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2015-02-12 第189回国会 参議院 本会議 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十七年二月十二日(木曜日) 午後三時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第五号
平成
二十七年二月十二日 午後三時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
山崎正昭
1
○議長(
山崎正昭
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から
外交
に関し、
財務大臣
から
財政
に関し、
甘利国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
内閣総理大臣安倍晋
三君。 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇、拍手〕
安倍晋三
2
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) まず冒頭、シリアにおける
邦人殺害テロ事件
について一言申し上げます。
事件発生
以来、
政府
はあらゆる手段を尽くしてまいりましたが、
日本人
が
テロ
の犠牲となったことは痛恨の極みであります。衷心より哀悼の誠をささげるとともに、御
家族
に心からお悔やみを申し上げます。 非道かつ卑劣極まりない
テロ行為
を断固非難します。
日本
が
テロ
に屈することは決してありません。
水際対策
の強化など、国内外の
日本人
の
安全確保
に万全を期してまいります。そして、食糧、
医療
などの
人道支援
、
テロ
と闘う
国際社会
において、
日本
としての
責任
を毅然として果たしてまいります。
日本
を取り戻す、そのためには、この道しかない、こう訴え続け、私
たち
は二年間
全力
で走り続けてまいりました。 先般の総選挙の結果、
衆参両院
の指名を得て、引き続き
内閣総理大臣
の重責を担うこととなりました。 安定した政治の下で、この道を更に力強く前進せよ、これが総選挙で示された
国民
の意思であります。全身全霊を傾け、その負託に応えていくことを、この議場にいる自由民主党及び公明党の
連立与党
の諸君とともに、
国民
の皆様にお約束いたします。
経済再生
、復興、
社会保障改革
、
教育再生
、
地方創生
、
女性活躍
、そして外交・
安全保障
の立て直し、いずれも困難な道のり、戦後以来の
大改革
であります。しかし、私
たち
は、
日本
の将来をしっかりと見定めながら、ひるむことなく
改革
を進めなければならない。逃れることはできません。
明治国家
の礎を築いた
岩倉具視
は、
近代化
が進んだ
欧米列強
の姿を目の当たりにした後、このように述べています。
日本
は小さい国かもしれないが、
国民
みんなが心を
一つ
にして、国力を盛んにするならば、
世界
で活躍する国になることも決して困難ではない。 明治の
日本人
にできて、今の
日本人
にできないわけはありません。今こそ、
国民
とともに、この道を前に向かって再び
歩み
出すときです。
皆さん
、戦後以来の
大改革
に力強く踏み出そうではありませんか。 戦後一千六百万人を超えていた
農業人口
は、現在二百万人。この七十年で八分の一まで減り、
平均年齢
は六十六歳を超えました。もはや農政の
大改革
は待ったなしであります。何のための
改革
なのか。強い
農業
をつくるための
改革
、農家の
所得
を増やすための
改革
を進めるのであります。 六十年
ぶり
の
農協改革
を断行します。
農協法
に基づく現行の
中央会制度
を廃止し、
全国中央会
は
一般社団法人
に移行します。
農協
にも会計士による監査を義務付けます。意欲ある
担い手
と
地域農協
とが力を合わせ、
ブランド化
や
海外展開
など
農業
の
未来
を切り開く。そう、これからは、農家の
皆さん
、そして
地域農協
の
皆さん
が主役です。
農業委員会制度
の
抜本改革
にも初めて踏み込みます。
地域
で頑張る
担い手
がリードする
制度
へと改め、
耕作放棄地
の解消、
農地
の集積を一層加速いたします。
農業生産法人
の
要件緩和
を進め、多様な
担い手
による
農業
への参入を促します。いわゆる減反の廃止に向けた
歩み
を更に進め、需要ある作物を振興し、
農地
の
フル活用
を図ります。市場を意識した競争力ある
農業
へと
構造改革
を進めてまいります。
変化
こそ唯一の永遠である。
明治時代
、
日本画
の伝統に新風を持ち込み、
改革
に挑んだ
岡倉天心
の言葉です。 伝統の名の下に、
変化
を恐れてはなりません。
農業
は、
日本
の美しい
ふるさと
を守ってきた国の基であります。だからこそ、今、
変化
を起こさねばならない。必ずや
改革
を成し遂げ、
若者
が自らの情熱で新たな地平を切り開くことができる新しい
日本農業
の姿を描いてまいります。 目指すは
世界
のマーケット。林業、
水産業
にも大きな
可能性
があります。昨年、
農林水産物
の輸出は六千億円を超え、過去
最高
を更新いたしました。しかし、まだまだ少ない。
世界
には三百四十兆円規模の
食市場
が広がっています。
内外一体
の
改革
を進め、安全でおいしい
日本
の
農水産物
を
世界
に展開してまいります。 オープンな
世界
へと果敢に踏み出す。
日本
の国益を確保し、
成長
を確かなものとしてまいります。
最終局面
の
TPP交渉
は、いよいよ出口が見えてまいりました。米国とともに
交渉
をリードし、
早期
の
交渉妥結
を目指します。欧州とのEPAについても、本年中の
大筋合意
を目指し、
交渉
を更に加速してまいります。
経済
の
グローバル化
は一層進み、
国際競争
に打ち勝つことができなければ
企業
は生き残ることはできない。
政府
もまたしかり。オープンな
世界
を見据えた
改革
から逃れることはできません。 全ての
上場企業
が、
世界標準
にのっとった新たなコーポレートガバナンスコードに従うか、従わない場合はその理由を説明する、その義務を負うことになります。
法人実効税率
を二・五%引き下げます。三五%近い
現行税率
を数年で二〇%台まで引き下げ、国際的に遜色のない
水準
へと
法人税改革
を進めてまいります。
患者本位
の新たな
療養制度
を創設します。
世界最先端
の
医療
を
日本
で受けられるようにする。困難な病気と闘う患者の
皆さん
の思いに応え、その申出に基づいて、
最先端医療
と
保険診療
との併用を可能とします。さらに、
安全性
、
有効性
が確立すれば、
国民
皆
保険
の下で
保険適用
としてまいります。
医療法人制度
の
改革
も
実施
します。
外部監査
を導入するなど、経営の
透明化
を進めます。さらに、異なる
機能
を持つ複数の
医療法人
の連携を促す新たな
仕組み
を創設し、
地域医療
の
充実
に努めます。
電力システム改革
もいよいよ
最終段階
に入ります。
電力市場
の
基盤インフラ
である
送配電ネットワーク
を、発電、小売から分離し、誰もが公平にアクセスできるようにします。
ガス事業
でも、小売を全面自由化し、あらゆる
参入障壁
を取り除いてまいります。競争的でダイナミックな
エネルギー市場
をつくり上げてまいります。 低廉で安定した
電力供給
は
日本経済
の
生命線
であります。
責任
ある
エネルギー政策
を進めます。
燃料輸入
の著しい増大による
電気料金
の上昇は、
国民生活
や
中小
・
小規模事業
の
皆さん
に大きな
負担
となっています。
原子力規制委員会
が新
規制基準
に適合すると認めた原発は、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めます。国が
支援
して、しっかりとした
避難計画
の
整備
を進めます。
立地自治体
を始め
関係者
の理解を得るよう、丁寧な説明を行ってまいります。 長期的に
原発依存度
を低減させていくとの方針は変わりません。あらゆる施策を総動員して、徹底した省
エネルギー
と、
再生可能エネルギー
の最大限の導入を進めてまいります。
安倍内閣
の
規制改革
によって、昨年、夢の
水素社会
への幕が開きました。
全国
に
水素ステーション
を
整備
し、
燃料電池自動車
の普及を加速させます。大規模な
建築物
に
省エネ基準
への
適合義務
を課すなど、
省エネ対策
を抜本的に強化してまいります。
安全性
、
安定供給
、
効率性
、そして
環境
への適合、これらを十分に検証し、
エネルギー
の
ベストミックス
をつくり上げます。そして、
世界
の
温暖化対策
をリードする。COP21に向け、
温室効果ガス
の排出について、新しい
削減目標
と具体的な
行動計画
をできるだけ
早期
に策定いたします。 各般の
改革
を進めるため、
行政改革
を併せ断行いたします。
歴代内閣
で
肥大化
の一途をたどってきた
内閣官房
、
内閣
府の事務の一部を各省に移管し、
重要政策
における
内閣
の
総合調整機能
が機動的に発揮できるような
体制
を整えます。 十七の
独立行政法人
を七
法人
へと統合します。私
たち
が進める
改革
は、単なる
数合わせ
ではありません。攻めの
農業
を始め、諸
改革
を強力に進めていくための統合であります。
金融庁検査
の導入など、
法人ごと
の業務の特性に応じた
ガバナンス体制
を
整備
し、
独立行政法人
の
政策実施機能
を強化してまいります。 四月から
日本医療研究開発機構
が始動します。革新的な
がん治療薬
の
開発
や
iPS細胞
の
臨床応用
などに取り組み、
日本
から
医療
の
世界
に
イノベーション
を起こします。
日本
を
世界
で最も
イノベーション
に適した国にする。
世界
中から超一流の
研究者
を集めるため、
世界最高
の
環境
を整えた新たな
研究開発法人制度
をつくります。ITやロボット、海洋や宇宙、バイオなど、
経済社会
を一変させる挑戦的な
研究
を大胆に
支援
してまいります。 知と行は二つにして
一つ
。何よりも実践を重んじ、明治維新の原動力となる
志士たち
を育てた
吉田松陰先生
の言葉であります。
成長戦略
の実行。大胆な
規制改革
によって、
生産性
を押し上げ、
国際競争力
を高めていく。オープンな
世界
に踏み出し、
世界
の
成長力
を取り込んでいく。なすべきことは明らかです。要は、やるか、やらないか。 この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではありません。行動です。
改革
の断行であります。
日本
の将来を見据えながら、大胆な
改革
を、
皆さん
、実行しようではありませんか。 この二年間、
全力
で射込んできた三本の矢の
経済政策
は、確実に成果を上げています。
中小
・
小規模事業者
の
倒産件数
は、昨年、二十四年
ぶり
の低い
水準
となりました。
就職内定
を得て新年を迎えた
新卒予定者
は、八割を超えました。大卒で六年
ぶり
、高卒で二十一年
ぶり
に高い
内定率
です。
有効求人倍率
は、一年以上にわたって一倍を超え、
仕事
を探す人よりも人を求める
仕事
の数が多くなっています。
正社員
においても、十年前の
調査開始
以来、
最高
の
水準
となりました。 この機を生かし、
正規雇用
を望む
派遣労働者
の
皆さん
にその
チャンス
を広げます。
派遣先企業
への直接
雇用
の依頼など、
正社員化
への
取組
を
派遣元
に義務付けます。
派遣先
の
労働者
との
均衡待遇
の確保にも取り組み、一人一人の選択が実現できる
環境
を整えてまいります。 昨年、過去十五年間で
最高
の
賃上げ
が実現しました。そして、この春も、
企業収益
の拡大を賃金の上昇につなげる。さらには、
中小
・
小規模事業
の
皆さん
が
原材料コスト
を価格に転嫁しやすくし、
経済
の好循環を継続させていく。その認識で
政労使
が一致いたしました。
デフレ脱却
を確かなものとするため、
消費税率
一〇%への
引上げ
を十八か月延期し、
平成
二十九年四月から
実施
します。そして、
賃上げ
の流れを来年の春、再来年の春と続け、
景気回復
の温かい風を
全国
津々浦々にまで届けていく、そのことによって、
経済再生
と
財政再建
、
社会保障改革
の三つを同時に達成してまいります。 来年度
予算
は、新規の
国債発行額
が六年
ぶり
に四十兆円を下回り、
基礎的財政収支
の
赤字半減目標
を達成する
予算
としました。二〇二〇年度の
財政健全化目標
についても堅持し、夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
消費増税
が延期された中にあっても、アベノミクスの果実も生かし、
社会保障
を
充実
してまいります。
難病
の
皆さん
への
医療費助成
を大幅に広げます。先月から、
小児慢性特定疾病
について、新たに百七
疾病
を
助成対象
としました。
難病
についても、この七月を目指し、三百
疾病
へと広げてまいります。先月から
高額療養費制度
を見直しました。
所得
の低い方々の
医療費負担
を軽減いたします。
認知症対策
を推進します。
早期
の診断と対応に加え、
認知症
の
皆さん
ができる限り住み慣れた
地域
で
暮らし
ていけるよう、
環境
を整えてまいります。
国民健康保険
への
財政支援
を拡充することと併せ、その
財政運営
を市町村から都道府県に移行することにより、
国民
皆
保険
の基盤を強化してまいります。
所得
の低い
高齢者世帯
の
皆さん
の
介護保険料
を軽減いたします。
介護職員
の
皆さん
に月額一万二千円相当の
処遇改善
を行い、
サービス
の
充実
にも取り組みます。他方で、
利用者
の
負担
を軽減し、
保険料
の伸びを抑えるため、増え続ける
介護費用
全体を抑制します。
社会福祉法人
について、
経営組織
の見直しや
内部留保
の
明確化
を進め、
地域
に貢献する
福祉サービス
の
担い手
へと
改革
してまいります。
子育て世帯
の
皆さん
を応援します。
子ども
・
子育て支援
新
制度
は、
予定どおり
四月から
実施
いたします。引き続き、
待機児童
ゼロの実現に
全力
投球してまいります。
幼児教育
や保育に携わる
皆さん
に三%相当の
処遇改善
を行い、小
学校
の教室を利用した
放課後児童クラブ
の拡大や、休日・
夜間保育
、
病児保育
の
充実
など、多様な
保育ニーズ
にもしっかりと応えてまいります。 その
担い手
として、これまで
子育て
に専念してきた
女性
の
皆さん
の力にも大いに期待しています。
子育て支援員制度
がスタートします。
子育て
も
一つ
の
キャリア
。そのかけがえのない、すばらしい経験を生かしてほしいと思います。 私は、
女性
の力を強く信じます。家庭で、
地域社会
で、職場で、それぞれの場で活躍している全ての
女性
が、その
生き方
に
自信
と誇りを持ち、輝くことができる
社会
をつくり上げてまいります。
女性活躍推進法案
を再び提出し、
早期
の成立を目指します。国、
地方
、
企業
などが
一体
となって、
女性
が活躍しやすい
環境
を整える。
社会
全体の
意識改革
を進めてまいります。 本年採用の
国家公務員
から、
女性
の比率が三割を超えます。二〇二〇年にはあらゆる分野で
指導的地位
の三割以上が
女性
となる
社会
を目指し、
女性役員
などの情報の開示、
育児休業
中の
職業訓練支援
など、
女性登用
に積極的な
企業
を応援してまいります。
高齢者
の
皆さん
に多様な
就業機会
を提供する。
シルバー人材センター
には、更にその
機能
を発揮してもらいます。障害や
難病
、重い病気を抱える
皆さん
にも、きめ細かな
支援
を行い、就労の
チャンス
を拡大してまいります。 あらゆる人が生きがいを持って
社会
で活躍できる。そうすれば、
少子高齢社会
においても
日本
は力強く
成長
できるはずです。 そのためには、
労働
時間に画一的な枠をはめる従来の
労働制度
、
社会
の発想を大きく改めていかなければなりません。
子育て
、介護など、働く方々の事情に応じた柔軟かつ多様な働き方が可能となるよう、選択肢の幅を広げてまいります。 昼が長い夏は、朝早くから働き、夕方は
家族
や友人との時間を楽しむ。夏の
生活スタイル
を変革する新たな
国民運動
を展開します。 夏休みの前に働いた分、
子供
に合わせて長い休みを取る、そんな働き方も
フレックスタイム制度
を拡充して可能とします。
専門性
の高い
仕事
では、時間ではなく成果で評価する新たな
労働制度
を選択できるようにします。 時間
外労働
への
割増し賃金
の
引上げ
などにより、長時間
労働
を抑制します。さらに、
年次有給休暇
を確実に取得できるようにする
仕組み
をつくり、働き過ぎを防ぎ、ワーク・ライフ・バランスが確保できる
社会
をつくってまいります。
日本
の
未来
をつくるのは
若者
です。
若者たち
には、
社会
でその能力を思う存分発揮し、大いに活躍してもらいたいと願います。
若者
への
雇用対策
を抜本的に強化します。三割を超える
若者
が
早期
離職する現実を踏まえ、
新卒者
を募集する
企業
には、残業、研修、離職などの
情報提供
を求めます。
若者
の使い捨てが疑われる
企業
からは、ハローワークで
新卒求人
を受理しないようにいたします。非
正規雇用
の
若者たち
には、
キャリアアップ助成金
を活用して
正規雇用化
を応援します。魅力ある
中小企業
がたくさんある、そのことを
若者たち
に知ってもらうための
仕組み
を強化します。 「娘は今、就職に向けて前向きに頑張っております。」、二十歳の娘さんを持つお母さんから
手紙
をいただきました。娘さんは、幼い頃から学習困難があり、友達と違う自分に悩んできたといいます。 「娘はだんだん
自己嫌悪
がひどくなり「死んでしまいたい」と泣くこともありました。学校に行くたびに輝きが失せていく。しかし、娘は世の中に置いて行かれまいと、
学校
に通いました。」 中学一年生のとき、不登校になりました。しかし、
フリースクール
との出会いによって、
自信
を取り戻し、再び学ぶことができました。大きな勇気を得て、
社会
の偏見に悩みながらも、今は
就職活動
にもチャレンジしているそうです。 その
手紙
は、こう結ばれていました。「
子ども
は大人の鏡です。大人の
価値観
が変わらない限りいじめは起こり、無くなることはないでしょう。多様な人、多様な学び、多様な
生き方
を受け入れ、認め合う
社会
を目指す
日本
であってほしいと切に願っております。ちっぽけな母親の願いです。」と。 いや、当然の願いであります。
子供たち
の誰もが、
自信
を持って、学び、
成長
できる
環境
をつくる、これは私
たち大人
の
責任
です。
フリースクール
などでの多様な学びを国として
支援
してまいります。
義務教育
における六三の画一的な学制を
改革
します。
小中一貫校
の設立も含め、九年間の中で学年の壁などにとらわれない多様な
教育
を可能とします。 できないことへの諦めではなく、できることへの喜びを与える。
地域
の
人たち
の協力を得ながら、
中学校
で
放課後
などを利用して無償の
学習支援
を行う
取組
を
全国
二千か所に拡大します。
子供たち
の
未来
が家庭の
経済事情
によって左右されるようなことがあってはなりません。
子供
の貧困は、頑張れば報われるという真っ当な
社会
の根幹に関わる深刻な問題です。
所得
の低い世帯の
幼児教育
に係る
負担
を軽減し、
無償化
の実現に向け一歩一歩進んでまいります。希望すれば、高校にも、
専修学校
、大学にも進学できる
環境
を整えます。高校生に対する
奨学給付金
を拡充します。大学生への
奨学金
も、有利子から無利子への流れを加速し、将来的に、必要とする全ての学生が無
利子奨学金
を受けられるようにしてまいります。 誰にでも
チャンス
がある、そしてみんなが夢に向かって進んでいける、そうした
社会
を、
皆さん
、共につくり上げようではありませんか。
地方
で就職する学生には
奨学金
の返済を免除する新たな
仕組み
をつくります。東京に住む十代、二十代の
若者
に尋ねると、その半分近くが
地方
への移住を望んでいる。大変勇気付けられる数字です。
地方
にこそ
チャンス
がある。
若者たち
の挑戦を力強く後押しします。一度失敗すると全てを失う
個人保証偏重
の慣行を断ち切ります。
全国
の
金融機関
、
中小
・
小規模事業
の
皆さん
への徹底を図ります。
政府調達
では、創業から十年未満の
企業
を優先するための枠組みをつくり、新たなビジネスに挑む
中小
・
小規模事業
の
皆さん
の
チャンス
を広げてまいります。
地方
に
チャンス
を見出す
企業
も応援します。本社などの拠点を
地方
に移し、投資や
雇用
を拡大する
企業
を税制により
支援
してまいります。
地域ならでは
の資源を生かした新たな
ふるさと名物
の
商品化
、
販路開拓
も応援し、
地方
の
仕事づくり
を進めてまいります。
地方
こそ
成長
の主役です。
外国人観光客
は、この二年間で五百万人増加し、過去
最高
、一千三百万人を超えました。
ビザ緩和
などに戦略的に取り組み、更なる高みを目指します。
日本
を訪れる
皆さん
に、北から南まで、豊かな自然、文化や歴史、食など、
地方
の個性あふれる
観光資源
を満喫していただきたい。 国内の税関や検疫、
出入国管理
の
体制
を拡充いたします。
全国各地
と結ぶ
玄関口
、羽田空港の
機能強化
を進めます。
地元
の理解を得て
飛行経路
を見直し、国際線の
発着枠
を二〇二〇年までに年四万回増やします。成田空港でも、
管制機能
を高度化し、同様に年四万回、
発着枠
を拡大します。アジアとのハブである沖縄では、那覇空港第二
滑走路
の建設を進めます。二〇二一年度まで毎年三千億円台の
予算
を確保するとした沖縄との約束を重んじ、その
実施
に最大限努めてまいります。 熱意ある
地方
の
創意工夫
を
全力
で応援する、それこそが
安倍内閣
の
地方創生
であります。
地方
の努力が報われる、
地方目線
の
行財政改革
を進めます。それぞれの
地方
が特色を生かしながら、
全国
にファンを増やし、財源を確保する、
ふるさと納税
を拡大してまいります。手続も簡素化し、より多くの
皆さん
に
地方
の
応援団
になってほしいと思います。
地方分権
でも、霞が関が主導する従来の
スタイル
を根本から改め、
地方
の発意による、
地方
のための
改革
を進めてまいります。
地方
からの積極的な提案を採用し、
農地転用
などの権限を移譲します。さらに、
国家戦略特区制度
を進化させ、
地方
の情熱に応えて
規制改革
を進める
地方創生特区
を設けてまいります。 伝統ある美しい
日本
を支えてきたのは中
山間地
や離島にお住まいの
皆さん
です。
医療
や福祉、
教育
、買物といった生活に必要な
サービス
を一定のエリアに集め、周辺の集落と
公共交通
を使って結ぶことで、小さくても便利な
町づくり
を進めてまいります。 安全で安心な
暮らし
は何よりも重要です。ストーカー、
高齢者
に対する詐欺など、弱い立場の
人たち
を狙った犯罪への対策を強化してまいります。
児童虐待
から
子供たち
を守るため、SOSの声を「いちはやく」キャッチする、
児童相談所
への
全国共通ダイヤル
一八九をこの七月から運用開始いたします。 御嶽山の噴火を教訓に、
地元
と
一体
となって
観光客
や
登山者
の
警戒避難体制
を
充実
するなど、
火山防災対策
を強化してまいります。近年増加する
ゲリラ豪雨
による水害や
土砂災害
などに対して、
インフラ
の
整備
に加え、
避難計画
の策定や訓練の
実施
など、
事前防災
・
減災対策
に取り組み、
国土強靱化
を進めてまいります。 昨年は各地で
自然災害
が相次ぎました。そのたびに、
自衛隊
、警察、消防などの諸君が、昼夜を分かたず、また危険も顧みず懸命の
救助活動
に当たってくれました。 「たくさん雪が降っていて、とっても、こわかったです。」、昨年十二月の大雪では、徳島県で幾つもの集落が孤立しました。災害派遣された
自衛隊員
に
地元
の
中学校
の
子供たち
が
手紙
をくれました。「そんなとき、
自衛隊
のみなさんが、来てくれて、助けてくれて、
かんしゃの気持ち
でいっぱいです。わたし
たち
も、みなさんに何かしなくては!と思い、
手紙
を書きました。」 私
たち
もまた、彼らの高い
使命感
と
責任感
に対し、今この場から、改めて感謝の意を表したいと思います。 昨年十月、
海上自衛隊
の
練習艦隊
が五か月間の
遠洋航海
から帰国しました。 国のために戦った方は、国籍を超えて、敬意を表さなければならない。
ソロモン諸島リロ首相
の心温まる御協力をいただき、今回の航海では、さきの大戦の
激戦地ガダルカナル
島で収容された百三十七柱の御
遺骨
に
祖国
へと御帰還いただく任務に当たりました。 今も異国の地に眠るたくさんの御
遺骨
に、一日も早く
祖国
へと御帰還いただきたい。それは今を生きる私
たち
の責務であります。硫黄島でも、一万二千柱もの御
遺骨
の
早期帰還
に向け、来年度中に
滑走路下
百か所の掘削を完了し、
取組
を加速してまいります。
祖国
の行く末を案じ、
家族
の幸せを願いながらお亡くなりになった、こうした尊い犠牲の上に私
たち
の現在の平和があります。
平和国家
としての
歩み
は、これからも決して変わることはありません。
国際情勢
が激変する中で、その
歩み
を更に力強いものとする。
国民
の命と幸せな
暮らし
は、断固として守り抜く。そのために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする
安全保障法制
の
整備
を進めてまいります。 本年は、戦後七十年の節目の年に当たります。 我が国は、さきの大戦の深い反省とともに、ひたすらに自由で民主的な国をつくり上げ、
世界
の平和と繁栄に貢献してまいりました。その誇りを胸に、私
たち
は、これまで以上に
世界
の平和と安定に貢献する国とならなければなりません。次なる八十年、九十年、そして百年に向けて、その強い意思を
世界
に向けて発信してまいります。 幾多の災害から得た教訓や経験を
世界
と共有する。三月、仙台で
国連防災世界会議
を開きます。
島国ならでは
の課題に共に立ち向かう。五月、いわきで太平洋・
島サミット
を開催いたします。二十一
世紀こ
そ
女性
への人権侵害がない世紀とする。
女性
が輝く
世界
に向けて、昨年に引き続き、秋口には、
世界
中から、活躍している
女性
の
皆さん
に
日本
にお集まりいただきたいと考えています。 本年はまた、被爆七十年の節目でもあります。唯一の戦争被爆国として、
日本
が
世界
の核軍縮・不拡散をリードしてまいります。 国連創設から七十年に当たる本年、
日本
は
安全保障
理事会非常任理事国に立候補いたします。そして、国連を二十一世紀にふさわしい姿へと
改革
する、その大きな役割を果たす決意であります。 本年こそ、積極的平和主義の旗を一層高く掲げ、
日本
が
世界
から信頼される国となる、戦後七十年にふさわしい一年としていきたい、そう考えております。 今後も、豪州、ASEAN諸国、インド、欧州諸国など、自由や民主主義、基本的人権や法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携しながら、地球儀を俯瞰する視点で、積極的な外交を展開してまいります。 その基軸は日米同盟であります。この二年間で、日米同盟のきずなは復活し、揺るぎないものとなりました。日米ガイドラインの見直しを進め、抑止力を一層高めてまいります。 現行の日米合意に従って在日米軍再編を進めてまいります。三月末には西普天間住宅地区の返還が実現いたします。
学校
や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の返還を必ずや実現する。そのために、引き続き沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら、名護市辺野古沖への移設を進めてまいります。今後も、日米両国の強固な信頼関係の下に、裏付けのない言葉ではなく、実際の行動で沖縄の基地
負担
の軽減に取り組んでまいります。
日本
と中国は、
地域
の平和と繁栄に大きな
責任
を持つ、切っても切れない関係です。昨年十一月、習近平国家主席と首脳会談を行って、戦略的互恵関係の原則を確認し、関係改善に向けて大きな一歩を踏み出しました。今後、様々なレベルで対話を深めながら、大局的な観点から、安定的な友好関係を発展させ、
国際社会
の期待に応えてまいります。 韓国は、最も重要な隣国です。日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてまいります。対話のドアは常にオープンであります。 ロシアとは、戦後七十年たった現在も、いまだ平和条約が締結できていない現実があります。プーチン大統領とは、これまで十回にわたる首脳会談を行ってまいりました。大統領の訪日を本年の適切な時期に実現したいと考えております。これまでの首脳会談の積み重ねを基礎に、
経済
、文化など幅広い分野で協力を深めながら、平和条約の締結に向けて粘り強く
交渉
を続けてまいります。 北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決を求めます。最重要課題である拉致問題について、北朝鮮は、迅速な調査を行い、一刻も早く全ての結果を正直に通報すべきであります。今後とも、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、拉致問題の解決に
全力
を尽くしてまいります。 昨年末、
日本
を飛び立った「はやぶさ2」、宇宙での挑戦を続けています。小惑星にクレーターを作ってサンプルを採取する、そのミッションを可能とした核心技術は福島で生まれました。東
日本
大震災で一時は休業を強いられながらも、技術者の
皆さん
の熱意が被災地から
世界
初の技術を生み出しました。 福島を
世界最先端
の
研究
、新産業が生まれる地へと再生する。原発事故によって被害を受けた浜通り
地域
にロボット関連産業などの集積を進めてまいります。 中間貯蔵施設の建設を進め、除染を更に加速します。東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策に、国も前面に立ち、
全力
で取り組みます。福島復興再生特別措置法を改正し、避難指示の解除に向けて、復興拠点が円滑に
整備
できるようにします。
財政
面での
支援
も拡充し、
ふるさと
に帰還する
皆さん
の生活再建を力強く後押ししてまいります。 三月には東北の被災地を貫く常磐自動車道がいよいよ全線開通いたします。多くの
観光客
に東北を訪れていただきたい。被災地復興の起爆剤となることを期待しています。 高台移転は九割、災害公営住宅は八割の事業がスタートしています。住まいの再建を続けると同時に、孤立しがちな被災者への見守りなどの心の復興、農林
水産業
や
中小企業
などなりわいの復興にも
全力
を挙げてまいります。 「はやぶさ2」は、福島生まれの技術がもたらした小惑星のサンプルとともに、二〇二〇年、
日本
に帰ってきます。そのときには東北の姿は一変しているに違いありません。いや、一変させなければなりません。新たな
可能性
と創造の地としての東北を、
皆さん
、共につくり上げようではありませんか。 同じ年に、私
たち
はオリンピック・パラリンピックを開催いたします。 必ずや成功させる。その決意で、専任の担当大臣の下、
インフラ
整備
から
テロ
対策まで、多岐にわたる準備を本格化してまいります。 スポーツ庁を新たに設置し、
日本
から
世界
へとスポーツの価値を広げます。
子供
もお年寄りも、そして障害や
難病
のある方も、誰もがスポーツをもっと楽しむことができる
環境
を整えてまいります。 私
たち
日本人
に、二〇二〇年という共通の目標ができました。 昨年、
日本
海では、
世界
に先駆けて、表層型メタンハイドレート、いわゆる燃える氷の本格的なサンプル採取に成功しました。
日本
は資源に乏しい国である、そんな常識は二〇二〇年にはもはや非常識になっているかもしれません。
日本
は変えられる。全ては私
たち
の意思と行動に懸かっています。 十五年近く続いたデフレ。その最大の問題は
日本人
から
自信
を奪い去ったことではないでしょうか。しかし、悲観して立ち止まっていても何も変わらない。批判だけを繰り返していても何も生まれません。
日本
国民
よ、
自信
を持て。戦後復興の礎を築いた吉田茂元総理の言葉であります。 昭和の
日本人
にできて、今の
日本人
にできないわけはありません。私は、この議場にいる全ての国
会議
員の
皆さん
に、再度、呼びかけたいと思います。 全ては
国民
のため、党派の違いを超えて、選挙
制度
改革
、定数削減を実現させようではありませんか。憲法改正に向けた
国民
的な議論を深めていこうではありませんか。そして、
日本
の
未来
を切り開く、そのために、戦後以来の
大改革
をこの国会で必ずや成し遂げようではありませんか。 今や
日本
は、私
たち
の努力で再び
成長
することができる、
世界
の真ん中で輝くことができる、その
自信
を取り戻しつつあります。 さあ
皆さん
、今ここから、新たなスタートを切って、芽生えた
自信
を確信へと変えていこうではありませんか。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ─────────────
山崎正昭
3
○議長(
山崎正昭
君)
外務大臣
岸田文雄君。 〔
国務大臣
岸田文雄君登壇、拍手〕
岸田文雄
4
○
国務大臣
(岸田文雄君) 第百八十九回国会に当たり、
外交
の基本
方針
について所信を申し述べます。 最初に、シリアにおいて、非道、卑劣極まりない
テロ行為
により殺害された
日本人
お二人に哀悼の誠をささげ、御
家族
に心からお悔やみを申し上げます。
国民
の皆様の祈りにも支えられ、
政府
として
全力
を尽くしましたが、このような結果になったことは痛恨の極みです。許し難い暴挙に強い憤りを覚え、断固非難いたします。 この間の国会における議員各位の御
理解
と御
協力
に深く感謝いたします。
世界
各地
で、過激主義集団による
テロ行為
が発生し、多くの無辜の市民が
犠牲
になっています。いかなる国も
テロ
の脅威に無縁ではいられません。
日本
は決して
テロ
に屈することはありません。国内外の
日本人
の
安全確保
に万全を期すとともに、中東、アフリカへの
人道支援
を更に拡充し、また、
国際社会
における
テロ
に対する
取組
にも毅然として
責任
を果たしてまいります。 今回、
国際社会
から示された連帯に心から感謝いたします。ヨルダンを始め
世界
各国・
各地
からの連帯は、これまでの
日本
外交
の積み重ねのたまものであり、
国際社会
における
日本
の存在感の高まりと
協力
のネットワークの広がりを表すものです。
世界
各地
の
テロ
に象徴されるように、
グローバル化
と脅威の多様化が進捗しています。また、アジア太平洋
地域
の戦略
環境
は依然として厳しい状況にあります。どの国も一国のみで自国の平和、自
国民
の安全を守ることはできません。 こうした状況であるからこそ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の旗を高く掲げ、
日本
の
安全保障
を確実なものにし、
世界
の平和と繁栄のために
国際社会
の一員としての責務を果たす
外交
をこれまで以上に強力に推進してまいります。 本年は、戦後七十年、国連創設七十年の節目の年に当たります。二十世紀の惨禍を二度と繰り返してはなりません。
さき
の
大戦
の反省を踏まえ、
日本
は、自由、民主主義、法の支配、
市場
経済
、人権といった基本的価値を信奉し、国連を始めとする
制度
や
体制
を擁護してきました。先
人たち
の努力と国際的秩序の恩恵を受け、我々は今日の平和と繁栄を享受しています。
平和国家
としての
日本
の
歩み
は今後も変わることはありません。 平和は、単に戦争がない状態ではありません。
日本
は、人々が安全に、安心して豊かに暮らせることの有り難さを七十年間実感してきました。自らの
経験
に裏打ちされた平和と繁栄を
地域
と
世界
に広げていきたい。このため、
日本
は、アジアを始め
世界
各地
で、
開発
、平和構築、
国民
和解、民主化に積極的に貢献し、軍縮・不拡散や
環境
といったグローバルな課題に主体的に取り組んできました。 こうした
平和国家
としての
日本
の
歩み
を更に
未来
に進め、国際協調主義に基づく積極的平和主義を具体的に実践する
外交
に取り組んでまいります。
日本
を取り巻く
安全保障
環境
が一層厳しさを増していることへの
対応
も必要です。
日本
固有の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの
方針
は不変であり、引き続き毅然かつ冷静に
対応
します。そして、
国民
の命と平和な
暮らし
を守り抜くとともに、
国際社会
の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するため、切れ目のない
安全保障法制
を
整備
する必要があります。
国民
の皆様の御
理解
を得るために、引き続き丁寧に説明を続けてまいります。 本年も、これまでと同様、日米同盟の
強化
、近隣諸国との関係
強化
、そして
経済
外交
の
強化
という三本柱を軸とした
外交
を強力に展開します。 第一の柱は、
日本
外交
の基軸である日米同盟の
強化
です。 昨年四月、日米首脳は、平和で繁栄するアジア太平洋を確かなものにしていくために、日米同盟が主導的役割を果たすことを確認しました。今後も、日米同盟をあらゆる分野で
強化
してまいります。
安全保障
分野においては、日米防衛
協力
のための指針見直しを始め、幅広い分野での安保・防衛
協力
を推進し、抑止力を一層向上させます。 在日米軍再編を
現行
の日米合意に従って進めながら、
沖縄
の
負担
軽減に取り組みます。特に、普天間飛行場については、危険性の除去が極めて重要な課題であるとの認識の下、一日も早い移設に向けて
政府
として取り組みます。 また、日米地位協定の
環境
補足協定署名に向けて所要の作業を進めてまいります。 第二の柱は、近隣諸国との関係
強化
です。 日中関係は、最も重要な二国間関係の
一つ
です。 中国が
国際社会
のルールや法の支配を尊重する形で平和的発展を遂げることは、
日本
にとっても大きな
チャンス
です。昨年十一月の北京APECでの首脳・外相会談の
成果
を踏まえ、戦略的互恵関係の原点に立ち戻り、様々なレベルで対話と
協力
を積み重ね、大局的な観点から日中関係を発展させてまいります。
地域
の平和と繁栄の
確保
という利益を共有する最も重要な隣国である韓国との関係
強化
は、
日本
にとり当然のことです。 今後とも、様々なレベルで積極的に
意思
疎通を積み重ね、大局的観点から、国交正常化五十周年にふさわしい、
未来
志向で重層的な
協力
関係を双方の努力により構築していきたいと考えています。また、
経済
関係の
強化
にも努めます。
日本
固有の領土である竹島については、引き続き、
日本
の主張をしっかりと伝え、粘り強く
対応
します。 さらに、日中韓三か国の
協力
を
未来
志向で
強化
するとともに、日中韓外相
会議
を
早期
に開催し、首脳
会議
の開催につなげられるよう努力してまいります。 より統合され、繁栄し安定したASEANは、
地域
全体の平和と安定にとり極めて重要です。本年のASEAN共同体構築及び更なる統合に向けた努力を引き続き
支援
するとともに、ASEAN及びASEAN各国との関係を一層
強化
する考えです。 特別な戦略的グローバルパートナーシップの関係にあるインドとの
協力
強化
を進め、南西アジア諸国との関係を深化させます。 また、基本的価値と戦略的利益を共有する特別な関係にある豪州との間で、二国間及び日米豪三か国の枠組みでの安保・防衛分野における
協力
を進めるとともに、日豪EPAを通じた
経済
関係の
強化
等をより一層促進します。 また、五月の第七回太平洋・
島サミット
の開催を通じ、太平洋島嶼国との
協力
関係を一層深化させます。 日ロ関係については、本年の適切な時期に
実現
を目指しているプーチン大統領の訪日を含め、今後、政治対話を積み重ねつつ、
日本
の国益に資するよう進めてまいります。 最大の懸案である北方領土問題については、引き続き、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、粘り強く
交渉
に取り組んでまいります。 また、ウクライナ情勢の平和的解決に向け、全ての当事者の対話努力を促すとともに、ロシアが建設的役割を果たすよう働きかけてまいります。
日本
としても、ウクライナの
改革
努力を引き続き
支援
していきます。 北朝鮮に関しては、対話と圧力の
方針
の下、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を目指します。 北朝鮮による核・ミサイル
開発
の継続は、
地域
と
国際社会
全体の平和と安全に対する重大な脅威です。関係国と連携しつつ、北朝鮮に対し、安保理決議及び六者会合共同声明の誠実かつ完全な
実施
を引き続き強く求めます。 北朝鮮が、
国際社会
の声を真摯に受け止め、人権状況の改善に向けた具体的
行動
を取ることを引き続き強く求めます。拉致問題は、
日本
の主権及び
国民
の生命、安全に関わる重大な問題であり、政権の最重要課題です。北朝鮮による調査が、全ての拉致被害者の帰国という具体的な
成果
につながるよう
全力
を尽くします。 欧州各国、EUやNATO等との
協力
関係を重層的に
強化
します。特に、英国及びフランスと安保・防衛分野の
協力
を推進していきます。 また、中南米諸国と国際場裏での
協力
関係を含む幅広い関係
強化
を図ります。 第三の柱は、
日本経済
の再生に資する
経済
外交
の
強化
です。
日本経済
の再生と発展に資する戦略的な
経済
外交
を引き続き推進します。国際
市場
において
日本
企業
が存分に活躍できるよう、トップセールスやODAの活用も含め、官民
一体
で推進します。
地方創生
に資する
取組
を
強化
する観点からも、
日本
産品の海外普及促進や風評被害
対策
に引き続き力を入れてまいります。また、
経済
面での国際ルール
整備
のため、WTOやOECD、APEC、主要国首脳
会議
等の議論に積極的に参画します。 さらに、TPPを始めとする
経済
連携
交渉
を、国益にかなった、包括的かつ高いレベルで戦略的かつスピード感を持って推進します。
エネルギー
、鉱物
資源
、食料等の安定
確保
のため、
資源
外交
を
強化
します。 鯨類を含む海洋生物
資源
の持続可能な利用について、
国際社会
の
理解
と支持を得るべく一層努力します。 今回のシリアにおける邦人人質殺害事件を受け、従来の
取組
に加え、在留邦人への注意喚起、
日本人
学校
との連絡
強化
や現地治安当局への警備
強化
申入れ、危険
情報
の発出などを行いました。その上で、海外に在留、渡航する
日本人
の
安全確保
に更に万全を期すための検討チームを立ち上げ、考え得る具体的な措置について早急に取りまとめます。 また、
テロ
と闘う
国際社会
において、
日本
としての
責任
を果たすとともに、
日本
の立場を積極的に対外発信していきます。さらに、
テロ
関連
情報
の収集を一層
強化
してまいります。 中東
地域
においては、ISILの脅威がある中で、中庸が最善の精神に裏打ちされた、安定した中東を取り戻すことが急務です。過激主義の
流れ
を食い止めるべく、穏健イスラム諸国に対し可能な限り非軍事の
支援
を行います。
外交
の三本柱を推進するのと併せて、
国際社会
が直面するグローバルな課題についても、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、引き続き積極的に貢献してまいります。 国連創設七十年の節目の年に当たり、国連との連携をより一層
強化
します。
日本
は、国連が二十一世紀にふさわしい姿となるよう、常任理事国の責務を担う用意があり、インド、ドイツ、ブラジルとともに、安保理
改革
実現
に向けてリーダーシップを発揮してまいります。また、本年の安保理非常任理事国
選挙
に万全を期します。 国連PKOへの貢献を一層
拡大
し、平和維持、平和構築を推進します。 国際機関の
日本人
職員の増強にも努めます。 本年は被爆七十年でもあります。唯一の戦争被爆国として、NPT運用検討
会議
での議論を主導し、核兵器のない
世界
を目指して、現実的、実践的な
取組
を前進させます。 気候変動分野では、COP21における全ての国が参加する公平かつ実効的な二〇二〇年以降の国際枠組みの合意に向け、積極的に貢献します。この一環として、緑の気候基金に拠出を行うため、緑の気候基金法案を今国会に提出します。
女性
が輝く
社会
の
実現
は、
世界
共通の課題です。二十一
世紀こ
そ
女性
に対する人権侵害のない
世界
となるよう貢献してまいります。今年も、
女性
が輝く
社会
に向けた国際シンポジウム、WAW!を開催します。 ポスト二〇一五年
開発
アジェンダ策定に向けた議論に積極的に貢献してまいります。人間の
安全保障
の理念に基づき、国際保健課題や防災等に対処し、多様な主体が参加する枠組みの策定を目指します。三月には仙台で第三回
国連防災世界会議
を開催し、防災の主流化と被災地の復興の発信に取り組みます。 新たな
開発
協力
大綱の下、ODAを戦略的に活用することにより、
国際社会
の平和と安定及び繁栄に一層積極的に寄与してまいります。特に、ODAを通じた官民連携を一層推進します。
成長
著しいアフリカとのパートナーシップをTICADプロセスを中心に一層
強化
します。エボラ出血熱の流行に対し、引き続き切れ目なき
支援
を
実施
します。 海洋、宇宙空間、サイバー空間を含む国際公共財における法の支配の
実現
や
強化
に尽力します。海における法の支配の三原則に基づき、開かれ安定した海洋の維持発展に、主要国、関係国と連携し、取り組んでまいります。 主要国並みの
外交
実施
体制
の
実現
を目指し、総合的な
外交
力を引き続き
強化
してまいります。
国際社会
での存在感を一層高めるよう、
予算
を効果的に活用し、
日本
の正しい姿や多様な魅力を戦略的に対外発信するとともに、親日派、知日派の発掘、育成を強力に推進します。主要国における広報文化
外交
拠点、ジャパン・ハウスの創設を推進します。また、日系人との
協力
の
強化
にも注力します。 この二年間の様々な
外交
成果
は、オールジャパンで取り組み、
世界
各国との信頼関係を
一つ
一つ
積み重ねてきたからこそ得られたものです。そして、国と国との関係である
外交
を支えるのは、結局のところ、人と人とのきずなです。今後も、精力的に各国外相等と
意思
疎通を図り、きずなを大切にしながら、この二年間培った信頼関係を基に
外交
を進め、
一つ
一つ
の
外交
課題で着実に結果を出してまいります。 議員各位、そして
国民
の皆様の御
理解
と御
協力
を心よりお
願い
申し上げます。(拍手) ─────────────
山崎正昭
5
○議長(
山崎正昭
君)
財務大臣
麻生太郎君。 〔
国務大臣
麻生太郎君登壇、拍手〕
麻生太郎
6
○
国務大臣
(麻生太郎君)
平成
二十七年度
予算
の御審議に当たり、
財政
政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、
予算
の概要を御説明させていただきたいと存じます。
安倍内閣
では、
日本経済
の再生に向けて、三本の矢から成る
経済
運営を
一体
的に推進してまいりました。こうした政策の下、
有効求人倍率
は二十二年
ぶり
の高
水準
となり、
企業
の経常利益は過去
最高
水準
となるなど、
経済
の好循環が確実に生まれつつあります。そして、
地方
への好循環
拡大
に向けた緊急
経済
対策
を
実施
し、足下の景気状況に
対応
しつつ、
地方
に
経済
成長
の
成果
を広く早く行き渡らせてまいります。 これに加え、三年目に入った
安倍内閣
の重要課題として、人口減少の克服と
地方
の創生に本格的に取り組み、各
地域
がそれぞれの特徴を生かして、自律的で持続的な
社会
を形成することを促してまいります。 また、
経済
の好循環を確立するためには、昨年末の
政労使
会議
における三者の共通認識を踏まえ、
賃上げ
の
流れ
を継続するとともに、
生産性
の向上や
賃金
体系の見直しを進めていくことが重要であります。 あわせて、コーポレートガバナンスの
強化
や
法人税改革
、岩盤規制の撤廃など、攻めの姿勢で
成長戦略
を果断に実行していくことで
日本経済
を確実な
成長
軌道に乗せてまいります。 民需主導の持続的な
経済
成長
を
実現
するためにも、また、
日本
銀行が現在取り組んでおります金融緩和を円滑に進める上でも、
財政
の持続
可能性
を維持することは必要不可欠であります。
安倍内閣
におきましては、
経済
成長
に加え、歳出歳入両面からの
取組
により、着実に
財政
健全化を進めてまいりました。このため、歳入面では、強い
経済
の
実現
を目指した
取組
を進めることにより、税収を増加させるとともに、
社会保障
の
充実
、安定化のため、昨年四月に
消費税率
を八%に引き上げております。また、歳出面では、
社会保障
の自然増を含め、歳出全般にわたり聖域なく徹底的な見直しを行ってきたところです。 こうした
取組
により、
平成
二十七年度
予算
は、
国債発行額
が
平成
二十一年度当初
予算
以来の三十兆円台となり、公債依存度も約三八%に下がるとともに、二〇一五年度の
財政健全化目標
を達成する
予算
となっております。 一方で、公的債務残高がGDPの二倍程度までに累積するなど、
日本
の
財政
は極めて厳しい状況にあります。引き続き、歳出歳入両面における最大限の努力を行わなければなりません。 消費税の一〇%への
引上げ
は、
経済
状況等を総合的に勘案し、一年半延期することといたしましたが、
社会保障
を次世代に引き渡していく
責任
を果たすとともに、
市場
及び
国際社会
における国の信認を
確保
するため、景気判断条項を付すことなく、
平成
二十九年四月に
消費税率
の一〇%への
引上げ
を確実に
実施
いたします。そうした状況をつくり出すという決意の下、
経済
運営に万全を期してまいりたいと存じます。 そして、国と
地方
を合わせた
基礎的財政収支
を二〇二〇年度までに黒字化するという目標をしっかりと堅持し、その達成に向けた具体的な
計画
を本年夏までに策定することといたしております。その策定に当たりましては、
安倍内閣
のこれまでの
取組
を更に
強化
し、
デフレ脱却
・
経済再生
、歳出
改革
、歳入
改革
の三本の柱を軸に検討を進めてまいります。 これらの
取組
を通じて、
経済再生
と両立する
財政
健全化を
実現
してまいります。 続いて、
平成
二十七年度
予算
及び税制改正の大要を御説明させていただきます。
平成
二十七年度
予算
は、
経済
対策
、
平成
二十六年度補正
予算
や
平成
二十七年度税制改正と併せ、
経済再生
と
財政
健全化の両立を
実現
する
予算
です。
地方創生
、
子育て支援
など、
日本
の諸課題への
対応
を強力に推進するとともに、
社会保障
の自然増を含め聖域なく見直しを行い、歳出の徹底的な重点化、効率化を図ってまいります。
基礎的財政収支
対象経費は約七十二兆九千億円であり、これに国債費約二十三兆五千億円を加えた一般会計総額は約九十六兆三千億円となっております。 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十四兆五千億円、その他収入は約五兆円を見込んでおります。また、公債金は約三十六兆九千億円となっており、前年度当初
予算
に対し、約四兆四千億円の減額を行っております。 次に、主要な経費について申し述べます。
社会保障
関係費につきましては、消費税増収分等を活用し、
平成
二十七年四月から
子ども
・
子育て支援
新
制度
をスタートさせます。また、
医療
・
介護
サービス
の提供
体制
改革
を推進いたします。
介護
サービス
料金改定に際しましては、
介護職員
の
処遇改善
や良好な
サービス
に対する加算を行いつつ、全体として引き下げることで
介護保険料
の
上昇
を抑制し、
利用者
の
負担
を軽減いたします。 文教及び科学振興費につきましては、グローバル人材育成や国立大学
改革
等を推進するとともに、無
利子奨学金
や幼稚園就園奨励費補助費の施策を
充実
させることといたしております。また、国際的な産学官共同
研究
拠点の形成等の
イノベーション
システム
改革
を推進してまいります。
地方
財政
につきましては、
地方
の税収増を反映して
地方
交付税交付金等を縮減しつつ、
地方
の一般財源の総額について、
社会保障
の
充実
等を増額し、
地方
に最大限配慮いたしております。 防衛関係費につきましては、
日本
を取り巻く
安全保障
環境
が一層厳しさを増している状況を踏まえ、中期防衛力
整備
計画
に基づき必要な手当てを行い、警戒監視能力の
強化
及び島嶼部攻撃への
対応
の
強化
等を図ることといたしております。また、
沖縄
の基地
負担
軽減等のための在日米軍再編事業につきましても、着実に推進することといたしております。 公共事業関係費につきましては、
国民
の命と
暮らし
を守る防災・
減災対策
や
インフラ
の老朽化等の課題に
対応
するため、引き続き、投資の重点化、効率化を図りつつ、真に必要な
社会
資本
整備
等に取り組むことといたしております。
経済
協力
費につきましては、法の支配や民主化等の普遍的価値の共有に向けた
協力
や途上国と
日本
の
経済
成長
のための
協力
などを進めつつ、ODA全体の事業量の
確保
を図っております。
中小企業
対策
費につきましては、革新的な物づくりに向けた
研究
開発
等の
支援
を
充実
させるほか、
中小企業
・
小規模事業者
の資金繰り
対策
等にも万全を期すこととしております。
エネルギー
対策
費につきましては、
再生可能エネルギー
の
導入
拡大
及び省
エネルギー
の推進に向けた
支援
に重点を置くほか、国内
資源
の
開発
や海外
資源
の権益
確保
、原子力規制・防災
対策
を推進することとしております。 農林水産関係
予算
につきましては、
農地
中間管理機構を通じた
担い手
への
農地
集積、集約化などの
構造改革
を進めるとともに、輸出促進、六次産業化の推進等、農林
水産業
の競争力
強化
への重点化を図ることとしております。 治安関係
予算
につきましては、安全で安心して暮らせる
社会
の
実現
に向けて、警察活動
基盤
の
充実
や再犯防止
対策
の
充実
等を図ることといたしております。
国家公務員
の人件費につきましては、給与改定や給与
制度
の総合的見直し、定員純減等を的確に
予算
に反映いたしております。 東
日本
大震災からの復興につきましては、被災地の復旧・復興の加速に
全力
で取り組んでいくこととしております。このため、
平成
二十七年度東
日本
大震災復興特別会計において、歳出歳入いずれも約三兆九千億円を見込んでおります。
平成
二十七年度
財政
投融資
計画
につきましては、
中小企業
・
小規模事業者
や
地方
公共団体などに必要な資金を適切に供給するため、総額約十四兆六千億円としております。 借換債等を含む国債発行総額につきましては、約百七十兆円と、依然として極めて高い
水準
にあり、
財政
規律を維持しつつ、国債管理政策を適切に運営してまいります。
平成
二十七年度税制改正におきましては、デフレ不況からの脱却、
経済再生
に向けた税制上の
対応
、
地方創生
に係る税制上の
対応
、
消費税率
一〇%への
引上げ
時期の変更、BEPSプロジェクト等の国際的
取組
を踏まえた税制上の
対応
、震災からの復興
支援
のための税制上の
対応
等を行うことといたしております。 具体的には、
成長
志向に重点を置いた
法人税改革
として、課税ベースを
拡大
して税率を引き下げることで、
企業
が収益力を高め、
賃上げ
に積極的に取り組むよう促してまいります。消費税につきましては、税率一〇%への
引上げ
時期を
平成
二十九年四月とすること等といたしております。さらに、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税
制度
の延長、拡充や
地方
拠点
強化
税制の創設等を行うことといたしております。 以上、
財政
政策等の基本的な考え方と、
平成
二十七年度
予算
及び税制改正の大要について御説明をさせていただきました。
経済再生
と
財政
健全化の両立を
実現
するためには、本
予算
の一刻も早い成立が必要であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお
願い
しますと同時に、
安倍内閣
におけるこれまでの
取組
が実を結び、
日本経済
及び
日本
国民
は希望と
自信
を取り戻しつつあると存じます。しかし、
経済再生
も
財政
健全化もこれからが正念場と存じます。それらを
実現
するためには、
日本
の潜在的な力を開花させ、
グローバル化
や人口減少の下で
日本
や
地域
が直面する課題に
国民
一人一人が知恵を絞り、一致
協力
して乗り越えていくことが鍵となります。私も全精力を注ぎ、不退転の決意で挑戦を続けてまいる覚悟です。
国民
各位の御
理解
と御
協力
を切にお
願い
申し上げます。(拍手) ─────────────
山崎正昭
7
○議長(
山崎正昭
君)
国務大臣
甘利明君。 〔
国務大臣
甘利明君登壇、拍手〕
甘利明
8
○
国務大臣
(甘利明君)
経済
財政
政策を担当する
内閣
府特命担当大臣として、その所信を申し述べます。
安倍内閣
では、長引くデフレからの
早期
脱却と
経済再生
を図るため、大胆な金融政策、機動的な
財政
政策、民間投資を喚起する
成長戦略
の三本の矢を
一体
として強力に推進をしてきました。こうした政策の下、
有効求人倍率
は二十二年
ぶり
の高
水準
、名目
雇用
者報酬が十七年
ぶり
の高い伸びとなるとともに、
企業
の経常利益は過去
最高
水準
、
上場企業
のROE、自己資本利益率は政権発足時の約一・五倍となり、
倒産件数
は二十四年
ぶり
に年間一万件を下回りました。
日本経済
は引き続き緩やかな回復基調が続いておりますが、足下では、個人消費などに弱さが見られています。この背景には、
消費税率
引上げ
に伴う駆け込み需要の反動減や夏の天候不順の影響に加え、輸入物価の
上昇
、さらには、
消費税率
引上げ
の影響を含めた物価の
上昇
に家計の
所得
が追い付いていないことなどがあると考えられます。 本日閣議決定をした
政府
経済
見通しでは、
平成
二十七年度の
日本経済
について、
雇用
・
所得
環境
が引き続き改善をし、好循環が更に進展するとともに、原油価格低下などにより交易条件も改善する中で、堅調な民需に支えられた
景気回復
が見込まれ、
経済
成長
率は実質で一・五%程度、名目で二・七%程度と見込んでいます。 現下の
経済
情勢等を踏まえ、
経済
の脆弱な部分に的を絞り、かつ、スピード感を持って
対応
を行うことで、
経済
の好循環を確かなものとするとともに、
地方
にアベノミクスの
成果
を広く行き渡らせるため、昨年十二月末に
地方
への好循環
拡大
に向けた緊急
経済
対策
を閣議決定をいたしました。 本緊急
経済
対策
は、現下の
経済
情勢等を踏まえた
生活
者、事業者への
支援
、
地方
が直面する構造的課題等への実効ある
取組
を通じた
地方
の活性化、
災害
復旧・復興加速化など
災害
・危機等への
対応
などを内容としており、策定の趣旨に鑑み、スピード感を持って具体化を図ってまいります。 また、
政労使
会議
において、
政府
の
環境
整備
の
取組
の下、
経済
界による
賃上げ
への最大限の努力や、取引
企業
の仕入価格の
上昇
などを踏まえた価格転嫁や、
支援
、
協力
についての総合的
取組
、労使双方による
サービス
業の
生産性
向上への一致
協力
した
取組
などに合意をいたしました。今後もフォローアップを行うことにより、
賃上げ
の
流れ
を今年の春も、また翌年の春も継続をさせ、
経済
の好循環の
拡大
を目指してまいります。
日本
銀行においては、昨年十月に量的・質的金融緩和の
拡大
を決定するなど、二%の物価安定の目標を
実現
するための
取組
を進めているところです。
政府
としては、
経済
・物価情勢を踏まえつつ、この目標を
実現
することを期待をします。
安倍内閣
が進める
成長戦略
については、スピード感を持って、強力に実行、
実現
をしていくことが極めて重要です。 このため、昨年十二月末、
日本
経済再生
本部において、「アベノミクス
成長戦略
の実行・
実現
について」として、我が国の
社会
経済
の構造を変革をし、
世界
で最もイノベーティブな国となるよう目指すため、
農業
、
雇用
、
医療
、
エネルギー
等のいわゆる岩盤規制の
改革
を始めとして、
成長戦略
に掲げられた各施策を速やかに具体化をし、実行、
実現
する
方針
を取りまとめました。 さらに、産業競争力
強化
法に基づき、産業競争力の
強化
に関する実行
計画
の改定を閣議決定したところであり、
成長戦略
の各施策の確実な実行に取り組んでまいります。 また、
法人
税を
成長
志向型の構造に変えるため、
平成
二十七年度には、
法人実効税率
を二・五一%引き下げることとし、引き続き、数年で
法人実効税率
を二〇%台まで引き下げることを目指してまいります。 健康、
医療
については、
日本医療研究開発機構
の本年四月の設立に向けて必要な準備を進めるなど、先般、閣議決定をされた健康・
医療
戦略を着実に推進をしてまいります。 一昨年の
日本
再興戦略策定以降、
さき
の臨時国会までに、四十本を超える
成長戦略
関連法が成立をいたしました。これらの法律をしっかりと実行するとともに、引き続き、本通常国会でも
成長戦略
の実行に必要な法案を提出をしてまいります。 また、産業競争力
会議
で
成長戦略
進化のための検討を進め、年央の
成長戦略
の改訂を目指してまいります。 さらに、民間投資の喚起による
経済
成長
の
実現
のため、PPP/PFIの
抜本改革
に向けたアクションプランの実行を加速をしてまいります。 市民活動の促進については、
地域
の課題解決や活性化の重要な
担い手
であるNPOの育成や寄附文化の醸成等を通じ、活力あふれる共助
社会
づくりを進めてまいります。 TPPは、アジア太平洋
地域
において、普遍的価値を共有する国々と、二十一世紀型の新たな
経済
統合ルールを構築する野心的な試みであり、この
地域
の
成長
の起爆剤になり、人々の
暮らし
を豊かにすると同時に、我が国
経済
の発展にも寄与するものです。 昨年十一月に、北京で開催をされたTPP首脳会合及び閣僚会合では、
交渉
の終局が明確になりつつあることが確認をされ、
早期
妥結に向けた大きなモメンタムができました。 我が国としては、
交渉
の
早期
妥結へ向けて努力をし、国益をしっかりと最終的な
成果
に反映すべく
全力
を挙げて
交渉
に取り組んでまいります。 強い
経済
は、
日本
の国力の源泉です。これまで述べた施策を着実に
実施
することにより、
経済
の好循環を確かなものとし、
消費税率
の一〇%への
引上げ
を
平成
二十九年四月に確実に
実施
してまいります。引き続き
経済再生
との両立を図りながら、
財政
健全化の
取組
も着実に進めてまいります。 来年度
予算
案においては、新規
国債発行額
を六年
ぶり
に三十兆円台とし、国の一般会計の
基礎的財政収支
が今年度より四・六兆円改善しました。国と
地方
を合わせた
基礎的財政収支
赤字対GDP比半減目標の達成も見込まれます。
財政
健全化に向けて着実に前進しており、今後も歳出歳入両面の
取組
を進めてまいります。 二〇二〇年度までに国と
地方
を合わせた
基礎的財政収支
を黒字化するという
財政健全化目標
の達成に向け、
経済再生
と
財政
健全化の両立を
実現
すべく、
経済
財政
諮問
会議
において検討を進め、具体的な
計画
を本年夏までに策定をしてまいります。 少子高齢化が進展する中で、
社会保障
の安定財源
確保
と
財政
健全化を同時に達成する観点から、引き続き、
社会保障
・税
一体
改革
に取り組みます。 来年度
予算
案においては、
子ども
・
子育て支援
を始め
社会保障
の
充実
について、可能な限り
予定どおり
実施
することとしております。また、
世界
に誇るべき
社会保障
制度
を次世代に引き渡していく
責任
を果たすため、
平成
二十九年四月には確実に
消費税率
一〇%への
引上げ
を
実施
するとともに、
社会保障
制度
改革
のスケジュールに沿って
社会保障
の
充実
、安定化に取り組むなど、
改革
を推進してまいります。 さらに、
医療
・
介護
情報
の見える化を進め、各
地域
の状況を比較した結果も踏まえて支出の効率化、適正化を図るとともに、有識者から成る
社会保障
制度
改革
推進
会議
において、二〇二五年を展望した中長期的な
改革
の検討を進めてまいります。
安倍内閣
の至上命題は、十五年以上にわたって
日本
を苦しめてきたデフレからの脱却を図るとともに、
経済再生
と
財政
健全化の両立を
実現
することです。そのためには、
企業収益
の
拡大
が
賃金
の
上昇
や
雇用
の
拡大
につながり、消費の
拡大
や投資の増加を通じて更なる
企業収益
の
拡大
に結び付くという
経済
の好循環を力強く回転させていく必要があります。 本年はまさに正念場の年であり、これまで以上にアベノミクスを強力に推進、展開することにより、
全国
津々浦々まで
景気回復
を実感していただけるよう、
全力
を尽くしてまいります。
国民
の皆様と議員各位の御
理解
と御
協力
をよろしくお
願い
申し上げます。(拍手)
山崎正昭
9
○議長(
山崎正昭
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山崎正昭
10
○議長(
山崎正昭
君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会