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有田芳生君
事件当時、上祐史浩元幹部、当時は幹部ですけれども、話を聞いたときに、あれだけああ言えば上祐と言われて饒舌だった彼に、麻原彰晃という人物はあなたにとって何ですかと
質問したことがあります。そうしたら、あれだけよくしゃべる彼が黙ってしまった。どういう返事が返ってくるだろうかと待っておりましたら、尊師は自分にとって目標であると同時に父のような存在だと、そういうふうに言いました。じゃ、父のような存在というのはどういうことなのと聞きましたら、尊師は、目標というのは仏教者としての、彼らなりの仏教者としての目標なんですけれども、父のような存在というのは、彼にとっては、てきぱきとこういうことをしなければいけないということを指示してくれる、そういう存在だと言いました。
上祐元幹部の個人的経歴についてはここでは話しませんけれども、やはり若い頃から父親との
関係を彼は悩んでいた。あるいは、
坂本弁護士一家殺害事件の実行犯の一人である岡崎一明死刑囚、彼は小さい頃、物心も付かないうちに両親の元から離されて養子になった。そのとき、そのときというのは
裁判のときに、
坂本弁護士一家殺害事件の実行犯の一人である岡崎一明が言ったのは、尊師麻原彰晃は父や母のような存在だったと言った。これは私、
オウム真理教だけではなくて統一教会の元信者
たち何百人にもこれまで取材をしておりますけれども、やはり一般的に言って、カルト、熱狂集団に入る
人たちは家族問題を抱えている人が多いという傾向があるんですよね。
だから、そういうこともやはりこの
日本社会でオウム
事件から検証をしていかなければならない
課題だったんですが、残念ながら、
事件としてのみやはり捉えられている傾向があって、なぜ若い
人たちがオウムに入っていったのかというところが十分教訓化されていない。もうこれ以上言いませんけれども、例えば反抗期のない青年
たちが多かった、あるいは社会性に乏しい
人たちが多かったなどなど、今に通じる重大な問題があるというふうに思うんですよ。
地下鉄サリン事件が起きて一番、世界でいち早く深刻に反応したのはアメリカの議会だったんですよね。だから、
日本でも当事者としてこの国会でも
議論はありました。
関係省庁連絡会議もつくられて、当時私
たちも学者
たちもカウンセリングの
専門家たちも、もしオウムの信者
たちを脱会させるにはどういうことが必要だろうか、これから若い
人たちがそういうものに入っていかないためには何が必要なのか、それを私
たち当時の民間としても支えていこうという話だったんだけれども、残念ながらそれが具体化されないまま二十年たってしまい、先ほど
お話ししましたように、今でも毎年若い世代がオウム後継組織に入っていってしまっている。
かつて警察庁にもお聞きしましたけれども、じゃ
日本に今カルト組織、海外からどのぐらい入ってきているんですかと
お尋ねしたときに、いや、分かりませんという話なんですよね。つまり、何か
事件が起きないと分からない。だけれども、日々いろんな形で人生のふとしたはざまにカルト集団、熱狂集団に巻き込まれていってしまう若者
たちが今でもいるかもしれないということを考えれば、やはりこれからでも遅くないから、どうしてそういうオウムを始めとしたカルト、熱狂集団に若者
たちが引かれていくのかということをいろんな分野で検証していかなければならないというふうに考えております。
文科省にお聞きしたいんですけれども、
日本の教育において今、カルト教育、行われているんでしょうか。