○辰巳孝太郎君 私は、
日本共産党を代表して、
個人情報の
保護に関する
法律及び
行政手続における
特定の
個人を
識別するための
番号の
利用等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について
質問をいたします。
初めに、共通
番号法の関係について伺います。
法案は、
政府が
国民に付番する共通
番号の
利用範囲を、預貯金口座、
特定健康診査、予防接種の履歴、
特定優良賃貸住宅の管理等にも広げるものです。預貯金口座への共通
番号の付番は、
政府が
国民の資産を効率的に
把握することができるようになるものです。重大なプライバシー侵害であり、絶対に認められません。
先月二十七日に開かれた財政
制度等審議会では、新たな財政健全化計画の策定に向けた
社会保障費削減計画の議論が始まっています。財務省が示した案には、二〇一八年以降、全
制度を通じ、
マイナンバーを
活用しつつ、所得だけでなく、高齢者を中心に預貯金等の金融資産も勘案して、負担能力に応じた負担を求めるとあります。
個人の預貯金を狙って国の借金を減らしていこうというのでしょうか。財務大臣に伺います。
このほかにも、高齢者を優遇している
制度を速やかに見直し、
マイナンバーも
活用し、高額療養費の自己負担限度額を引き上げる、金融資産を勘案し、後期高齢者の窓口負担を三割に引き上げる、介護保険の
利用者負担を二割に引き上げる、そして、その
対象は夫婦で二千万円以上の貯蓄を有する世帯などと例示されています。共通
番号で高齢者の金融資産を調べ、夫婦で二千万円の預貯金があったら、お金持ちだといって
医療、介護の負担を引き上げる。これが預貯金口座に付番する本当の狙いなのではないですか。財務大臣に答弁を求めます。
次に、
特定健康診査への共通
番号の
利用拡大について伺います。
いわゆるメタボ健診の検査項目には、身長、体重などの
情報だけでなく、服薬歴、血液検査による糖質検査、血糖検査、肝機能検査、さらに医師の
判断により行われる心電図、眼底検査、貧血検査の
情報が含まれています。
個人のプライバシーに関わる機微な
情報です。
医療情報そのものではないですか。厚労大臣に伺います。
二年前に共通
番号法案が提案され審議された際は、
政府も、健診
情報が機微
情報であることを重視して、共通
番号制度の
利用範囲には入れませんでした。機微な
医療情報が含まれる
特定健診は共通
番号と
連携させるべきではありません。厚労大臣に答弁を求めます。
更に問題なのは、圧倒的な
国民がこの共通
番号制度を知らないということです。
内閣府が今年一月に行った世論調査では、共通
番号制度について、
内容まで知っていたと答えた人は二八・三%にすぎず、言葉は聞いたことがある四三%、知らなかったは二八・六%で、七割以上が
内容について知らないと回答しています。
共通
番号は広く民間で
利用されることが前提となっており、例えば、
全国約四百二十一万もの事業所の従業員とその扶養家族は
個人番号を勤め先に伝えることが求められます。
事業者の方でも、集めた
個人番号の
情報漏えいなどがないよう管理しながら、税金申告や社会保険の
手続に共通
番号の記載が求められます。
政府は、
情報漏えいや不正
利用を防止するために様々な規制や安全
対策を施したとしていましたが、そうした
対策を実効あるものにするためには、関係する全ての人が
制度の
内容やルールを正しく
理解して、必要な
取扱いをしてもらわなければなりません。しかし、
実態は、多くの
国民が
制度自体知らないという状況です。このような下で共通
番号制度をスタートさせるならば、
情報漏えいや不正
利用が横行することになりかねません。
山口大臣、お答えください。
甘利大臣、
政府が予定している今年十月からの共通
番号の
通知は中止すべきです。そして、共通
番号制度は廃止することを求めます。
次に、
個人情報保護法の関係について
山口大臣に伺います。
法案は、第一条の
目的規定に、
個人情報の適正かつ
効果的な
活用が新たな産業の創出並びに活力ある
経済社会及び豊かな
国民生活の実現に資するものであるとの文言を追加しています。しかし、改定案でも、
個人情報の有用性に配慮しつつ、
個人の
権利利益を
保護することが第一の
目的であることは変わりません。衆議院での審議では、
個人情報の
利活用と
保護のバランスとの発言が聞かれますが、
個人情報の有用性とその
保護は対等な立場で比較考量するものではないと考えます。大臣のお考えを伺います。
昨年十二月の
法案骨子案では、
保護すべき
個人情報の例示として携帯電話
番号や
情報端末
番号が挙げられていました。ところが、携帯電話
番号は
保護すべき例示から外していただきたいとする経団連からの意見書が出され、
法案段階では携帯電話
番号は外されています。
個人情報の
保護よりも産業界の
利益が優先されているのではないですか。答弁を求めます。
匿名加工情報の規制について、これでは全く不十分、
個人の
権利利益が
保護されないと、
法案検討に参加してきた識者からも批判の声が上がっています。
匿名加工情報を
第三者へ
提供するときは、
提供先も含めて
個人情報保護委員会への届出を義務付けなければ、匿名化が不十分な
情報リストを監視できないとしています。
山口大臣、見直すべきではありませんか。
いわゆる
名簿屋対策について伺います。
今回、
個人情報を
第三者へ
提供する際の記録保管義務や
データベース
提供罪の新設など、一定の
名簿屋対策が講じられました。しかし、特殊詐欺や悪徳商法などの犯罪で使われている名簿の大本を断つにはまだまだ不十分との指摘があります。国として調査を行い、
名簿屋業者の
実態をしっかりと
把握し、更なる
名簿屋の規制を検討していくことを求めます。
今回、
個人情報保護委員会の
権限が強化されたものの、その
権限は民間
分野に限られており、公的
分野の
個人情報保護については総務省の所管のままとなっています。本案の附則十二条五項には、
個人情報保護委員会への集約の検討とあります。衆議院の参考人からも、公的部門こそ監視が必要、
第三者委員会が本来果たすべき役割だとの意見陳述が行われました。直ちに行うべきだと思いますが、見解を求めます。
以上、幾ら規制や不正
利用対策といっても、
マイナンバー制度そのものがプライバシーと
個人の
権利を危険にさらす
制度であり、このような
法案は廃案にすべきだと述べて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣麻生太郎君
登壇、
拍手〕