慮
をしなければならないものとすること、
理事
の
過半数
を
認定農業者
や、
農畜産物
の
販売
や
法人
の
経営
に関し実践的な能力を有する者にすること等の
改正
を行うこととしたところであります。 また、
連合会
や
中央会
については、
地域農協
の自由な
活動
をサポートする
観点
から見直すこととしたものであります。 こうした
農協改革
の検討
過程
では、与党の検討の場などにおいて、
JAグループ
の
関係者
のみならず、個人
経営
、
法人経営
を問わず多様な
農業者
からヒアリングを行ってきたところであり、また、本年二月には、
JAグループ
とも協議を重ね、最終的に
JAグループ
の合意を得た上で
農協改革
の法
制度
等の骨格を取りまとめたところであります。 今般の
改革
は、
地域農協
が
農業者
のメリットを大きくするよう、
創意工夫
して取り組んでいただくことを期待しているものであり、アメリカからの要求によるものであるとか、
日本
の
農業
の土台を破壊するものといった
指摘
は全く当たりません。 現行
農協法
第八条の
改正
の
趣旨
についての
お尋ね
がありました。 現行第八条の、営利を
目的
としてその
事業
を行ってはならないとの
規定
は、
農協
は
協同組合
であるので、株式会社と異なり出資配当を
目的
として
事業
を行ってはならないことを意味しているものであります。この
趣旨
については、現行法第五十二条で出資配当に上限が設けられていることによって担保されており、この点は今回の
法改正
においても変更しておりません。したがって、
農協
の
協同組織
としての性格には何ら変更はございません。 一方で、現在の、営利を
目的
としてその
事業
を行ってはならないとの
規定
は、そもそも
利益
を得てはならない、もうけてはいけないとの誤った解釈もされがちでありました。このため、今回の
改正
では、この
規定
を削除し、
農協
が
農産物
の
有利販売
等に積極的に取り組むことを促すため、
組合
は、
事業
の
実施
に当たり、
農業所得
の
増大
に
最大限
の
配慮
をしなければならないこととするとともに、
組合
は、
農畜産物
の
販売等
において、
事業
の的確な遂行により高い収益性を実現し、その収益で
事業
の
成長発展
を図るための
投資
又は
事業利用分量配当
に充てるよう努めなければならない旨の
規定
を追加したところであります。 高い収益性は、外部の
経済主体
との
関係
で極力有利に
販売
したり、有利に調達したりすることを意味しており、
利益
の少ない
分野
を切り捨てることを促しているものではありません。
農協改革
と
農業者
の
所得増大
との
関係
についての
お尋ね
がありました。
安倍内閣
においては、
農業
を
成長産業
とし、
地方創生
の核としていくため、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
に基づき、
需要フロンティア
の
拡大
、
需要
と
供給
をつなぐ
バリューチェーン
の
構築
、
生産現場
の
強化
を
産業政策
の柱とする
農業
改革
を進めております。 こうした
政策
が
成果
を上げるためには、これらの
政策面
の
見直し
と併せて、
経済主体
が
政策
も活用しながら自由に
経営
を展開できる
環境
を整えていくことが必要不可欠であります。特に、
農協改革
については、
地域農協
が意欲ある
担い手
と力を合わせて
創意工夫
を発揮し、自由な
経済活動
を行うことにより、
農産物
の
有利販売
に全力投球できるようにすることで
農業所得
の
向上
につなげていくことにしております。 このため、
改正法案
では、責任ある
経営体制
を確立するため、
理事
の
過半数
を
認定農業者
などにするとともに、
農業所得
の
増大
に
最大限
配慮
するなど、
経営目的
を明確化し、選ばれる
農協
とするため、
農業者
に
事業利用
を強制してはならないことを
規定
しているところです。 また、
連合会
、
中央会
については、
地域農協
の自由な
活動
をサポートする
観点
から
見直し
、特に
中央会
については自律的な
制度
に移行することとしたところです。 今回の
改革
を契機として、
農業者
や
農協
の
役職員
が徹底した話合いを行い、
役員体制
をどうするか、
販売方式
をどうするか等を検討し実践していけば、
農協
はその力を十分発揮し、
農業所得
の
向上
につなげていくことができるものと考えております。
准組合員
の
事業利用
規制についての
お尋ね
がありました。
農協
は、あくまでも
農業者
の
協同組織
であり、正
組合員
である
農業者
のメリットを
拡大
することが最優先です。したがって、
准組合員
への
サービス
に主眼を置いて、正
組合員
である
農業者
への
サービス
がおろそかになってはならないと考えております。一方で、
過疎化
、
高齢化
等が進行する
農村
社会
において、
農協
が実際上、
地域
の
インフラ
としての
側面
を持っているのも事実であります。 こうした
状況
を背景として、
准組合員
の
利用
規制について
議論
がされてきたところですが、これまで規制がなかったこともあって、正
組合員
と
准組合員
の
利用
実態が把握できていないこと、今回の
農協改革
によって
農業者
の
所得向上
に向けた
成果
がどの程度出るか見極める必要があることから、
准組合員
の
利用
規制の在り方については、五年間の調査を行った上で決定することとしたところであります。
准組合員
の
事業利用
規制の在り方について調査、検討するのはこのような背景によるものであり、財界や大
企業
が
信用
、
共済事業
をビジネスチャンスとして狙っているからではないかとの御
指摘
は当たりません。
農業委員
の
公選制
の
廃止
について
お尋ね
がありました。
農業委員会
は、
農地
に関する市町村の独立
行政
委員会
であり、
担い手
への
農地利用
の
集積
、
集約化
、新規参入の促進、
耕作放棄地
の
発生防止
、解消など、
地域農業
の発展を積極的に進めていくことが期待をされております。 一方で、
農業委員会
の
活動
状況
については、
地域
によって様々であり、
平成
二十四年のアンケート調査によれば、
農業委員会
の
活動
を評価している
農業者
は三割にすぎず、
農地
集積
などの
農家
への働きかけが形式的である、遊休
農地等
の是正
措置
を講じないなど、
農業者
から余り評価されているとは言い難い
状況
も見られるところであります。これは、
農業委員
の四割が兼業
農家
であり、
担い手
など
農業経営
に真剣に取り組んでいる方が主体となっていないことに起因する面があると考えております。 これらを踏まえ、今回の
法案
では、適切な人物が確実に
農業委員
に就任するようにするため、
公選制
から
市町村長
の
選任制
に改めることとし、この際、
市町村長
は、あらかじめ
地域
から
推薦
を求め、また
募集
を行い、
推薦
を受けた者及び
募集
に応募した者に関する情報を整理、公表し、その結果を尊重して
委員
を任命しなければならないこととしております。 また、今回の
法案
では、
委員会
としての
決定行為
を行う
農業委員
とは別に
農地利用最適化推進委員
を新設し、
担い手
への
農地
の
集積
や
耕作放棄地
の
発生防止
といった各
地域
における
現場
活動
を
農地中間管理機構
と連携して積極的に行っていただくこととしたところです。 これらの
改革
は、
農業委員会
が
農地利用
の
最適化
の
推進
をよりよく果たせるようにするために行うものであり、
農業委員会
を
行政
の下請機関とするものではありません。
農業委員会
の
意見
公表の
廃止
及び
中央会
の社団
法人
化等の
趣旨
についての
お尋ね
がありました。
農業委員会
は、
農地
に関する市町村の独立
行政
委員会
であり、その主たる任務は、
担い手
への
農地利用
の
集積
、
集約化
や、
耕作放棄地
の
発生防止
、解消といった
農地利用
の
最適化
の
推進
ですが、
耕作放棄地
が
拡大
するなど、必ずしも十分に
機能
していない面があります。 こうしたことから、
農業委員会
がその主たる
業務
である
農地利用
の
最適化
の
推進
業務
に集中して取り組むことができるようにするため、今般の
法案
では、
意見
公表等は法令
業務
から削除することとしたところです。 また、
全国中央会
については、
地域農協
の自由な
経済活動
を適切にサポートするという
観点
から、自律的な
組織
形態である
一般社団法人
へ移行することとしたところであり、これに伴い建議の
規定
もなくなります。 法的
根拠
がなくても
農業委員会
や
全国中央会
は
意見
公表等を行うことは可能であり、したがって、今回の
改正
は
TPP
反対勢力の弱体化を狙ったものではありません。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
菅義偉君
登壇
、
拍手
〕
菅義偉
17
○
国務大臣
(菅義偉君) ロシアにおける流し網漁を
禁止
する
法案
について
お尋ね
がありました。 本件につきましては、
日本
政府
として、我が国漁業者が操業を継続できるよう、
安倍総理
からプーチン大統領への電話を含め、これまでロシア側に累次にわたり働きかけてきたにもかかわらず、この
法案
が成立したことは極めて残念であります。 この
法律
が発効する二〇一六年一月一日以降、ロシア水域での
日本
漁船によるサケ・マス流し漁はできなくなりますが、日ロ間では日ロサケ・マス協定は引き続き有効であるとの認識であります。すなわち、引き続き我が国水域内におけるロシア系サケ・マスの操業は可能と考えております。
日本
政府
としては、同協定に基づく操業を始めとする日ロの漁業協力につき、引き続き適切に対応してまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
甘利明君
登壇
、
拍手
〕
甘利明
18
○
国務大臣
(甘利明君)
TPP
交渉
についての
お尋ね
がありました。 米国においてTPA法が成立をした現在、
TPP
交渉
は最終局面を迎えておりまして、国益と国益がぶつかり合う厳しい
交渉
が続いているところであります。 衆参の農水
委員会
の決議をしっかりと受け止め、いずれ
国会
で御承認をいただけるような
内容
の協定を早期に妥結できるよう、引き続き全力で
交渉
に当たります。 また、さきの
衆議院
選挙におきまして自民党は、
交渉
力を駆使して、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、我が党や
国会
の決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求するという公約を掲げておりまして、この方針に従って全力で
交渉
中です。
交渉
が最終局面を迎えている中、
交渉
からの脱退について言及することは国益の
観点
からも不適切と考えております。(
拍手
)
山崎正昭
19
○
議長
(
山崎正昭
君) これにて
質疑
は終了いたしました。 ─────・─────
山崎正昭
20
○
議長
(
山崎正昭
君)
日程
第一
特許法等
の一部を
改正
する
法律案
日程
第二
不正競争防止法
の一部を
改正
する
法律案
(いずれも
内閣提出
、
衆議院送付
) 以上両案を一括して
議題
といたします。 まず、
委員
長の報告を求めます。
経済
産業
委員
長吉川沙織君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔吉川沙織君
登壇
、
拍手
〕
吉川沙織
21
○吉川沙織君 ただいま
議題
となりました
特許法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
不正競争防止法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、
特許法等
の一部を
改正
する
法律案
は、知的財産の適切な保護及び活用により我が国のイノベーションを促進するため、発明の奨励に向けた職務発明
制度
の
見直し
及び特許料等の改定を行うほか、特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の
実施
のための
規定
の整備を行おうとするものであります。 次に、
不正競争防止法
の一部を
改正
する
法律案
は、
事業
者が保有する営業秘密の漏えいの実態及び我が国産業の国際競争力の
強化
を図る必要性の
増大
等に鑑み、
事業
者が保有する営業秘密の保護を一層
強化
するため、営業秘密の刑事的保護について、営業秘密侵害罪の罰金額の上限の引上げ、その保護範囲の
拡大
等の
措置
を講ずるとともに、民事訴訟における営業秘密の使用に係る推定
規定
の新設等の
措置
を講じようとするものであります。
委員会
におきましては、両
法律案
を一括して
議題
とし、参考人から
意見
を聴取するとともに、職務発明
制度
の
見直し
を行う必要性及び
見直し
により期待される効果、職務発明に係る相当の
利益
の
内容
の決定手続に関し
経済
産業
大臣
が定める指針の具体的
内容
、同指針の策定に当たり産業構造
審議
会に労働者側
代表
者を参加させる必要性、営業秘密侵害事案に対する捜査体制及び
関係
省庁間の連携を
強化
する必要性、今般の
法改正
による営業秘密侵害行為の抑止力
向上
に関する効果、
法改正
の
趣旨
及び
内容
について広く
関係者
等に
周知徹底
を図るための
政府
の具体的な
取組
、中小
企業
・小規模
事業
者に対する職務発明規程の整備及び営業秘密の流出防止に関する具体的な
支援
策等について
質疑
が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終了し、討論に入りましたところ、
日本
共産党を
代表
して倉林明子
理事
より両
法律案
に反対する旨の
意見
が述べられました。 次いで、順次採決の結果、両
法律案
はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両
法律案
に対してそれぞれ附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
22
○
議長
(
山崎正昭
君) これより採決をいたします。 まず、
特許法等
の一部を
改正
する
法律案
の採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
山崎正昭
23
○
議長
(
山崎正昭
君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
山崎正昭
24
○
議長
(
山崎正昭
君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十 賛成 二百十四 反対 十六 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
山崎正昭
25
○
議長
(
山崎正昭
君) 次に、
不正競争防止法
の一部を
改正
する
法律案
の採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
山崎正昭
26
○
議長
(
山崎正昭
君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
山崎正昭
27
○
議長
(
山崎正昭
君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十 賛成 二百十三 反対 十七 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
山崎正昭
28
○
議長
(
山崎正昭
君)
日程
第三
特定船舶
の
入港
の
禁止
に関する
特別措置
法第五条第一項の
規定
に基づき、
特定船舶
の
入港禁止
の
実施
につき承認を求めるの件(
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、
委員
長の報告を求めます。国土交通
委員
長広田一君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔広田一君
登壇
、
拍手
〕
広田一
29
○広田一君 ただいま
議題
となりました承認案件につきまして、国土交通
委員会
における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 我が国の平和及び安全を維持するため、
特定船舶
の
入港
の
禁止
に関する
特別措置
法に基づきまして、
平成
十八年十月以降、北朝鮮船籍の全ての船舶の
入港禁止
措置
が講じられてきました。 本件は、去る三月三十一日の閣議決定により、
平成
二十九年四月十三日までの二年間、引き続き
入港禁止
措置
が講じられたことについて、同法に基づき、
国会
の承認を求めるものであります。
委員会
におきましては、国土交通
大臣
より
趣旨説明
を聴取した後、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山崎正昭
30
○
議長
(
山崎正昭
君) これより採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
山崎正昭
31
○
議長
(
山崎正昭
君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
山崎正昭
32
○
議長
(
山崎正昭
君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十 賛成 二百三十 反対 〇 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(
拍手
) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
山崎正昭
33
○
議長
(
山崎正昭
君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十七分散会