○辰巳孝太郎君 私は、
日本共産党を代表して、二〇一四
年度補正予算三案に
反対の
討論を行います。
まず、
湯川遥菜さんに続き、ジャーナリストの
後藤健二さんが過激武装組織、いわゆる
イスラム国によって殺害されたとする映像が明らかになりました。絶対に許されない蛮行であり、強い憤りを禁じ得ません。お二人への心からの
哀悼の意を表するものであります。
このような悲劇を繰り返さないためにも、この間の
日本政府の
対応について冷静な検証が必要であります。二人の
日本人が拘束されてから今日に至るまで、
政府が取ってきた
対応について、検証にとって必要不可欠な情報を公表することを求めます。
今大事なことは、国連安保理決議二一七〇が求めているように、
イスラム国への外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなどして孤立させ、武装解除、解体に
国際社会が一致して追い込んでいくことです。
総理は、今回の
事件に関わって、米軍などによる
イスラム国への空爆などへの自衛隊の
支援が
憲法上は可能だと述べ、
邦人救出を名目にした自衛隊の
海外派兵の一層の
拡大の検討を表明しています。
テロ集団による蛮行を機に
海外で戦争する国づくりを
推進するという動きは断じて認められないことも強調しておきたいと思います。
本
補正予算案に
反対する第一の
理由は、
地方への好
循環拡大に向けた
緊急経済対策といいながら、本案が
地方経済の再生と住民の暮らしの向上につながるものではないからです。
そもそも、
アベノミクスと
消費税増税が
地方経済の疲弊を加速させるものであります。異次元の
金融緩和と
財政支出、
円安誘導によって、一部の資産家、大
企業は莫大な
利益を上げました。ところが、
GDPは二期
連続で
マイナス、労働者の
実質賃金は十七か月
連続で下がっており、どの世論調査でも
アベノミクスで
景気回復の実感はないが多数を占めています。
それだけではありません。非正規
雇用労働者が全体の四割に上り、将来に展望を持って働くことができない青年が増える中、
政府は、岩盤規制をドリルで打ち破ると言って、不安定
雇用を増やす一生派遣の労働者派遣法改悪法案や、過労死を
促進するいわゆる残業代ゼロ法案を今
国会に
提出することを決めています。労働者の
雇用を破壊すれば、
GDPの約六割を占める
個人消費をますます落ち込ませるではありませんか。
一方で、
安倍政権は、法人税の実効税率を二年で三・二九%も引き下げ、もうかっている大
企業を更に応援する
方針です。しかし、昨年六月の帝国データバンクの調査によると、法人税
引下げの使い道トップは内部留保であります。
今必要なのは、労働者の
雇用を守り、中小
企業への手当てを強めながら、最低
賃金を大幅に引き上げ、年金削減をやめ、
国民の
所得を上げることです。
アベノミクスはきっぱりやめて、大
企業や大資産家にもうけに応じた負担を求め、
国民の懐を暖める
経済政策への転換を
日本共産党は強く求めるものであります。
経済の好
循環のためには、
格差と
貧困をなくすことが急務です。年収が二百万円未満のワーキングプアが一千万人を超え、今や
我が国の
子供の
貧困率は先進国最悪レベルに落ち込んでいます。また、ナショナルミニマムである
生活保護
基準が二〇一三年八月以降二回にわたって切り下げられた結果、就学援助の認定
基準まで狭められ、行政サービスから締め出される
子供が増えました。まさに
政府自身が
子供を更なる
貧困へ追いやる張本人となっているではありませんか。
OECDは、昨年の
報告書で、
貧困層の
教育投資不足が全体の
成長を損なうと分析をしました。
格差と
貧困を放置して国の発展はないのです。持続可能な
成長のためにも、今こそ
格差と
貧困の解消に
政府が本腰を入れて
取組を
強化することを求めるものであります。
昨年四月の
消費税増税以降、
国民の暮らしは更に苦しくなっています。
内閣府が一月十三日に公表したミニ
経済白書では、実質
所得の減少で、二〇一四年四月から九月にかけて
日本経済を支える
個人消費が一兆円程度押し下げられたことを認めています。同白書は、
消費税率引上げによる
物価の
上昇は将来にわたって
個人消費を抑制するとも述べています。
そして、
消費税増税は中小
企業の営業にも深刻な
影響を及ぼしています。
日本商工
会議所が昨年十月に公表した実態調査では、
消費税の
増税分を全て価格に転嫁できていると答えた
企業は六割にとどまりました。また、
消費税が今後一〇%になった場合、全額転嫁できると答えた業者はたった四割にすぎません。今も身銭を切って
消費税を納めているのが中小零細
企業なのです。
地方経済の再生のためにも、
消費税の
増税は先送りではなく、きっぱり中止することを
日本共産党は求めるものであります。
本
補正予算に
反対する第二の
理由、それは二千百十億円もの軍事費の増強を含んでいるからです。
中には、沖縄の
米軍海兵隊のグアム移転費用や、ジブチにおける自衛隊
海外基地の恒久化を進めるための活動費まで入っており、来
年度予算案と合わせると五兆円を超え、大軍拡に道を開く
予算であります。
また、本案には、辺野古新基地建設に係る護岸工事費、安全
対策費が含まれ、認めるわけにはいきません。
沖縄は、昨年の県知事
選挙での翁長新知事の勝利、続く総
選挙でのオール沖縄候補の完勝で、新基地建設にノーの民意が明確に示されています。ところが、総理は、
選挙の結果を真摯に受け止めると言いながら、辺野古新基地建設を進め、抗議する市民に対しては過剰な警備を続けています。
総理は、昨年九月二十九日に行われた所信表明演説において、沖縄の方々の気持ちに寄り添うと述べました。その
言葉に偽りがないなら、沖縄の方々の気持ちを踏みにじる辺野古新基地建設は今すぐ中止するべきです。
第三に、原発再稼働を前提とした過酷事故
対応等に九十億円を計上していることであります。
東京電力福島原発事故から今年で四年。いまだに十二万人もの避難者が故郷に帰れず暮らしています。汚染水
対策は行き詰まり、一度事故が起こればコントロールできず、故郷もなりわいも失い、
家族とも引き離されるのが原発です。人類と共存はできない、これがあの事故の重大な教訓です。
国民の多数が
反対する原発再稼働は絶対にすべきではありません。
以上、大
企業や富裕層には能力に応じた負担を求めて、
消費税に頼らない別の道を進むこと、軍備
拡大路線をやめること、
格差と
貧困をなくすためにも、
所得の再分配機能を
強化し、
国民の命と暮らしが第一の政治へ転換することを求めて、
補正予算案に
反対する
反対討論を終わります。(
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