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政府参考人(
奥原正明君) 農地の中間管理機構の
関係でございます。
中間機構につきましては、一昨年、二十五年の秋の臨時国会で
法律を作っていただきまして、昨年の三月から各県で順次この機構が立ち上がって、二十六年度が初年度と、こういうことであったわけでございます。
既に全ての都道府県におきまして機構が設置をされて活動しておりますが、初年度の実績を見てみますと、二十六年度の中間管理機構の農地集積の実績でございますが、借入れの面積はトータルで約二万九千ヘクタール、それから借りた上で転貸した貸付面積が約二万四千ヘクタールでございます。北海道等ではこの借入れのほかに売買もやっておりますので、それを加えますと、借入れと買入れと合わせまして約三万六千、それから転貸と売渡しで約三万一千ヘクタールと、こういうふうになっているわけでございます。
この初年度の実績でございますけれども、
平成二十二年度から二十五年度にかけましてこの
担い手の農地の集積は横ばいで推移をしておりました。大体五割ぐらいのところに来ておりましたけれども、これが横ばいでおりましたが、この中間管理機構ができまして、やはりこれについて各県各市町村での関心も相当高まってきたということもございまして、全体で見て、これは機構を使わないものを含んでおります、あるいは今まで
担い手でなかった方が
担い手になったことによって
担い手の
利用面積が増えたと、こういうものを含んでおりますが、全国的に見ますと、この
担い手の使う面積が約六万ヘクタール増えるという状態になっております。先ほど先生が言われました二千八百六十六ヘクタールというのは福岡県におけるこの数字だと思いますけれども、こういう形で再び農地の流動化、
担い手の集積に向けて動き出したことは間違いないというふうに思っております。
それから、この機構自身の実績でございますけれども、これ、当初の目標には届いて当然おりませんけれども、前身となっております各県の農地保有合理化
法人、これの時代と比べますと、全体としての実績が約三倍、貸借でいいますと約十倍ということで、初年度としてはある程度の実績は出たものというふうに
考えております。
ただ、これで十分という
状況では全くないと思っておりますので、当初の目標を達成できるように、各都道府県でこの機構を早期に軌道に乗せて実績を大幅に拡大をする、これが急務でございます。このために、一年目の実績を見ながら、各県につきましてはいろいろな
指導を行っているところでございまして、幾つかございますけれども、
一つは、この機構が本当に積極的に動いて、その県内における農地の集積、集約化を進めるという組織になるように、この役員体制をもう一回見直していただくと。
それから二つ目といたしまして、大事なのは、農地の集積に向けて、それぞれの現場におきまして、
農家の話合いを含めたコーディネート活動をきちんとやるということでございます。このコーディネートの活動を行う担当者、これは機構の職員であったり、あるいは委託先の市町村あるいは
農協の職員の方が多いと思いますが、こういう方を含めて、現場の担当者の方の質と量を十分にしていくということ。
それから
三つ目といたしまして、やっぱり農地が動くためには
農家の方々の話合いというのがどうしても必要でございます。特に、地権者の方々がまとまった農地を機構に預けて、そこから
担い手の方に転貸するということがきちんと合意になりませんと進みませんので、二十四年度から始めております人・農地プラン、これは毎年定期的に見直していただくということになっておりますが、これの見直しを含めて、
地域の話合いを徹底していただくということ。
それから四つ目として、特に機構が、
担い手の
農家の方々との意見交換をきちんとやっていただく、
担い手のニーズに対応する形で
仕事の仕方をきちんとしていただく、こういうことをお願いしているところでございます。
また、五番目といたしまして、土地改良
事業、農地の整備
事業とこの中間管理機構との連携も大事でございますので、そこについてもいろいろとお願いをしているところでございます。
それから、先生の方から、この機構だけを使って農地の集積、集約化を進めるのかというお話ございました。現在の法制度は、中間機構だけということになっておりません。中間機構のスキームは、農地を機構自身がまず借り受けて、これをまとまった形にした上で
担い手の方に転貸をする、こういうスキームを取っておりまして、この
事業のスタイルを取っておりますので、
担い手の単なる集積というだけではなくて集約化、要するに分散錯圃を解消すると、これもしやすい仕組みとして構築をしたわけでございます。
一方で、従来からございます農地
利用集積円滑化団体、この
事業もございますけれども、こちらの方は機構とはちょっとスキームが違いまして、農地の出し手の方を代理をして、受け手になる方を探し出す、で、探してこの契約を締結すると、これが
仕事でございます。こうしますと、農地の受け手がいなければ、結局成果が上がりませんし、それから、出し手、受け手の間の相対取引を
中心としておりますので分散錯圃の解消にはなかなかつながらないと、こういった
問題点も抱えております。
現在は、この中間管理機構とそれから円滑化団体とダブルトラックで進めている形になっておりますけれども、この機構の
事業につきまして、初年度の評価をするに当たりまして、市町村ですとか、あるいは
担い手の
農業者の方のアンケート
調査も我々実施をいたしました。
市町村に聞いてみましたところ、先ほど先生からも御
指摘ございましたけれども、農地の
利用調整について、この機構が市町村に丸投げをしているというような御意見が六割程度ございました。それから、市町村から見て、まだこの機構
事業が軌道に乗っていないというお答えも八割ございました。そういう
状況でございますが、一方で、
担い手の方々からは、この農地の中間管理機構、集積だけではなくて集約化にもつながる、これを本当に早く軌道に乗せてほしいという強い要請をいただいておりまして、一日も早くこれを軌道に乗せていきたいというふうに思っております。
機構は各県
一つ整備をされておりますので、業務を実施する上では、機構だけではなくて、委託先であります市町村あるいは
農協等と十分連携を取らなければいけません。委託先には委託のための委託料も国費助成が付いておりますので、それも活用いたしまして、
関係者の総力を挙げて農地の集積、集約化を進めていきたいというふうに
考えております。