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政府特別補佐人(
田中俊一君)
原子力規制委員会委員長の
田中俊一でございます。
参議院
東日本大震災復興及び
原子力問題特別委員会における御審議に先立ち、
原子力規制委員会の
活動状況について御
説明申し上げます。
第一に、原子力規制行政に対する信頼の
確保に向けた取組について申し上げます。
原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて人と
環境を守るという使命を果たすため、科学的・技術的見地から、公正中立に、かつ独立して意思決定を行うこと、その際、多様な意見を聞くことによって独善的にならないように留意すること、形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求すること、規制に関わる情報の開示を徹底し、透明性を
確保すること等を組織理念として様々な
政策課題に取り組んでおります。
例えば、九州電力川内原子力発電所の原子炉設置変更許可後には、鹿児島県内の市町で開催された
住民説明会に
出席し、審査結果の
説明を行いました。また、安全性向上に関する取組の促進等を図るため、昨年十月以降、九州電力を皮切りに、これまでに合計六社の原子力事業者の経営責任者と意見交換を行いました。
このほか、
原子力規制委員会は、原子力規制の向上のため、国際原子力機関(IAEA)等の各種
委員会に参加するとともに、IAEAの総合規制
評価サービス(IRRS)の受入れを進めています。また、国際原子力規制者会議(INRA)、日中韓上級規制者会合(TRM)等へ参加し、さらに、国際アドバイザーとの意見交換等を通じ、原子力規制に関する経験や知見を積極的に取り入れるよう努めております。
第二に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な
実施について申し上げます。
東京電力
福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ制定された新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉については十一の事業者から二十四基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等については八つの事業者から十九の施設に係る申請が出されており、順次審査を進めております。
このうち、九州電力川内原子力発電所一号炉、二号炉に対しては昨年九月十日付けで設置変更許可を行うとともに、三月十八日付けで一号炉に係る
工事計画を認可し、使用前検査を開始いたしました。また、関西電力高浜発電所三号炉、四号炉に対しては二月十二日付けで設置変更許可を行いました。引き続き、これらの原子炉に関する審査、検査を進めております。
また、旧原子力安全・保安院での
検討において発電所敷地内の破砕帯の追加
調査が必要とされた発電所について、関係学会から推薦を受けた有識者で構成する会合を開催し、現地
調査と
評価を
実施しています。
第三に、東京電力
福島第一原子力発電所の
廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。
原子力規制委員会としては、
福島第一原子力発電所の早期かつ安全な
廃炉や汚染水対策の
実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視、指導を行うとともに、周辺
地域のモニタリングに取り組んでおります。引き続き、東京電力の
対応状況について必要な指導や助言を行ってまいります。
また、安全上の観点からの優先順位を明確にし、完了した
措置と引き続き対策が必要な
措置が分かるようにするための「中期的リスクの低減目標マップ(
平成二十七年二月版)」を決定いたしました。今後、当該マップを定期的に見直し、目標の達成
状況の
評価を行います。
第四に、原子力の安全
確保に向けた技術、人材の基盤の構築について申し上げます。
原子力規制委員会では、
世界で最も高いレベルの原子力規制を
実現するため、科学的・技術的知見を蓄積していくこととしており、国内外の
研究機関と
連携した安全
研究を
実施しています。
また、実効ある原子力規制を遂行するため、新規採用に加えて、実務経験者の採用を随時
実施するとともに、「
原子力規制委員会職員の人材育成の基本方針」を昨年六月に決定し、職員の力量向上に向け、知識管理、技術伝承の取組や研修用プラントシミュレーターの
整備等を開始いたしました。
第五に、核セキュリティー対策の強化について申し上げます。
原子力規制委員会は、本年一月、自らの核セキュリティー文化の醸成のための活動に関する行動指針を決定しました。今後、この指針に基づき行動することにより、我が国の核セキュリティー文化の醸成に寄与してまいります。
また、国際的要請への
対応として、本年二月、IAEA国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションを受け入れました。今後示される正式報告書の勧告事項や助言事項について適切な
措置を講じます。
最後に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実について申し上げます。
原子力規制委員会では、
平成二十四年、原子力災害対策特別
措置法に基づき原子力災害対策指針を策定し、その充実に努めており、昨年十月以降、東京電力
福島第一原子力発電所に係る原子力災害対策等について
検討を行い、当該指針を
改正することとしました。
また、地方放射線モニタリング対策官事務所の新設等により、緊急時モニタリング体制の充実強化を行うとともに、
福島第一原子力発電所事故後の
対応として、総合モニタリング
計画に基づき、
福島県を中心に陸域、海域の放射線モニタリングを着実に
実施し、国内外に分かりやすく情報提供しています。
以上、
原子力規制委員会の
活動状況について御
説明いたしました。
我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。
原子力規制委員会では、与えられた職責を踏まえ、真の安全文化を構築し、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしく
お願い申し上げます。