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2015-04-23 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月二十三日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      井原  巧君     舞立 昇治君  四月二十日     辞任         補欠選任      古賀友一郎君     有村 治子君      堀井  巌君     猪口 邦子君  四月二十一日     辞任         補欠選任      有村 治子君     古賀友一郎君      猪口 邦子君     堀井  巌君      馬場 成志君     末松 信介君  四月二十二日     辞任         補欠選任      末松 信介君     馬場 成志君      柳澤 光美君     林 久美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 林 久美子君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        外務大臣官房審        議官       佐藤 達夫君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        水産庁長官    本川 一善君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (環太平洋パートナーシップTPP協定交  渉に関する件)  (米政策に関する件)  (食料供給に係るリスクの分析に関する件)  (農業構造展望に関する件)  (日本農林水産物輸入規制に関する件)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、井原巧君及び柳澤光美君が委員辞任され、その補欠として舞立昇治君及び林久美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 馬場成志

    馬場成志君 自民党の馬場成志でございます。  今日は、大臣始め政府皆さん方には朝から衆議院の方でもあっておるということで、もう本当にお疲れのところだというふうに思いますが、ただ、私も院内の放送で質問を聞かせていただいておりまして、一々野党の質問の中でもうなずくところがあったというふうに思っております。  そういった中でありますので、まず、TPPにつきましてお尋ねをしたいというふうに思います。  来週予定される日米首脳会談を前に、TPPについては閣僚レベル日米交渉が行われました。自動車の関税と米の輸入が焦点になっていると報道されています。米の輸入については、主食用米加工用米を合わせて二十一万五千トンの追加要求との数字まで報道されておりますが、確認させていただきたい。このことだけではなくて、全体について確認させていただきたいというふうに思います。  最初に、秘密保持の件について伺いたいと思います。  TPPは、その合意内容によっては我が国農林水産業に深刻な打撃を与え、地域経済社会の崩壊を招くとともに、国民生活に大きな影響を与えることが懸念されるものであって、本来であれば国民的議論が十分行われた中で合意がなされるべきところであります。少なくとも、国民の代表である国会議員には十分に情報提供がなされるべきものであります。TPP協定交渉参加に関する衆参農林水産委員会決議においても、交渉によって収集した情報については国会に速やかに報告すべきことが盛り込まれています。  情報提供議論になると、政府はこれまで秘密保持契約による制約を説明してきましたけれども、一方でアメリカでは、USTRホームページ国会議員による交渉テキストの閲覧が可能という記載があることを認めています。西村内閣府副大臣も当委員会で、米国政府に照会したところ、USTRホームページに記載された内容のとおりであって、それ以上でもそれ以下でもないとの回答であったと記憶しております。もし、アメリカでは議会におけるチェックを十分に受けた上で政府TPP交渉に当たって、我が国では国会への情報提供が不十分なまま政府交渉に臨むということであれば、極めて不公平な交渉過程と言わざるを得ません。  国会による承認についても、既に実質的にチェック済み内容を確認するアメリカと、初めて提示された内容を一からチェックしなければならない我が国とでは、その意味合いは全く異なるものになってしまいます。そもそも、TPP交渉参加国として秘密保持契約を結び、交渉内容外部に漏らしてはならないという義務を負っているはずであります。その義務に違反してアメリカ議会への情報提供を行っているとすれば、その不誠実な交渉姿勢が追及されるべきであって、合意内容云々という以前の問題ともなりかねません。甘利大臣も、勝手に交渉内容開示すると退場命令が来るという危険性があるとの答弁をされています。  答弁のとおりだとは思いますが、そもそもアメリカは、日本より先にTPP交渉参加国として名を連ねておるわけでありますから、日本TPP交渉に参加する際には、このような条件を突き付けた側だというふうに思います。日本の方がこれを受け身で中に入っていったんだというふうに思っています。もし、守られていない事実があるとするならば、こちらも開示するということよりも、この交渉自体を蹴飛ばしていいんじゃないかというふうに思いますが、西村大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
  7. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 御指摘ありましたように、秘密保持の観点、そういう約束の下に交渉を進めているという点と、それからできる限り情報開示をしていくと、国会議員皆さん方はもちろんのこと、関係皆さん国民皆さんにも広く情報提供していくという、その両方のバランスを考えながら、各国苦労しながらしているところでございまして、アメリカにおきましても相当苦労してやっているようでありますが、まさに御指摘のあった、交渉内容外部に漏れないという点は強く守られているようでありまして、これ、私ども何度も照会をしてきておりますけれども、現地の報道の中にも、連邦議員が、政府がようやく交渉に関する情報を我々に説明するようになったが、その内容外部と相談することは禁じられていると語った旨があったり、あるいは、そもそも説明が不十分だという、開示が不十分だという不満を言っている議員報道もあります。こういったところを総合するに、米国なりに苦労しながら対応しているのかなというふうに認識をいたしております。  私どもも、こうした国会の場でもそうでありますし、御案内のとおり、関係団体含めた説明会も何度も開いておりますし、そして記者ブリーフィングを丁寧にやって、その内容も、質疑のやり取りも全てホームページに掲載をいたしております。こうしたところを各国とも比較をいたしましても、我々は大きく異なっているとは、そういうふうには理解はしておりません。そんなに大きな差があるとは考えておりません。
  8. 馬場成志

    馬場成志君 今答弁をいただきましたけれども、そのようなことであればという前提でありますが、もし先ほど申し上げましたような事実があるとするならば、もう本当にこんな交渉を続ける必要はないというふうに思っておりますので、そのことをしっかりと腹に置いていただきたいと思います。  次に、TPA法案についてお尋ねをいたしますが、日米の二国間事務レベル閣僚レベル協議を積み重ね、これを基礎としてTPP交渉妥結したとしても、アメリカ議会から合意内容修正を求められることになったとしたら、妥結したところを交渉スタート地点として追加要求を上積みされることになると、不利な交渉を強いられてしまうということであります。  そこで、アメリカにおいてTPA法案が成立することがTPP交渉妥結に必要とずっと言ってきたわけでありますけれども、ついにTPA法案議会に提出されました。しかし、今のTPA法案というのがどんなものかということでありますけれども、一定の条件の下で議会修正権を認める条項も盛り込まれているというふうに伺っておりますが、このことについて西村大臣から答弁をいただきたいと思います。
  9. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) アメリカTPA法案に関してでありますけれども、今日の段階で上院の財政委員会で採決が行われたようであります。可決がされたというふうに情報をもらっておるところでございます。その内容を見る限り、確かに前回の二〇一四の法案とは違って、幾つかの、両院に限らず、一つの院の決議によって迅速な審議手続が適用されないことはあるという条文も入っているようでありますけれども。  いずれにしましても、私ども交渉をやっているその十二か国の中では、それぞれの国が責任持って国内手続をやるということでありますし、特にアメリカについては、十二か国がまとまるにはこれは多くの国がTPA法案が必要だと、ちゃんと可決していることが必要だということでありますので、私ども前提というふうに考えておりますし、これは是非アメリカにおいては引き続き、国内の話でありますので余り我々が口を出すわけにはいきませんけれども、是非そうした認識を持ってもらって交渉に臨んでいただきたいと思っておりますけれども。  いずれにしても、私どもとしては、これ一回まとまったものを再度蒸し返して再交渉する、そうしたことには応じないと、これは甘利大臣も私もアメリカには強くこれまでも申し上げているところでございますので、再交渉に応じないと、そういう姿勢で臨んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  10. 馬場成志

    馬場成志君 今、再交渉には応じないというような意思をはっきりとお示しになりましたので、そのことはそういう対応でいっていただきたいというふうに思いますが、しかし、それでも妥結した後に、やっぱりこれぐらいは、これぐらいはというか、少しずつ向こうから出てきたときに、本当にそれができるのかということはやっぱりみんなが心配しておるわけでありまして、TPA法案は大事でありますけれども、もう本当に私たちが思っておったTPA法案とは全く別のものだと、実質的に意味がないというようなことだというふうに思いますので、そこら辺りは、今、再交渉には応じないというのはもうこれは大前提でありますけれども、しかし、このTPA法案が通ったからその妥結への一歩前進ということではないということは申し上げておきたいというふうに思います。  それから、甘利大臣西村大臣を始め、本当に真剣に取り組んでいただいておるというふうに思いますので言いにくいところはありますけれども、これ山場山場とずうっと山場が続いてきておりました。そういったことが続いて、もうだんだんだんだんその景色が変わってきて、登り始めた元の位置というのが分からぬようになっておるんじゃないかなというような心配をしておるところであります。そこはやっぱり元に戻っていただいて、どこからスタートしたんだというようなことを肝に銘じていただきながら今後の交渉に当たっていただきたいというふうに思っております。  そして、質問でありますけれども、今やっているTPP日米事前協議というのはあくまでもTPPに限った交渉であるというふうに思いますけれども心配するのは、その後、このTPPがどうなったとしても二国間の貿易協定になっていく心配があるのか、そのことについてちょっとお尋ねしたいというふうに思いますが。  これは通告しておりませんでしたけれども、済みません、さっきの話の流れから聞かせていただきます。
  11. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) ちょっと質問の趣旨が、よく理解をしていないのかもしれませんけれども、私ども十二か国のTPP交渉を今行っておりまして、これはまず十二か国でまとめるということでありますが、その後、閉鎖的なグループではありませんので、入りたい人は当然入ってくる、広がってくる、あるいは広げていくことも大事だというふうに思っております。  その上で、これまでアメリカのいろんな情報に接しますところ、二国間のいわゆるFTAのようなものはもう結ばないという方針で臨んでいるというふうに承知をいたしておりまして、そういう意味では、アメリカ側から日本と二国間で何か別途のものをやりたいというようなことを私が承知している限りはございませんし、日本としてもそのことを何かやろうというのは、今政府の何かの考えがどこかであるというふうには全く承知をいたしておりません。  いずれにしても、まずこの十二か国でしっかりTPPをまとめていくと。そのためにも、二大国であるアメリカ日本がしっかりと交渉をまとめるべく努力をしていくということが大事だというふうに認識をいたしております。
  12. 馬場成志

    馬場成志君 私は、経済自由化だとか自由貿易だとか、本来やっぱり国家の戦略でやるわけでありますから、表面の言葉、字面で全てを解釈することはできませんけれども、本来は補完すべき貿易というか、お互いがやっぱり必要なものをお互い貿易しながらというのが自由貿易という言葉には一番ふさわしいんだというふうに思っております。  しかし、今の交渉を見ていると、お互いに要らないものを押し付け合っているというような感覚で、なぜ要らないというものを無理やりお互いに売り付ける、買えというようなことをやっているんだろうか。これは、国民一人一人は違うとかいう話はまた出てくるかもしれませんけれども、国の中ではそれが充足しておる、そして国の中でそれを従事しておる人たちがいてその人たち生活が脅かされるということも、もうそこまで申し上げる必要はないというふうに思いますけれども、何しろそういう、何というか、売り付け合っている、押し付け合っているというように見えないかということ。  それは、日本アメリカだけでやっているんじゃなくて、今お話あったように、参加国が見ておるわけであります。その参加国が見ていて、これはどうにもならぬなというような判断をされてこのTPP自体が駄目になったというようなときに、それは、まあ農林水産委員会考え方としてはその方が安心という部分はあるわけでありますけれども、その後に残ったものは、今二国間で交渉している米国への譲歩だけが残ってしまうというようなことがあってはいけないというふうに思っています。  先ほど、FTAやら二国間というものはないというようなことで答弁はいただいたわけでありますけれども、もう一度お尋ねをしたいというふうに思います。
  13. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 自由貿易というのが大事なことだということは御指摘のとおりでありますし、私自身も大事なことだと思っております。  ただ、今回もそうでありますし、私ども、一〇〇%自由化例外を一切認めないということで交渉に入ったわけではございませんので、例外もあり得る、交渉の中でそれはあり得るという前提で御案内のとおり交渉に入っておりますし、当然、日本として日本の国益、その中には日本の国柄というものを守っていくこと、あるいは地域農業基盤、これをしっかり守っていくこと、決議の中でも再生産が可能となるようなという表現をいただいておりますけれども、そうしたことも私ども十分理解をしながら、十分踏まえながら、日本として一番最善の道になるように粘り強く交渉を続けていきたいというふうに思っております。
  14. 馬場成志

    馬場成志君 もう一つ質問させていただきたいと思いますが、TPP交渉の結果によっては、農産物輸入が増加して、食料自給率目標達成に向けた取組の見直しの可能性も生じることになりますが、我が国食料安全保障考えた場合にはそれが許される状況とは思えません。  閣僚レベル交渉は精力的に行われたものの、なお日米間の主張に隔たりがあって、事務的協議を継続していくようでありますが、協議の中ではMA米七十七万トンの枠外でアメリカが新たな米の輸入枠要求しているという報道を聞いております。これはもう事実だというふうに思っておりますが、米価が下落している状況の中で新たに安い輸入米を受け入れることは、米価を更に引き下げ、農業経営に大きな痛手を与えることになりかねません。更に二十万トンという数字が出たことで、五万トンや十万トンは大したことでないような取扱いになりはしないかというような心配もしておるところでありますが、米の輸入枠を拡大するような決着は避けるべきだというふうに思います。  TPPについては、最後まで衆参農林水産委員会決議を遵守して、粘り強く交渉していくべきと考えますが、西村大臣の決意をお伺いします。
  15. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 交渉の具体的な中身は申し上げられませんし、手のうちを明かすことにもなりますのでこれは申し上げられませんけれども、御指摘のありました日本の今の現在の農業状況、そして地域状況、先ほど申し上げた地域における農業の役割、引き続き基盤をしっかり維持していくと、こういったことを十分に踏まえて甘利大臣交渉に臨まれておりますし、私ども全体としてしっかりと粘り強く交渉していきたいというふうに考えております。
  16. 馬場成志

    馬場成志君 同じ質問林大臣にもさせていただきたいと思います。
  17. 林芳正

    国務大臣林芳正君) TPP交渉におきましては、馬場委員からもスタート時点に立ち戻ってというお言葉がございましたが、一昨年二月の日米共同声明において、まず、全ての物品が交渉の対象とされること、我が国農産品にはセンシティビティーがあり、最終的な結果は交渉の中で決まっていくことが確認をされております。こういう経緯の中で、衆参両院農林水産委員会において重要五品目などの再生産が可能となるようそれらの品目の確保を最優先することなどが決議をされたと、こういうふうに承知をしております。  したがいまして、交渉に当たっては、この決議が守られたとの評価をいただけるように政府一体となって全力を尽くす考え、これに何ら変わりなく、しっかりとやっていきたいと思っております。
  18. 馬場成志

    馬場成志君 本当にしっかりやっていただきますようにお願い申し上げます。  西村大臣はもうこれで質問は終わりましたので、委員長、どうぞ。
  19. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 西村大臣、どうぞ御退席いただいて結構です。
  20. 馬場成志

    馬場成志君 次に、米価下落のことに関してお尋ねをさせていただきたいと思いますが、TPP交渉決着いかんにかかわらず、米価下落によって米生産農家経営は危機的な状況に陥っているということになりますが、米価農家経営安定についてお聞きしたいというふうに思います。  新たな食料農業農村基本計画とともに公表された農業経営等展望についてにおいては、水田作について七つの経営モデルが示されています。そのうち、家族経営モデルは、北海道・北東北南東北以西の二つの地域に分けた計算が示されています。熊本県を含む南東北以西は、経営者二名、臨時雇用一名の家族経営で、経営耕地二十五ヘクタール、その内訳は、主食用十五ヘクタール、飼料用米五ヘクタール、大豆五ヘクタール、小麦五ヘクタールで、粗収益三千百三十万円、農業所得千百九十万円、主たる従事者一人当たり所得六百六十万円となっております。この経営モデル試算米価幾らで計算されたものかということをまず一つ。  そしてまた、本年二月の米の相対取引価格は六十キロ当たり一万二千四十四円ですが、この相対取引価格から導かれる生産者価格試算すると、粗収益農業所得従事者一人当たり所得はそれぞれ幾らになるのかということでありますが、現状の米価農業経営を持続することは可能だと思われるか、もちろん思われるだろうと思いますが、そのことについてお尋ねをしたいというふうに思います。
  21. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員から今お話がございました新たな基本計画におきます経営展望といったものは、各地域の特性に応じた担い手の育成ですとか農業所得増大農村地域関連所得増大に向けて農業関係者が具体的なイメージを持って取り組めるように提示するといった性格のものでございます。  具体的にどういった数値を用いてこのモデルを作っているかということでございますけれども、原則、統計などの直近年でございます平成二十五年の数字を用いて試算をしております。これは、やはり農産物価格につきましてはその時々の需給動向によって変わってまいりますので、今後の価格を見通すことは困難という事情で直近数字を用いているところでございます。  また、この農業経営モデルにつきましては、主として農地の集約、省力化技術導入などによる規模拡大ですとか、それから新たな作物の導入などによる経営複合化、それから加工や販売などによる六次産業化といった方向に沿って、様々な技術取組導入することによる経営発展の姿を例示的に示すということでございまして、その価格水準がどういうふうな形で変動しても、基本的には経営モデルとしては参考にしていただけるような意味は引き続きあるのではないかなというふうに考えているところでございます。  それから、今委員から、現行の価格水準農業経営が維持できるのかというお話がございました。これにつきましては、二十六年産価格の低下に関連しまして、ナラシ対策実施ですとか、昨年末以来様々な緊急対策実施ということをさせていただいておりますので、そういった形で経営の安定を図りながら、二十七年産に向けてしっかり需給の安定を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  22. 馬場成志

    馬場成志君 今、たくさんの対策を打っている、そのこと全てをやってそのことが成り立つというようなお話になるのかというふうに思いますけれども、まだこれからやっていかなきゃいかぬことばかりですよね。  そして、さっきのモデルに関しても、やっぱり地元に帰って、例えば二十五ヘクタールとかいうのをイメージできるかというと、もちろんなかなかイメージできないんですよね。熊本でどれだけ近いのがあるかなというふうに思って聞いてきましたけれども、水田を十五ヘクタールやっているところが二十一戸。分母というのは、水田に関係しておる人たちは四万人から五万人、四、五万軒ある中で、二十一戸しかないというようなことでありました。その数字だけでどうだということではありませんけれども、もう第一、イメージできるかということですな。  それで、例えば熊本の場合は畜産との連携なんかができやすいところでありますから、また別の部分で補っていくというようなことがあるということであれば、また広い水田のあるところで、私自身も勉強させていただかなきゃいかぬというふうに思いますが、ただ、このことを進めていくには相当な覚悟と、これから予算的にもしっかりとやっていただかなきゃいかぬということをこの時点でお話をさせていただいておきたいというふうに思います。  そして、生産数量調整の話に移っていきますけれども平成三十年産から生産数量目標の配分や米の直接支払交付金がなくなっていくということで、行政が生産数量目標の配分をやめるときは、自主的にせよ、誰かが生産数量の調整をしなければ、作付けの過小や過剰が生じて米価の大幅な変動が起きる可能性があります。しかし、現時点で具体的な調整の姿は示されていないというふうに思います。  生産者が自らの経営判断で何をどれだけ作付けするかを決めるとしても、行政として具体的にどのように米の生産数量の調整が行われるべきかを示すべきではないかというふうに思います。それとも、生産数量の調整は農協等に全て委ねてしまう考えなのか。  生産数量の調整について、三十年産米以降の具体的な姿を描いてほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  23. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生御指摘のとおりでありまして、三十年、一つの区切りになっていくと思うんですが、今般の米政策の見直しについてでございますが、平成三十年を目途に、行政による生産数量目標の配分、これに頼らないで、農業者や集荷業者・団体がマーケットを見ながら、自らの経営判断や販売戦略に基づきまして、需要に応じた生産を行うことができるよう環境整備を進めてまいりたい、このように考えておりますが、具体的には、生産現場におきまして、国が公表するわけでありますが、全国の需給見通し、県内の米の売行き状況ですね、それらを含めまして、県、市町村段階におきまして策定される作物振興の設計図である水田フル活用ビジョン、これを踏まえまして、自ら販売している生産者は主体的な経営判断に基づき、また主に農協等の集荷業者・団体に販売を委託している生産者は販売委託先と相談をしていただきまして、主食用米、非主食用米をどのように作付けしていくのか、またあるいは、麦、大豆等、これらをどのように作付けするかについて決定をすることで、需要に応じた米の生産が行われるよう環境整備を進めていく考えでございます。  また、農林水産省といたしましては、需要に応じた米の生産、これが一番大事なところでございまして、この生産が円滑に行われまして、米の需給価格の安定が図られる、これ極めて重要なポイントでございますが、水田活用の直接支払交付金、これは七千五百円でございますが、数量払いの導入など飼料用米等のインセンティブを高めること。また、二つ目には、産地の交付金もこれ充実しなければなりませんし、水田フル活用ビジョンに基づきまして、地域の特性を生かした産地づくり、これを進めていくということでございます。次に、中食、外食のニーズに応じた米の生産、これが大事だと思うんですね。複数年、播種前などの事前契約、これも安定経営に結び付くわけでありますから、これの取引も拡大を進めてまいりたい。また、主食用米ですね、全体需給の見通しに加えまして、よりきめ細かい県レベルでの販売進捗や在庫情報価格情報を毎月提供する等の環境整備を着実に実施してまいりたい、このように考えております。
  24. 馬場成志

    馬場成志君 大変丁寧な御答弁をありがとうございました。  続けて質問させていただきますが、農水省の米の安定取引研究会は本年三月末に報告書を取りまとめました。報告書では、米の概算金の設定について、過去三年平均や五中三平均など透明性の高いものを基本とするということが望ましいとされました。JAグループは現状では、需給の動向や販売見込み等を念頭に置きながら、赤字を出さないことを主眼として概算金を設定していますが、報告書の意見はそこに機械的な基準を当てはめようとするものと考えられます。  農水省は、報告書に沿って、概算金の設定についてJAグループに指導、勧告を行う考えでしょうか。また、概算金設定のこの基準に従うかどうかの最終的な判断はJAグループが行うとしても、高めの概算金の設定によって最終的な米の共同計算が赤字となったとき、報告書を公表した行政としてはどのような対応を取るのか、お尋ねしたいと思います。
  25. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 今委員から御指摘ございました米の安定取引研究会でございますけれども、これにつきましては、二十六年産米の価格が低下したという状況の中で、今後、複数年契約や播種前契約などの安定取引を拡大していく必要があるという問題意識から、昨年の十二月に米流通に係る川上、川下双方の取引関係者から成る研究会を立ち上げまして、様々、安定取引に向けた課題について御議論いただいたところでございます。  その結果を本年三月三十日に報告書として取りまとめられましたが、その中で、例えば、米の売手、買手双方が安定取引の拡大を望んでいるですとか、それから、安定取引の拡大を進める上で需給動向以外の不透明な要因で価格が大幅に変動することが課題になっているとか、また、この点に関連いたしまして、今委員から御指摘ございました概算金の水準につきましても、市場価格に影響を与えているが、明確な根拠が示されず、大きく変動する形で設定されており、その設定方法の透明化が図られることが望ましいですとか、また、作柄や需給動向が当初の想定と大きく異なる場合には所要の補正を行えるようにすることが望ましいと、こういった意見が出ているところでございます。  今回の報告書は、米の集荷業者、卸、小売業者、中食、外食業者、それぞれの観点から率直に議論を行った結果を取りまとめたという性格を有しているものでございます。今後、この報告書の扱いでございますけれども、取引における各々の立場や役割に応じまして適切に対応していくということが期待されておりますけれども、今委員から具体的に御質問ございました概算金につきましては、これは集荷業者による商行為の中で決定されているものでございまして、最終的には集荷業者の御判断で決定されるというふうに考えているところでございます。
  26. 馬場成志

    馬場成志君 続けて質問させていただきます。  米の需給を締めるためには、先ほどからも答弁に出ておりますように、飼料用米を始めとして水田フル活用対策の充実こそ重要になってくるということでありますが、米の安定取引研究会の報告書は六月頃の段階で概算金を公表としていますけれども飼料用米とのバランスを取りながら主食用米を作付けしていくことを考えると、六月の公表では遅過ぎるのではないでしょうか。主食用米飼料用米、大豆等の作付け計画を決める三月頃には概算金の設定基準を示すよう農協に促していく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  27. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) お答えする前に、先ほどちょっと数字を間違えて御発言申し上げまして、失礼いたしました。先ほど水田の直接支払交付金の金額を、これを七千五百円と申し上げてしまいまして、活用ですね、この部分、収量に応じて五万五千円から十万五千円、全く数字の違うことを申し上げてしまいまして失礼いたしました。  それでは、ただいまの御質問にお答えをさせていただきます。  先生の御心配、御指摘のとおりでございまして、今回の米の安定取引研究会におきましては、これまで概算金は七ないし八月頃の段階で設定したわけでございますが、生産者が営農計画を作成する六月頃の段階におきまして設定されることが望ましいとの意見が多く示されていたところでございまして、今回の報告書は、米の集荷業者、卸、小売業者、中食、外食業者等のそれぞれの観点から率直に議論を行った結果を取りまとめたものでございます。  今後、取引における各々の立場や役割に応じまして適切に対応されることが期待されるわけでございますが、概算金は集荷業者による商行為の中で設定されるものでございますので、その時期につきましても最終的には集荷業者の判断で決定されていくものと考えております。  失礼いたしました。
  28. 馬場成志

    馬場成志君 需給の安定ということにはとても大事なことだというふうに思っておりますので、少しでも早くその時期を設定していただく、前倒ししていただくような努力をまたお願いしたいというふうに思います。  そもそも、米の価格下落というのは需給が安定していないことが原因で生じているということでありますので、米の安定取引研究会の報告書では、概算金の決定プロセスの透明性を高める前提として、需給の安定を図ることが重要との意見も記述されています。  農水省としては、有効な米の需給調整策について更に検討を行うことが必要ではないかというふうに思いますし、また検討されておるというふうに思いますが、お尋ねしたいというふうに思います。
  29. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 需給のバランスのことは大変重要でございますが、国といたしまして、二十七年産米の需給の安定を図ること、極めて重要な部分でございますが、水田活用の直接支払交付金の活用を始めとして、飼料用米の利用、保管に必要な機械等のリース導入等の支援などによりまして、主食用米から需要のある飼料用米など主食用米以外への転換を進めてまいる、そしてまた、需要に応じた生産を進めるためのきめ細かな情報提供に努める、これは先ほども申し上げましたけれども、これを進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。  また、二十七年度当初予算におきまして、産地であらかじめ生産者等が積立てを行った上で、自主的に長期計画的な販売や輸出用等の他用途への販売を行う場合に支援をする米穀周年供給・需要拡大支援事業、これを措置しまして、需給安定に向けた産地の自主的な取組を支援しているところでございます。  先ほど申し上げた二十七年度当初予算の金額は五十億でございますが、さらに、米穀機構の取組といたしまして、自らの保有する資金を活用して、米穀の売り急ぎを防止し、二十六年産米の長期計画的な販売を支援するための売り急ぎ防止支援事業も実施をされているところでございます。  このような取組を着実に進めることによりまして、二十七年産米の需給の安定を図ってまいりたい、このように考えております。
  30. 馬場成志

    馬場成志君 さらに、需給の安定の件について質問をさせていただきます。  主食用米を非主食用米に振り替える仕組みについてでありますけれども、現行では、飼料用米に取り組むに当たっては、飼料用米の販売先を確保した上で、生産年の六月までに申請し、審査、認定を受ける必要があります。出来秋に米の過剰が判明しても飼料用米への振替はできないわけであります。もちろん、そうだというふうに思いますが、これからの質問はちょっと違う質問になります。  しかし、需給調整の観点からは、概算金の設定や出来秋の際には、豊作等による過剰米が明らかであれば主食用米を非主食用米に振り替える、後出しじゃんけんとでも言うべき仕組みを検討してもよいのではないかというような声もよく聞くわけでありますが、これについてお尋ねしたいと思います。
  31. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生おっしゃるように、後出しじゃんけんが一番強いわけでありますが、主食用米の需要が毎年八万トン減少している現状でございまして、中長期的な観点から鑑みまして、主食用米需給の安定を図るためには、水田をフル活用し、そして需要のある麦、大豆、飼料用米等の本作化を進める必要があると考えているところでございます。飼料用米の本作化を進めるためには、畜産農家や配合飼料メーカー等に対して毎年飼料用米を安定的に供給していく必要があると考えております。安定的に供給するというところがポイントだと思っております。  こうした中で、仮に、毎年主食用米として作付けを行い、出来秋に余った分を飼料用米として処理する仕組みとした場合、その年々の主食用米の作況、作付け動向、需要動向等により飼料用米の供給量が変動しては困るわけでありまして、畜産農家や配合飼料メーカー等に飼料の安定調達に支障が生ずることが懸念されるわけであります。畜産サイドでの飼料用米の利用、施設整備が進まなくなる心配もございます。主食用米としての食味ですね、味ですが、これを重視すると飼料用米の単収向上の取組が進まない、飼料用米の本作化が進まなくなってしまうという問題が生じてくる心配もございます。  農林水産省といたしましては、今後とも、飼料用米の本作化を進めることを通じまして、主食用米、食味重視の主食用米ですね、需給の安定と食料自給率、自給力の向上を併せて図ってまいりたい、このように考えております。
  32. 馬場成志

    馬場成志君 仕組みがしっかりと動いていただくことが期待できれば、こういった話はなかなかるるとしては出てこないというふうに思います。ですから、やっぱり不安なんだというふうに思いますし、もし片方で、じゃ、飼料用米の方が安定しておるからということでどっと行ってしまったときにまたどうするんだというようなことも含めて、これからの運用をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  そして、今の話にもまた関わってくると思いますけれども、米は保存が利く農産物でありますから、更なる需給調整策として、出来秋になって余剰が生じた場合は次年度以降の販売に回して、その分、次年度の生産は減らすように、例えば農業者、JA自らが需給調整できる仕組みを検討すべきではないかという、そういう声もありますが、いかがか、お尋ねしたいというふうに思います。
  33. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 今回の米政策の見直しに当たりましては、農業者や集荷業者・団体がマーケットを見ながら自らの経営判断や販売戦略に基づきまして需要に応じた生産、販売ができるよう環境整備を進めているところでございます。そういった環境整備の下で農業者によりまして自主的に需要に応じた生産が行われたとしましても、豊作などにより需給緩和が生じる可能性もあるというふうに認識してございます。  そういった状況に対処するため、まさに委員からお話がございましたように、二十七年度当初予算におきましては、産地であらかじめ生産者などが積立てを行った上で自主的に長期計画的な販売や他用途への販売を行う場合に支援させていただきます米穀周年供給・需要拡大支援事業を実施することとしております。仮に需要を超える生産量となった場合に、生産者などがこの支援措置を活用しまして、超過している分を翌年まで周年安定的に販売して、その量に応じまして翌年産飼料用米などの生産を拡大して主食用米の供給を調整すると、こういった自主的な取組が定着しますと主食用米需給の安定が図られるというふうに考えてございます。
  34. 馬場成志

    馬場成志君 そういったことをしっかりとやっていただくためには、やっぱりしっかりとした計画とまた信頼が必要だというふうに思いますので、一つ一つの進め方についてまたしっかりとやっていただきますようにお願い申し上げます。  今日は時間が余ると思っておりましたが、全然足りないようになってまいりましたので、順番を入れ替えながら済みませんが質問をさせていただきたいと思います。  農林水産業の海外輸出についてお尋ねしますが、二〇二〇年に一兆円という戦略的目標を示してチャレンジしていただく国の姿勢というのは、輸出拡大に向けて地方の取組も後押しをしております。私の地元熊本でも、平成二十四年は前年より二五%、二十五年は二八%、アジアを中心にして増加しております。特に、香港向けのイチゴや牛肉、カンショ、あるいは台湾向けの梨などが現地で高い評価を得ているということでありますが、なかなかコストの問題でやっぱり苦労しておるというのが現状であります。そのことについて、何か軌道に乗せるための取組について御支援いただけないか、質問させていただきます。  あわせて、あと二つ聞かせていただきますが、先日の質問の中で、堀井先生の質問の中でもありましたけれども、六次産業化ネットワーク活動交付金による販路開拓、あるいは農林漁業成長産業化ファンドの出資によるパートナー企業との戦略的資本提携の支援等の措置を講じているとありましたけれども、具体的にどのような取組なのか。  この二つ質問させていただきます。
  35. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 輸出を図っていくことは非常に重要なことだと考えておりますけれども、まず日本の輸出の強みという形で見ると、やはり鮮度を保持する技術、冷凍食品も含めて、そういった技術をどうやってしっかり植え付けていくかということだと思います。輸送費のコストの低減、それから鮮度保持技術、そういった物流面の取組というのは非常に重要だという具合に考えているところでございます。  私どもは、世界の食市場において、生産者、製造者、流通業者、消費者、そういったそれぞれに大きな付加価値をもたらすグローバルフードバリューチェーンの構築に向けて官民連携で取り組んでおります。そういった意味では、先ほど申し上げました日本の強みである冷凍加工技術、鮮度保持技術を生かした物流を構築していく、高品質な日本の食、農産物の輸出環境を整備する、現地の日本企業を通じたマーケット・イン型の輸出体制の構築を進めているところでございます。  特に、今あるのは、混載をどうやって進めていくか、そして包材をどうやっていくかと。包材というのは、例えば日本のイチゴは、傷みやすいんですけれども、世界一の包材を持っていますので、輸送の傷みロスが非常に少ないということもございます。そういったものを通じまして、結果としてコスト低減を図っていきたいという具合に考えております。  そのため、昨年度から、輸出事業者向けの支援としまして、このような品質保持技術を活用しました実用的な輸送コストの実現を図るための取組を支援しているところでございます。まだテスト的でございますけれども、これを一般化していきたいという具合に考えているところでございます。  そして、次にございました六次化の支援でございますけれども、新商品の開発や輸出を行おうとした場合、どうしても加工、販売のノウハウ、それから輸出相手国の実情に通じた民間等の事業者と連携することは極めて重要だという具合に考えております。  そのため、まず各都道府県段階に配置しました六次産業化プランナー、これらの方の中には海外での販売、加工、製造に知見を有する方々がいらっしゃいますので、そういった方々の知見に基づく、例えばどういう新商品がいいのか、あるいはパッケージ、デザイン、そういったようなアドバイスをいただくということが一点目。続きまして、二点目とすれば、都道府県を通じまして六次産業化ネットワーク活動交付金によりまして、海外への商談会への出展の経費に対する助成。三点目は、A—FIVE、農林漁業成長産業化ファンドによりまして、輸出事業を行うということを前提としまして、農林漁業者がパートナー企業と提携して組成した合弁事業体に対する出資も実施されておりまして、一部もう輸出を開始しているという事業体も見られるところでございます。  これらを地域の実情に応じて助成を進めることによって輸出を更に促進してまいりたいという具合に考えている次第でございます。
  36. 馬場成志

    馬場成志君 しっかりとやっていただきたいと思います。  ただ、二〇二〇年、一兆円という目標を掲げておりますけれども、もちろんそれから先もあるんだろうというふうに思っていますので、そういう意味では今幾つか、ジャパン・ブランドの確立に向けた取組については五億四千八百万、産地間連携等による輸出振興体制の構築を図る取組としては二億五千四百万、決して十分な金額ではないというよりも、もう一桁ぐらいあっていいんじゃないかというふうに思いますので、しっかりとやっていただきますようにお願いをしておきたいというふうに思います。  時間がなくなりましたけれども、林業の再生について最後に、質問になるかどうか分かりませんが。  林業の再生は、国及び地方にとっても喫緊の課題でありまして、日本再興戦略改訂二〇一四において林業の成長産業化が位置付けられたところであります。各県においても、地方創生に係る仕事づくりの取組として位置付け、全国の豊富な森林資源を最大限活用した仕事づくりに取り組もうとしておるわけでありますけれども、そういったこと、今様々に国に先行してやっておる仕事がありますが、やっぱりこれから更にやっていくためには国の支援が必要となる部分もたくさんあるわけでありますが、その件について、そして、森林の集積、集約化に関しても同じことでありまして、独自の取組をやっておるところ、それをどうやって支援していくかというようなことについてお尋ねしたいというふうに思います。  そして、もう最後ですから全部言います。  森林整備加速化・林業対策というのはこれまで補正予算で措置されておりますけれども、今後の予算確保をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。これは、最後は要望でも結構でございます。お願いします。
  37. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 委員指摘のように、豊富な森林資源を循環利用し、林業の成長産業化を実現することは極めて重要な課題と認識をしております。このため、農林水産業地域の活力創造プラン等を踏まえ、新たな木材需要の創出、国産材の安定供給体制の構築、森林の多面的機能の維持・向上などの施策を積極的に推進してまいりたいと思います。  こうした施策の推進のために十分な予算措置を行い、計画的に進めていくことが、御指摘のように極めて重要であると考えております。それに加え、川上から川下まで一体となった取組関係省庁と連携した取組を進めるなどの工夫も行いながら、施策をしっかりと取り組んでいきたいと思います。
  38. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。終わります。
  39. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  午前中の衆議院に続きまして、皆さん、どうもお疲れさまでございます。  今日もTPPについてお伺いしたいと思いますけれども、まず、今朝の朝日新聞に、与党の会合で、TPPの二十一分野二十九章のうち十章が決着したという、そういう報告が政府からあったという記事が載っておりました。これが事実かどうか、まずお伺いしたいと思います。
  40. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  昨日、自民党のTPP対策委員会におきまして、私の方からTPP交渉の現状の説明をいたしました。二十九の今チャプターがありますけれども、テキスト交渉が終結しているのは十章であるということは申し上げたところでございます。
  41. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 十章ということでありますけれども、難航している分野もあると聞いておりますので、まだまだ合意までの道のりは厳しいなという印象は受けております。  さて、閣僚協議が終わりましたけれども、一昨日の記者会見で甘利大臣は、米に限らず、自動車や自動車部品についても距離は縮まっています、全体の交渉が相当程度前進をし、この間合いもかなり縮まってきたことは事実であります、ただ、解決したということではありません、しかし、全体の解決に向けて次第に視界が明るくなってきたということは言えるのではないかと思いますとおっしゃっていますが、これまでの米国からの要求は相当厳しいものだったと思いますけれども、この甘利大臣の発言は、日本の主張に米国が譲歩しつつある、交渉が動いてきているということなのか、それとも二国間協議のゴールが見えてきて明るいと言っているのか、その点について言及していただきたいと思います。
  42. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 日米協議は、元々距離が物すごく開いていたものでございますので、前進、進展といってもまだまだ距離があるというのが実感でございます。日米の閣僚級協議は、昨年の十月シドニーでごく短時間ですが行って以来、今回半年ぶりでございました。その閣僚級協議に備えて事務レベルの協議も何度も行っているところでございまして、従来に比べればそこは前進があったという、そういう趣旨でございます。
  43. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 これまでの報道によりますと、日本交渉担当官が米国産米の特別輸入枠をめぐって、米国主食用米十万トン規模を提示したと。その後、撤回したら、米国から更に厳しい内容要求を突き付けられたということで、これが事実かどうか大変心配しておりました。  不安に思っていたところ、私、地元に帰っておりましたら、十九日、地元の北海道新聞の一面に、「TPP特別枠で」「コメ輸入二十一・五万トン要求」という、太文字でがんと記事が載ったわけですね。日米協議で新設が検討されている米国産米の特別輸入枠について、米国側から十七万五千トンに加えて、加工用も四万トン設定するように求められていることが分かったという断定的な記事だったわけでありますけれども米国から主食用米、くず米、調製品という話も出ていますが、加工用米四万トン、合計二十一・五万トン、追加輸入要求されているということは誤報ではないですね。
  44. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 報道はいろんなものを出すわけでございますけれども、米については最もセンシティブな品目であるということで、大変慎重な交渉を行っているところでございます。  アメリカの方は、米関係にもアメリカのステークホルダーという者がいるんだと、そのステークホルダーに説明ができる対応をしてもらいたいと、こういう形で言われているわけでございますが、今回、二十時間に及んだ日米の閣僚協議の中で、甘利大臣の方からは、アメリカにとって米が重要だと思う人がいるかもしれないけれども我が国にとっての重要性の方がその百倍も大きいんだということで、相当強く、米というものについては日本にとって物すごく大事な品目なんだということを大臣の方から何度も何度も申し上げたと、そういう趣旨でございます。
  45. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 これも報道ですけれども日本は五万トン程度を限度に輸入枠を検討しているということであります。今もお話がありましたけれども、自民党のTPP対策委員会等合同会議で甘利大臣が、米の重要性をフロマン代表に必死に訴えたことについてお話しされたことは新聞で拝見いたしました。しかし、五万トンであれ譲歩案を検討していることは、今の米を取り巻く国内事情において大変な問題であります。いつも言われる全体がパッケージでという中で、自動車を守るために米は譲るということは絶対にあってはならないと思っています。  自動車も、二・五%、二五%というお話がありましたけれども、そういう関税の問題ではなくて、自動車分野の原産地規制、これ大変な問題だと思います。極端な話、TPP参加国でない国による部品供給を受ける日本のメーカーの車は、日本産とは言えないという論理であります。多くの部品や組立てを中国やタイと取引している日本車のほとんどは、日本産と言えなくなるということであります。自動車は日本にとって攻める分野であったのに、いつの間にか攻められる分野になっておりまして、しかも、守るべき分野の米を含む農産物の重要五品目も譲るというのであれば、TPPは何の国益なのか、全く理解ができません。  二月十日の決算委員会で、当時は、MA米の枠の外に特別枠を設けて米国産の米を五万トン輸入することを検討しているという新聞記事について、西川前農林水産大臣に対して御質問させていただきました。その際に、西川大臣からは、私どもとしては、どういう形であれ、主食用米追加輸入することは考えておりません。再度の確認も含めて二度も御答弁をいただきました。  さらに、その後の共産党の田村智子議員質問に対して、若干答弁ぶりは変わっておりますけれども、昨年の秋のこの米価下落の問題が物すごく大きな問題で、農家の方々に大変心配を掛けました、そういう状況のときに、主食用米輸入云々なんていう議論すら私は非常に農家皆さん心配をあおることになる、だから、この交渉の中で農林水産省としては、主食用米については慎重の上にも慎重な交渉をしていただいて、私ども日本主食用米のバランスが崩れるような方策は取らないと、こういう意味で申し上げたところでございますというふうにおっしゃっておりました。  大臣の御答弁で、農林水産省としては主食用米追加輸入考えておりませんとおっしゃったんです。交渉しておられるのは甘利大臣でございますけれども林大臣主食用米追加輸入に関する農林水産大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  46. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 米につきましては、言うまでもなく国民の主食でございます。最も重要な基幹的農作物であると、こういうふうに認識しておりまして、TPP交渉においては衆参両院農林水産委員会決議が守られたとの評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考えでございます。
  47. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 大臣、西川前大臣ですら農家のことを配慮しながらあのような御答弁をしていただいたわけで、もう少し大臣からも、今心配に思っている農家の方々に対して思いを向けた御答弁をいただきたいと思うんですが、もう一度お願い申し上げます。
  48. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 西川前大臣からも、今徳永委員から御紹介いただきましたように、昨年十月のこの参議院農林水産委員会の所信表明演説において同様の交渉についての方針が示されております。米を含む農産品の取扱いについては、交渉方針に何ら変更はないということでございます。  徳永委員に対する答弁の後、田村委員からお尋ねがあった際の答弁についても今御紹介があったとおりでございますので、私としては、先ほど申し上げましたように、国民の主食であり、最も重要な基幹的農作物である米については慎重な対応が必要になってくると、こういうふうに考えております。
  49. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 慎重にお願いを申し上げたいと思います。  野村筆頭も大変心配しておられると思うんですが、牛肉に関して、関税を協定発効から十五年目以降に九%になるように段階的に引き下げていくと。セーフガードの発動基準も、今までよりも米国に有利に。豚肉も、安い価格帯が対象の一キロ四百八十二円の差額関税制度は維持するものの、十数年掛けて五十円台前後まで引き下げていくと。そして、乳製品は、TPP参加国ごとに特別枠を設けて、一定量を低関税あるいは無税で輸入することを検討していると。それが米国サイドの要求だという報道ぶりは、一月、二月のニューヨーク、ワシントンでの協議の際に報道された内容と同じであります。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、米のときも、澁谷議官は間違った報道に関してはいつも誤報だというふうにはっきりおっしゃいますが、現時点でこの報道も誤報ですか。
  50. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 何々という内容合意したと書いてある記事は全て誤報でございます。  ただ、最近の記事は非常に巧妙になってまいりまして、という案が浮上しているとか、そうなりますとなかなかこちらも誤報と言いにくい、そういうような記事の書きぶりになっておりますが、少なくとも、という形で合意した、ほぼ合意したと書かれている記事は全て誤報でございます。
  51. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 誤報ですか。本当に誤報ですね。大丈夫ですか。
  52. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 何かが確定しているということはございませんので、確定、合意と書かれているものは誤報でございます。
  53. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 確定はしていないけれども、こういう数字をベースに検討しているということなんだと思います。  大変に心配している中で、最近米の話ばっかり出てくるものですから、現場では牛肉、豚肉についてはもう決着が付いているんじゃないだろうかという声が上がっておりますが、この点に関してはいかがでしょうか。
  54. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 米の話が確かによく報道がなされますので、御心配をされるということもあって、米については決着をしていないんだということを閣僚協議の後、大臣からお話をしたとおりでございますが、その際、あえて米を含む農産品決着が付いていないということ、まだまだ課題が残っていると申し上げたところでございます。したがって、今おっしゃられた品目も含めて確定、合意をしたということではないということでございます。
  55. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ここで農林水産省に伺いますけれども、畜産クラスター事業、畜産収益強化対策、全国から非常に多くの申請が上がっていると聞いています。現時点での申請状況についてお伺いいたします。
  56. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 畜産クラスターにつきまして、現場からの要望という御質問でございます。  畜産クラスターは、委員案内のとおり、地域の中心的な畜産経営体を始め地域の畜産関係者が結集、連携して、地域全体で畜産の収益性の向上を図っていこうという取組でございます。  こういった取組を支援するために、平成二十六年度補正予算と二十七年度当初予算合わせて予算額二百七十九億円を計上しておりますが、これに対して、要望を募りましたところ、全体で二倍を超える要望がございました。  具体的には、飼料収穫機や搾乳ロボットなど機械のリース導入に対する事業につきましては、補正予算で百五十億円措置しましたが、要望額は四百三十三億円と三倍近い要望がございました。また、畜舎やそれから自給飼料を調製、保管する施設の整備に対する支援、これにつきましては、補正予算と当初予算合わせまして百二十六億円の予算を措置しましたが、要望額が二百三十億円と二倍近い要望があったところでございます。
  57. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そうなんです、大臣、申請が非常に多いんです。  北海道でも、このTPPの話が出てから現場は暗いムードだったわけですけれども、この事業は大変に好評でありまして、酪農、畜産農家が前向きに意欲を持って取り組もうとしているところなんです。それなのに報道されているような内容交渉決着するようなことになりましたら、また酪農、畜産農家の方々は意欲を失ってしまうのではないかと大変に心配をしておりますし、大きな投資もともすると無駄になりかねません。政府のやっておられることは、農家を元気にしたいのか、それとも苦しめたいのか、全く理解ができません。  林大臣日本農業、農村を守っていく、その役割を担っておられる農林水産大臣のお立場で、ここで改めて、日本TPPに参加することによって日本農業にとって果たしてメリットがあるのか、それともないのか、私は全然メリットが分からないんですが、メリットがあるとお考えになっているのであればどこがメリットなのか、御説明いただけないでしょうか。
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 日本全体にとってのメリットについていろいろ御議論があって、それは内閣府、内閣官房の方からまたお聞きいただければと思いますが、大きな経済圏ができることによって経済活性化が図られると、こういうことであろうかと、こういうふうに思っております。  その中で、全体の経済の活性化が図られるということは、当然、農産物品に対する消費の面、それから、我々が今一兆円の目標を作って輸出をしていこうということを一生懸命やっておりますけれども、こういうことにもいろんないい影響が出てくるんではないかと、こういうふうにも考えておるわけでございますが。  一方で、民主党時代の試算を受け継いで統一した試算を作らせていただきましたけれども、あくまで、即日全部ゼロと、こういう前提で、かつ何も対策をしないと、こういうことでございますが、かなりの影響が出るという試算もしておるところでございますので、そのためにしっかりと、いつも申し上げておりますように、決議が守られたという評価をいただけるように交渉するということ。それから、その前に、決議に先立って、日米共同声明で我々の方は農産物品にセンシティビティーがあるんだということをしっかりと明記をして交渉に臨んできた経緯も、そういうことを踏まえて行われてきているものと、こういうふうに承知をしているところでございます。
  59. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  さて、TPA法案についてずっと触れてきましたけれども、先ほどもお話ありましたが、米国議会で上院で可決されたということであります。しかし、米国内ではNAFTAや米韓FTAで職を失った教訓から労働組合がTPPに強硬に反対して、民主党の議員に激しいロビーイングを行っているという情報もあります。成立は恐らく楽観できないのではないかという見方もあるんです。  また、米国やマレーシアの国際NGOは、過去に米国大統領が議会からTPAを取得することが大変に困難であったことや、民主党、共和党共に下院での反対をしている議員が非常に多くて、TPA法案が可決される可能性は極めて低いのではないかと分析しています。まあ、上院で可決されたということですけれども、下院で可決されるためには相当この法案修正が必要になってくるんじゃないかというふうに推測されます。  さらには、TPPの研究者でありますオークランド大学のジェーン・ケルシー教授も、TPA法案提出は五月下旬の閣僚会合を実現し、そこで妥結に持ち込もうとするための単なるデモンストレーションの効果しかないというふうに指摘をしています。  しかも、今回の法案の正式名称は、同じTPA法案であっても、日本語表記をする場合には、これまでの貿易促進権限法案ではなく、貿易の優先事項と説明責任に関する法案とするのが正しくて、貿易交渉における米国にとっての優先順位を議会が規定し、政府に対して国会議員への情報公開を徹底させるための法律であって、この条件を守れば大統領に一定の権限を与えるというもので、全権委任ではないわけであります。このことは日本政府も分かっていらっしゃいますよね、いかがでしょうか。
  60. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 現在提出されておりますいわゆるTPA法案は、おっしゃったとおり、トレード・プライオリティーズ・アンド・アカウンタビリティー・アクト・オブ二〇一五という形になっているのは承知しているところでございます。
  61. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今御説明申し上げた中身についてはいかがでしょうか。
  62. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 権限をどうするかという問題はアメリカ国内でもかなり議論がされているということでございまして、そういう憲法上の権限の問題というより、むしろ、様々な手続規定を決めるというところにTPAの意味があるという形で中の議論がされているというふうに承知しているところでございます。
  63. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 大統領に貿易促進権限がなければ、また、まとまったとしても修正をさせられるとか再交渉させられるという可能性があるので、ここは慎重に対応しなければいけないと思います。あくまでも全権委任ではない、制約が付いているということであります。  先日、この委員会で、内閣府の西村大臣に、TPA法案が成立しなければ日米の二国間協議決着しないということでよろしいですねと聞きました。多くの国がTPA法案が不可欠だというふうに認識を持っています、我が国としても、できるだけ早くこのTPAが成立してほしいという期待を持っているところでございますという御答弁で、明確なお答えはいただけませんでした。  日米以外のほかの参加国は、TPAの成立、日米二国間協議決着、それがなければ十二か国の合意はできないと考えていると思います。  そこで、澁谷議官にも伺います。  TPAの成立は困難だという見方がある中で、確認します。米国議会TPA法案が成立しなければ、日米協議決着しないということでよろしいですね。
  64. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) まず、事実関係を申し上げれば、アメリカ国内においても、TPA法案が成立をするまではTPPなどの交渉妥結させるべきではないという意見がかなり主流になっているという話を聞くところでございます。また、他の参加国も、TPA法案が成立しないと難しいのではないかということを思って、実際、TPA法案がめどが立たないと、恐らく最後のカードを切る国は非常に少ないというのも状況としては認識をしているところでございます。したがって、事実としては、恐らくTPA法案が成立をしないとTPP交渉妥結は非常に難しいということにはなろうかと思います。
  65. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そこが民主党の会合でも政府に聞いてもなかなかはっきりしなかったので、はっきりしました。ありがとうございます。  それから、政府は、米国やマレーシアでの情報公開の動きを受けて、新たな資料を作成し、手続が済み次第ホームページで公開する予定だというふうにお聞きいたしました。日本情報公開のためにかなり努力をしたんだなということが実感できるような情報公開に向けての対応をよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 対外的な情報公開、情報提供をどうするかということは、各国とかなり頻繁に相談、情報交換をしているところでございます。各国のいろんな取組承知しているところでございまして、そういう動向も踏まえながら、我が国としてまた一層の工夫をしていきたいと思っております。
  67. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  明日、民主党は衆議院に情報の提供の促進に関する法律案というのを提出いたします。是非とも御審議をいただきまして、更なる情報提供に向けて進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  TPPに関してはこれで終わりますので、澁谷議官は結構でございます。
  68. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 澁谷内閣議官、御退席されても結構です。
  69. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それでは、ちょっと米について伺いたいと思います。  北海道では今年も間もなく田植の季節を迎えます。稲作農家皆さんは、水田農政の転換、米価の下落、農業、農村への企業参入、それからTPPが一体どうなるのか、不安のことばかりがずっと続いているわけであります。そこで、幾つか確認をさせていただきたいと思います。  まずは、主食用米の今後の需給の見通しでありますが、米が余った昨年六月末の民間在庫量は二百二十万トンでございました。そして、二十六年産米の主食用米生産量は七百八十八万トン、合わせると二十六年、二十七年主食用米の供給量は一千八万トンということであります。  二十六年、二十七年の主食用米の需要量の見通しはどのくらいになるでしょうか。
  70. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 米の需要量につきましては、昨年十一月に策定いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針と、この中に記述がございまして、年産米ではございませんが、二十七年七月から二十八年六月までの需要見通しという数字を出してございまして、七百七十万トン、前年に比べまして八万トンの減という見通しを示しているところでございます。
  71. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 また、二十七年、今年の六月末の民間在庫量はどのくらいになりますか。
  72. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 二十七年六月末、民間在庫量、二百三十万トンでございます。  それから、先ほど御答弁の中で八万トン減と申し上げましたけれども、四捨五入の関係で九万トン減でございます。大変失礼いたしました。
  73. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今年の作柄がどうなるかはちょっと分かりませんけれども、やはり去年に続いて余剰感というのは否めないと思います。  お手元に資料を配付させていただきました。これ、農水省からいただきました相対取引価格の推移でありますけれども、これを見てみますと、二十四年産米とこの二十六年産米を比較すると、もう皆さんよく御存じのように四千円近く価格が下がっているわけでありまして、改めて、どうしてこんなに米価が下がってしまったのかということなんですが。  二十二年に関しては、民主党の農業者戸別所得補償制度のモデル事業が入った年でありまして、農協が結構堅く設定をして概算金が下がったという影響もありましたけれども、変動交付金などもありまして、結果的には農家収入は大きなマイナスにはならなかったというときでありますが、どうしてこんなに米価が下がってしまったのか、また、今後米価が上がる見込みがあるのかどうか、併せてお伺いしたいと思います。
  74. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) まず、委員から御指摘ございますように、二十四年産米、五年産、六年産米ということで、二年間で一俵当たり四千円近い下落になっているということでございます。これは、米の価格につきましては需給の中で決まってくるわけでございますが、米につきましては国民の消費の中で非常に基礎的な食料ということで固定的な需要があるわけでございますが、他方、価格が変動しても余りその需要量が変動しないと、価格弾力性が小さいということでございます。そういった中で、供給量が毎年十万トン、二十万トン増えますと、そういう中で大幅に価格が低落するというまず性格があるということがこれだけの大きな価格変動になっているということだろうと思っております。  さらに、二十六年産米の価格につきましては、これは昨年の臨時国会のときにもこの本委員会でいろいろ御議論ございましたけれども生産量が前年よりも三十万トン減少しているという実態があるにもかかわらず大幅に下がったという実態がございます。その要因といたしまして、昨年の夏以降、民間在庫が多く作柄も良いと、こういった民間調査会社のレポートが新聞等で報じられまして、その関係者が需給緩和傾向といった認識の下に、スポット取引や先物取引価格が低下してきたという事情があったかと考えてございます。  またさらに、そういった状況の中で、各県段階のJA系統では、できるだけ早く売り切りたいと、共同計算赤字になるリスクを小さくしたいという意識が根強くあったこともありまして、昨年の夏前に決定されました各県のJA系統の概算金は前年よりも大幅な引下げで設定をされたと。一俵当たり、産地、銘柄によって異なりますが、二千円から三千円の減となったということも背景としてあるのではないかと考えてございます。  こういった状況もございまして、委員から先ほど配付されましたように、二十六年産の本年二月の相対取引価格は六十キロ当たり一万二千四十四円と、昨年、二十五年産の同時期に比べまして二千五百円程度低い数字になっているという状態になっているということでございます。
  75. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 米価が上がる見込みはあるのかということもお伺いしたいと思います。
  76. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) これは、委員の御質問は二十七年産米価ということだろうかと思いますが、現時点におきまして、二十七年産の作付けはまだ始まっていないという状況でございます。現在、現場におきましては、二十七年産米の営農計画の作成に向けまして、主食用米にするのか飼料用米にするのか、また加工用米にするのかと、様々な、どういった用途向けの米にするのかということについていろいろ議論をしていると。昨年の十一月、国から生産数量目標というものを示しました。前年の目標に比べまして十四万トン減と、また自主的参考値といったものも示しまして、これは二十六万トンの減でございますが、そういったことも念頭に置きながら、現場で現在調整中でございますので、今の段階で二十七年産米の需給について申し上げる段階にはないというふうに考えてございます。
  77. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 稲作農家皆さんが安心するためには、やっぱり需要を増やしていくということと、そういう中で米価も少しずつ上がっていくということが意欲につながっていくんだと思うんですね。消費も毎年八万トン減っている中で、二十四年産米価が高くて、中食、外食が米の使用量を減らしたということでした。合わせて四十万トンぐらいという話もあります。一度減らした使用量は、消費者からクレームでも付かないとなかなか増やすことにはならないと思います。  家庭での消費が減っている中で、中食、外食産業に生産者が生産を続けられるような価格で米を買ってもらうこと又は使用量を増やしてもらうことが必要だということは以前もこの委員会の中で申し上げてきましたけれども、もう何か具体的な取組はしておられるんでしょうか。
  78. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のとおり、二十四年産米の価格が上昇した際に、お弁当業者さんですとか外食産業で一人当たりの米の量を減らして対応したということはあったというふうに業界からのヒアリングで承知してございます。それ以降、先ほど御説明しましたように、一俵当たり四千円近い価格の下落がある中で、私どもとしては、過去に減らした部分を回復していただきたいという気持ちはございまして、業界からヒアリングをしておりますけれども、現段階におきまして以前の量に戻すといった顕著な動きがあるということはないというふうに承知しているところでございます。
  79. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そこを何とか農水省努力をしてくださいよ。よろしくお願いいたします。本当ですよ。任せきりじゃなくて、何とか使ってもらえるように努力をしてください。  これ、農水省からもらったパンフレットなんですけれども、販路拡大セミナーのパンフレットです。ここに、中食、外食企業向けへの需要が拡大している一方で、国産米の生産が対応できていないのが現状です、需要に見合った生産をし、企業との間で契約に基づく安定的な取引を推進していくことが今後の稲作経営及び企業の経営にとってますます重要となってくると考えられますと書いてあるんですけど、米は余っているわけですよね。じゃ、これ、何を言っているのかというと、値段が高いと言っているわけですよ、恐らく。もっと下げろと言っているんじゃないかと思うんですね。  でも、やっぱり再生産に結び付けていくためにはこれ以上は下げられないという価格があると思うんですよ。そこはやっぱり農家と企業もしっかり協力し合うという、そういう姿勢がなければ駄目だと思うんですが、いかがでしょうか。
  80. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) まさに今、中食、外食用のお米の話がございましたけれども、先ほど馬場委員の御質問の中で、米の安定取引研究会の際にはそういった中食、外食の代表者の方からも参加をいただきまして、いろいろ意見を聞いております。中食、外食の方々の御意見は、米の価格が必ずしも安ければ安いほどいいということではなくて、むしろ、中食、外食のニーズに合った品質の米を安定的に取引していただきたいと。米の価格が変動することによって稲作農家の離農などがされたりして米の安定供給がされなくなると困るんだと。したがって、複数年契約とか播種前契約とか、そういったことを進めていきたいという意向もあるところでございまして、今委員が示されましたパンフレットは、別に安い米を提供するという意味ではございませんで、中食、外食にも、例えば丼物を提供する業者さんもいらっしゃれば、弁当の方もいらっしゃると。そういうところは必ずしもいわゆる一般のスーパーで売っているような銘柄米ではなくても、一定の品質を持って、例えば丼物であれば余りべとつかないといいますか、汁通りがいいと業界では言うらしいですけれども、そういった特定の品質のお米を安定的に供給していただきたいという御希望があるというふうに聞いてございます。  そういった生産者の方々が中食、外食の方々と直接そういう売り先を見付けて契約いたしますと、毎年の作付け計画に際しまして、自分たちの作った米がどの売り先に対してどの程度の量、場合によってはどの程度の価格の幅の中で売れるのかということが明らかになるということで、米の需給の安定にも貢献いたしますし、将来、三十年産以降、米の生産数量目標の配分がなくなった状況の中にあっても、生産者が自ら、自らの米の販路を確保できるということで、農水省といたしましては、そういった中食、外食業者の方々とのマッチングを進めて、安定的な取引、安定的な販売先の確保を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  81. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 繰り返しになりますけれども、なるべく使用量を増やしていただくことと、それと安心して再生産ができる価格、企業も農家皆さんもウイン・ウインという形の価格で取引ができるように、是非ともそこは農水省も御尽力をいただきたいというふうに申し上げたいと思います。  また、今年、イオンが埼玉県で百ヘクタールの圃場で米の生産を始めるということです、以前もこの委員会でお伺いいたしましたけれども。今後、販売先、出口を持っている企業が米の生産に乗り出すと、安い価格で販売するなど、既存の農家が作った主食用米がはじき出されるということにならないか、とても心配しています。  どのような企業がどのくらいの量の米を生産して、それが既存の稲作農家にどんな影響を及ぼすのか、ここも農林水産省にはしっかりと調査していただきたいと思います。生産調整に参加させるなど、影響が抑えられるような取組をしっかりしていただきたいと思いますが、短く御答弁をお願いいたします。
  82. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 米の生産調整につきましては、既に農業者の経営判断による選択制ということになってございますけれども生産数量目標の範囲内で主食用米生産した場合には、いわゆるナラシ対策の対象となるということに加えまして、時限的な措置としまして一反当たり七千五百円が支払われるという助成措置がございます。  こうした中で、二十五年産米につきまして、生産数量目標の範囲内で生産している生産者の割合を作付け規模別に見ますと、例えば作付面積が〇・五ヘクタール未満の層については五七・八%に対しまして、作付面積が五ヘクタール以上、規模が大きくなればなるほど、例えば五ヘクタール以上でございますと九一・八%と、その生産数量目標の範囲内で生産しようという割合が多くなっているという実態にございます。  そういった統計データもございますし、また我々としましては、今委員からお話がございました企業が参入して大規模に稲作経営を行っている例もよく注視しながら、実態を把握し、必要な対応を取っていきたいと考えているところでございます。
  83. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 いずれ生産調整も廃止されるわけですから、是非そのところは慎重にお願いしたいと思います。  さらには、MA米、無税の輸入枠七十七万トン。平成十二年から米国産米の輸入量はきれいに、資料をお手元に配りましたけれども、毎年三十六万トンなんですね。適正な入札の結果、毎年三十六万トンになっているということでありますが、輸入数量の半分が米国産であります。主食用加工用、飼料用、援助用に販売するわけですけれどもMA米の国産主食用米需要への影響についてお伺いいたします。これも短くお答えください。
  84. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) ミニマムアクセス米につきましては、ウルグアイ・ラウンドの合意に基づきまして毎年七十七万トン輸入しているわけでございます。その中で、いわゆるSBSという仕組みで輸入されるのが十万トン、それ以外が一般輸入となってございます。  SBSにつきましては主食用への販売がございますが、一般輸入につきましては、今委員からお話がございました餌用でございますとか加工用、それから援助用ということで、主食用米需給に影響がない形で販売しているという実態がございます。
  85. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そして、TPPの無関税の特別枠での主食用米追加輸入が決まった場合です。政府は五万トンで交渉しているとされていますけれども、仮に、仮にですよ、五万トン、米国産の主食用米が入ってきた場合の影響について、農林水産省としては現時点でどのように考えておられますか。
  86. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) これはTPP交渉のまさに交渉中の事項でございまして、何ら主食用米の取扱いについて決まったものではございませんので、そういった影響についても申し上げる段階にはないというふうに考えているところでございます。
  87. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 やっぱり交渉というのは、国内への影響を考えながら、ここまでだったら大丈夫だろう、もうちょっと行けるかなと、そういう交渉を多分しているんだと思うんですよね。だから、農水省としては、仮にですけど、五万トンだったらどうか、影響があるのか、それともバランスは取れるのか、その辺だけでもお答えいただけないでしょうか。
  88. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども交渉中の事項でございますので、仮定の質問についてはお答えを差し控えたいと考えてございます。
  89. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それから、与党の会合の中で甘利大臣国内対策に言及したということであります。これ、米の直接払い交付金も三十年産から廃止されることが決まっておりまして、農家に対して大きな影響が出るということは否めないわけですけれども国内対策、今後どんな国内対策考えられるのか、これは是非とも大臣にお伺いしたいと思います。
  90. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今局長から答弁いたしましたように、各国と交渉を行っている真っ最中でございます。したがって、国内対策について言及いたしますと、ああ、農水省はそういう対策を検討しているんだと。ということはそれぐらいもう覚悟しているのかと。この情報が瞬時に相手に伝わると。こういうことにもなりかねないわけでございまして、やはり交渉上、手のうちを明かすことにつながる可能性がありますので、差し控えさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  91. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今までも林大臣からはそういう御答弁をいただいておりました。国内対策どうするんですかと聞くと、交渉中ですからと、交渉に影響が出るという御答弁でしたけれども、今日の新聞に、甘利大臣が与党の会合の中で国内対策の必要性に言及しているということでありますから、これオープンになっているわけですよね。そしたら、当然、農水省としては何らかの対策、対応を考えておられるのが当たり前なんじゃないかと思いますけれども、今おっしゃったぐらいしか御答弁ができないということでしょうか。  あるいは、大臣として、もし影響があった場合には、農家皆さん心配しておられるわけですから、こういう対策考えられるとか、あるいは今やっているこの部分をもっと強化していくとか、そういうようなお話でもこの段階では出てこないんでしょうか。もう一回お伺いをしたいと思います。
  92. 林芳正

    国務大臣林芳正君) せっかくの徳永先生の御質問でございますが、私の立場で何かここで申し上げると、ああ、やっぱりそうなのかと、逆に心配を深めることにもつながってはならないと思いますので、そこは慎重の上にも慎重に対応したいと思っております。
  93. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今はなかなか言いづらいということなんでしょうけれども甘利大臣もしっかりと言及なさっておりますので、万が一、今出ているような数字追加輸入ということになったときには絶対に大きな影響が出ると思いますので、ここはしっかりと、生産者の皆さんが再生産できるような、営農を継続していけるような形で国内対策をしっかりしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  最後に、飼料用米お話をしたいと思います。  政府は、食用米から飼料用米への転換を促しています。昨年の生産量は十六万トンでしたよね。飼料メーカーによりますと、四百五十万トンの潜在需要があるということであります。全農も二十七年産飼料用米六十万トンの生産を目標にするということであります。  しかし、私の地元の北海道は、飼料用米を作りたくないと多くの稲作農家の方が言っておられます。コンタミの心配もありますし、それから多収性専用種がないということから、今飼料用米を作るといっても、きらら三九七などの食用米を飼料用米として生産しているわけなんですね。これ、きらら三九七などでも、北海道は平均単収で十アール五百四十近くあるんですよ、五百四十キロ近く。そう考えますと、さっきのお話にもありますけれども主食用米をちゃんと作っていて、まずは主食用米、次は加工用米、次は飼料用米というふうに順番を付けて出していけばいいんじゃないかと、わざわざ飼料用米を作らなければいけないのだろうかと。農水省に聞いたら、生産コストも、食用米も飼料用米も一俵一万六千円ということで、同じなんですよね。  だから、北海道から沖縄までずっとありますけれども、北海道には北海道に合った飼料用米の出し方というのもあると思いますし、限度数量もありますから、限度数量を出せばあとは残っている数量は分かるわけですから、これ工夫すればできるんだと思いますけれども、その辺りはいかがでしょうか。
  94. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 今委員から御提言がございましたのは、先ほど馬場委員からもお話がございました、いわゆる後出しじゃんけんということと同じ趣旨だろうというふうに思いますけれども、やはり我々といたしましては、主食用米の需要が毎年八万トンずつ減少していくという中で、中長期的な観点から主食用米需給の安定を図るためには、やはり水田をフル活用しつつ、需要のある麦、大豆、飼料用米等の本作化、これを進める必要があると考えているところでございます。  飼料用米の本作化を進めるためには、稲作農家が畜産農家や配合飼料メーカーに対しまして毎年安定的に飼料用米を供給していく必要があると考えてございます。仮に、毎年、主食用米として、まあ用途を決めなくても結構なんですが、一定のお米を作って、出来秋に残った分を飼料用米に回していくというようなことを、そういう仕組みにした場合には、その年々の主食用米の作況や作付け動向や需要動向によりまして飼料用米の供給量が変動すると。こういったことで畜産農家や配合飼料メーカーも、安定的な調達が期待できないということであれば、なかなか、例えば飼料用米を利用するためのいろんな施設整備ですとか、それから例えば飼料用米を利用してその強みを生かして差別化をして付加価値を高めていくと、そういった試みも進まないという問題もあろうかと思います。  さらに、今委員から主食用米飼料用米生産コストが変わらないというお話がございましたけれども、やはり主食用米の場合には食味を重視するということでございますので、たんぱく含有量が上がらないように、収穫期の末期におきましては肥料を切るという実態がございます。飼料用米ではそういうことがなくて、肥料を継続的に投与してもそういった品質的には問題がないと。  そういった様々な違いもございますので、やはり今後とも、飼料用米の本作化を進めるというためには播種前に、播種前といいますか収穫前にしっかり飼料用米として仕向けるということをお約束したものについてのみ支援をしていくという仕組みを今後とも進めてまいりたいと考えているところでございます。
  95. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 米が余っている、消費が毎年八万トンずつ減っていっている、だから、飼料用米、需要があるんだから作りなさいと言うのは政府の都合だと思っているんですね。北海道は米の不適地と言われて、国からかつて全国の生産調整の三分の一に当たる四九%の減反を押し付けられた時期もありました。でも、何とかおいしいお米を作りたいという思いから、農家が一俵当たり三百円の拠出金を出して、それを集めて基金をつくって、農業試験場で研究をすることを応援して、北海道に合った米の品種改良を行って、そしてついには、ゆめぴりかとかななつぼしとか、そういったもう皆さんからおいしいと言っていただけるブランド米を生産できるようになって、今や日本一の米どころとなったわけであります。  この数年、収穫の時期に稲作地域に行きますと、活気と意欲に間違いなくあふれていました。そんな頑張ってきた稲作農家皆さんに、生活していくために、営農を続けていくために、牛や豚の餌を作りなさいと言うのは私は大変に残酷だと思います。やっぱり、おいしいお米を作って、おいしいと言って食べてくれる人の顔が見たい、それがやりがいであり、生きがいなんだと思うんですね。  そういうものを今の、申し訳ありませんけれども政府の農政は奪ってしまいましたよね。これ間違いないですよね。TPPや企業参入でますます米価は下がっていく。頑張ってきた農家の方々をこれ以上苦しめることがあってはならないと思っておりますけれども、最後に、これもう大臣、大事なメッセージだと思うんです。  実は、栃木なんかでもそういうケースが出てきていますし、北海道もそうですけれども、もう稲作農家に自死者が出ています。北海道のケースは、四十八歳、後継者は高校卒業して就農三年目でした。大規模、規模拡大をして、機械を購入して、農業者戸別所得補償制度がありますから、返済の計画も立ててやっていたわけです。それが、突然の農政転換で、借金も返せなくなった、見通しも付かない。真面目な人ほどつらいんです。  最後に、大臣から農家皆さんに向けてメッセージをいただきたいと思います。
  96. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 米は国民の主食でございまして、最も重要な基幹的作物であると、こういうふうに認識をしております。  政府の都合という言葉がございましたが、我々も米の消費を何とか増やそうという努力をしていないわけではございませんけれども委員がおっしゃっていただいたように、結果としては、主食用の米の消費、これは八万トンずつ減っていくという現実があるわけでございますので、何とか需給のバランスを保つということにしませんと、どんどん作っていきますと当然価格は下がっていくと、こういうことになります。ですから、まさに需要のあるものにどうやってこの水田をフル活用しながらやっていくかということを悩みながら、今の方向を決めさせていただいたわけでございます。  したがって、農業者の方々が安心して餌米の生産に取り組んでいただけるようにということは、畜産の方から見れば、安心してじゃ餌米に変えていこうというふうに思ってもらえるためには、出来秋になってから今年はこれぐらいにしようということが動くということがありますと、そういうふうに安定しないんであればやはりそちらにシフトしていくわけにはいかないなと。これは畜産側から見ればそういうことになるわけでございまして、耕種側には耕種側のお立場、畜産側には畜産側のお立場がそれぞれありますので、なるべくその間のマッチングがスムーズにいくようにしっかりと間を取り持って、結果として水田がフル活用されるということをしっかりと示すことによって、やっぱり将来ある若い方々が希望を持って続けていける、また入ってきていただけるようにしっかりとやっていきたいと思っておるところでございます。
  97. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 終わります。ありがとうございました。
  98. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方からは、まず本日は、ちょっと地味なテーマですけれども大変重要だと考えているテーマについてお伺いしたいと考えております。先日のこの食料農業農村基本計画、この質問の中でも一問だけ実はお伺いをしているんですが、食料供給に係るリスクの分析・評価、ここについてちょっと今日は少し深掘りしてお伺いをしたいというふうに思っております。  まず初めに、このリスク分析、今回やっていただいたものを私も改めて全部目を通しました。九十ページを超える大部なんですけれども、非常に精緻に分析をしてありまして、とても高く評価しております。  これ、今の食料供給を取り巻く環境について、例えば大きなテーマ、世界的な人口の増加ですとか、あるいは新興国の経済成長、購買力の増加といったいわゆる需要面での変化、それに加えて、地球温暖化に伴う気候変動、水資源の枯渇といったいわゆる生産面での制約条件、こういったものも踏まえながら、例えば輸出国において港湾での障害ですとか、サプライチェーンが切れてしまうといった問題、輸出規制、様々な流通面でのリスク、こういったものを一つ一つしっかりと洗い出していって、じゃ日本にとってどういう作物について例えばリスクを見ていったらいいのか、三つの観点から見ていただいていまして、一つ輸入依存度の高い品目であるかどうか、二つ目が食料供給に占める熱量の割合の高さ、そして三点目が国内生産で完全な代替が困難であるかどうか、こういう観点から、米ですとか小麦、あるいは大豆、飼料用トウモロコシ、こういった形で九品目ぐらい洗い出して、先ほどのような一つ一つリスクについて精査されていると、これ本当にすばらしいなと思っております。  今日あえて質問させていただきますのは、すばらしいんですけれども、まだ最初の一歩というかちょっと残念なところも若干あって、是非、今後定期的にこのリスク分析していただく上で、これ本当に改良していただくと、非常に今後いわゆる農政で政策を実際に打つ上での有効なツールになるんじゃないかなという思いがあります。期待を込めて今日はちょっとお伺いしたいと思うんです。  まず、最初になんですけれども、前回の質問の中でもちょっとお伺いしました。今回のこのリスク分析を受けて、結局最後、総合評価というのをされていまして、何て言っているかというと、対象品目全てにおいて現時点で食料の安定供給への影響が懸念される状況にはなかったとしている、こういう結論になっているんですね。これ、具体的にどういうことなのか、まず御説明いただきたいと思います。
  99. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) この度の食料供給に係るリスクの分析・評価結果に関して評価をいただき、感謝を申し上げたいと思います。  具体的にこの結果について御説明をさせていただきたいと思いますが、食料の安定供給を図る観点から、食料供給に係る不測の事態が発生した際に円滑に対応できるよう、平素から食料供給に影響を与える可能性のあるリスクについて分析、評価を行うことが重要であるとまず認識をしているところであります。  このために、今般、基本計画の策定と併せて、初めて新興国との輸入の競合や地球温暖化等の気候の変動、大規模自然災害などの食料供給に影響を与える可能性のある国内外のリスクを洗い出し、その分析、評価を行ったところでございます。さらに、各リスクというものが対象品目の供給に影響しているかを評価したところ、対象とした六品目、いわゆる米、小麦、大豆、飼料用トウモロコシ、畜産物、水産物、これらの全てについて、現時点においては安定的に供給されており、実際に供給に影響を与えているリスクは見られないとの結果でございました。  しかしながら、現時点では我が国食料供給には影響を与えていないものの、例えば気候変動や水資源の需給の逼迫などの既に海外において顕在化しつつあるリスクもあり、今後、毎年度リスク分析、評価を行っていくこととしております。そうした中で、これらのリスクによる各品目への影響について平素から情報収集を行うなど、その動向を注視してまいりたいと考えております。
  100. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁の中にも、リスク分析を平素からやっていく上での目的ということについて触れていただいておりました。これ当然、緊急時においてどう対応するのか、その備えをつくっていくというのは一つこれは重要な目的だと思うんですけれども、忘れてはならないのはもう一つあると思っていまして、それは、いわゆる平素の段階からまだ顕在化していないリスクをいかに低減しておくか、あるいは、いわゆる緊急時にどうさせないでおくかと、そういう事前的な、予防的ないわゆる対処を取るためにやはりこういったリスク分析ってやっていただくと思っています。  その意味では、今回のこの総合評価、私も全く異論は挟まないんですけれども、一方で、こうやってしまうといわゆるアクションにつながらないんだろうなというふうに思っております。なかなかアラートの立て方ってやっぱり難しいと思うんですけれども、今は大丈夫ですと、でも、こういうところがやっぱり注意していかなければいけませんね、あるいはこういうところは改善の余地がありますねという形で是非政策、アクションにつなげていただく、こういう観点から見ていただく必要があるかと思っているんですね。  一つ、いわゆる総合評価が何でこういう書きぶりになっているのかなというのを改めて考えながら報告書を読んでみますと、結局これ、参照する先が、この総合評価が何を参照しに行っているかというと、何年か前に作られております緊急事態食料安全保障指針、ここを見に行っているんですね。ちょっとこれについて、次お伺いしたいんですけれども、この指針の中で、事態の深刻度に合わせて三段階のレベル分け、評価をしているんですけれども、これはどういう意味があるのか。  私は、ちょっと先に結論めいたものを言わせていただきますと、一つは、この緊急時のいわゆる三段階のレベル分けというのも正直余り意味がないかなと思っております。もうちょっと本当はここを精緻にやるべきなのかなというのと同時に、これ、緊急事態の指針について定めたものであるからだと思うんですけれども、それ以外としていわゆる平時と書いてあるわけですね、評価として平時。今回の結局この総合評価というのは、リスク分析した結果、今は平時ですとやってしまっている、だから次のアクションにやっぱりつながらないのかなと思っておりまして、ここの、特に平時というものを、でも、こういうところに気を付けなければいけませんねという形のやっぱり評価に変えていかないと、ここをもっと精緻に今後評価していかないといけないんじゃないかなと思っているわけです。  ここについての、今後、検討の方針等も、もしあるようでしたら併せてお答えいただきたいんですが。
  101. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) ちょっと具体的な話になりますけれども、この度の緊急事態食料安全保障指針におきましては、緊急の要因によって食料の供給に影響が及ぶおそれのある事態に的確に対応するため、平時のほか、事態の深刻度に応じて、まず一点目、事態の推移いかんによって、特定の品目需給が逼迫することにより、食生活に重大な影響が生じる可能性がある場合はレベル0といたしました。二番目に、さらに、特定の品目の供給が平時の供給を二割以上下回ると予測される場合をレベル1といたしました。三番目に、国民が最低限度必要とする熱量の供給が困難となるおそれがある場合をレベル2と、三つの段階に分けまして、それぞれの段階ごとに講ずべき対策の基本的な内容実施のための手順等を示したところでございます。  さらに、今回のリスク評価では、各リスクの状況が各品目の供給に対する影響等の評価を行った上で、各品目ごとに各リスクの評価を総合的に勘案し、平時からレベル2のいずれに該当するかの評価を行ったところでありまして、その結果、今回の評価におきましては、いずれの品目も平時であり、レベル0以上の評価となった品目はなかったということでございました。  いずれにいたしましても、リスクの評価につきましては今般初めて実施をしたところでございます。今後、各リスクに係る指標の更新やその評価を毎年行うこととしておりまして、その際、評価結果の取りまとめ方法などを含めて必要な見直しを随時図ってまいりたいと考えております。
  102. 平木大作

    ○平木大作君 今、レベル0、1、2と、それぞれ定義も含めて御説明いただいたんですけれども、レベル0、1、2のところに大体どういう状況かということも併せて書いてあるんですね。これを読みますと、大体レベル0というのは、例えば主要な輸出国が輸出規制の動きが出てくると大体レベル0でしょうと書いてある。輸出規制を実施するとレベル1になるでしょう、最終的に日本への輸入が大幅に減少してくるとレベル2になるでしょうと。大体こういう目安が書いてありまして、これとっても分かりやすいんですけれども、逆に言うと、そういう一つ一つの、いわゆる相手方輸出国がどういう行動を取ったかということをラベル付けしているだけなんですね、これは0ですとか1ですとか2ですとか。やっぱりここについてもうちょっと精緻にまずはやっていただかないと、なかなかいけないのかなと。ある意味、0なのか1なのか2なのかということ自体が余り意味を持っていないんじゃないかと思っております。  そして、最後触れていただいたポイント、つまり、平時なんだけれどもどうなのかということがやっぱり一番大事かなと。いわゆる平時で、全く日本食料供給については心配当たりません、もう何もしなくても大丈夫ですということなのか、いわゆるレベル0のところまで、五合目、六合目まで来ているのか、実はもうちょっと行っちゃうとレベル0まで見えているのかという、大分幅があるはずでありまして、そこがやっぱりこれからより浮き彫りにする形での評価をしていただかないといけないのかなと思っているんです。  今回のこの報告書も大量、九十ページを超える大きなもの、当然これ、できたときに林大臣の下に行っていると思うんですね。ただ、大臣もお忙しいですから、当然、その九十ページ、一つ一つ全部丹念に見てこれは大丈夫ということではなくて、やっぱり最初の頭紙、こういう総合評価のところを見て今回のは懸念がないのねとなったら、普通は次の手を打たないということでありまして、こういうところ、いわゆる評価としては平時なんだけれども、この辺はまだまだリスクとして軽減の余地があるなとか、そういったところにやっぱりアラートを立てていただいて初めて政策に結び付くのかなと思っておりますので、是非今後、いわゆる平時についても詳細な検討をお願いしたいと思っております。  もう一点だけちょっとこの関連の質問をさせていただきたいんですが、この一つ一つ品目について細かく分析をしていただいております。ちょっと一つこれ具体的に例を用いながらお伺いしていこうと思うんですけれども。  個別のリスク評価ごとに品目見ていくと、例えば地球温暖化だとか水資源の需給逼迫みたいなことと並んで実は悪化している、若しくは将来これから悪化するぞというアラートがたくさん付いている項目に、先ほど御答弁の中にもあったんですが、新興国との輸入の競合ということが挙がっているんですね。ここがやっぱり悪化しているというふうにアラートが立っている以上、とても気になる、一生懸命その後、個別の品目について読み込むわけであります。  そうすると、例えば大豆について見ていきますと、五年から十年後には安定供給が悪化していると書いてあるんですけれども、どう書いてあるか。その先が余り実は書いていないんですね。細かいことでありますけれども、ちょっといわゆる危険だということまでで終わっているのかなという印象が正直にありまして、この今具体的な事例について、例えば大豆だったら、これ分析の結果、今どういう事態を見込んでいて、またどんな施策を打とうとしているのか、何か手を打とうとしているのか、こういった点についてちょっと政府の見解をお伺いしたいと思います。
  103. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 今御指摘がございました新興国との輸入の競合については、中国などの経済発展に伴いまして、近年、大豆や飼料用トウモロコシなどの需要が増大し、我が国と競合する輸入相手国からの輸入量が増加傾向にあることから、顕在化しつつあるリスクとして分析、評価を行ったところでございます。  その結果、例えば大豆では、近年中国の輸入量の増大はあるものの、現時点におきましては、我が国への大豆の供給は安定的に行われており、新興国との輸入競合による影響は見られないために、現状の評価としては影響なしと評価したところでございます。また、国際穀物理事会の予想では、中国の輸入量が今後も更に増加すると見込まれていることから、五年から十年後の評価としては悪化するおそれがあると指摘したところでございます。  新興国との輸入の競合については、将来の我が国食料供給への影響を具体的に予測することは困難でありますけれども、今後とも我が国食料の安定供給の確保を図るために、平素から三つの点について取り組んでいきたいと考えております。  一点目は、需要に応じた国内生産増大を図ること、二点目に、安定的な輸入の確保に向けて、輸入相手国との良好な関係の維持や強化、関連情報の収集、三点目に、民間企業による海外農業投資の促進等に取り組んでいくこととしているところでございます。
  104. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁いただきました。これ、今、予測をするのは難しい、私もそのとおりだと思うんですね。この予測を、五年後、十年後について需給の逼迫状況等を正確に当てに行くということに一生懸命労力を割いても正直しようがないのかなと。むしろ、そういったものであれば、幾らでも外部調査機関等ありますので、そういうところから買ってくればいいわけでありまして、それを活用してどう使うのかというところがやっぱり一番分析においては大事なのかなと。  この評価レポートも、大豆についてちゃんと見ていきますと、例えば、中国は今後五年で大豆の輸入が八千三百万トンぐらい増える見込みだぐらいまでは書いてあるんですね。大分増えるなということは分かるわけですけれども、増えて悪化するとなっているんだけれども、それは最終的に世界的に見たら大豆の供給量の中に収まっているから大丈夫ということなのか、そうじゃなくて、じゃ、日本もほかにいわゆる供給先を探していかなきゃいけないのかとか、あるいは、同じ表の中に、日本と中国で実は大豆のいわゆる輸入先が基本的にはかぶっているという話も書いてあるんですね。日本は、輸入先第一位は米国で六〇%、二位がブラジルですと。中国も、一位がブラジルで五〇%、二位が米国で三五%と。基本的に同じところに取りに行っているという話でありまして、これは先日の質問の中でも、いわゆる供給先のコンセントレーション、いわゆる依存度が高過ぎるものがないかという視点というのはやっぱりこういうところで見ていただいて、あらかじめ分散が図れる、あるいはそういう取組ができるんであれば、中長期にわたってやっぱりやっていただく必要があるのかなというふうに思っております。  是非とも、こういった点、精緻に今後も進めていただきたい。これは、私としても、また来年、再来年、どういうレポートが出てくるのか、どういう分析がされるのかというのを大変注目しておきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  最後に、このリスク分析については、今触れた論点と違うんですけれども、九つの品目について、一つ一つレポートのサマリー、品目ごとのサマリー見ていきますと、改めて実は米の置かれた特異な特性というんでしょうか、に気付きます。一つ一つのリスクの項目について、米って実はほかの作物と比べると圧倒的に書いてあることが少ないんですね。しかも、そのほとんどというのが実は国内起因のリスクでありまして、小麦ですとか大豆ですとか飼料用トウモロコシ、こういったものがいわゆるさらされているリスクというのは海外に起因するものですから、リスクとしては認識していても、それは所与の条件になってしまって手が打ちようがないというものも多いんですけれども、事米に関しては国内の要因に影響されるというところでありますので、逆に言うと手の打ちようがある、マネジメント可能なリスクというものが改めてやっぱり米については多いんだなと。  そういう意味では、改めて我々の主要な産品でありますお米というものを、特に主食用米についてはほぼ一〇〇%自給できているということの意味が、こういうリスク分析のレポートを見てもやっぱり改めて浮き上がってくるものなんだなというのを感じております。  済みません、ちょっと時間が大分なくなってしまいましたので、実は今日もう一問、捕鯨についてお伺いをしたいと思っているんですが、ちょっと最後の一問に飛んでお伺いをしたいと思っております。  これはもう、昨年、ちょうど一年前、私もこの捕鯨について質問をさせていただきました。それからちょうど一年たって、そのときお伺いしたことがどうなっているのかということと併せて、新しい南極海における鯨類調査計画、いわゆるNEWREP—A、これについて先日も様々な動きがありました。IWCの専門家パネルから、この日本調査捕鯨計画に関して、調査目的を達成するために致死的調査が必要であることが立証されていないと、こういう指摘を受けたわけであります。追加的な作業を含めて勧告があったわけですが、これについて今後政府としてどのような対応を取っていくのか、最後にお伺いをいたします。
  105. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 日本の食文化であります鯨の関係でございますが、今御指摘いただきましたとおり、IWC科学委員会の専門家のパネルの二十九の全ての勧告に対して、我が国は四月の十三日月曜日、日本側の対応を記した文書を科学委員会へ提出をいたしました。  そして、今後、五月の二十二日金曜日からIWC科学委員会臨時会合までの間、これに追加の分析結果等を提供し、致死的調査が必要であることを丁寧に説明をして引き続き活発な議論が行われるよう努力してまいりたい、このように考えておりまして、なお、昨年十一月の調査計画案の提出以降、関係国に対しまして我が方が大使館等を通じ説明を行うとともに、一部の国に対して職員を派遣し説明を行ってまいりました。さらに、メディア、これはもう国内外ですね、ここに対しても丁寧な説明を行っております。  今後とも、国際社会の理解を得るための努力を一層強力に進めてまいりたい、このように考えております。今の状況につきましては、南極海の捕鯨の関係の目的が、調査捕鯨の目的がなかなか理解されないと、こういうことでございますので、一層の力を注いでまいりたい、このように考えております。
  106. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  ちょっと時間がなくなってしまって質問を残してしまいましたけれども、やはり今、日本が置かれた状況、大分厳しいものがあるなというふうに感じております。  これは今も副大臣の方からもおっしゃっていただきましたが、いわゆる世論形成、日本の正しい立場というのを主張する上で、当然これはIWCの中でもしっかり多数派をつくっていく、そういう働きかけは必要だと思うんですけれども、より広くやっぱり働きかけていただく必要があるのかなと。  今回、この捕鯨のニュースを受けて、私も海外にいる日本の方から、もう日本はいいかげんこういう国際的な非難を受けて続けるのはやめたらどうかというような声も実は何件かいただきました。そのくらい、今、いわゆるIWCの外側も含めてどれだけ日本の立場というのを理解していただけるのかと、ここ本当に大きな取組になるというふうに思っておりますので、是非力を入れてまた取り組んでいただきたいとお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  107. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  質問させていただきますが、今回私は少し視点を変えまして、震災後の原発事故後の日本農産物・食品の取引先、外国、これの状況、現況どうなっているかをお尋ねし、その中から将来どう展望するかということなどを含めてお尋ねをしていきたいと思います。  主要国の現況についてお尋ねしたいんですが、この場合、主要国というのは、我が国がこれまで取引の非常に多かった順に五か国、香港、米国、台湾、中国、韓国、この五か国が上から順になっているんでございますけれども、この五か国の規制状況等をお知らせをいただきたいと思います。
  108. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 申し上げます。  まず、一番トップの輸出相手国である香港でございますけれども、香港は福島を始め五県の五品目、乳製品等が輸入停止でございます。二位の米国でございますけれども米国につきましては、日本で出荷停止になったものは停止する、日本で解除になったものは解除するということでございます。台湾でございますが、台湾は福島を始めとする五県の全品目農産物輸入停止。それから中国につきましては、十都県の品目の停止、しかしながら、それ以外のところにつきましては生鮮食料品等が検査証明書を付けてくださいということになっておりますが、四年たってもまだ検査証明書の様式協議が調っておりませんので実質停止になっていると。最後に韓国でございますけれども、韓国は水産物が停止になっているという状況でございます。  ちょっと、ほかの産地証明書は今省略させていただきましたが、停止の部分だけということでございます。
  109. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  それで、今この五か国の二十六年度の取引分を見るというと、香港が一千三百四十三億で、アメリカが九百三十二億、台湾が八百三十七億、中国六百二十二億、韓国四百九億といって、四千百四十三億になっているんですね。ということは、事故以前、いわゆる規制をこんなに受けていない事故以前はもっと高い数字だったと思うんですが、これレクチャーの中でも言っていないので、急に今気付いたことなのですが、手元にあれば、この五か国でトータルどれぐらい取引していたかをお知らせをいただきたいと思います。
  110. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) ちょっと今手元にすぐ出てきませんけれども、今集計しておりますけれども、トータルの部分だけまず申し上げさせていただきます。  平成二十三年に今回の事故が起きましたけれども、それ以前の二十二年は四千九百二十億円、直近の二十六年、四年後でございますが、昨年は六千百十七億円ということで、一千二百億ほど増えているという状況でございます。
  111. 儀間光男

    ○儀間光男君 説明不足だったようですが、その主要五か国でどうだったかということを僕は見たかったんですね。いわゆる規制を受けてどれぐらいの取引が低下をしてきたか、減ってきたか、その辺を少し見たかったのであります。
  112. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 今手持ちがございませんので、後ほど届けさせていただきたいと思います。
  113. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。お願いをしたいと思います。  それで、今日は、特に三位の位置に付けるお隣の台湾との関係で、台湾に絞ってお尋ねをしてみたいと思います。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  御承知のとおりでございますが、台湾当局、去った十四日に、食品規制を更に強化をしていくということでございますね。その他の国々を見ますというと、大体規制が緩和の方向にあるんですよ。台湾だけなぜ逆方向を向いているのか。その辺、ちょっと基本的に聞いておきたいと思います。
  114. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 台湾におきましては、先ほど五県と申し上げましたけれども、震災直後に福島県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県の五県の全品目の食品の輸入を停止して現在になっておりますけれども、台湾におきまして、食品の安全性を問う事案が台湾国内で頻発しております。例えば、廃油を植物油に持ってきたり、あるいは違法なラードを使ったり添加物を使ったりということで、食の不安が非常に高まってきたと。そういった中で、日本の食品は大丈夫なのかということが起きまして、昨年の十月頃からそういう議論が行われているのは事実でございます。  そういった中で、この三月に、この停止されている五県の工場から出荷されたと思われる食品が、加工食品の場合は上に中国語のラベルを貼ることになっております。そのラベルの住所が五県以外のものである、シールをめくってみたらその停止の五県の加工食品であるという表示のいわゆる偽装ではないかという問題が発生しました。それを受けて三月二十五日に、台湾の立法院におきまして規制を強化するような決議がされたところでございます。これを受けまして今月十五日に、輸入規制強化の公告がなされまして、一か月後、三十日後にそれを施行するということでございます。  その規制の中身につきましては、現行の五県の全食品の輸入停止に加えまして、岩手県、宮城県、東京都、愛媛県の水産品、東京都、静岡県、愛知県、大阪府の茶類製品、宮城県、埼玉県、東京都の乳製品、乳幼児食品、キャンディー、ビスケット、穀類調製品については、放射性物質の検査と検査証明書の添付を義務付ける、それから五県以外の四十二都道府県の全ての食品につきましては、産地証明書の添付を義務付けるという内容でございます。
  115. 儀間光男

    ○儀間光男君 ここで問題なんですが、いわゆる規制を掛けた五県のものが、製品が、裏に別のシールを貼って出回ったと。五県のみのだったのか、日本全体のものがそうだったんですか。いわゆる、不良製品をごまかしで、疑惑の持たれる製品が流通して、それを回収させたわけでしょう。それは、台湾が規制を掛けている五県、ここの製品だったのか、農産物だったのか、あるいは日本全国から集まっていったものだったのか、その辺はどうなんですか。
  116. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 台湾当局のホームページ直近ので掲載されているのは六十一社の約三百七十品目でございます。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  ただ、それは全てがそうではございませんので、例えば誤認によるものもございますし、誤認と申しますのは、埼玉県の工場から出ているのにもかかわらずこれはおかしいじゃないかというのが出たり、禁止以外の県の問題でございます。それから、工場が例えば福島県であった、でも本社が東京都であったということで、本社の名前を書いて出回ったということもございまして、これらの状況については、台湾当局と連絡を密にしながら、例えば貿易に係る表示の問題を所管している省庁と連携しまして今調査を進めているところでございます。
  117. 儀間光男

    ○儀間光男君 このことは、政府が目指す二〇二〇年の一兆円、これに向けて大きな課題を残したなという心配が私はあるんですが、台湾を見てみますと、台湾だけで平成二十六年で八百三十七億、まあ一千億に足りないんですが、それ以前はひょっとすると一千億行っていたかも分かりませんね。そうするというと、一兆円の一〇%ですから、これ非常に重みのある取引国だと思うんです。それで、主要五か国もそうですが、その他の国も含めて、台湾に、皆さん今どういう規制の緩和をしてほしいという、どういう交渉をやっておられるのか、その辺を少し伺いたいと思います。
  118. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 先週十七日、大臣の御指示を受けまして、私自身が台湾へ行ってまいりました。その中で、まずは表示の問題と放射性物質の輸入制限の問題は別問題ではないかと。まず表示の問題は表示の問題として両国でしっかり連携して解決するということでございます。  表示の制度、台湾当局の表示の制度もいろいろありますので、その制度にのっとってどういうことになっているのかということでございますので、そこら辺はやっぱり事実関係を究明して、どういったことがあったのか、また、今後、台湾の方々に対して、真相を究明した上で、どのような再発防止策を行うのかというのは両国連携して行うということで一致したところでございます。  それで、もう一つの、先ほども申し上げました、新たに県の一部の品目輸入規制でございますけれども、検査証明と、科学的なデータ、リスク評価というものがなされないままに行われたんではないかということがございます。したがいまして、一方的に日本製品の規制を強化したのではないかということでありまして、もしこれがWTO・SPS協定に基づく輸入制限措置であるのであれば、その科学的な根拠、リスク評価書を出してくださいということで、台湾当局がそのデータを出すということで十七日は終わっていると。我々としては、そのリスク評価あるいはその結果あるいは台湾から提供されたデータをしっかりと分析した上で、これは果たして協定上の妥当なのかどうかというのを見極めてしかるべき対応をしたいという具合に考えております。
  119. 儀間光男

    ○儀間光男君 台湾の市場状況あるいは台湾の国民の一人当たりの購買力、そういうものを資料やその他、また、私、年何回か行っていてそんな調査やるんですけれども、それからすると、一番我が国が、一番と言わぬでも入りやすい市場だと思うんですね。受け入れてくれる市場だと思うんです。  ですから、そこをきちっと整理をしておってこれから信頼関係を確立して入っていかないというと、なかなかその市場回復は難しくなっておるというような雰囲気さえ向こうはあるんですね。かなりの強硬姿勢ですよ。だから、私言ったんですが、あなた方日本から日台漁業協定であれだけ水産物、マグロやカツオの恩恵を受けていて、こんな程度で、まあこれは感情論で理屈にならないんですが、そういう話もやりまして、迫っていくんですが。  だから、なかなか交渉事というのは大変厳しくて、我が国の日中、日台漁業協定などを見ると、これと本論は外れていくんですが、どうもこの交渉段階で非常な脇の甘さがかいま見えるということ等を考えると、今回のこういう問題も、国内をしっかりすると同時に、台湾ともやはり対等というか、漁業協定には見られないような対等な立場でやっていかぬというと二〇二〇年の一兆円設計にいよいよ赤信号がともってきよると、こういうふうに思って心配をいたしております。  さて、台湾は台湾でこれで見るというと、台湾の中でも、八百三十七億の中でも農産物が圧倒的に多いんですよね、六百五十八億、七八・七%を占める。あとは林産物、水産物なんですが。こういうことで、極めて農産物に頼るところが多いですから、是非ともそこをしっかりと精査をして、早めの回復をしていただきたいと、こういうふうに思います。  一兆円の中では、恐らくこの主要五か国だけじゃなしに、もっと他の多くの国々、あるいは北欧、ヨーロッパ等々もその視野に入ってのことだと思うんですが、やりやすいところから、売りやすいところから先に売ってしまおうというようなことをやらぬと、無駄なエネルギーになってしまって時間が掛かるということになるんじゃないかと思っております。  それからもう一点、放射性物質の基準。これ台湾と我が国の基準、あるいはその他の、特に中国でしたか、その他の国々との基準の差はどういう形になっているんですか。数字でお示しをいただきたいと思います。
  120. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 国際的にはコーデックス委員会が出しておりまして、これは千ベクレルになっております。台湾は三百七十、日本は百ベクレル。ただし、飲料水とかそういった飲物は十ベクレルなどとなっているところでございます。
  121. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。是非ともそういうことで、早めの貿易の回復をお願いしたいと思います。  最後に、もう最後になると思うんですが、前回取り残しておいたもの、ぶり返す感じで恐縮なんですが、質問通告してしなかったものですから、もう一度確認させていただきますが。  いろんな調査や何かで農村、農家をよく回る機会があって回るんですね。六次産業に関連しての話ししますというと、よく聞く声ですが、農家自体では六次産業もなかなか難しいということですね。企業法人とか大規模ではそれはやっていけるけれど、普通の農家ではなかなかやっていけなくて、これへどう政府が関わっていくかも問題なんですが、特にこういう農家は、収穫してみたら作物が、特に果樹なんか、規格外のものを出してしまったと。規格内のものはもちろん売れるんですが、規格外の農産物は、これ、出荷できませんね。したがって、二次加工に回るわけですが、二次加工に回す工場すらないということで、作ったわ、収穫はしたわ、余ってそれ以上食べることもできない。つまり換金はできない、そういうことから捨てる羽目に相なるというようなことなどあるんですが、この辺の現実を押さえてみると六次産業どころじゃないなというような現実にぶつかるんですよ。  そういう規格外で地域に余ったものを二次加工に回せる、こういうのも六次産業との関連で是非とも確立して御指導をいただきたいと思います。その全体像を捉えて、大臣、いかがですか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 地域の特色ある農林水産物、これを活用して六次産業化取組を推進するということは大変に大事でありますし、地方における雇用の促進を図っていく上でも大変重要であると思っております。  今先生おっしゃったように、特に経営規模の小さな農業者の皆さん地域でまとまって六次産業化に取り組むということは、雇用の場の確保、それから安定的な原料調達、今、規格外とおっしゃいましたけれども加工すれば材料としての用途は出てくる、こういうこともございますので、地域全体の波及効果が期待されます。  六次産業化ネットワーク活動交付金ということで、二十七年度予算で手当てをしておりまして、市町村等が農林漁業、商工、金融と幅広い関係者の参加を得て六次産業化の戦略構想を策定をする取組をやっていただきますと、これを支援するということ。そして、この戦略等に基づいて新商品開発、それから売り先の開拓、こういうことに取り組む場合に試作品の開発等が必要になってきます。この補助率を、通常三分の一ですが二分の一以内にかさ上げする。それから、この新商品開発を行うため市町村等によって加工機械の整備をいたしますが、これに対する補助、こういったものを、地域ぐるみの六次産業化に対する支援メニューを充実させました。  こういう措置の活用を現場で促していただきながら、なるべくせっかく作って収穫したものを捨てるということが起きないように、地域ぐるみの六次産業化を大いに推進してまいりたいと思っております。
  123. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  地域の方々、こういう方々も大変それに期待をしておって、それはまた同時に地方創生の言うまち・ひと・しごとにも影響を及ぼしていくわけですから、是非とも地方創生への農林水産物の関わり、この辺からも入っていただければと、こういうふうに思っておりまして、お願いして質問を終わります。ありがとうございました。
  124. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 失礼いたしました。  先ほどのデータでございます。五か国の平成二十二年の合計が三千五百二十一億円、平成二十六年が四千百四十三億円となっております。失礼いたしました。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私は、TPPアメリカのTPAについて今日質問いたします。  林農水大臣、今日は国会前の議員会館前に座込みの農業者団体の方々がおります。そして、ここに来ていないまでも全国で、やはりどういう思いで今、日米首脳会談に向けてその動きに対して見守っているかと、生産者の皆さんの不安な思い、あるいは怒りですね、そういうものをしっかりと受け止めていただきたいというふうに思います。  それで、日米首脳会談を前にして日米閣僚会議が半年ぶりに開かれました。昨年の日米首脳会談後に、昨年の話ですけれども甘利大臣は、重要な案件について道筋を確認したと、方程式ができたというふうに言われました。方程式というのは、関税率、猶予期間、セーフガードの発動条件、それから無関税輸入枠で構成されていると言われているわけです。方程式に沿って関税率の水準を何%にするのか、関税を下げる期間を何年にするのか、セーフガードを発動する量を何トンにするのかについて事務レベルで、閣僚間で協議が行われて、マスコミも報道しました。  甘利大臣は、今回の閣僚会議の後にマスコミから日米首脳会談の地ならしはできましたかと問われて、相当進展したことは事実だと、首脳会談で歓迎できるのではないかというふうに言われたわけです。一方、安倍総理は、日米首脳会談でアジア太平洋に新しい自由な貿易圏をつくっていこうという前向きなメッセージを出したいと言われているわけです。そうなりますと、何らかの政治決断をするのではないかというような重要な局面を迎えているというように思います。  そこで、幾つかお聞きしますけれども、まず牛肉について、関税率三八・五%を十年掛けて一〇%前後にするというのはこれおおむね日米間で了解しているけれども、セーフガードを発動する量は未決着であると。方程式でいえば、関税水準と猶予期間は了解しているということになります。豚肉についても、一キログラム当たりの最大四百八十二円の関税を五十円の従量税に切り替えることは了承しているけれども、セーフガードを発動する量は未決着ということになると。  日米首脳会談でセーフガードの量を了解するんじゃないかというふうに思いますけれども、まずちょっと澁谷議官にお聞きします。いかがですか。
  126. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 今週の月曜日、火曜日の未明まで日米の閣僚級会議が行われましたが、それまでの状況に比べれば進展と言えるかと思いますが、元々相当なお互いの乖離があったというのも事実でございますし、日米の事務レベルの交渉も、全体の進捗状況に合わせて進んだと思えば、また前のところにアメリカが立ち戻ったりということの、そういうことの繰り返しでございます。  日米の首脳会議がタイムリミットだとか合意の期限ということは全く思っていないわけでございます。日米の首脳会議で、これは安倍総理も国会で個別の交渉をするわけではないというふうに申し上げているとおりでございます。  引き続き、今御指摘のあった牛肉、豚肉等の問題も含めまして、全ては連立方程式でございますので、何かが一つだけ、あるいは単品で決まるということはない交渉をしているわけでございます。引き続き努力をしていきたいと思っております。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 今、連立方程式ができているという話、改めておっしゃいました。だから、パッケージなので、一つ一つパーツを当てはめていくということだと思うんですけれども。  それで、日米首脳会談で重要農産物の中の牛肉、豚肉で政治決着をする可能性があるわけです。これは重要な国会決議違反になるというふうに思います。アメリカからの輸入牛肉は一キログラム当たり、農水省からいただいた資料で、財務かな、もらった資料で計算すると、七百五十七円で入っていると。それが一〇%下がると六百円になるということです。国内産の卸売価格でいうと三千円ぐらいということですから、今年発効した日豪EPA、ここで安い牛肉が入ってくると卸売価格が更に下がる懸念もあると。  米国から安い牛肉が入りますと、市場価格がどんどん下がって国内の畜産産業や地域経済に影響が出るというように思うんですけれども、この点、影響試算、影響についてはどのように考えておられますか。
  128. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP交渉に正式に参加する前、一昨年でございますが、経済効果分析を行ったところでございます。ただ、そのときの効果は、関税が全て撤廃をされ、かつ対策を一切講じないという極端な仮定に基づいた一般的なマクロ経済モデルであるGTAPというモデルを使ったものでございます。  TPP合意をした後、国会で御承認の手続をいただく前には、そのTPP内容だけではなくて、効果あるいは我が国への影響等についてきちんと御説明をする必要があるというように認識しているところでございますが、TPPは関税の交渉だけではございません。関税以外にもサービスや投資の自由化、さらには、元々TPPのような多国間のFTA、多国間の経済連携協定の場合には、新たなグローバルバリューチェーンが創出されるという、そういうまさに成長戦略に資するという、そういう大きな効果を持つものでございます。  関税以外の経済効果についてはまだ発展途上のところでございますが、各国の専門家の間でこれをどのような形で分かりやすく説明できるかということの今様々な相談を行っているところでございます。こういうことも含めて、国会で御承認手続に入る前には、分かりやすい形で効果をお示しするように努力していきたいと思っております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 先ほど来議論ありましたけれども、やっぱり明らかにしていないところに非常に大きな不安の思いというのが広がっているというふうに思います。  もう一つ聞きます。米についてです。  甘利大臣は、課題として残ったのは農産品、自動車というふうに言っています。アメリカは、主食用米十七・五万トン、くず米や調製品などを含めて計二十一・五万トンを要求していると。日本は、ミニマムアクセス米の外枠で、無税枠でこの主食用米五万トン程度の特別枠を設けると提案したというふうに言われます。  つまり、アメリカの米の輸入枠を増やすことで米の税率は維持するということですね。関税率は変えないで米の輸入量は増やすと、これで聖域を守ったというふうに言えるのか。これ、農水大臣にお聞きします。いかがですか。
  130. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 米は国民の主食でございまして、最も重要な基幹的農作物であると、こういうふうに認識をしております。  今、澁谷議官からも御説明があったとおり、大変厳しい交渉が行われて、日米閣僚協議を終えてもなお米の問題も含めて依然として難しい課題が残っておりまして、まだ合意までには努力を要すると、こういうふうに聞いておりますので、これからもしっかりと決議は守られたと評価をいただけるように全力を尽くしていきたいと、同じ考えでやっていきたいと思っております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 質問に答えていませんね。関税率は変えないで米の輸入量を増やすと、これで聖域を守ったというふうに言えるんですか。言えるのか言えないのか、その辺のところをはっきりしてください。
  132. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、この場で何度もお答えをしておったことでございますが、仮定のことと内容に関わることでございます。また、農林水産委員会決議はまさに農林水産委員会決議をされておりますので、この解釈については委員会でお決めになるものと承知をしております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 なぜこのことを言うかといいますと、アメリカのUSAライス連合会、米連合会ですね、の主張は、米の関税率の撤廃じゃないんだと、質的、量的なアクセス量の改善を求めるということを言っていて、アメリカ要求はこれに沿った内容であることは明らかなんですね。ですから、やり方で、いや、関税は守っていますよということを言い訳にしてこういうことを認めるということは絶対許されないと思います。  ミニマムアクセス米は、昨日、衆議院で我が党の斉藤和子議員が明らかにしましたように、保管料などを含めて多額の税負担が伴うわけです。制度としてこれは破綻していると。まさか安倍総理は、未解決になっている自動車分野と引換えにしてこの米譲歩をすることはないでしょうねというふうに思うわけですね。関税率は維持する代わりに米の輸入は増やすという約束は決してやってはならないというふうに思うんですけれども林大臣は、関係大臣として、そういうことを、やっぱり安倍総理にそんなことを約束しないようにというふうに是非言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  134. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員会でいろんな御議論があったことは折を見てお伝えをしていきたいと思いますが、私としては、まさに先ほど申し上げたように、農林水産委員会決議、これが守られたとの評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考え、変わらずにやっていきたいと思っております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 農水大臣の立場からそのことをしっかりと総理に迫っていただきたいわけですけれども、結局そういうことを一切言われないわけですよね。  甘利大臣は、米は一粒も増やさないということは不可能だというふうに言ったわけですよ。一粒って、本当の一粒なんて思う人はいないですよね、何万トンの単位ですよ。そういうことは不可能だと、こういうふうに言っていること自体が既に聖域を崩している発言なんですね。国会決議違反だというふうに思うわけです。  米価が下落しているのに、数万トンも輸入すれば値崩れを起こすのは明らかだと。しかも、オーストラリアにも輸入枠を設けるということも報道されているわけです。ベトナムなどほかのTPP参加国にも特別枠を要求されれば、日本の主食である米生産というのは、幾ら主食だから大事だから守るといっても、致命的な打撃を受ける可能性があるわけですよ。まさに日本農業を壊して国の形を変えるような日米協議というのはやめるべきだと、TPP交渉からは直ちに撤退するべきだということを強く求めておきたいと思います。  次に、アメリカ貿易促進権限法のTPA法案についてお聞きいたします。  四月十四日の質疑のときに、澁谷議官は、TPAはアメリカ交渉している通商協定の交渉をまとめやすくするためだと、そういう意味で、本来のTPAの趣旨を踏まえた議論を期待していると述べられました。今回、四月の十六日に上院、十七日に下院に提出されたこのTPA法案はファストトラックと言われているわけですけれども、本来のTPAというふうに言えるんでしょうか。澁谷さんの御意見を伺います。
  136. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPA法案が提出をされる前にアメリカ議会において、共和党、民主党、それぞれの党の中にも賛成、反対がいるようでありますけれども、かなり厳しい激しい議論がなされたというふうに承知をしております。  TPAを賛成をされる議員、ハッチ委員長などは、先生今御指摘いただいたとおり、各交渉相手国が安心して妥結をしてくれるためにはTPAが必要なんだと、そのTPAの本来の効果を台なしにするような修正案は受け入れられないということで、そういう趣旨で交渉協議を続けてきて提出に至ったというふうに承知をしているところでございます。  今朝、上院の財政委員会日本時間の今朝も審議が行われており、私も途中までインターネットで生中継を見ていましたが、様々な修正案を一つ一つ審議をしていたわけでございます。ハッチ委員長が、この修正案を受け入れればTPPなどの交渉が台なしになってしまうといったような意見を委員長自らがおっしゃっていたというのを耳にしたわけでございます。  そういう趣旨で、まだ今後どうなるか予断を許さないわけでございますけれども、少なくとも、法案が提出をされ、かつ上院の委員会の方で採決をされたということはグッドニュースであるというふうに理解しております。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 二〇一五年、今年のですね、今回出されたTPA法案は、二〇一四年のときの法案と違って、新たに新設された項目があります。一つは、上院、下院どちらかが交渉結果に満足しなければ、このTPAの円滑な手続は取らない仕組みが入ったと。これちょっと中身も本当は聞きたいところなんですけれども、時間がないのでこれは飛ばします。この結果、交渉参加国は一度合意した内容が覆されるという懸念が残って、合意形成が困難になるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。簡潔にお願いします。
  138. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) いずれにいたしましても、一度政府間で合意した内容アメリカ議会の都合で再協議を求められても一切応じないということをこれまでも明確にしてきたところでございまして、今後もそういう態度を貫きたいと思っております。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 それが通用するかどうかという問題もありますよね。いずれにしても、日米協議で進んでいる合意が覆される可能性がある中身が今入っているということです。  それから、新たに、大統領は、実施法案等を議会に提出する三十日前までに最終協定テキストの写しなどを議会に提出するという規定と、大統領は、通商協定署名六十日前までに協定テキストをUSTRのウエブサイトで公開するという項目が入りました。これ、なぜこの項目が入ったのかということも聞きたいんですけれども、ちょっと時間がないので、次に行きます。  それと加えて、アメリカでは情報の閉鎖性が問題になって、USTRホームページ議員議員スタッフに全テキストを提供することにして、議会にはウエブサイトで一般の人にテキストを公開する法案が出されているわけですね。  日本政府は縛りがあると言ってきました。アメリカは、縛り、きつい結びは解くと、言ってみればそういうことですよ。秘密保持契約というのは実質的に、これ今アメリカ状況を見ていますと、無効にする状況が進んでいるんじゃありませんか、いかがですか。これ、農水大臣に聞こうかな。
  140. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 情報保持については、せっかく澁谷議官がいらっしゃいますので、政府全体として、内閣のこのTPP本部の下でしっかりと我々は対応していきたいと思っております。
  141. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 十二か国でそれぞれ、この対外的な情報提供をどういう形で行うか、相当これは、定期的にと言っていいぐらい、お互い情報交換をしております。アメリカも含めて、どういう形で対応しているか、あるいは、これからこういう対応をしようと思うんだけれどもどうだろうかという相談も含めて情報交換をしているところでございます。  ただ、それはお互いにその内容を外に言わないという前提情報共有をしておりますが、各国の取り組んでいる事例も参考にしながら、我が国として引き続き一層の透明性向上に努力していきたいと思っております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 TPPのテキストの公開を求めても、これまで日本でいいますと、日本秘密保持契約があるんだと、これを錦の御旗にしてテキストの公開を拒んできたわけです。他国の情報を収集するとか、この間は運用に悩んでいるんだということをおっしゃってきましたけれども、そういうことを言わないで、今回のこのTPA、ウエブサイトで公開すると、もう一般に公開するということになってきているわけですから、アメリカ並みに日本もテキストの公開を検討すべきではありませんか。いかがですか。
  143. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 今アメリカで審議されている新TPA法案では、これは署名の六十日前にテキストをウエブサイトにと、パブリッシュということであります。  様々な節目があります。まず大筋合意を仮にした場合に、その時点でどういう情報提供をするか、これも十二か国で相談しながらやろうということになっております。署名が近くなり、交渉テキストが確定した場合にどういう対応をするかということも、今後十二か国と相談しながらやっていきたいと思っております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 相談ということを言うんですけれども、やっぱりこの場に及んで、まともに国民の暮らしや日本経済に大きな関わりが出てくる問題について情報公開もしないで、農産物の聖域も守らないような、こういう日米協議については直ちにやめてTPPからの撤退をすべきだと、それしかないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  145. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会、山田太郎でございます。  トリになりましたので、気合を入れて少し元気にやっていきたいというふうに思っておりますけれども。  まさに今日はTPPデーになりました。私も元々はTPP推進のような立場で発言はしてまいりましたが、ここまで情報が出ないと、いかがなものかなというふうにちょっと揺れているところでもありまして、我々の党会派の中でもいろんな議論が起こっております。これは是非、政府の方もしっかりやっていただきたいと。数少ない、野党の中でTPPを元々推奨というか、をしていたところも危ういということだけは知っておいていただきたいというところをまず発言しておきたいと思います。  さて、引き続きなんですが、食料農業農村基本計画TPPが外圧というか外からのことであれば、内部の日本農業は今後どうなっていくのか。極めて大事な計画が作られ、これから五年間走っていくということなんですが、済みません、相も変わらず、例の一人十ヘクタールという辺り、なかなか内容が片付いておりませんで、ちょっとこの辺り重要なところでございます、これがしっかり確定しないと、何人そもそも農業就業者が必要なのか、本当にできるのか、いろんなことが前に進まないというふうに思っていますので、この辺りを今日少し中心に質疑をやっていきたいと思いますが。  お手元の方に資料を配らせていただきました。これは基本計画の中からも抜粋されているものでもありますが、左側の、担い手が生産する面積は、全体の八割、基本計画の方では三百万ヘクタールと書いてありますが、きちっと計算をすると二百九十四万ヘクタールということで資料をいただいております。ポイントは、まさに一人が十ヘクタール程度を耕作すると仮定して三十万人要ると。この辺りが問題だということをちょっと前回からもやらせていただいているんですが。  それに対して、また農林水産省さんから資料はいただきました。資料はいただいたんですが、決して内容が納得しているわけではないんですが、そのいただいた資料が二枚目の資料になります。見ていただきたいと思います。  農林水産省さんの御説明では、まずこの資料に基づいて、なぜ一人十ヘクタールできるのかということに関しては、この色を付けたところですね、法人経営、これちょっと見方が難しいんですけれども、一人当たり経営耕作地面積十ヘクタール以上とか七ヘクタール以上と書いてありますが、その下をずっとたどっていってもらいますと、十ヘクタール以上、法人経営のところ、括弧して四三%と、面積にするとカバー率は八割だと、こういうふうに書いてある。つまり、こうであるからこそ、要は十ヘクタールを一人でできるんだと、こういうことを根拠とされているんですが、では、まずちょっとここからお聞きしたいんですが、主業農家も何も含めて全部法人経営経営体として、これから担い手ですね、全部やっていけということなのかどうか。まさにここが、一人十ヘクタールできるということは、法人経営の部分でそういう計算になりますので、まずこの辺り、ちょっと事実というか、どういう意味なのか知りたいと思いますので、御答弁いただけますでしょうか。
  146. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 全ての農業経営が法人経営にならなければいけないということでは、必ずしもございません。  今先生から御指摘ございましたこの資料、二枚目のところでございますけれども、これは平成二十二年の農林業センサス、これを組み替える形で集計をしているものでございます。これを見ていただきましても、下の方の段は法人経営のものでございますが、上の方の主業農家、これは家族経営でやっていらっしゃるところでございます。こちらにつきましても十ヘクタール以上の階層というのはそれなりにいらっしゃるわけでございまして、それぞれの経営体ができるだけ規模拡大、それから農地についてはまとまった面積を使うようにいろんな改革もこれからしていく、その手助けのための農地中間管理機構もできているわけでございます。  それぞれの経営体におきましても、できるだけコストを削減するための工夫は当然やっていくことになります。そのため、できるだけ少ない労力で、機械もできるだけ少なくして、できるだけ大きい面積をやるように工夫をするということも必要なことでございまして、先ほど御指摘いただきましたこの一枚目の資料の中に、一人が十ヘクタール程度を耕作すると仮定してと書いてございますけれども、この資料につきましては、今回基本計画の策定に際しまして、食料農業・農村政策審議会の方でもこの資料をお出しをしていろいろ意見交換もしていただきましたが、これにつきまして、特にこれが実現不可能であるとかそういった御意見は特に出ていないというふうに我々は考えております。  したがいまして、法人だけではなくて家族経営含めて、これからできるだけ省力化をして規模を拡大して集約化をしてやっていただくと、こういう前提で計算をしております。
  147. 山田太郎

    山田太郎君 私は、今の発言非常に驚きだと思うんですが、例えば上の主業農家のところを見ていただきたいんですが、中位の計算になると、大体まず十ヘクタールで主業農家はどれぐらいかと、八%だと言っているんですよ、上位、これ八%、しかも百十八経営体数のサンプルがあるということだけでやれるんだということはちょっとどうかなと。中位の数字を見てみますと、もう面積からいくと、多分五から七ヘクタールぐらいの間が、主業農家だったとしても中心に今なるんじゃないかな。そうすると六なのか七以下なのかと、こういうことになると思うんですけれども。もう一つ、先ほど馬場先生の方からもお話ありました、熊本でくしくも十五ヘクタール以上やっているイメージというのは四万から五万戸の農家の中のたった二十一戸なんだよと、こういうことをおっしゃっていました。それは戸数でありますので、一人当たりに直しますと、常雇いというふうにこれ書いてあるということは一人以上、二人でやっているとなれば、当然、熊本のケースでいったら七・五ヘクタール一人当たりで二十一戸しかないと、こういうふうにもなりかねないわけなんですよね。  そういう、感覚的に言っても私は、現場で、私も棚田いろいろやらせていただいたりしているんですけれども、十ヘクタールというのは相当大きいところでありまして、本当にできるのかもう一度お伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  148. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 確かに現状で見たときに、家族経営で、特に土地利用型農業をやっていらっしゃる方のところが全てが十ヘクタールを一人当たりやっているという、こういう状態ではないというふうに思っております。  ですが、今回の基本計画に関連しまして、この構造展望も出しておりまして、その中で労働力の見通しも出しているわけですが、これは基本的に十年後、平成三十七年、これを一つの目標にしまして、その時点でのこの労働力の趨勢での見通しと、それからそれに政策的な支援をしたときに少しシフトする見通しと、この二つを出しているわけでございます。  したがって、十年後に向けてどういうふうにしていくかということで物事を考えているわけでございますので、現在の時点でほとんどの農家の方が一人当たり十ヘクタールやるという認識をしているわけではございません。いろんな政策を推進することによってそういう状態を十年間の間に実現をしていくと、こういう考え方で計算をしているということでございます。
  149. 山田太郎

    山田太郎君 今の発言も驚きなんですね。というのは、平均一人当たりが十ヘクタールということで三十万人をはじき出しているわけですよ。それによって毎年何人ぐらいの新規就農者が必要かということを出しているわけですから、この資料によれば一人平均、平成三十七年までに、あるいはそれに向かって、まさに一人十ヘクタールやっていないとこの計画そのものの屋台骨が崩れてしまうということになると思うんですよね。確実に実行ができるからこそ、大事なことは、一人十ヘクタールをやるということよりも、これは何人必要かということを計算しているんですが、仮に五ヘクタールになりますと、例えば次にもちょっとカラフルなポンチ絵を入れさせていただきましたが、もう圧倒的に数が増えてしまって、三十万人どころか六十万人、トータルでは施設含めて百二十万人の就業者が必要という計算に一気になってしまうわけであります。  そうなってくると、政策的に何をやっていかなければいけないのか、もしかしたら諦めなきゃいけないことも出てくるということになりますが、こんなに非常に楽観的というか、どう考えても達成できそうにないものをやって現場に無理強いをするということが本当に日本農業のためになるのか、もっと現実的な達成できそうな、今回、農林水産省さんは多分達成できそうなことということで自給率ももしかしたら下げたのかもしれませんけれども、明らかにやれる数字をしっかりと作った上で政策を立てていくということが本筋なんではないかなというふうに思っています。  あともう一つ、そのことでこの資料のベースについてもお伺いしたいんです、この資料というのは二枚目の資料なんですけれども。  これ、全部足し上げると、そもそも経営耕地面積は農業センサスによりますと三百六十三万ヘクタールあるんですけれども、実際は主業農家が七千ヘクタール、それから法人経営の耕地面積の方は一万四千七百七十ヘクタールというふうにしかなりません。これ、足し算すると二万一千八百三十三ヘクタールなんですが、この三百六十三万という分母に対してたったの〇・六しかサンプルとして挙げていないんですね。この中から、例えば一人当たり十ヘクタールというふうに算定されているというのは一体どういうことなのかと。ちょっとそれについても無理があるんじゃないかなと。  そういう意味で、この資料に関しては、そもそも主業農家はこの経営体数に対して何人なのか、法人経営はこの経営体数に対して何人なのかということを何度も何度もずっとお伺いしました。なぜならば、一人当たりの耕地面積を出すためには、必ずその分母である人数が必要だからです。  いわゆるこれまで農林水産省さんでは、一戸当たりだとか経営体ということで計算してしまって、その中には二人いたり三人いたりということなんですが、一体その辺りの数字はどうして集計できないのか、今日に至っても出していただけないのか、その辺りも教えていただけないでしょうか。
  150. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 先生から資料要求いただいていることは十分認識をしておりまして、うちの方でも作業を進めているところでございます。  この資料につきましては、平成二十二年の農林業センサスで取った資料について組替え集計をしているものでございます。五年に一回このセンサスをやっておりますけれども、そのたびごとに集計して公表されているデータはいろいろございますが、こういう形で集計して公表しているものはないわけでございまして、まさにこの目的のために特別に組み替えて集計をして、この数字は取りあえず今回の基本計画の際に準備をしたというものでございますが、先生から御指摘ございましたこの就業者の数ですとかそういったものは、もう一回きちんと組替え集計をやってはじきませんと、外にお出しできる状態のものになりません。  そういう意味で、今鋭意これにつきましては作業させていただいていると、こういうことでございます。
  151. 山田太郎

    山田太郎君 それも不思議なんですけど、一人当たり経営耕地面積と書いているわけですから、分母で割った人数って持っていなかったらこれ出ないと思うんですよ。何か非常に、何か政策的なことを内部で決めなきゃいけないので、何人かの方の議論が必要でなかなか出せないんですということなら納得はできるんですけど、たかだか数字というか、しかも、このまさに基本計画のベースになる、何人本当に就業者がこれから必要なのか、それを考え意味におけるその一人当たり十ヘクタールをはじき出したところの分母の人数が、実は組み替えなきゃ分からないというよりも、ただ足した、今まで何のデータを使って何人だったかというものを素直に出していただければというふうに思っているわけであります。  そんなことをまた質疑の中でいろいろレクでやったら、要は、新たなデータの組替えに時間を要するとか、当省としては確認をするために関係者の合意を得る手続が必要だと。現場からは十個の判こがないと出せないのでなかなか時間も掛かりますというようなこともはっきり言われたんですけれども、実際、農水省さんはそんな仕事の仕方をしているんでしょうか。これは農林水産大臣に聞きたいんですが、いかがですか。
  152. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 資料要求は昨日いただいたというふうに私は報告を受けておりますので、今局長からお話がありましたように、お茶を飲みながら二人で話をするときの話ではなくて、責任を持って、後世にまで議事録として残るという前提でしっかりしたものを作る時間が必要だと、そういう趣旨を局長から述べたものと、こう考えております。
  153. 山田太郎

    山田太郎君 もし局長がそういうふうに言ったら、うそでございます。  まず、この資料自身は四月の二十日に実はもらいまして、その場で、これの分母の人数が分からないということをきちっと要求しております。  もう一つは、元々この話は、前回のこの委員会のところでもやらせていただいたので御記憶の方もあるかもしれませんが、そもそもなぜ一人十ヘクタールかということに関する質問は、四月の十五日に既に農水省さんに対してはレクの要求をして、その人数のベースを要求しているんですね。それを、じゃ、実は局長の方は、大臣に、これは昨日その人数について要求されたんだということを本当に内部では報告したと、こういうことなんですか。ちょっとその事実関係を教えてください。
  154. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 資料要求につきまして、前回の御質問のときからいろいろな経緯があったというふうには認識をしております。  ですけれども、これまでもすぐには組み替えたデータは出せないということは何度もお話をしていると思っておりまして、作業は鋭意やっておりますので、これにつきましては、集計がきちんとでき次第、先生にお示しをしたいと思っております。
  155. 山田太郎

    山田太郎君 ごめんなさい、何をどう組み替えるのかさっぱり分からないので、単に主業農家、法人経営のその分母である人数というのは分かっているはずだと思いますので、それを多分出していただければ。もしかしたら、うがった見方をすると、一戸当たりとか経営当たりというデータしか元々基本データがなくて、実は出せないんじゃないかなというふうにも思ってたりするんですけれども、ちょっとその辺りは、そうしたらそれは待ちますので、急いで出していただきたいというふうに思っています。  もう一つ大事なことは、本当に十ヘクタールやっていく、十ヘクタール確かにやらないと耕地を維持できないということも分かります。分かるんですが、本当にできるのかな、やるためには何をしなければいけないのか、こんなことも考える必要があるかと思います。  今日参加の方々、皆さん専門の方々ですので、大体どれぐらいの日本は一人当たりあるいは耕しているかということはもう御理解いただいていると思うんですけれども、改めてもう一度復習の意味でも確認させていただきますと、例えば日本全国平均で大体二・二ヘクタール、しかもこれは一戸当たりなんですね、一経営体と言った方がいいのかもしれませんが。北海道は大きいといっても二十三・五ヘクタールでありまして、これも一人当たりではなくて一経営体。二十三ヘクタールだと大体三人から四人以上やっていらっしゃるのが普通の形態でありますので、どう考えても前回実は出していただいた担い手の数と担い手の耕作面積を割り算した七・一ヘクタールというのがどうも何となく、一つ根拠としては正しそうだと思ったんですが、それも一人当たりではなくて戸数だったので、担い手の現状の数字も農水省さんに出していただいたら、一担い手当たり七・一ヘクタールだということでありまして、これも二人でやっていたら三・幾つとかという数字になっちゃうわけですよね。  ここから突然やれ三倍だとか四倍だということを、しかも十年掛けてではありません。十年掛けていわゆる連続的に伸ばしていったとすると、実はどんどんどんどん今農業人口が減ってしまいますので、とてもじゃないけど三百万ヘクタールを維持するということができなくなってしまうわけですよね。  そういった意味で、仮に、じゃ一人十ヘクタールやらにゃいかぬということを農水省さん腹くくられたとするのであれば、その施策は何なのか、その辺りも教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  156. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 十ヘクタールをやらなければいけないと、そういう話ではございませんが、個々の農家生産性を高めてコストを下げながらやっぱり仕事していくのは当然のことだというふうに思っております。  先生、七・一ヘクタールという数字を言われましたけれども、これ認定農業者の数で認定農業者が耕作している経営耕地面積を割ったときの数字が七・一でございます。この認定農家の中には、土地利用型のものとそうでないものと全部含んでいるということもございますので、特に土地利用型農業については、ある程度の面積がありませんと所得の面でも生活ができる水準になかなかなってこないということもございます。  兼業でやっている場合には別ですけれども、専業で、土地利用型でやって所得を上げて生活をしていこうと思えば、これまでの米価水準米価水準は年によって変わりますが、十ヘクタールを米を耕作して、所得、要するに売上げから物財費で払ったものを引いたものですね、これで残るのがどのくらいかといいますと、大体平均で四百万前後という形だと思います。若い方が農業を、特に米の農業をやっぱりこれからもやっていこうと、魅力を持ってやるためにはこのぐらいは一つのめどにしてやっぱりやっていく必要もあるというふうに考えております。  それから、これはもう耕作の仕方、営農類型によってどのくらいの面積をやれるかということはかなり違っておりますけれども、例えばこれは、おととし、二十五年に農林水産祭で天皇賞を受賞された経営体のケースですけれども、例えば品種を一つの品種ではなくて複数の品種を組み合わせる、作付けの時期ですとか収穫の時期が相当違うものを組み合わせて植えていく。長い期間にわたって田植もできるし、収穫もできるといったことをやっているケースでは、農業機械一そろいだけしか持たない形で百ヘクタール近くのものを耕作をしているというケースもございます。  こういった工夫も含めて、やっぱりコストを下げる、それからできるだけ大きい面積をやっていく工夫は必要だというふうに考えております。
  157. 山田太郎

    山田太郎君 いや、私、成功すればそれでよかったねという話をしているので、決して何か、こう言われると、農水省さんはすぐ責められているように思われちゃうんですけど、そうじゃなくて、具体的にしていかなければ達成できませんし、この三百万ヘクタール、八割担い手というのは最大の、今回のもう農業の大転換の政策のはずだと思うんですよ。だから、やる必要がないみたいなことを言われちゃうと、じゃやらなくていいんですかとなると、三百万ヘクタールは維持できないということになってしまいます。  私、それの決定打がもしかしたら農地中間管理機構なんじゃないかなと、こういうふうにも思っていたんですが、農地中間管理機構の方には、実は、集約して一人当たりがどれぐらいやるかということの特に目標は持っていないんですね。ただ、ポンチ絵的にあるのは、三十アール区画ぐらいを大体一ヘクタールぐらいにいわゆる集約していきましょうというものが実際のケースとしてイメージされているだけなんであって、中間管理機構のあの規模を少しつくっていこうと、集約していこうという計画の中にあっても、ちょっと十ヘクタールなんという数字は、とてもじゃないけれども政策的に出ているとは思えないわけであります。  レクの方でも、一人十ヘクタールを日本が本当にやるためにいい施策、政策があるのであれば、それはお金を掛けて優先順位を上げていけばいいというふうに思ったんですが、いや、様々なメニューがございましてということで、特に十ヘクタールをやるための政策とか施策が今具体的にあるわけじゃないと、個々にそれぞれあるんですと、こういうふうに言われてしまったんですけれども。  もう一度、大事なところですから、一人十ヘクタールはやらなくていいのか、あるいはやらねばならぬものか。そうでなければ、この中間管理機構を含めて八割を担い手に維持していく、それから、日本の三百万ヘクタール、いわゆる土地利用型のところについては維持していく、こういうものの話が全部崩れてしまって、この計画そのものももしかしたら作り直しなんじゃないのというところまで行っちゃうと思うんですが、御答弁いただけないですか。
  158. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) この担い手の数の話と、それから農業就業者の作業する人の話とは、これちょっと分けて考えなければいけないというふうに思っております。  農地の中間管理機構を使って農地を集積、集約化するという話は、まず、これは経営体、担い手の経営者の話でございます。経営としては、そこの従業員の方がたくさんいらっしゃれば、その経営体の経営面積を大きくすることは、これはいろいろ可能でございますので、いろんな規模があっていいと思っておりますし、できるだけ規模を拡大していただいて、しかも農地がまとまった形で使えるようにしていくということが必要だというふうに考えております。そのための手法として農地の中間管理機構も整備をしていただいたわけでございますので、これを早く軌道に乗せてやっていくということでございます。  その話と、規模をそうやって拡大した、あるいは集約化したとして、農作業をする方、この人数、これがどのくらい要るかというのを計算したのが農業労働力の見通しというものでございます。ここのところはやっぱりちょっと区別をして考えなきゃいけないと思っておりますけれども、土地利用型の米の作業のような場合には、今、法人経営でやっているような農家の方におかれましても、いろいろ工夫をしていけば、一人当たりで機械でもって十ヘクタールぐらいはできるというふうに思っておられる方々がかなりいらっしゃるというふうに我々思っております。実際、審議会の過程でも、この数字をお出しをして、特にこれについての異論はございませんでしたので、そういうものというふうに我々認識をしているということでございます。
  159. 山田太郎

    山田太郎君 時間になってしまいましたので、ちょっとらちが明かなかったんですが、引き続き、これの根拠は集計して組み替えて出していただけるということなんで、またそれを伺ってやりたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  160. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三分散会