○新妻
秀規君 公明党の新妻
秀規と申します。本日もお役に立てるよう
質疑をしていきたいと思います。
私からも、
馳大臣、
就任おめでとうございます。
大臣とは何度か、
文化とか
教育、
スポーツに関する様々な議連で
一緒に活動をさせていただいております。
大臣の
教育、
文化、
スポーツに懸ける情熱、改めて敬意を表したいと思います。私自身、本
委員会で
大臣と活発に意見を交換し
議論する中で、
科学技術、
教育、
文化、
スポーツの発展のためお役に立っていきたいと思います。
本日は、
大学の基盤的経費の拡充について取り上げたいと思います。先ほど
斎藤先生も取り上げていただきました。
御存じのとおり、
大学の基盤的経費は減り続けています。国立
大学の基盤的経費である
運営費交付金、
資料一を御覧ください。この
資料一の上の黄色い棒グラフに示すとおり、もう減り続けておりまして、二〇〇四年から二〇一五年までの十一
年間に千四百七十億円が減らされている、一二%も減っているという
状況が明らかになっています。
じゃ、私立はどうかというと、次の
ページ、
資料の一の一、これもどんどん減っているんですよね。この棒グラフ見ていただいて分かるとおり、減らされています。
じゃ、公立
大学どうかというと、公立
大学に対しての
文科省からの基盤的経費の配分は
平成十六年度から廃止されていまして、今、
地方財政措置の中で行われているんですけれ
ども、こちらもやはり減少傾向にあると承知をしております。
こうした中、去る十月、
財政審、財政
制度審議会において、
運営費交付金を今後十五
年間毎年機械的に一%
削減することが提案されまして、十一月二十四日にまとめられました
平成二十八年度予算の編成等に関する建議では、数値目標に基づく機械的な
削減を求める表現はなかったものの、引き続き
運営費交付金の
削減を通じた財政への貢献を求めるとともに、授業料の引上げについても
議論を求めて、国立
大学教職員の適正
規模も
検討が必要として
教職員数の
削減を求めるもの、こういうものとなっています。
公明党としても、これまで一貫して国立
大学の
運営費交付金のような
大学を支える基盤的経費の拡充を求めており、本年も、八月六日には下村前
文科大臣に、そして十一月五日には馳
文科大臣に決議を提出してまいりました。
この
財政審の建議は、我が党としても到底容認はできません。四つ理由を述べますと、
運営費交付金の
削減によって研究力が低下をすること、二つ目に若手の人材の育成が危機に陥ってしまうこと、三つ目に授業料値上げによって
教育の格差が拡大をしてしまうこと、また、
教職員数の
削減については、むしろ学生一人当たりの
教職員数について国際水準を目指したら、これ、上昇しなくちゃいけない、この四点の理由からこの建議に反対をするものでございます。
それらについて詳細に述べていきたいと思います。
まず一番目、研究力の低下なんですけれ
ども、次の
ページ、
資料二を御覧をいただきますと、この
資料二は論文数の推移なんです。全世界の論文数、これ棒グラフですね、どんどんどんどん増えています。二〇〇四年から二〇一三年で一・六倍に増えています。じゃ、
日本はどうかというと、この下の方の青い棒線なんですが、ほとんど横ばいという
状況です。
じゃ、研究時間はどうかというと、次の
ページをおめくりください。
資料三ですね。これは、
平成十四年と
平成二十年、二〇〇二年から二〇〇八年の六
年間の比較なんですけれ
ども、青が昔、赤が
平成二十年なんですけれ
ども、ああ、減っているねと明らかに分かります。この原因は、この
資料三のタイトルのすぐ下のグレーの箱の中に、研究者が競争的資金の申請・審査業務のために多くの時間を費やすことが研究時間の減少を招いているというふうに分析がされています。つまり、基盤的経費の減少がこの結果を招いているとも言えるんじゃないかなと思います。
じゃ、更に三年たった後どうなったのかというと、もう一回
資料二に戻っていただいてよろしいでしょうか、
資料二の下の棒グラフが更に三年進んだ
平成十四年と
平成二十五年の
調査なんです。これを見ると、あっ、五年ですね、五年後のデータですね、更に減っているんです。教授も准教授も講師も助教も、ざっくり三分の二になってしまっています。このような研究時間の激減というのが本当にどんな結果になるのかということを真剣に
考えなくちゃいけないと思います。
二枚めくって
資料四に行くと、
資料四、これは
大学部門における研究開発費の増加率と論文の増加率の相関です。これもタイトルの下のグレーのボックスに示されるとおり、この公財政
支出、これと論文数の間に相関関係があるというふうに分析がされています。
日本は五%、二〇〇〇年から二〇〇九年、
大学部門に対して予算を増やしました。で、論文の増加率は五%。その下、
アメリカとかイギリスとかいろんな例がありますけれ
ども、大体、きれいに予算の額に比例をするということが分かるかと思います。
次の
ページ、またおめくりいただいて、
資料の五の一ですね、これは基盤的研究費の不足と論文数の停滞についてまとめられていますけれ
ども、ここで注目していただきたいのが、この
資料の下四分の一くらいのところのスペースにある挑戦的研究の減少、研究活動の近視眼化という
調査結果なんです。
この基盤的経費が減ったことによって何が起こっているのかというと、この左下には、新しい研究領域を生み出すような挑戦的な研究、新たな研究テーマを見出すための探索的な研究、これは減っていると。
じゃ、過去十年どんな研究が増えたのかというと、右上ですね、短期的な成果が出ることを強く志向する研究者、あっ、研究者じゃない、行動様態ですね、これが増えている。じゃ、どんな人が減ったか。この右下の赤枠の中ですけれ
ども、長期的な研究戦略を重視して、研究テーマにじっくりと取り組む研究者、これは減っているという傾向が見て取れるかと思います。
これ以上基盤的な経費を減らしていくと、ノーベル賞を取るような本当は息の長い研究が出なくなってしまうということは危惧をしなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
次に、若手人材の育成の危機なんですけれ
ども、
資料の二枚めくって六、これは常勤の教員の方の減少なんです。どんどん減っているのが分かると思います。
資料七が、これは、この春、田村先生にも引用していただいた表なんですけれ
ども、左が任期付き、つまり非常勤、右が任期なしなんですけれ
ども、
平成十九年度から二十五年度になるに伴って、この若い層、グラフの下の方で赤い領域の人がどんどん増えている、逆に、常勤、任期なしの人がどんどん減っているということが分かるかと思います。
これは何でそうなっているのかというと、一枚戻って
資料六の枠の中に示されるように、上の方の枠ですね、
運営費交付金が減少していく中で、競争的資金等の獲得により優秀な若手教員等の雇用に努めているが、近年、研究者全体における常勤の若手教員の採用割合が減少している、若手教員にとってますます厳しい採用
環境、
状況となっていると分析がなされています。これは当然ですよね。競争的資金が増えることによって、競争的資金は期限があるので必然的に雇用も期限付となるわけなんです。
資料の五の二、一枚戻っていただきます。
これ、
運営費交付金が今後更に一割減った場合どうなるのか。この棒グラフの穴が一番下のところ、空いているのが分かると思います。教授約三百七十人分の人件費に穴が空いちゃうということなんですね。現在の
教育研究活動が維持できなくなってしまいます。
この十一月の十八日に、国立大、公立大、また私立大の
大学のそうした協会が合同で麻生
財務大臣に手交した要望書にはこのように訴えがありました。
各
大学は、国からの競争的補助金も活用しながら、
大学改革や研究の高度化を進めてきたが、こうした仕組みに過度に頼ることになれば、補助期間終了後の
教育研究の継続は困難となり、若手人材の雇用、
大学院進学者の減少というひずみをもたらしている。基盤的経費の安定的な確保があってこそ改革
努力の継続が可能になる。
教育環境の改善や研究の高度化が求められる中にあって、こうした取組を継続的に支えるための基盤的経費が確保されない場合には、人材育成の持続性が確保できず、
大学は果たすべき
役割を全うすることが困難となる、こういうお声を真っ正面から受け止める必要があると思います。
三点目、
教育格差の拡大という課題です。
資料八をお開けください。この上半分の棒グラフに示すとおり、五百万円未満の家庭の
収入の学生の割合が増えています。一方で、八の下半分に示すように、家庭からの給付は国公私立共に減少しています。
次の
ページの
資料九には、学生の学費と生活費の推移を示していますけれ
ども、昭和五十九年時点の金銭価値で比較した折れ線ですね、この赤い折れ線とパープルの折れ線を見れば、学費は拡大しているんですけれ
ども、値上がっているんですけれ
ども、生活費は減少していると。学費を賄うために生活費を切り詰めているという
状況が分かるかと思います。ここで授業料を上げてしまうと、特に低所得の層が進学を諦めてしまって、経済の格差が
教育の格差になってしまうと。
確かに
財政審の建議では、授業料の免除、奨学金の拡大、多様な授業料の設定がうたわれているんですけれ
ども、こうした
制度は確実に使えるという保証がないので、意欲と能力のある学生が
教育を受ける機会を逸してしまいかねず、これは国にとって大きな損失なんじゃないかなと思います。
最後に、学生一人当たりの
教職員数の国際水準からの乖離なんですけれ
ども、これは
資料十を御覧ください。これは、
資料十、先ほど
斎藤先生から
指摘があったとおり、職員が増えているといっても、ほとんどはこの青枠の中の医療系のスタッフの増なわけなんです。教員はというと、もうこれ実際減少をしておりまして、人件費で見ますと、
資料の一のこのパープルの棒で示すように実は減っているわけなんです。七%減少をしています。世界の水準と比較したのがもう一回戻って
資料の十になるんですけれ
ども、この
資料十の下のところで、これ
教職員一人当たりの学生数の国際比較なんですけれ
ども、教員一人当たり、これ左の列ですけれ
ども、これこそ世界標準とほぼ並んでいますけれ
ども、職員一人当たりでは圧倒的に世界に比べて水を空けられているという
状況です。なので、やはりむしろ世界標準を目指すべきだと思うんです。
こういう窮状にある
大学の基盤的経費、
是非とも馳
文科大臣には国立
大学運営費交付金、私立
大学等経常費補助金といった費用の拡充を求めたいんですけれ
ども、御決意をお願いをしたいと思います。