○公述人(細田勝二君) 大変御苦労さまです。今ほど紹介いただきましたみな穂
農業協同組合の
組合長をしております細田です。また、一方、今も紹介あったわけでありますが、全農富山県本部運営
委員会の
会長も昨年の七月から務めさせていただいておるところであります。
今回、この法案の
改革ということの中において、いろいろと、特に農林水産の
皆さん方にお世話になっておりますことを本当に感謝を申し上げますし、今後とも、ひとつまた目を配って私どもを見ていただきたいなと、こう願っておるところであります。
特に、非常に暑い日が続いておるわけでありますが、北陸新幹線もできたこの富山に開催していただきましたことを本当に感謝申し上げる次第でありますし、また本日、公述人として参加させていただいたことにつきましても、私としては非常に光栄に思っておる次第であります。
時間は限られておるわけでありまして、資料もお渡ししたわけでありますが、まず、この
改革の中身に入る前に、今現在私どもがどのように取り組んできたのかということをまずかいつまんで申し上げたいと思いますけれども、資料を全部読み上げておりますとこれは時間が掛かりますので、このものをかいつまんで申し上げたいと、なおかつ、後ほどまた目を通していただければ有り難いなと、こう思っておるところであります。
今まで私ども、この
農協法は昭和二十二年に施行されたわけでありまして、私の誕生と同じときに、私もそのときに生まれました。そして、
農協に入ったのは、昭和四十年に就職したわけでありますけれども、その間、一貫して
営農指導体制の強化に力を入れてきたところであります。特にその間には、やはり元々の校区ごとにあった
農協の合併、これは四十四年にやったわけでありますが、十
農協を一つの
農協として入善町
農協になったわけでありますけれども、その後も朝日町との合併、入善町との合併、位置的に申し上げますと、分かりやすく言いますと、新潟の本当の県境になります。
二つの行政またいでのみな穂
農協としての今九年目に入っておるといったところであります。
この間、今までの経過の中には、二十一年には
代表理事になり
組合長になったわけでありますけれども、その前には、平成十五年から入善町
農協の常務として務めさせていただいております。特に私は元々
営農指導員として二十五年間ほど入ってから継続してやっておりましたので、どうしてもやはり
農業の問題から、頭の中から離れないと。
今までの
農協というのは、やはりよく先輩、先人の方々からも教えていただいたわけでありますけれども、
農協法の中の基本
目的でありますいわゆる
農業生産力の増進、そしてまた
農業者の
所得、社会的地位の向上、そしてまた
組合員に
最大の奉仕をするという、そういう
内容を基にして、私どもはやはり
農協理念に基づいて、当時は一人一人の力では購買力、販売力、非常に弱かったと思うわけでありますけれども、それを
農協になってやっぱりスケールメリットを求めて運営してきたものと、このように思うわけであります。そういった面においては、やはり非常に有り難いというように思って、
地方の
農業のためにかなりこれは強い効果があったと、このように捉えておるところであります。また、特にこの中には、
目的には、
農協は営利を
目的としないと、こうなっておりますので、奉仕の精神の下に立ってやはり
組合員のために
活動してきたというのが
現状であります。
そういった理念によって、やはり相互扶助、そしてまた協同精神の下に立ってみんなで農村を支えてきたと、このように捉えておるわけであります。こういったことについての今度の
農協法の改正についてはどうなるのかということについていろいろと論点が私どもあるわけでありますが、後ほどまた少し一部申し上げたいなと、こう思うわけであります。
まずもって、今まで取り組んできた
内容、そこに資料として出しておりますけれども、私どもはやはり北陸地帯でありますので、米一本というような世界であります。特に、工場で作るものではありませんで、全てにおいて自然の中で年一回しか取れないと、非常に天候も毎年変わるわけでありまして、その天候に、どう自然に打ちかつかということの中で年一回の米を収穫するという実態であります。
そういう状況の中でも、やはり稲作を含む主穀作の状況では、やはり過去にはずっと、そういった
組織をどうするか、やはり集落
営農、そしてまた中核
農家の育成、今現在かなり農地の集積という問題もありますので、私どもの管内は九千七百戸ほどの
組合員がおります。そのうちでは、正
組合員が五千六百六十ほどでありますので、大体の率でいきますと六〇%は正
組合員というように捉えていただければというように思うわけであります。
そういった状況の中で、今現在ではもう、集落
営農、そしてまた企業
農業、そういった
組織がもう六十ほどできまして、
担い手の育成に努めて、そのように進めておるところであります。
そういった状況の中では、過去から転作が強いられておるわけでありますけれども、効率の良い転作をやるためにはどうあるべきかということについて、ブロックローテーションを行って効率の良い転作を進めてきたというのも
農協主導で行ってきたところであります。また、当然、この間におきましては地力を上げるということが私どもの、やっぱり一回しか取れないものをどう品質なり収量を高めていくか、そういったことに取り組んできたわけでありますが、もう一方では、やはり安全、安心をいかに消費者に届けるかという面、そしてまた、農薬をたくさん使えば日本海の、特に富山湾の魚毒の問題も
懸念していかにゃならぬということの中において、減農薬米の
生産にも取り組んできたところであります。
こういった状況の中では、昨年、コシヒカリが私のところは九五%近い作付け比率であります。非常にこの辺は高いわけでありますけれども、やはり一回しか取れないという面において、できるだけ価格の高いものを作ろうというように取り組んできたというのが実態であります。そういうおかげで、
生産者の力によって、昨年はコシヒカリの一等比率は九八%になりました。今年もこの好天の、余りにもちょっと暑い状況でありますけれども、維持したいなと取り組んでおるところであります。
そういった高品質な米を作ってきておる状況の中では、転作がかなり高くなってきたものを、一回しか米を取ることはできない状況の中で、転作田をどう
所得に上げていくかということが私
たちの狙いでもありました。そういった面で、今年は七年目に入るわけでありますが、輸出米に取り組みました。これで今年は七年目になるわけでありますが、現在、世界二十四か国ほどまでに手を広げてやっております。私のところの
生産については、私のところの
農協の
生産は、本年度の計画は四百トンを
生産するということで今取り組んでおるところであります。
ただ、リスクはかなりあったわけであります。やはり輸出米においては国からの補助金はない。当然のことであります、これはWTOに抵触する問題でありますので。それでもなおかつ転作田で米を作ろう、やはり持っておる施設でフル活用していこう、そしてまた水田をフル活用していこうということの中に立って取り組んだわけでありますが、ただ、もし売れなかった場合は一粒とも国内に自給してはならないという
内容のものでありますので、かなりリスクを伴って取り組んできたということであります。ますます、国の宣伝しております世界に日本食のブーム、そしてすしブームのおかげもかみ合って順調に今
生産を伸ばしてきておるのが
現状であります。
そういった
取組をやってきまして進めておるところでありますが、特に今こういった米単作地帯で、特に米が中心型でありますので、何かほかのものをやっぱりプラスした作物を作っていかにゃならぬということにおいて取り組んだわけでありますが、十年前からプラスワン、つまり米プラス園芸作物何かという運動をしてきました。
当初は
営農主体にプロジェクトをつくっていろいろ
検討させたわけでありますが、あれでもない、これでもない、こういい、ああでもないということをやっておったわけでありますが、言うておっても駄目だと、やはり実践して失敗するものは間違いなくあるから取り組んでいこうということの中において、恐らくその中には幾つか取り組めるものが出てくるぞということで、十年目を迎えておるわけでありますが、おかげで桃の産地として今動き出したところであります。
なおまた、里芋、そのほかにたくさんのいろんなものを、県の
指導で一億円産地というものを今運動しておるわけでありますが、私ども、やはり一つの作物で一億円も大事でありますけれども、多品目野菜産地というものもこれは大事じゃなかろうかということで今取り組んでおるところであります。
そういう状況の中で今いろいろとやっておるわけでありますが、ただ、何を作ってもそういったものはすぐに売れるものではありません。大変に苦労しました。そういった面において、六次産業化の話も来まして、私のところも先駆けて認定を受けまして、そういったプラスワンのものを加工品の中に組み入れていこうということで、加工、開発の施設等も国の助成で造って今展開しておるところであります。
なおまた、二年前にはその延長線によって、直売所でありますが、あいさい広場を造ったわけでありますけれども、今二年目に入りまして、一年間の売上げが一億七千万くらい、そのうちの
農家が出したものは一億二千万くらい今来ております。
そういった面においては、間違いなく多品目が必要だということで、やはり地産地消、そういったものを絡めて今展開しておりますが、やはり昔は市場を頼りにしておったわけでありますけれども、やはりこの北陸地帯では、大阪の市場それから関東の市場、特に大阪市場だったわけでありますが、遠距離という問題でたたかれてしまいます。そういったものをいかにして解消して、自分で値段を付けれる売り方をやっていこうということで、今直売所では全て
農家が値段は自分で付けています。私のところは、
農協は一切それには口出しをしないということで進めておるところでありまして、今一億二千万ほどの年間の、
農業者の作ったものが売れておると。
ただ、直売所は、ですから、午前中でもう品物はほとんどなくなると。午後はどうするのということでありますが、市場から入れるということは一切私どもはしない、なくなればそれで今日は終わりという形の中で今進めておりますが、やはり今の消費者というのはかなり安全、安心を求めておられるというのがはっきり分かるくらいになってきております。そういった面では有り難いなと、今後ますますそういった面を高めていこうというように考えておるところであります。
そういった状況の中では、経営の効率化ということの中においてもやっぱり一番大事なのは、
農協では私どもは基本は
営農指導であります。私のところの管内の中では、
営農指導員を十八名今
活動してもらっております。なお、この人件費はどこが面倒を見るのと。そしてまた
指導事業では、約一億円を福祉
事業まで含めて年間計画しております。こういったものが、いろいろ言われております
准組合員利用規制という問題が入りますと、こういったもの全てにおいて
農協はできなくなると。
となりますと、こういったことについても私どもは危惧するところでありますし、やはり
地方の農村形態、全てにおいて崩壊するんじゃなかろうかと、こういう
懸念もいたしておるところでありまして、やはり私どもは、草刈りなんかでも、地元の自然環境、農村の自然環境を守るために、正
組合員のみならず
准組合員も出てきて、みんなで村ぐるみでやっておると。なお、そのことによって、やはり自然環境を守る、そしてまた多面的機能も守られ、維持されておるというように
理解しておるわけでありますが、員外
利用規制、
准組合員規制になりますと、完全に
生産者と消費者とは離れてしまいます。そういった
内容の中では、村の形態は成り立たぬというように思います。
そういった、もう時間がないようでありますけれども、そのことによって、今
農業所得の
増大ということが一番この
目的になっておりますが、私はこの
農業所得の
増大というのは、国レベルの産業としての
所得の上げることを言っているのか、いや、私どもの思いは、やはり
農業者の
所得を
増大するということが思いであります。そしてまた、
農家所得が上げていくことが私どもの狙いであります。
そしてまた、そのことによって
農家経済が潤ってくると、であれば、その
地域が
地域的にも農村が潤っていると、このように思っておりますので、そんなに大変わりはしないと思いますけれども、そこら辺の捉え方がどうなのか。また、この
農業所得増大というものについて、あとの
法改正の中には何がそのことによって変わるのということについては全くどこにも見当たらないというふうに私は捉えておりますが、その部分はやはり政策でどのように担保していただけるのかなと、このようにも捉えておるところであります。特に米の下落の問題もありますので、今後ともひとつお力をお借りしたいなと思います。
そのほかには、理事の問題もありますので、今この過半数を認定
農家にするべきでないかというようなことになっておるようでありますけれども、今現在、私どもは地区の推薦で理事を決めております。当然ながら、田んぼをつくっておる人しか推薦されません。もう一つは、認定
農家ということに限らず、やはり地区のリーダーという方がおられるわけであります。その
地域を引っ張る方、そういった方、それからまた精通した方もほかにはおられます。そういう方はやはりその地区で十分に決めていただくというのが、私どもの現在のやり方で妥当じゃなかろうかなと。
ただ、今後どうなるのということについては、こういった制約しなくても、どんどんどんどん
農業者は、今私どもの農地集約は七一%いっております、ますます
拡大するものと思っておりますので、認定
農家しか
農業をやっている者はいなくなるのはもう遠からずであります。黙っておっても理事はそういった方に替わっていきます。
そういったことも含めていきますと、こういったやはりきちっとした線を引かれますと、その地区で選ぶ
内容は非常に混乱する。私どもの総代会では、三十年の総代会で変更せなならぬという面が出てきます。そうすると、どういうように選出する形をつくればいいのか、なかなかこの辺は整理は付きません。そういったこともやはり考えていただきたいなと思うわけであります。
それからまた、信用
事業の
監査の問題でありますけれども、今現在私どもは外付けの
監査機構でやってもらっておりますし、県の
指導監査も受けております。当然ながら、
監査は大事なことでありまして、別にまた監事
監査、内部
監査、いろんな
監査方式で今やっておりますけれども、公認
会計士に変更するということについては、私はちょっとそれでいいのかなと思うのは、やはり公認
会計士というのは、財務諸表、決算に関わる問題でありますので、しかやらないよということになりますと、やっぱり業務
監査というのは誰が面倒見るのというように思うわけであります。
いろんな話の中では、全中からかなり強い
指導が来ておるということの、縛られておるというような話も出ておるようでありますけれども、私はそんなことを感じた覚えは全くありません。やはりそれは昔はありました、当然、護送船団の頃は。今は、各々単協は自由であります。その代わり自己責任というものが付いておりますから、やはり費用の掛からない
現状の状況をひとつ守っていただくように
お願いしたいなと。
それから、やはり、私は全農の関係もしておるわけでありますが、いわゆる株式会社化という話も出てきておりますけれども、私がここで一番
懸念するのは、やっぱり独禁法の除外の問題、これが整理付くのかどうか。やはり一人一人が弱かったからこそ、共計、そして市場に安定した供給をするという、そういうものが崩れてしまうと、今後どうするの、強い者、弱い者の
農家をつくるのというような面も出てきます。十分その辺も考えていただきたいなと。
もう時間がないようでありますので、今後
准組合員利用の問題も、この中では少し話したわけでありますけれども、
地方の農村のインフラを含めて共有しておる正
組合員、
准組合員、十分にパートナーとしてやっておりますので、十分その辺考えていただきたいなと。
特に、ちょっと嫌なことを言うかもしれませんが、この法
改革はどこから出発したのということについては、間違いかどうか分かりませんが、私の捉え方では
規制委員会から出てきたものじゃないかと思います。私は、そのメンバーを見てみますと、ほとんど経済界そしてまた市場原理主義者、そういった方で、
現場を知らない方が何で私
たちのこの農村を触るのかと言いたいくらいでありまして、今後、
皆様方にも十分農村の実態を見て、ひとついい方向に作り上げていっていただきたいなと思うわけであります。
まだ言いたいことがあるわけでありますが、恐らくこの法案についてはもう整理付かぬと思いますので……