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参考人の出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査 (会議録情報)
平成二十七年三月四日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
順三
君 理 事 高橋
克法
君 中西 祐介君 松山 政司君
西村まさみ
君
安井美沙子
君 杉
久武
君 委 員 赤石 清美君 石井 準一君 大家 敏志君
大沼みずほ
君 木村 義雄君 島村 大君 伊達 忠一君 藤川 政人君 丸川 珠代君 水落 敏栄君 石橋
通宏
君 小川 敏夫君
津田弥太郎
君 長浜 博行君 藤末 健三君 石川
博崇
君 小野 次郎君
辰巳孝太郎
君 山田 太郎君 中野 正志君 又市
征治
君 谷 亮子君 荒井 広幸君
参考人
慶應義塾
大学
名
誉教授
公益財団法人世
界平和研究所特
任研究顧問
ODA大綱
見直 しに関する有識
者懇談会座長
薬師寺泰蔵
君
立教大学大学院
21
世紀社会デザ
イン研究科教授
特定
非
営利活動
法人難民
を助け る
会理事長
長 有
紀枝
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
政府開発援助等
に関する
調査
(
開発協力大綱
の下での
我が国ODA等
の在り 方に関する件) ─────────────
kokalog - 国会議事録検索
2015-03-04 第189回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
公式Web版
参考人の出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査 (会議録情報)
0
平成二十七年三月四日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
順三
君 理 事 高橋
克法
君 中西 祐介君 松山 政司君
西村まさみ
君
安井美沙子
君 杉
久武
君 委 員 赤石 清美君 石井 準一君 大家 敏志君
大沼みずほ
君 木村 義雄君 島村 大君 伊達 忠一君 藤川 政人君 丸川 珠代君 水落 敏栄君 石橋
通宏
君 小川 敏夫君
津田弥太郎
君 長浜 博行君 藤末 健三君 石川
博崇
君 小野 次郎君
辰巳孝太郎
君 山田 太郎君 中野 正志君 又市
征治
君 谷 亮子君 荒井 広幸君
参考人
慶應義塾
大学
名
誉教授
公益財団法人世
界平和研究所特
任研究顧問
ODA大綱
見直 しに関する有識
者懇談会座長
薬師寺泰蔵
君
立教大学大学院
21
世紀社会デザ
イン研究科教授
特定
非
営利活動
法人難民
を助け る
会理事長
長 有
紀枝
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
政府開発援助等
に関する
調査
(
開発協力大綱
の下での
我が国ODA等
の在り 方に関する件) ─────────────
委員長(山本順三君)(山本順三)
1
○
委員長
(
山本順三
君) ただいまから
政府開発援助等
に関する
特別委員会
を開会いたします。
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
政府開発援助等
に関する
調査
のため、本日の
委員会
に
慶應義塾大学名誉教授
・
公益財団法人世界平和研究所特任研究顧問
・
ODA大綱見直し
に関する
有識者懇談会座長薬師寺泰蔵
君及び
立教大学大学院
21
世紀社会デザイン研究科教授
・
特定
非
営利活動法人難民
を助ける
会理事長
長有紀枝
君を
参考人
として
出席
を求め、その
意見
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
委員長(山本順三君)(山本順三)
2
○
委員長
(
山本順三
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
委員長(山本順三君)(山本順三)
3
○
委員長
(
山本順三
君)
政府開発援助等
に関する
調査
のうち、
開発協力大綱
の下での
我が国ODA等
の在り方に関する件を議題とし、
参考人
の
方々
から御
意見
を伺います。 この際、
参考人
の
方々
に
一言
御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ本
委員会
に御
出席
賜りまして、誠にありがとうございました。 皆様から忌憚のない御
意見
をお述べいただき、今後の
調査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず、
薬師寺参考人
及び長
参考人
からお一人十五分程度御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの質疑にお答え願いたいと存じます。 御
発言
の際は、その都度
委員長
の指名を受けてからお願いいたします。 なお、御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
薬師寺参考人
にお願いいたします。
薬師寺参考人
。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
4
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) ありがとうございました。 私の
レジュメ
がお配りしてあると思いますので、それに沿って
お話
をしたいと思います。 二〇〇三年から二〇〇九年まで、
国会同意人事
をいただきまして、
総合科学技術会議
の
常勤議員
を六年務めさせていただきました。その間に
科学技術外交
という
プログラム
を二〇〇八年に作りました。
科学技術外交
というのは、
ODA
の
お金
とそれから
科学技術プログラム
、
科学技術振興費
の
お金
を使いまして、
開発途上国
に対して
日本
の
科学者
と
開発途上国
の
科学者
が対等の位置付けで
プロジェクト
をやるという
プログラム
でございます。現在まで八十七
プロジェクト
が走って終わっております。四十一か国、アジア、それから
アフリカ
、中南米を含めて、そういう
プログラム
を作り上げました。 それで、今
委員長
から御紹介ありましたように、
ODA
の
大綱見直し
ということで
座長
を務めさせていただきました。その中で、
ODA
というのは、全然、
科学技術外交プログラム
を作りました
関係
で知らないわけではなかったんですけど、初めてそういう分野に
国際政治学者
として
座長
を務めさせていただきました。 三月から六月まで、昨年、大体三か月にわたりまして非常に綿密な
議論
をいたしまして、
有識者懇談会報告書
を
岸田外務大臣
に提出したわけでございます。
資料
の中に入っております。 この我々の
報告書
を
ベース
にして、全く同じではありませんけれども、新しい新
大綱
は名前を
開発協力大綱
というふうにしまして、我々の中でもそういう
議論
をして、そして
有識者懇談会
の重要な提言を十分に反映しているというふうに思います。そして、新たな
時代
にふさわしい
政策文書
であるというふうに私は思っております。
開発協力
の
目的
というのはこの中で非常に明確になっておりまして、やはりそれは
国際社会
への
貢献
でございます。そして、
国際社会
への
貢献
は
国益
につながるということでございます。
国益
の
議論
は様々な
議論
をマスコミでいただいておりますけれども、これは
先生方御存じ
のように、
憲法
の
前文
にこういう文章があります。これは、
ODA
に関する基本的な
考え方
がありますので簡単に読まさせていただきますけれども、平和を愛する諸
国民
の、いわゆる信義といいますけれども、
グッドウイル
に、
ベース
にして、我々
日本
は国の
存立
を得て、そしてそれを維持するということができると。ですから、
国際社会
における諸
国民
の
グッドウイル
によって我々は
存立
をしているんだと、そういうことでございます。そして、平和を維持し、専制と隷従、それから圧迫と偏狭を地上からなくすという高い理想の中で、我々
日本
は名誉ある地位を占めたいと思う。これが
ODA
の基本的な考えでございます。 それは、ですから、我々の
存立
というようなものが、やはり
国民
が
ベース
になっている
日本国
にとっての非常に重要な
インタレスト
だと、こういう
意味
で
国益
という
言葉
を使っております。そういう
議論
を我々の中でやりました。
開発協力
の
理念
というのはきちんと明確化する必要があります。
我が国
は
イギリス連邦
が行っていたコロンボ・プランに参画して、そしてそれから六十年、ちょうど昨年でございますが還暦に当たって、そしてその中で、
先生方御存じ
のように、一九七八年の
衆議院外務委員会
の
議決
と、それから八一年の
衆議院外務委員会
の
議決
、それから最初の
ODA
をつくりました
宮澤内閣
の第一回の一九九二年の
ODA
の中にもきちんと書いております。それは、
環境
と
開発
を両立させること、それから、
軍事的用途
及び
国際紛争
に使ってはいけないということでございます。そして、平和の安定を我々は目指すのであると、それから、いわゆるミサイルとか
大量殺りく兵器
を造っている
国々
には
ODA
は絶対に出さない。これがいわゆる四
原則
ということでございまして、その四
原則
はきちんと守るということでございます。 そして、やはり
協働
、今までは上から
援助
をするという
考え方
が強うございましたけれども、やはりこの我々の
議論
の中できちんと
議論
したのは、
協働
、共に働いていくんだと、そういうような、
科学技術外交
でも対等という
言葉
を使いましたけれども、その対等という
議論
が非常に重要だというふうに思います。 それから、
人間
の
安全保障
。これは、やはり
憲法
の
前文
に書いていますように、ティラニーとか
圧制
とか、そういうものに虐げられている
人々
を我々は助けていくんだと。こういう
議論
として、我々は、
国際社会
が
議論
をしている中で、いわゆるそういう
人たち
を、失われて外されている
人たち
をインクルードする
包摂性
、それからもう
一つ
、
環境
でございますから
環境
と、
発展
ですからサステナビリティー、
持続可能性
、それからレジリエンス、やはり経済的、それから
災害
、洪水、そういうようなものに対して我々はきちんとした対応をしていく、この
三つ
の
考え方
を出しました。 そして、質の高い
成長
というのは、この
三つ
の
議論
、
包摂性
、いわゆる
持続可能性
、
強靱性
、それが入っているのが質の高い、いわゆる漠然とした質の高い
成長
ではございません、そういう質の高い
成長
を、ポスト二〇一五の
国連
の中の
議論
でもやっているように、我々も同じような
考え方
をして、そしていわゆる
人間
の
安全保障
というようなものをきちんとやっていく。それが普遍的な価値の共有、平和な安全な
社会
の
構築
、それが
日本
の、やはり我々の
インタレスト
ということでございます。ですから、漠然とした
国益
という
議論
をしているわけではなくて、きちんとその
議論
をロジックに
展開
をしてまいりました。 そして、この
ODA
というのは、
先生方
、
是非予算
を増やしていただきたいんですけれども、限られている。そのために、
ODA
というのは、基本的な
必要条件
ですけれども、それで
十分条件
ではない。ですから、
触媒論
を使いまして、
触媒論
を
議論
して、いろいろな
民間
の
資金
が
世界
の中にある、それから
NGO
とかCSOとか
社会
的なことをやっている
方々
とか、長さんのように
難民
のことをやっている
人たち
、そういう
人たち
と
パートナーシップ
をつくらなければいけない、基本的、それで
十分条件
に近づいていくと、こういう
議論
でございます。
民間資金
それから
官民連携
、
自治体
、いわゆる
日本
の
自治体
も入っていただきたい、それから
中小企業
を含めた
経済界
の
人々
も入っていただきたい。そういう点で
触媒論
という
議論
を
展開
をいたしました。
触媒論
というのは、妙な
言葉
でございますが、結局
パートナーシップ
を使わなければ
ODA
というのは
十分条件
に近づいていかない、こういうことでございます。 それから、いろいろな、先ほどの
憲法
の
前文
にありましたように、虐げられている人の中には
女性
の
人たち
が非常に多い、そういう
人たち
をきちんとやっぱりインクルードしていくというような
議論
をいたしました。
最後
に、
ODA
は、一九九七年でしょうか、九二年ですか、
ODA
は
ピラミッド
のように増えてきて、そして
ピラミッド
のように下がってきて、そして今あるわけでございます。七〇年の
国連
で
議論
をされたいわゆるグロース・ナショナル・インカムに対して〇・七%、まだ
日本
は〇・二%でございます。
先生たち
、よろしくどうぞお願いします。これはいわゆる
世界
に対する
日本
の
存立
と繁栄とそれから
国際社会
に対する
貢献
でございますので、
是非
とも
予算
を増やしていただきたいというふうに思います。 ちょっと陳情になりましたけれども、これで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
委員長(山本順三君)(山本順三)
5
○
委員長
(
山本順三
君) ありがとうございました。 次に、長
参考人
にお願いいたします。長
参考人
。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
6
○
参考人
(
長有紀枝
君) 長でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。 参議院の
先生方
は、長い期間にわたりましてじっくりと
政策
に向き合う
先生方
であるというふうに承知しております。そういう
先生方
の前でこのような機会を
NGO
、
市民社会
としていただけましたことをまず心より御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。 初めに、私が
理事長
を務めております
難民
を助ける会の
お話
からさせていただきたいと思います。 こちらは、一九七九年、今から三十六年前にできた
組織
ですが、
先生方
とも御縁の深い憲政の父とも言われております
尾崎咢堂
、
尾崎行雄
の三女であります
相馬雪香
がつくった
組織
です。そのとき相馬が口にしていたのが、
日本
の
善意
の
伝統
を
世界
に広めていこうと。そう言うと何かすごく難しく聞こえるのですが、
善意
の
伝統
というのは、
一言
で言ってしまいますと、困ったときはお互いさまという発想を身近な人だけではなくて、見ず知らずの
方々
、
難民
の
方々
にも広げていこうと。さらには、
尾崎咢堂
が、自分が
政治家
であった
時代
に
日本
が第二次
世界大戦
に突き進んでしまった当時の
環境
への痛烈な反省から、
日本
を
世界
の孤児にしてはいけないと、
日本
を
世界
から孤立させてはいけないと、そういう信念からつくった
組織
でございます。何を今更というふうに思われるかもしれませんが、今の
時代
だからこそ、またこの
開発協力大綱
や私
たち
の国の
国際協力
を考える上で大きな示唆があるのではないかと思い、冒頭に紹介をさせていただきました。 今般の
開発協力大綱
、新
大綱
と呼ばせていただきますが、こちらの
大綱
について
薬師寺先生
が
有識者
の
座長
となり進めてこられたものでございますけれども、私
たち
も大変大きく共感するものであります。 まず、順番に参りますが、今回の
見直し
の背景や
現状認識
、こちらは新
大綱
の
前文
に書かれてございますが、共感しております。 また、
理念
、こちらも高く評価し、賛同しているものです。特に、
開発協力
の
目的
と
基本方針
につきまして、それから
人間
の
安全保障
の
考え方
が、私
たち
の国の
開発協力
の根本にある
指導理念
として、様々な
課題
ですとか
主体
、
援助
をする
主体
とか、重要な
概念
を束ねる
接着剤
といいますかハブのような役割をしている、そういうものとして
人間
の
安全保障
が捉えられていて、非常に良い形で発展していると感じました。 具体的には、
多様化
、
複雑化
、あるいは広範化した
課題
や
領域
、こちらの
レジュメ
にも書きましたが、
貧困
、
開発
、
気候変動
、
人道支援
、
復興支援
、
平和構築
、全部は読み上げませんが、こういった様々な
領域
、でもどれ
一つ
も欠くことができないものです。また、多様な
主体
、
政府
、JICA、
国際機関
はもとより、
民間
の企業、地方
自治体
、
NGO
、
市民社会組織
、そして
大学
や
研究機関
、そして
最後
に
国民
一人一人まで言及されているというものです。 また、さらには重要な
概念
がたくさん
展開
されています。
薬師寺先生
からも
お話
がありましたが、
包摂性
。この
ODA大綱
の中に、私は、
一人ひとり
というのがこれ検索しますと四回出てくるんですが、
一人ひとり
という
言葉
が非常に多く出ていることにも感銘を受けました。対話と
協働
、さらには
相手国
の、こちらが勝手にやるのではなくて、これは
日本
の
ODA
、
日本
の
国際協力
の
強み
だと存じますが、
相手国
の
自主性
、意思や
固有性
の尊重をして質の高い
成長
をすると、こういった点を高く評価したいと思います。 また、
重点課題
を見ていきますが、こちらも、
貧困層
への
支援
、絶対
的貧困
の撲滅あるいは脆弱な
状況
に置かれた
人々
の
支援
というものを質の高い
成長
より前に置かれていること、この位置も含めて積極的に評価したいと思います。 また、こちらも
薬師寺先生
から御
指摘
ございましたが、単なる
成長戦略
ではなくて、誰一人取り残されないという
意味
で包摂的というふうな表現がありましたが、本当に誰一人取り残されないということを新
大綱
が意識的に書かれているというのは非常に重要なことだと思います。また、
紛争
や政治的不安定さの要因の
一つ
に、
貧困
についても言及がございます。そして、切れ目のない
支援
や
包括性
、こちらも非常に重要なことが明記されているかと思います。 また、
地域別
の方針では、
ASEAN諸国
への
支援
において、
経済成長
のみならず、人命を守る防災ですとか
災害対処能力
、こちらに重点を置いていることも非常に重要な点と存じます。また、
アフリカ
といいますと、近年目覚ましい
経済発展
が語られておりまして、そちらにもちろん言及する一方で、依然として
紛争
が頻発していて深刻な
開発課題
が山積していると、こういう実態も述べてくださったことを本当に評価したいと思います。 次に、新
大綱
の
実施
ですが、こちらについては、評価とともに多くの
課題
と強い懸念も抱いておりますことをお伝え申し上げたいと思います。 まず、
戦略性
の
強化
におきまして、
日本
の
ODA
の
戦略性
の
強化
をうたいながら、
他方
で、先ほども申し上げましたが、
開発途上国自身
の
開発政策
や
開発計画
を踏まえるといった点を、これは
日本
の
ODA
の
強み
と思いまして高く評価いたします。 また、同時に、ここまで
評価点
を申し上げたのですが、
軍事的用途
及び
国際紛争助長
への使用の回避という点では、これまで事実上禁じてきた他国の軍への直接
支援
を、
民生目的
、
災害救助
など非
軍事的目的
の
開発協力
において、その
実質的意義
に着目し、個別具体的に検討するとしたことにつきましては、大きな疑問とともに危惧を抱くものです。特にこの
実質的意義
というのがよく分からないというような感じを受けました。 私
自身
、
難民
を助ける会の
活動
を通じまして、失礼な言い方かもしれませんが、私だけではなくて
NGO
の
人間
の多くが
紛争地
、戦争中の
国々
に行った経緯がございます。
軍隊
というものがどういうものかというのもこの目で見てまいりました。そこで思いますのが、特に
途上国
の軍、もちろん
国連PKO
に最大の兵員を出しているのがインドであったりバングラデシュであったりパキスタンであったりするわけですが、同時に、
途上国
の軍が国内においては治安の
維持装置
として働いたり、あるいは、この
大綱
の中で
支援
をしていこうとしていく
少数者
の
方たち
や先住民の方へのまさに
圧制
のための道具に使われているような場合もあり、そういった
途上国
の軍というのは
規律
や
文民統制
の点で私
たち
の国の
自衛隊
とは大きく異なるものです。 私
自身
、年に何回か
自衛隊
の
方々
に
NGO
の
活動
とはとか
人道支援
とかを
お話
し申し上げますが、そこでいつも感じますのは、
自衛隊
の
方たち
の志の高さであったり
規律
の高さです。そういう
方たち
だけを見ていますと、
世界
中の
軍隊
がそうというふうに誤解される方があるかもしれませんが、例えば、昨年、発生から二十年を数えましたルワンダの
ジェノサイド
においては、国軍がそういった
圧制
といいますか
ジェノサイド
、虐殺をしたこともあるわけです。ですので、
途上国
の軍、実質的な
意義
ということはありながら、また、
災害救助
と限定しながらも、ここの
部分
については非常に注意が必要ではないかということを申し上げたいと思います。 それから、
開発協力
の
適正性確保
のために
女性
が
社会的弱者
として位置付けられるのではなくて、
開発
の担い手と位置付けられたことを大変高く評価したいと思います。
他方
で、今回
女性
という
言葉
が非常にたくさん出て、
言葉
といいますか、出てきておりまして、それはそれでとても良いことだと思うのですが、
女性
が十二回、実は数えたんですけれども出てきておりまして、
女性
を重視する余りに、ほかのこの
大綱
に出てきている様々な
社会的弱者
の
方たち
への配慮がゼロサムにならない形で
女性
の
支援
というのを
是非
進めていただきたいと思います。
女性
だけではなくて、こういった
社会的弱者
の
方々
が中心になるような
支援
を続けていただきたいと思っております。 また、今回
開発協力
の
適正性確保
のための
原則
で、私
たち開発協力関係者
の
安全配慮
が明記されました。明記されたこと自体は非常に高く評価したいと存じますが、ただし
実践面
では不確実な要素が大変多いのではないかと思います。 また、
実施体制
、こちらは官民の
連携強化
、
自治体
との
連携
、
国際機関
や他のドナー、
新興国
とともに、
市民社会
との
連携
の
強化
がうたわれたことは大変すばらしいと存じます。そして、
実施基盤
の
強化
において、対
国民
総所得、
GNI比
で
ODA
の量を〇・七%とする
国際的目標
を念頭としつつも、
我が国
の極めて厳しい
財政状況
も十分踏まえつつ、
基盤強化
のための必要な努力を行うというのは、何かとても極めて弱い
書きぶり
なのではないかというふうに感じました。 まとめまして、今後の
課題
でございます。
僣越
ではございますが、こういった
ODA
新
大綱
を拝見して、また日々
国際協力
に携わる中で、今日の
国際情勢
をめぐる認識、あるいは新
大綱
でうたわれている
ODA
の
理念
と現実の
実施体制
との落差、格差、これが余りにも不均衡な
状況
にあるのではないかと存じます。 こちらも既に
薬師寺先生
が御
指摘
されたことを繰り返すような形になりますが、今の
ODA
の現状、今年度五千七百八十億円ですが、これをどのように考えたらよろしいのでしょうか。
一般会計予算
の〇・五%、一%にも満たないと。こちらは、
日本
の
ODA
の対
GNI比
では〇・一七%で、
DAC加盟
の二十八か国中では第二十位です。また、
NGO
の
支援
と
連携
の
強化
をうたいつつも、
NGO予算
はその少ない
ODA
の
予算
の中の一%でございます。
ODA
の
予算
は減らされても
NGO向け
の
予算
は減らなくていいですねということをよくおっしゃっていただくのですけれども、確かにそのとおりではあるのですが、そもそもがこのような低い水準でございますので、何も私は
国際協力
だけをどうぞ推進してくださいですとか、あるいは
NGO
の
支援
だけをしてくださいと申し上げているわけではなくて、
国益
に準じた
日本政府ならでは
の
ODA
をしつつも、それ以外の
部分
もバランスの取れた形で重視していただきたいということを申し上げたいと思います。 さらには、
外務省
の
定数
についても申し上げたいと思います。 私は別に
外務省
の回し者ではなくて、日々私
たち
が
国際協力
を行う中で
外務省
の
助成金
などもいただいておりまして、その際に、やはり
人数
の制限から、もちろん
定数
以外の
方たち
、臨時の
方たち
が、大勢優秀な
方たち
がいるのも存じ上げておりますが、とはいえ、そういった物理的な
人数
の不足などから、せっかくある
スキーム
が滞ったり、そういった経験などもしております。そういったことから、やはり
外務省
の
定数
、これを
情報発信
ですとか
情報収集
とか
情報分析
、これは当然、
安全関係
も含みます。また、
助成スキーム
の運用に多大な影響があるという
意味
で、こちらも
是非
御検討いただきたいと思います。 附属の
資料
を付けましたが、私も改めてこれを見てびっくりしてしまったのですが、
外務省
の職員の方の定員というのは
国土交通省
の
北海道開発局
とほとんど変わらないと。あるいは財務省と比べるのはよくないかも、十二分の一、あるいは
厚生労働省
の五・五分の一、
国土交通省自体
と比べますと十分の一でしかないと。この
人数
で
日本
の
国益
をどういうふうに担うといいますか、ちょっと
僣越
ながらそういった御
指摘
もさせていただきたいと思います。 また、あと四点ほど急ぎ申し上げます。 真の
意味
での
人道支援
の拡充、これも重要かと思います。
人道支援
というのは、真の
意味
で
敵味方
の区別なく、困難な
状況
にある
方たち
一人一人を
支援
することです。この
原則
を改めて申し上げたいと思います。また、
国益
に沿った
戦略的支援
ということであるならば、
市民社会
、私
たち市民社会
をより生かした
援助
の
多様化
、こちらによって、狭義の
国益
を度外視した、あるいは目先の
国益
を度外視した
活動
から得られる広義の
国益
というのが必ずやあるというふうに私
たち
は信じております。また、
人間
の
安全保障
という
日本
の宝物とも言えるこの
概念
を
ODA
の
理念
にとどめずに、
外交
や内政においても、
東日本大震災
の
被災地支援
においても
指導理念
になればすばらしいと思います。 今後も、新
大綱
にうたわれたとおり、
日本
の
強み
を生かした質の高い、きめの細かい一人一人に届く
支援
を私
たちNGO
も心掛けたいと思いますし、
先生方
からの御
支援
もお願いする次第です。 早口で大変失礼いたしました。ありがとうございます。
委員長(山本順三君)(山本順三)
7
○
委員長
(
山本順三
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する質疑を行います。
参考人
に対する質疑を行う際は、御起立の上、御
発言
ください。
参考人
の
方々
の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。 また、各
委員
の
発言
時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 それでは、質疑のある方は順次御
発言
願います。
島村大君(島村大)
8
○島村大君 自由民主党の島村大でございます。 本日は、
薬師寺先生
、長先生、大変有
意義
な
お話
を本当にありがとうございました。
開発協力大綱
の下での
我が国
の
ODA
等の在り方に関しまして、トップバッターですので、まずは大きなことから伺わせていただきたいと思います。 まず、長
参考人
にお伺いさせていただきたいと思います。 この度のテロ
組織
ISILが邦人二人を拘束、殺害した事件は、誠に言語道断で許し難い暴挙でありました。
日本国
民は、この事件を通じて、テロ問題や
開発
の問題はまさに地球規模の
課題
であり、
我が国
の平和や繁栄とも無
関係
ではないということを痛感しました。
我が国
は、
人間
の
安全保障
として
難民
支援
を中心に
国際社会
におけるテロへの対応に
貢献
しております。しかしながら、ユニセフ等の最前線で
活動
していることもあり、余り知られていないと思われております。 そこで、新
大綱
では、積極的平和主義の
考え方
も踏まえ、これまでより積極的な
貢献
が期待されると考えられますが、
我が国
の
難民
支援
に関する
現状
と
課題
、すなわち、これまで足りなかったこと、これからすべきことについて、
難民
支援
の現場にお詳しい長
参考人
に御
認識
を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
9
○
参考人
(
長有紀枝
君) ありがとうございます。島村先生、お答えいたします。
難民
支援
について御質問をいただきました。 既に
日本
には緒方貞子先生という
難民
支援
の象徴となる方がおられて、緒方先生の
時代
には
日本
からの
支援
もUNHCRに大変多く出ていたと思うのですが、やはり今大分減っていることが大きな
課題
ではないかと思います。
難民
支援
、二通りあると思いますが、
国際機関
を通じての
支援
、それからJICAですとか私
たちNGO
を通じての
支援
、こちら双方をやって初めて良い
支援
ができるのではないかと思うのですが、今は、それぞれに額が下がり過ぎて、両方にとって、なかなか本来できるべきことができなくなっているというのが最大の
課題
ではないかと存じます。
島村大君(島村大)
10
○島村大君 ありがとうございました。 それでは次に、新
大綱
の中身、特徴について
薬師寺参考人
にお伺いしたいと思います。 今日の
開発課題
に的確に対応するために、新
大綱
では質の高い
成長
など新しい
概念
が取り入れられていますが、この新
大綱
の大きな方向性としては、従来の
ODA大綱
と大きく変わるところはなく、それを更に深化させたものだと理解させていただいております。 ただ、
国民
にどう変わったか、良くなったのかというところの
部分
があると思います。見直された点について改めて御説明いただければと思います。また、
国際情勢
や周りの変化など、見直すことになった背景についても再度お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
11
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 島村先生、ありがとうございます。 一番大きな変化は、先ほど長先生もおっしゃったように、一人一人もう絶対に失わない。すなわち、
開発
のところで
人間
の
安全保障
を見たときに、中進国でも、割と経済が行っているところでも、その中に絶対的に忘れられた
人たち
がたくさんいるわけですよ。それを、今回の
ODA
といいますか我々の
考え方
は、それはインクルードしないと我々貫徹しない、そういうような思想がまず第一点でございます。 それから、一番いろいろなところで言われております軍の民生的な仕事に関して、我々は慎重に認可しなければいけないけれども、それを開放したということです。私は、個人的には、一九九一年にドイツにおりましたけれども、そのときに緒方貞子先生がUNHCRにおりました。それで、コソボと、それからそのときに緒方先生は軍用機で軍用飛行場に降り立って、そして、あの小さい体で防弾チョッキを着て、兵士に守られながら二百人の
難民
の交渉に当たられたわけですね。それはやっぱり自分の原点だというふうに思います。 ですから、軍用にやるということは絶対にありません。それは、基本的にはきちんと担保しています。だけれども、民生用にやられるときには、そういうような緒方先生の、いわゆるセルビアの
難民
を支えるように、やっぱり軍の民生的な人を支える、守るというようなことを、それを我々は慎重に
議論
をして、限定的にそういうようなものを開放していこうと。それは、ですから一方では、軍事的なことは、
大量殺りく兵器
とかそういう武器には絶対にならない、それはもう全然変わっていません。 ですから、非常に例外的にそういうような民生的なものをインクルードするためには、やっぱりそういうようなところの
人たち
の協力を得ないと駄目だと、こういうことでございます。
島村大君(島村大)
12
○島村大君 ありがとうございました。 時間も押していますので、
最後
にもう一点だけ、この新
大綱
を踏まえた
日本
の目指すべき
ODA
について両
参考人
にお伺いしたいと思います。 新
大綱
では、
ODA
の戦略的活用が
一つ
の特徴となっていると
認識
しております。
日本
特有の技術や
我が国
の経験や知識に基づく
支援
は他国ではまねができず、誇るべき財産であると、これらを
国益
につなげる取組が非常に重要だと考えています。この
日本
の
強み
を生かした協力とはどのようなものだとお考えでしょうか。 また、この際、
我が国
が目指す
人間
の
安全保障
を実現する上でも、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現を
支援
する取組が重要だと考えます。このグローバルヘルスへの
貢献
と
日本
の
経済成長
の実現を結び付けることは可能でしょうか。今後、
我が国
の保健医療分野の
支援
に関する
現状
と
課題
について、時間もあれなんですけど、簡潔にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
13
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) グローバルヘルスだけ申し上げたいと思います。 我々の
ODA大綱
の中にも入っておりますように、ずっとこれまでも入っておりますけれども、グローバルヘルスという問題がやはり重要な問題として我々は
認識
しています。ですから、それはいろいろな分野で協力をしないと、エボラの話もありますし、それからフルーツバットというか、それが宿主の、エボラの菌を運んでいるとか、そういう動物学の
人たち
との
連携
とか、そういう多様ないわゆる現象に関して我々は思想を
一つ
にして、インクルーシブしてやっぱり
人間
の
安全保障
を助けるんだと、こういうふうに考えるのが一番いいことだと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
14
○
参考人
(
長有紀枝
君) ありがとうございます。
一言
で申し上げます。
日本
の
NGO
などが
強み
としております現地の一人一人の方に寄り添う地道な
支援
というので、こちらはJICAの
方々
も同じ方向で目指していらっしゃると思います。そういったものをこれからも続けていくことがやはり大事だと思っております。
島村大君(島村大)
15
○島村大君 あと一分ありますので、再度ちょっとお聞きしたいんですけれども、このグローバルヘルスへの
日本
の
貢献
と
日本
の
経済成長
、これを結び付けることが、先生は、どうでしょうか、できるとお考えでしょうか。そこをちょっとお願いします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
16
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生も御存じのように、今AMEDという
日本
版のNIH、いわゆる医療
組織
が動いています。その中でのグローバルヘルスという考えだと思います。ですから、非常にそういう点では
日本
の科学技術の進歩、医科学の進歩、それからそれが経済的にいわゆる重要な
日本
の中での広がり、そういうものがアウトリーチとしてグローバルヘルスの場所に行くと、こういうことだというふうに思います。
藤末健三君(藤末健三)
17
○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。 本日は、
薬師寺先生
、長先生、講演をありがとうございました。 私は、
一つ
お二人に御質問申し上げたいのは、今回のこの
政府
開発
援助
の
大綱
、
ODA大綱
から
開発協力大綱
と名前が変わったのは非常に大きなステップだと思います。そしてまた、私は、この
人間
の
安全保障
という
言葉
、
概念
がこの大きな柱になったことも非常に喜ばしいと思っております。私は
人間
の
安全保障
議員連盟のメンバーでございまして、ずっとこれの
活動
をさせていただいております。 私は、お二人に御質問申し上げたいのは、この
人間
の
安全保障
という
概念
、ちょっと御説明申し上げますと、一九九四年に
国連
の
開発計画
の年次
報告書
に初めて出て、それを受けて一九九六年、
日本
の
外交
政策
の中に初めて
言葉
が登場し、その後に
人間
の
安全保障
基金をつくるなど、
我が国
の非常に大きな柱として実績を積んできております。 その中で、二〇〇五年には
世界
サミット成果の文書の中に、各首脳は、全ての
人々
が自由にかつ尊厳を持って
貧困
と絶望から解き放たれて生きる権利を強調し、そして全ての個人が、特に脆弱な
人々
が全ての権利を享受し、
人間
としての潜在力を十分に
発展
させるために平等な機会を持ち、恐怖からの自由、欠乏からの自由を得る権利を有していることを認めるということが書かれてございます。 ここで、やはり
人間
の
安全保障
は、恐怖からの自由、そして欠乏からの自由、そして尊厳を持って生きるという自由がある、この
三つ
があるということが書かれておりまして、そして二〇一二年の九月には、これは
国連
の総会でございますが、
国連
の総会の決議において
人間
の
安全保障
に関する決議が採択されるという段階に来て、国際的にもこの
人間
の
安全保障
、一人一人の
人間
が平和にいることによって戦争をなくしていくという
概念
が国際的にも認められているという
状況
になっているわけでございます。 それで、お二人の先生にお聞きしたいんですが、特に
薬師寺先生
は先ほどの御説明において
憲法
の
前文
を引かれて、平和を愛する諸
国民
の公正と信義に信頼して我らの平和を保持しようと決意しという
部分
を引かれて、この
開発協力大綱
という形で御説明いただきましたが、私は同時に、
憲法
の
前文
にある、全
世界
の
国民
がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有するという
部分
がございます。 私が先ほども御説明申し上げましたように、この
人間
の
安全保障
の
概念
は、その恐怖からの自由、欠乏からの自由、そして尊厳を持って生きる自由というものがございますので、私は
憲法
前文
とこの
人間
の
安全保障
の
関係
をもっと強調した方がいいのではないかということをずっと思っておりますので、お二人の先生にこれについてお聞きしたいということが
一つ
。 そして、もう
一つ
は、これはもう長先生が説明いただきましたけれど、私は、
開発協力大綱
にも書いていただき、そして
外交
のみならず国内の納税者の皆様にも、
我が国
の
外交
は
人間
の
安全保障
を基盤にするんです。海外にも私は知らしめる必要があると思います。それはなぜかと申しますと、ISILなんかのようなことが起き、
日本
が武力による平和をつくろうとしているのではないかという懸念がもう既に
世界
で生まれ始めている。その中で、私
たち
はやはり
人間
の
安全保障
をずっと続けた国家である、平和国家であるということをもう一度海外に訴えなきゃいけないのではないかと。そして、国内の
国民
の皆様にもそのことを知っていただくことが必要ではないかと思っています。それはなぜかと申しますと、我々の
憲法
の
前文
に基づく
理念
であるからということが基本じゃないかと思っています。そういう中で、
憲法
との
関係
、そして
日本
の国内外での柱にしていく、
政策
の柱にする。 それと、もう
一つ
大事なことは、二〇一六年、ポストミレニアムゴールが始まりますけれど、今国際
会議
でいろんな
議論
が起きている。そして、来年は
我が国
でサミットがあるんですよね。その中において私
たち
が
人間
の
安全保障
を打ち出す、国際的に打ち出す非常に大きなチャンスだと思うんですけれども、その点についてお二人の先生がどのようにお考えかということを教えていただきたいと思います。お願いします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
18
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生がおっしゃられるように、
憲法
の
前文
のところの、やっぱりそのところは我々もちゃんときちんと書き入れました。 それで、
人間
の
安全保障
、それはやはり二〇〇〇年に入ったときに、コフィー・アナン事務総長の下で新しいミレニアムゴールが決まりました。その中に、飢餓というようなものは中国の
成長
で大体なくなったんですけど、まだまだいわゆる虐げられている
人々
にやっぱりきちんと対応していないので、それがポスト二〇一五で今年からずっと始まる
国連
の
議論
だと、先生のおっしゃるとおりでございます。
日本
はこういう
ODA大綱
の中に入れましたので、そういう中で、
日本
は、やはり
国連
の中にいてもそういうような、いわゆる虐げられた
人々
をどうやって
日本
も
協働
してやるのかという、いわゆるよすがができたというふうに理解しています。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
19
○
参考人
(
長有紀枝
君) 藤末先生、御質問どうもありがとうございます。
人間
の
安全保障
につきまして本当に大事な
部分
を全て押さえていただきまして、特に恐怖からの自由、欠乏からの自由だけではなく尊厳ということにもお触れいただきましたこと、とてもすばらしいと存じます。先生が
お話
しされたように、
憲法
の
前文
にございます。
日本
は、その
意味
でも、
人間
の
安全保障
という
概念
を推し進める最も適した国ではないかというふうに思っております。 先生がおっしゃられたこと、本当に私も共感するのですが、
世界
に向けて
日本
が平和国家であるということを示していくというのは、どんなに口で言っても、私
たち
、現場でいつも思うことは、何か約束しても、約束だけだと全然信じてもらえなくて、行って初めて、物を届けて、それを繰り返して繰り返して初めてできる
人間
関係
、そういったものがあるということを非常に強く意識しております。 その
意味
で、
日本
が平和国家であるということを多くの
方々
に知っていただくためには、今回の新
大綱
にあるような
国際協力
を本当に地道に行動で示していくしかないと思いまして、また元に戻ってしまうのですが、そのために
開発協力
の
予算
というのがもう少し増えていくことがそれに直結するのではないかと思っております。
藤末健三君(藤末健三)
20
○藤末健三君 時間も限られていますので、
薬師寺先生
に
是非
ちょっとお聞きしたいことが一点ございまして、これは長先生からも御
指摘
がありましたけれど、この非軍事的協力というところでございますが、私はもう何回も読ませていただき説明を伺っています。理解しているんですが、ただ、マスコミを見ていますと、非軍事的協力だけれど、どんどんどんどんなし崩しになっていくんではないかという
議論
がございます。 例えば、長先生も御
指摘
がありましたように、
民生目的
、
災害救助
等非軍事
目的
の
開発協力
において、その
実質的意義
に着目し、個別具体的に検討するということで、やはりその個別具体的なものは何か、そして
実質的意義
は何かということが不明である、だから危ないんではないかという
議論
が数多く見られます。その点について、私はもういろいろ説明いただいている身ですが、先生、
是非
ここで御説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
21
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生、いろんなところでそういうような御心配があるのは承知しています。我々は、ロジックとしては非常にはっきりとして、先生と同じように、しているんですけれども、そういう
人たち
に丁寧に説明するということがないんですね。ですから、これからそういうような
議論
が起こったときに、いろいろな
アフリカ
の軍の病院なんかで、産婦人科のあれを前の、先生御存じのように、実際にそれに
ODA
を使ったと、そういうケースがいろいろあります。そして、そういうようなものを丁寧に、枠組みにはめて考えるんではなくて、いろいろな場合の、ほかの国のケースもどういうふうになっているかと、こういうのを比較しながら、やっぱり
国民
の税金を使っているわけですので、きちんと説明しなければいけないというふうに思います。
藤末健三君(藤末健三)
22
○藤末健三君
最後
に、質問じゃないんですが、この
委員会
の同僚議員に申し上げたいことが
一つ
ございまして、来年の二〇一六年から始まります新しい国際的な
開発
の目標をつくる
状況
になりますので、
是非
我々
ODA
委員会
もそのことをターゲットにまた
議論
を深めていただければと思いますので、その提案を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 どうも、両先生、ありがとうございました。
杉久武君(杉久武)
23
○杉
久武
君 公明党の杉
久武
でございます。 本日は、
薬師寺先生
、長先生、貴重なお時間をいただき御説明いただきまして、大変にありがとうございます。 今、藤末先生との質問にも重複するところがございますが、私も、報道等を見ていますと、やはり軍事転用されるんではないかという、その懸念というものはまだまだ強いものがあるんではないかというように考えているところであります。 私
自身
も、
災害
援助
や復興など、軍が果たしている非
軍事的目的
での軍の役割というものはやはり非常に重要でありまして、その必要性については大切な
部分
であるとは思いますが、やはりこれが軍事転用されないという、されていないということを、これをどう透明化していって、
国民
に対して、また
世界
に対して説明をしていくのかということが非常に大切であると思います。 これ、転用ということですので、実際に
援助
をする入口だけではなくて、それが結果として転用されずに有効に活用されているというその入口だけではなく、やっぱり継続的な面でその透明化というものは図っていかなければならないと思いますが、この点についてどのような具体的な方策が考えられるかについて、両
参考人
にお伺いしたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
24
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) ありがとうございます。 過去にそういうような、
アフリカ
の軍の病院だとか、あるいはいわゆるアフガニスタンの空港の問題だとか、
難民
のためにであるとか、個々のケースはたくさんあるわけですね。そういうようなものをきちんと整理をして、
国民
の前に説明責任、つまりそういう
議論
が
国民
のサイドでは起こってきているわけですから、そういうのに丁寧にケースを、ほかの国も含めてケースを集めて、そしてそれを整理をして、そして常にそういうようなことを不断の中でやらなければやっぱり
国民
に対して申し訳ないと、こういうふうに思います。 実際問題、ケースがたくさんあれば分かるわけですけど、まず最初に民生用のことに限ると、丁寧に、それは実際にそういうようなルールを決めなきゃいけないんじゃないかとかいろいろな
議論
がありますけど、ルールを決めても守られないケースがたくさんあるわけですね。ですから、そういう点で、最初に
包摂性
ということをきちんと言って、そして、防災に関してもやはり軍の民生用の仕事があるわけですから、そういうケースみたいなものを各国別にいろいろきちんと押さえて、いわゆるグローサリーで、その中できちんとした整理をこれからしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
25
○
参考人
(
長有紀枝
君) 杉先生、御質問どうもありがとうございます。 軍事転用につきましては、私も大きく懸念するところでございます。こういった
国際協力
の
世界
で、
NGO
を問わず
国連
機関も軍事
組織
とどのように
関係
を築いていくか、大きな
課題
としてずっと
議論
してまいりました。 大きく分けまして、自然
災害
と
紛争地
を分けて、やはり自然
災害
では大規模な
支援
活動
で軍事
組織
が力を発揮することも多いわけですが、
紛争地
で大地震が起きるというようなことも当然あるわけで、実際の運用は本当に難しいものであると感じております。 本当に
一つ
一つ
、ケース・バイ・ケースで
国民
に情報を開示していただきながら進めていくしかないのではないかと思います。
杉久武君(杉久武)
26
○杉
久武
君 ありがとうございます。 あと、続けて、今回の
開発協力大綱
の中で明記されたのが、やはり
国益
の確保に
貢献
をするということが今回の
大綱
の中で明記をされました。やはり、そういった
意味
では、
開発
を実際進めていく中で最終的にどのように
国益
に
貢献
をしていったのかというところについては、PDCA、しっかりサイクルを回しながらやはり検証していかなきゃいけないというように思います。 なかなかこの辺り、どういうふうに効果測定をしていくのかということは非常に難しい面ではあると思いますが、このやっぱりPDCAや又はKPI、どういうふうに目標設定をしていって効果を見ていくのか、この辺りについて具体的な何かアイデア等がございましたら、両
参考人
に伺いたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
27
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 特に妙案はないんですけれども、やっぱり文章の中に
国益
という書き方がやや稚拙に書いているんですよ。だから、そういうようなものはもっとロジックに書けばよかったのに、とんとん
国益
と書いているんで、何か真面目に考えているのかと、こういうふうに批判があるわけですけれども。私なんかは新
大綱
の側に立っているんですけれども、やや、文章の中に何で
三つ
もあるのかと、こういうふうになりますよね。一発でやるとか、すごくパンチが効いていいんですね。
国益
というのは、
国民
、つまりある特殊な国のための益ではなくて、我々が、長先生なんか
難民
で活躍されているとか、そういうような中に
ODA大綱
の
政策文書
があるんだと。そういうことをやっぱり丁寧に、いわゆる
国民
に向けて、税金をもらって
ODA
という
予算
ができているわけですから、やっぱりこれからはそういう方向で、専門家だけの
議論
ではなくて、いろいろなところで、一応パブリックコメントとかいろいろな説明はやりましたけど、これからは本当に
国民
がいろいろ疑念を持ったときに、我々はきちんとこういうふうに
国益
を考えているんだと。つまり、
国民
の益なんですよ。それは
憲法
の
前文
の中に、先生おっしゃっているように、そういうようなのが書いてあるわけですから、ある特殊な国のことを書いているんじゃなくて、我々の益だというふうに、タックスペイヤーの益だということもきちんと説明をしなければいけないんだというように思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
28
○
参考人
(
長有紀枝
君) 続けてお答え申し上げます。
国益
の確保への
貢献
ということでございますけれども、私は、
一言
で申すならば、やはり多様性の確保だというふうに思っております。特に、
戦略性
ということで、多様性の確保だと思っております。 と申しますのが、
日本
の
国益
はこれ、なのでこの
部分
というふうに
一つ
だけ、狭い
国益
だけで推し進めた場合、それが駄目になったとき、もう
日本
の
国益
は大きく損なわれてしまうと。こういう御時世ですので、どんなことが起きるか分からないからこそ、
政府
のいわゆる狭義の
国益
も重要、
民間
企業
の
方たち
が出ていくのも重要、学術的な交流、研究者同士のものも重要、そして何より
市民社会
同士のものが非常に重要なんだと思います。
政府
の二国間のものが万一いろんな政治的
関係
で駄目になったとしても、そういった幅広い多様性のある
援助
をしていれば、
一つ
が駄目になってもほかで十分カバーできる、それこそ私は戦略的な
支援
ではないかというふうに思っております。
杉久武君(杉久武)
29
○杉
久武
君 ありがとうございます。 時間も迫ってまいりましたので、
最後
に長先生に御質問させていただきます。 先ほど来、やっぱり
人間
の
安全保障
、これが今回
大綱
の中で明記されたということは非常にすばらしい点であるという形で質疑も続いておりますが、先生の著書を拝見させていただく中で、国家が
人間
の
安全保障
を述べることについて一部異論もあるという中で、今回
大綱
の中で
人間
の
安全保障
を推進していくということをしっかり明記をしたということに対して
評価
をされておりますが、やはり国家が今回、国としてしっかり書いたことについての
意義
を改めて確認させていただきたいと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
30
○
参考人
(
長有紀枝
君) お答えいたします。ありがとうございます。 そもそも、私
たち
のような
市民社会
、
NGO
にとっては、
人間
の
安全保障
というのは当然というような意識がございまして、それを本来、国家そのものの
安全保障
を唱えてきた国や
国連
が言ったことが本当に重要だと思います。それが表れておりますのは、やはり
一人ひとり
というような
言葉
ですとか
包摂性
というのが今
大綱
に非常に多く含まれたというのは、まさにその
人間
の
安全保障
の本質を理解した上で発信してくださったものというふうに思っております。 ありがとうございます。
杉久武君(杉久武)
31
○杉
久武
君 以上で終わります。
小野次郎君(小野次郎)
32
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。薬師寺さん、長さん、今日はどうもありがとうございます。
お話
を伺っていましたら、こういう場に来ていただいたということで何か新
大綱
の側に立った御説明だったような気がして、本当は多分もっといろいろ心配されていることがあるのではないかと、だんだん同僚議員の質問に対するお答えの中でそういう感じがしてきたわけですが。 ずばり私のお伺いしたいのは、現政権は積極的平和主義というのを掲げています。現政権になってから、いろんな
見直し
をするたびにその色がすごく出てきている、まあある
意味
では出過ぎているような気がしているわけです。例えば武器輸出三
原則
についても、今までのようなラインからある一部で踏み出しているような気がします。もっと言えば、原発輸出なんかも大胆にやってしまっている。集団的自衛権の行使容認の話は御案内のとおりだと思います。 そういう文脈の中でこの
ODA大綱
の
見直し
を考えたときに、同僚議員からも質問出ていましたけれども、
日本
の
安全保障
のために本当に損得考えて得になるやつをやるんだみたいなラインが出てき過ぎているような気がするんでありますが、私は、
ODA
というのは、何か思い込みだったのか、
人道支援
が最もメーンというか、でなきゃいけないと思っていたのに、いつの間にか、この新
大綱
を見ると
日本
の
安全保障
に資する経済協力するんだみたいになっているんですが、その点について両
参考人
の
認識
をお伺いしたいと思います。 特にテクニカルなことを聞いているんじゃなくて、僕は、軍事的なアンバランスを、
日本
の協力によって何かそのバランスを保つような協力をするのが
ODA
ではないんだと私は思うんですね。もっと別の次元の人道的なもの、あるいはその軍事バランスに直結しない経済協力を目指すべきだと思うんですが、この新
大綱
からは、どうもそうじゃなくて、軍事的なアンバランスをこの経済という手段を使って、経済協力という手段を使って、非軍事的にではあるんだけれどもバランスを保つために使うんだと言っているように見えるんですが、両
参考人
の御
意見
をお伺いしたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
33
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生、もし先生がそういうふうにおっしゃるんだったら、我々の説明責任がやっぱりきちんと対応していないんだというふうに思います。 我々は、
世界
の
貧困
とか、例えば島嶼国で脆弱な国がいる、そういう中を
日本
の
ODA
を使って救っていこうと、そのシステムはどういうものかと、こういうような
議論
をしているわけです。それで、国家
安全保障
戦略みたいな中をやはり我々はきちんと見ているわけですけれども、その中に
ODA
のことがきちんと書かれているわけですね。それで、その武器三
原則
とかそういう話は一切書いていない。少なくとも、私がそのいわゆる専門家のエキスパートコミッティーで
報告書
を出したときにはそういうことは一切書いていません。 僕はそういう
世界
はよく知っていますけれども、この
ODA
というのは、
人間
の
安全保障
と簡単に言いますけれども、
世界
には、忘れられている脆弱な国も
経済成長
するだけが
目的
ではないんだと、
経済成長
している国にもすごく貧しい
人たち
が虐げられていると、その
人たち
をこれから助けるんだという理論武装を、我々のいわゆるエキスパートコミッティーの
報告書
を書いて、それを
ベース
に今度の
大綱
ができたと。 ですから、先生、
開発協力大綱
です。
開発協力
ですから、我々は協力して向こうに行くんだと、自分のためにやっているんではないんだと、それが、向こうに行ってやることが
日本
の
国益
、
国民
のための益になるんだと、こういう
議論
です。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
34
○
参考人
(
長有紀枝
君) 小野先生、御質問ありがとうございます。お答え申し上げます。 現政権の色という
お話
がございましたが、私
たち市民社会
は、その時々の政治がどうあれ、常に一貫して同じメッセージを発信し続けてきたと思います。それは常に、
国際協力
の現場で地元の
人々
、まさに地元の
方々
の
人間
の
安全保障
の視点から、その
方たち
にとって何が一番必要なのかと、その視点から私
たちNGO
活動
をしておりますので、そうするともう視点はぶれようがなく、その観点から私
自身
も今日
お話
し申し上げましたし、また、たくさんの
NGO
が今般の新
大綱
にいろいろな
意見
を申しているところです。
日本
の
安全保障
、私
たち
、
日本
の
安全保障
という
言葉
そのものを使いませんが、私
たち
が現場で続けてきた地元の
方々
に寄り添ったきめの細かい対等な視点から行う
支援
というものが、広い
意味
での
国益
に資するもの、
日本
の
安全保障
に資するものというのを強く信じております。
小野次郎君(小野次郎)
35
○小野次郎君 私の方が全然知識も浅いものですから大変恐縮なんですが、私は、
ODA
というのはある
意味
で
日本
の戦後においては平和のための保険みたいなものかなと思っていたんですね。だから、何であんな
日本
と余り
関係
良くない国に
ODA
をあげるんだとか、何であんな政権の
支援
みたいになっちゃうところに経済協力するんだとかいう声が常にあったけれども、でもそれが
日本
という平和主義の国にとってはある種の保険なんであって、まあ恨まれちゃいかぬし、喜ばれたいし、いろんな国になるべくひとしく、ひとしくというか、この
ODA
を使って、
日本
に対して間接的に圧力というか緊張というか脅威が高まらないようにしていたという機能はあると思うんです。 だから、本当の理想はグローバルに見た人道的なものだと思いますけれども、
日本
との
関係
でいうならば、むしろ保険みたいなもので、ちょっと
日本
にとってそんなにすぐ役立つのみたいな国であっても、そことの
関係
においてやっぱり
日本
に対する脅威が高まらないように、むしろ下がるようにしていた面があると思うんですが、そういう機能はやっぱりこれからも期待できるんじゃないんでしょうか。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
36
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生、そういうようなことが
国民
に対する我々のその答えだというふうに思います、結果として。でも、最初にそれを言ってしまうと終わりじゃないかと、こういう感じになりますね。 我々は、やっぱりもっと
NGO
の
方々
とみんな
議論
をしたりとか、JICAの諸君なんかというみんな苦労してやっている
人たち
を見ると、やっぱり先生、それは助けていかないと、それが
日本
の
ODA
のコミットメントなんですよ。だから、それが結果的には保険になっている、それが
国益
ですと、こういう
議論
だというふうに思います。
小野次郎君(小野次郎)
37
○小野次郎君 話題を変えますが、もう
一つ
は、この現政権は、どうもこの
ODA
を
日本
の
経済発展
とか国際
展開
の手段に使おうとしているんじゃないかという視点なんです。 これもまた、長い間、例えば
日本
が
ODA
を出すと、だけど気が付いたら
日本
の
企業
がその仕事をもらっているというような
関係
がずっと出てきて、それは良くないことだということで、ボンドといったかな、とにかくそれを切ろうと……(
発言
する者あり)タイドか、それを切ろうとしてきたわけですけれども、何か今回の新
大綱
を見ると、やっぱりまた
日本
の国際
展開
にいささかでも有利になるように使いましょうみたいなことを書いてあるように読めるんですが、そういう心配はありませんか。長
参考人
、お願いいたします。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
38
○
参考人
(
長有紀枝
君) お答え申し上げます。 先ほどの御質問にもかぶってしまうのですけれども、
日本
の
経済発展
のため、あるいは平和のための保険という
支援
もある程度はあっても仕方ないのかなと、仕方ないといいますか必要かなということは思っております。ですが、問題なのは、それをそれだけに、それが主になってしまうということが大きな問題で、それ以外の
市民社会
の
支援
というのをより大きくしていかなければと思っています。 それで、先ほど平和のための保険、掛金と、大変先生いいことをおっしゃってくださいまして、今、二十七年度の
ODA
予算
五千四百二十二億円というのが一体何に該当するんだろうと。
資料
でお出ししたのですけれども、北九州市の平成二十六年度の当初
予算
であったり浜松市の
予算
とほとんど変わらないんですね。これをどう見るかなんですが、平和のための掛金、保険としても余りに掛金少な過ぎるんではないかというふうに、これでは平和の保険にならないんではないかというふうに思っております。
小野次郎君(小野次郎)
39
○小野次郎君 伺ったのはその二つ目の方で、
日本
の経済、国際
展開
の手段に
ODA
を使うというようにこの新
大綱
は読めるんですけど、その点についての見解をお伺いしたいということです。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
40
○
参考人
(
長有紀枝
君) 失礼いたしました。お答えいたします。 以前、ある先生と
お話
をしたときに、
ODA
というのは海外でやる公共事業なんじゃないのかというふうにおっしゃられた先生がおられまして、まさにそういう側面のあるものもこれまでなかったとは言えないと思います。これからもそういうものが全くゼロにはできないのだと思います。 問題は、それをゼロにすることなのではなくて、それの比率を下げるような、それ以外の
支援
を増やしていくことが本当に重要なのではないかと思っております。
小野次郎君(小野次郎)
41
○小野次郎君 終わります。
辰巳孝太郎君(辰巳孝太郎)
42
○
辰巳孝太郎
君
日本
共産党の
辰巳孝太郎
でございます。
薬師寺先生
、長先生、貴重な御
意見
ありがとうございました。 私は、二〇〇一年に、当時コソボ
紛争
というのがあったときに、コソボで暮らす高校生十人を
日本
に招聘する
プロジェクト
を行いまして、生まれてからほとんど平和というのを知らない
人たち
だったので、平和というのがどんなものかということをいろいろ
日本
を回って、そういう
活動
をしておりました。 彼らは、大阪という地名は知らないんですけれども、広島という地名を知っているわけなんですね。それはなぜかというと、やはり原爆を落とされた都市だということで、
日本
のイメージというのを彼らなりに持っておりまして、つまり、戦後、原爆を落とされたああいうところから復興した町だと、自分
たち
も
日本
のように復興したいというふうに言って帰っていったわけなんですね。 ただ、私が
一つ
驚いたのは、その二〇〇一年の九月の十一日にちょうど彼らが滞在していたわけなんですが、九・一一のあのアメリカの映像を一緒に見たわけなんですが、しかし、彼らはそれに対して、アメリカは当然の報いじゃないかという見方をしていたことに非常に驚いたんですね。ですから、そこでも、やはりNATOなどの空爆の影響ということで憎しみの連鎖などが彼らの心の中にもあったんじゃないかなというふうに思っております。 そこでなんですが、やはり今回の
大綱
の中で、軍事協力に傾斜するんじゃないかという懸念が先ほどから
委員
の中からもいろいろありましたし、実際にそれがどのように軍事協力へ転化されていくのかという追跡も本当にできるのかというような懸念も出されていると思います。 そこで、長
参考人
にお聞きしたいんですけれども、やはりそういう、いわゆる軍事とは切り離した
NGO
であるとか
ODA
の
活動
というのを
日本
はやってきたわけで、やはり
日本
なりのその面での
強み
というのが、他国とは違う
ODA
、
NGO
の
活動
ですね、
強み
というのが恐らくあるんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺を
是非
、長
参考人
の経験とかというところから
お話
しいただければと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
43
○
参考人
(
長有紀枝
君) 御質問ありがとうございます。辰巳先生、お答え申し上げます。 先ほどコソボの
お話
がありましたが、私
自身
、コソボ、特にNATOの空爆のときに、あのとき私もベオグラードにいてトマホークのミサイルが飛んでいくのを下から見ました。そういうときに、私
たち
日本
の
NGO
が現場でどのように捉えられていたかといいますと、あのときNATOに参加していない国、当時、あの旧ユーゴスラビアという国に
支援
をしている国の大半がNATO加盟国でありましたので、そこに加盟していない
日本
の
支援
というのが軍事的にも政治的にも宗教的にもあらゆる
意味
で中立というふうに見られておりまして、私
たち
は日の丸を掲げて
活動
しておりました。日の丸が安全や安心や中立の象徴であったわけでございます。 ですが、先生御心配のような軍事協力に傾斜していくと、その日の丸、私
たち
が安全や安心や中立、まさに
日本
ブランドだったと思うのですが、それがブランドとして通じなくなってしまうということに非常な懸念を持っております。
日本
といいますのは、やはりこういった
国際協力
をする
国々
大半、今
新興国
が出てきておりますけれども、やはり
伝統
的には欧米、キリスト教の
国々
が中心で、そういった中で
日本
という国が持つ役割というのは非常に大きいと思いますし、私
たち
はその良さを消してはいけないというふうに強く思っております。
辰巳孝太郎君(辰巳孝太郎)
44
○
辰巳孝太郎
君 ありがとうございました。 二つ目は、お二人にお聞きしたいんですけれども、今回の新
大綱
で
発展
途上国
への
民間資金
の流入が公的
資金
を大きくしのいでいるということがあります。 いわゆる
民間資金
が増えているということで、様々、ウイン・ウインの
関係
をつくっていくことが必要であるとか、国際益というものが
国益
につながっていくんではないかという
議論
がされていると思うんですが、ただ、
民間
の
資金
というのが本当に
開発
のために資するように使われているということがほとんどだと思いますが、しかし同時に、
開発
をされていくということは負の側面、例えば逆に格差を広げてしまう場合があるじゃないかとか、あとは富が公平に分配されているのかどうかとか、その辺をやはり検証していく必要があるんじゃないかなというふうにも同時に私思っているんですけれども、このことについてお二人の御
意見
をお伺いできればと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
45
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生、やはり今実際に
民間資金
がその二倍から三倍ぐらいに回っていると。そのためではないとは思うんですけれども、やっぱり
国連
の
議論
も、我々の
議論
も、そのためにインクルーシブに、疎外されている
人たち
がいると、それが我々の言う卒業国に対する非常にコミットメントということだというふうに思います。ですから、いわゆるパラオとかいろいろな島、フィリピンの洪水なんか御覧になったように、中にやっぱり富の格差が物すごくある。だから、我々は
包摂性
と言っているわけですよ、
包摂性
。それを担保しない限りいわゆる物もやっぱりきちんと行かない、それは
ODA
できちんとやっていこうというのが我々の新しい
大綱
の
考え方
です。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
46
○
参考人
(
長有紀枝
君) 辰巳先生、お答えいたします。 先生御
指摘
の
開発
の負の側面、格差、本当におっしゃるとおりでございまして、私
たち
も非常に意識しているのですが、先ほど、
人間
の
安全保障
の視点というのを常に持つことがこういったものの是正というのにつながるのではないかと思います。言うはやすし行うは難しでなかなか実践は難しいのですが、でも少なくともそういう視点を持つことが大事ではないかと思っています。 それから、
民間資金
につきましては、様々な
民間
企業
が今
途上国
で
活動
しておりまして、本当に
社会
企業
的な事業ですとか、フェアトレードですとか、そういう
企業
を私
たち
自身
がどんどん応援していくことも重要ではないかというふうに考えております。
辰巳孝太郎君(辰巳孝太郎)
47
○
辰巳孝太郎
君 ありがとうございました。
最後
に長
参考人
にお聞きしたいんですが、
ODA
の中で
NGO
による
支援
が大体一%ぐらいしかないので不十分じゃないかという
お話
がありましたが、仮にこれが倍、三倍に増えた場合、
NGO
への
支援
が、どのような変化、どのような
活動
の幅が広がっていくだろうかとお考えでしょうか。
是非
、思いのたけを語っていただければと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
48
○
参考人
(
長有紀枝
君) うれしい御質問をありがとうございます。 まず、
NGO
で働く
方々
の職員数が増えると思います。その職員というのは、そもそも
国際協力
に関心がある
方たち
だけではなくて、協力隊経験者はもちろんのこと、一般の
企業
にいる
方たち
、そういった
方たち
の人材がより多く
NGO
に来ることになり、できる事業がより広がっていくと思います。 また、今ニーズはありつつも本当に
資金
不足から手が届かないような、
薬師寺先生
が忘れられた飢饉のことも先ほど言及されましたが、そういったところにもより良く入れるようになるのではないかと思います。 ありがとうございます。
辰巳孝太郎君(辰巳孝太郎)
49
○
辰巳孝太郎
君 ありがとうございました。 以上です。
山田太郎君(山田太郎)
50
○山田太郎君
日本
を元気にする会の山田太郎でございます。我々は
日本
を元気にするということですから、
世界
も元気にしたいと思って今日は質疑させていただければと思っています。 実は、私も
世界
五十か国ぐらいこれまで回ってきまして、前職は、議員になる前は
日本
の技術を海外に出す仕事もしていました。アジア、ASEANが多かったんですけれども、そんな
意味
で、現場を津々浦々していますと、JICAですとか
国際協力
隊の方と一緒にそういうことをするケースもあったので、現場の話を今日少し質疑できればと思っております。 その前に、私もずっとこの
ODA
の
委員会
の中で問題視してきていますのは、この投資というか、
お金
に対する自立とか出口戦略です。 両
参考人
に
是非
お伺いしたい点がそれぞれあるんですが、今はこの十年間で、実際には有償
資金
で焦げ付いてしまって債務免除したのが九千億円、一兆円弱あるというような実態の中で、本当にこの
お金
が、例えば有効に使われ、自立あるいは出口としてどれだけの効果があったのか、その検証もやっぱりしていかなければいけない。出しっ放しでは依存体質にもなりかねませんし、やっぱり
援助
ですから、最終的には自立、自活して卒業国になってもらうというのが目標だと思っております。 そんな中で、今回、
大綱
の中でそういった、より効果のところを、これは検証になるのか、あるいは卒業国に対する
考え方
なのか、どんなふうに捉えられたのか、まず薬師寺さんにお伺いしたいと思っています。 長さんにはその
関係
で、いわゆる出口、自立のところでの運用面において、私は実は
ODA
は少し問題があるというふうに思っておりまして、まさに今おっしゃられたとおり、この
ODA
は
途上国
にとっての公共事業なんじゃないかということがありましたが、私も実は去年、キルギス、タジキスタンにも実はこの
委員会
の派遣で行きまして、学校の設備の上限に一千万円しか使えないとか、割とハード面に対しては
お金
が出やすいんだけれども、ソフト面については事実上出にくいような実態がある中で、果たして、まさに自立、自活というのがこの
お金
によってできるのか。あるいは、運用とか保守等に関してはほとんど
お金
が出ない、幅広く配りましょうと。 私は、どっちかというと、一個に集中してモデルケースをつくり上げて、それを横
展開
する方が最終的な自立、自活で効果あるんじゃないかなと思って、そんなことを、現場感としては長さんが御存じだと思いますので、それぞれ、この
援助
の出口というんですかね、自立、自活に関しての御
意見
、コメントをいただければと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
51
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) ありがとうございます。 先生、私、もう八年ぐらいになるんですけれども、科学技術の技術を向こうの対等でやる場合に一番大事にしているのは、ソーシャルインプリメンテーションをきちんとやらないと
お金
は出さない。ですから、
相手国
に対してきちんとした、いわゆる彼らがそれで自立するような中でやるような
プロジェクト
しか認可をしないと、こういうふうに言っています。 僕は
ODA
というのは、そういう点では、
日本
は基本的にグラントインエードというか、貸与ではなくて、やっぱりきちんと向こう側の責任を持ってやると。それは誤解を招いたりする場合があるわけですけど、向こうの自立性みたいなものの努力がないと、
お金
は、技術も含めて安全も含めて、それはできないんですよ。だから、先生言われたように出口をきちんとね。やっぱり、ただ単に
日本
の
企業
がもうかるとかそんなことじゃなくて、相手が富をきちんとつくっていかないとそれはいけない。 だから、我々は、いわゆる
貧困
を解くには、
包摂性
と
環境
依存性と、
環境
に優しいやり方と、やっぱりスランプを起こさせないようにきちんとしたレジリエンスを、やっぱりそういうようなこれからの
支援
を、出口戦略を考えなきゃいけないというふうに僕も思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
52
○
参考人
(
長有紀枝
君) 山田先生、御質問ありがとうございます。 私、現場にいた
NGO
の
人間
として感じますのが、やはり
日本
と多くの
途上国
では時間の流れ方が全然違うということです。そもそも時計持っていらっしゃらない
方たち
なんかが非常に多くて、大体待ち合わせなどでも、それだけでも非常に苦労するわけですが。そのときに、先生もおっしゃいました出口、自立というのは本当に非常に重要で、私
たち
も常にそれを考えているのですが、それに考えるタイムスパンが違い過ぎると。 実際、こういうことがございました。私
たち
も
外務省
やJICAから
お金
をいただいておりますが、やはり三年間で
最後
まで、自立
発展
までということで、
お金
が一定の期間で切れるんですね。でも、現地では、特にそれは障害者の施設なのですけれども、とても三年で自立できるはずはなく、私
たち
が基礎固めを
日本
政府
の
お金
、皆様の税金でやり、いよいよこれからと、事業としてはこれから、でももう当初のお約束の期間は切れてしまったと。何が起きたかと申しますと、結局、その現地の
方たち
は別の国の
お金
を取ってきたんですね。結局、
日本
の
お金
を使って土台をつくったのに、そこから先の花開くところは全部ほかの国の手柄のように持っていかれてしまって非常に口惜しい思いをしたことがございます。 ですので、出口戦略、非常に重要なのですが、そのときの時間の流れというのが
日本
の物差しでは測れないということも同時に私
たち
は
認識
していなければいけないのではないかというふうに考えております。
山田太郎君(山田太郎)
53
○山田太郎君 もう
一つ
、今回の
大綱
の変更で、いいにつけ悪いにつけやっぱり注目されているのは、まさに他軍への直接
支援
を
民生目的
にといったところはやっぱり注目されているところだと思います。 私も、まさにおっしゃられましたが、日の丸ブランドというのは赤十字の旗に近いぐらい、私も海外で危ないところを結構回っていたんですけれども、
日本
人であるということで非常に仕事はやりやすかったところもあるんですが、これからは、先ほど小野議員の方からもありましたが、やっぱり問題意識として、
ODA
までこういったところに巻き込まれていくのかなというのは非常に残念で、もしかしたら、ならぬのですけれども。 そこで、ちょっと前提としてお聞きしたいんですが、これはもしかしたら
薬師寺参考人
の方が実際の
座長
としてやられてきたのでお詳しいのかもしれませんが、今、
大綱
の中で改めて明記したいわゆる
実質的意義
に着目し、まさに
民生目的
であれば軍に対する
支援
というのをしなければならぬのか、あるいは、今までだって現実的には現場でされていたんではないか、あえてここでこの
議論
を立てる必要があるのかないのかということまで含めて、少しそこはきちっと今回の
大綱
の前提としておきたいなと思っておりますので、まず、なぜそういったものがこの審議会の中でも
議論
されるに至ったのか、事実というか、その辺を
是非
薬師寺参考人
にお伺いしたいのと。 もう一本、ごめんなさい、長
参考人
には、時間があればなんですけれども、現場でこのことを明記する必要は現実的にあるのかどうか、そこも逆にあると思っております。私も実は軍に守られながら危ない地域に行ったケースがあるので、必ずしも、ハトポッポのようなことも、現場じゃ軍なんか
関係
ないよとも言っていられないのは分かるんですけれども、本当にあえてこれを今回挙げる必要があったのかどうか、現場からの御
意見
もいただきたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
54
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 衆議院の外務
委員会
できちんと
議論
されているように、前の二〇〇三年の
大綱
も全く同じでございますけれども、つまり軍というのは戦闘的なもの、いわゆるミサイルとか武器を買ったりする、そういうことは軍はやると思いますよ。そういうようなものには絶対に金を出さないというのはもうしっかり。だけど、民生的なものというのはいろいろな場合があるので、割とそういうようなものが、ですから個別ケースで、例えば今までも軍に渡さないという確約を得たりとか、もしそれが、破った場合にはさっと
ODA
を切らなきゃいけないわけですね。ですから、そういうような対応で、でも、やっぱり先生、虐げられている人がいるわけですよ。そういう
人たち
が、土木の道路を造ったら橋を架けなければ支えられないわけですよ。僕は政治学ですので、
相手国
のガバナンスとルール・オブ・ローが欠落しているわけですよ。我々が行ってやるわけにはいかないわけですよ。そうすると、彼らにやっぱりきちんとやってくれというようなことでそういうような
議論
をしたわけです。 以上です。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
55
○
参考人
(
長有紀枝
君) お答えいたします。 先生御
指摘
の文章につきましては、私
たち市民社会
、
NGO
は一貫して削除をしていただきたいということを申し上げておりました。やはり、私
たち
の
強み
というのはそういったところとは
関係
なく
活動
することだというふうに思っておりますし、この
部分
には戸惑いがございます。
委員長(山本順三君)(山本順三)
56
○
委員長
(
山本順三
君) 時間です。
山田太郎君(山田太郎)
57
○山田太郎君 これで終わりにいたします。ありがとうございました。
中野正志君(中野正志)
58
○中野正志君 次世代の党の中野正志と申します。
政府
開発
援助
大綱
として示されていた私
たち
の国の
外交
方針
が、今回、
開発協力大綱
と名称を変更されました。その背景として、
外務省
は
国際情勢
の
多様化
、
複雑化
、そして広範化を挙げていますけれども、
参考人
のお立場から、そのような
国際情勢
の変化に対して
我が国
ができる
貢献
の在り方として、
援助
から協力にシフトしていくための国内的
環境
、今日もいろいろな
議論
あります、後で申し上げますけれども、すなわち
国民
の皆さんの理解、それから
自衛隊
の活用、あるいは
民間
との協力体制などに必要な法整備、あるいは
環境
などが十分整っているのかという
認識
をお持ちですかどうかお聞かせをいただきたいと思いますし、問題点そして留意点などがあれば
是非
そのことも御
指摘
賜りたいと思います。いかがでしょうか。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
59
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 二〇〇三年の
ODA大綱
の期間にも、いろいろな軍の病院の産科の
支援
だとか、いろいろな軍が使っている軍民の飛行場みたいなものに対して
支援
をする、その場合民のことをやっていく。それは、今までそういう流れがなかったわけですね。 それで、私は皆さんと
議論
をしたときに、どういうふうに担保するかというのは、これからきちんと、これまでも相手の国に対して軍事転用、戦闘とかそういうようなものに使わないという確約を得て、それでまだ実績的にそれを破ったのはない。ですから、そういう中で、やはり
日本
がいわゆる国際
貢献
をして、
国際社会
に対して我々は
外交
と同じように
国際協力
の
外交
をして、そして
日本
という国がきちんと
世界
に対して責任を果たしているんだと、今までは
日本
の経済がそれほど伸びていないときから始めましたものですから、どうしてもそういうような、保険だとか、いわゆる経済的なパイを広げるんだとかあったんですけど、これからは先生、
日本
も国際国家としてやっぱりきちんと
議論
をして、そしてそういうような
貢献
をすべきだというふうに、そういう時期が来たと、そのケースがたくさんあるものですからね。ですから、私は基本的にそういうような考えでいわゆる
議論
をリードしたわけです。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
60
○
参考人
(
長有紀枝
君) 御質問ありがとうございます。 お答え、何度も同じことになってしまうのですが、私
たち
日本
の
市民社会
ができる
支援
というのは、今までどおり現地に密着した地道な
支援
をし続けていくことだというふうに強く思っております。 余り軍事転用云々、そういうことを申しますときに、
NGO
の
人たち
は何も知らない夢見る夢子さんの集まりと思われるかもしれませんが、私
たち
は
紛争地
に多くの
日本
の
NGO
が実際に行っております。どういうことが起きているのかもこの目で見てまいっております。その上で、
日本
の
ODA
にできる最大のことは、今までどおり地道に一人一人の方に寄り添う
支援
を続けていくことではないかというふうに思っております。
中野正志君(中野正志)
61
○中野正志君 先ほど来の
議論
で、
ODA
が安易に軍事に転用できるかのごとく
議論
がありました。誤解されると困りますので、私は違う視点からあえて申し上げますけれども。
国民
の皆さんの非常に素朴な疑問で、あの中国に対して
日本
が今日まで三兆数千億円の無償、有償の
ODA
を続けてきた。何で中国にやる、これが数年前の
議論
がありまして、たしかあの当時、町村外務大臣のときに、もう中国は立派にしかるべく国になられた、もうやめた、それでも一部続いておるんでありますけれども。ほかの例えばアジアであれ
アフリカ
の一部であれ、私
たち
日本
の国が
ODA
でいろいろ国づくりに協力いたしました国は、ちゃんと道路であれ橋であれ、
日本
の国旗を作り、ちゃんと書いてあって、感謝の気持ちを表していただいているんですね。ところが、中国に行って、高速道路であれ、あるいは北京の空港であれ、そんなの見たことない。感謝の
言葉
なんというのは、失礼ですが、聞いたことありますか。私なんかも聞いたことない。中国に行ってすらそうなんですよ。 私は、そういう形の中で、
日本
の国内で
ODA
が簡単に軍事に転用できるような
議論
は少なくとも国会でなんかするものじゃないと、率直にそう思っておりますが、私の見解に
薬師寺参考人
のお考えを聞きたいと思いますし、中国に対する
ODA
は、どう結果的に御
評価
、プラスであれマイナスであれいいんでありますけれども、お聞かせいただけませんでしょうか。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
62
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 先生の基本的なお考えは非常に私も共有するところがあります。 中国に関しては、今や
経済成長
をしていますけれども、やっぱり飢餓の問題がすごくあって、それでそのほかの国も飢餓を撲滅すると、そういう中で行われて、今現在は非常に少なくなっていますけれども、基本的にPM二・五とか
環境
問題、
環境
技術の移転とか、そういうふうに使うように、ある程度きちんとしたいわゆる
目的
を持って
支援
をしていると、こういうふうに理解をしています。
中野正志君(中野正志)
63
○中野正志君 ありがとうございます。
薬師寺参考人
、今回の私はこの新しい
大綱
について、大変大きな
評価
をさせていただいております。どうぞこれからも、やっぱり
人間
の
安全保障
、これを追求することで私
たち
日本
は新たなリーダーシップも発揮することができると、そういう視点の中で、
大綱
を出して終わりではありませんので、これからもいろいろ御指導いただきたいと思います。 終わります。
又市征治君(又市征治)
64
○又市
征治
君 社民党の又市です。 今日は、両先生、お忙しい中、どうも貴重な御
意見
、ありがとうございました。八人目ぐらいになってまいりますと大体ダブってくるんでありますが、少し整理を含めてお伺いをしておきたいと思うんです。 先ほどは、
薬師寺先生
、大変な
大綱見直し
の
座長
を務められて御苦労いただいた
お話
でありましたが、先生が
お話
しになったことと
外務省
が発表しておる文書とは何かえらい乖離があるような気がしてならないんですよね。 例えば、この
政府
開発
援助
大綱見直し
、この
見直し
の背景なんていうのがあって、一番目に
ODA
に求められる役割の
多様化
とあって、いきなり国家
安全保障
戦略、そして二つ目に
日本
再興戦略と、こんな格好が出てくる。そして、
国益
という話が出てくるものですから、先ほど小野先生がおっしゃったように、私も同じような
認識
を持ってしまうんですけれども。 先ほどから先生がおっしゃっている話をお聞きすれば、少なくとも
日本
からのこれまでの六十年にわたる
人道支援
、そういうものの成果が上がっていく結果として、
日本
の平和であるとか繁栄であるとかという、そうした
国益
というか
国民
益というか、そういう側面、効果が出てくることは、私
たち
も否定はしないし、それは誠に結構だということなんですが、やはり何といっても
ODA
は、先生が冒頭御説明いただいたように、
憲法
前文
のあそこに書かれている、やはり我々の崇高な
理念
といいますか、そういうものなり、あるいは二〇〇〇年の
国連
ミレニアム宣言、こうした中身がしっかりとやっぱり基礎でなきゃならぬ、こういう観点が大事にされておかなきゃならぬのだろうと思うんです。 そういう思いでいきますと、ちょっとやっぱりこの
国益
だとかが前へ出過ぎる、誤解を生じてしまうという、
先生方
の説明というよりも、
政府
が何か勝手にこういうのを前へ出すものだから、どうも
先生方
がおっしゃっていることとちょっと食い違いが出てきているように感じるわけですが、いずれにしても
ODA
の基本は、少なくとも
国連
ミレニアム宣言などというものが、もう何としても基礎でなきゃならぬということは間違いない事実なんだと思いますが、その点の御確認と。 もう
一つ
は、先ほど来から出ておりますが、何といっても非軍事の
人道支援
ということが基礎ということなわけですから、としますと、その
実質的意義
に着目して個別的に軍などに対する
援助
というものも検討するという、入っているものについて言うならば、先ほどおっしゃっていただきましたが、具体的な事例を点検をして、検証をして、これは駄目よ、これはこれならばいいと。例えば、さっきもおっしゃったように、病院とかそういうものなどというのはあるんですけれども、しかしそれが軍事転用されていく危険性もなしとはしないという問題がありますから、それはかなり具体的に検証がされるべきであろうと、こう思うんですが、以上、二点についてお伺いしたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
65
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 私は、いろいろな
外務省
の
国際協力
局と
連携
して科学技術に関する
外交
の
プログラム
を作りましたので、敵ではありません、味方ですけれども。ただ、文章の書き方の問題。それは学者として文章をどう書くかというのがあって、やっぱり
外務省
も役人の集まりですから、やっぱりきちんとした、何というんですかね、数式モデルみたいに作るわけですよ、先生御存じのように。そうすると、どうしても文章が稚拙になってしまう、それだけの話で、批判をしているわけではないわけですね。 でも、先生がおっしゃったように、何というんでしょうね、そろそろ
日本
もきちんとした国際的な
議論
の中に入って
ODA大綱
を、きちんと
政策文書
を書いて、そして
日本
のこれまでのいわゆる
ODA
外交
、
開発
援助
支援
の
外交
というようなものを少しきちんとしたリッチなものにしていこうと、そういうんで、国際的なポスト二〇一五のミレニアムゴールみたいなものと、それで
包摂性
とか、いわゆるサステーナビリティーだとか、そういう
議論
をきちんと初めてやったわけですね、今回の
ODA
。それがどうしてもまだ堅い
部分
がありますので、それはやっぱり、一応パブリックコメントなんかも全部やりましたので、そういう中でまあ一応はでき上がったと。そういうことが、やっぱりいろいろな
先生方
の御批判も受けながら少しずつ肉を付けていかなきゃいけないと、こういうふうに思いますね。
又市征治君(又市征治)
66
○又市
征治
君 ありがとうございました。 それじゃ、長先生にお伺いをいたしますが、
難民
を助ける
会理事長
としても大変御活躍、敬意を表したいと思います。先生の論文を幾つか拝読をさせていただきまして、多くの点で共感をいたしました。とりわけ国家を相対化する
人間
の
安全保障
という視点というのは、これからの
安全保障
、
途上国
支援
の在り方としては大変重要な御
指摘
だろうと、こんなふうに思います。 そこで、今、同じようなことをお聞きするんですが、決定された
開発協力大綱
の
基本方針
では
人間
の
安全保障
の推進が明記されて、これが
日本
の
開発協力
の根本にある
指導理念
とされている、この点は歓迎したいと思うんですが、どうもこの
ODA大綱
を見直す背景として、
外務省
からの
資料
によると、国家
安全保障
戦略あるいは
日本
再興戦略のために
ODA
を活用するんだというふうに、こういうふうにうたわれている。これが全部駄目とは言いません。国家
安全保障
戦略だとか再興戦略が全てが駄目とは言いませんけれども、そのために何かやっているような、
日本
経済の再建のために
ODA
をやっているみたいな、こういう記述というのは大変に問題だという気がいたしますし、今回の閣
議決
定が余りにも
国益
であるとか国家が前面に出ているような気がするんですが、この点について長先生のお受け止めはどうでしょうか。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
67
○
参考人
(
長有紀枝
君) 又市先生、ありがとうございます。お答え申し上げます。 国家
安全保障
戦略、そういったことが前面に出過ぎていると、おっしゃるとおりだと思うのですが、それを薄めないと本当の
国益
というのは実現できないというふうに私
たち
は思っています。じゃ、その本当の
国益
を実現するには国家の
安全保障
戦略は重要、それをなしにしろと私
たち
申しているわけではなくて、それはそれで大変重要だと存じます。それと同時に、
市民社会
による
支援
、あるいは
国際機関
による
支援
も同様に重視していただきたいということを繰り返し申し上げたいと思います。
又市征治君(又市征治)
68
○又市
征治
君 もう一点、長先生にお伺いします。 先生、この移民の受入れに関連して、二つの
人間
の
安全保障
が対立する場合があるというのを講演でお述べになっていることがあるんですが、ちょっと私はそれを離れて、移民の問題じゃないんですけれども、
日本
の
難民
の受入れ問題、これについて先日、決算
委員会
でも総理に質問をいたしました。
一言
で言うならば、シリアなどに非軍事
難民
支援
問題、せんだって二億ドル
支援
するということが出されたわけであります。この問題も必要だと思います、私も。しかし、
日本
自身
も
難民
に対してもう少し柔軟に対応をして受け入れてもよいのではないかというのが私のそのときの質問の趣旨なわけであります。 シリアから、それこそ何件も何件も
難民
の申請が来ているわけですが、一件も受入れをしていないわけですね。これは、
国連
高等弁務官からも
日本
は厳し過ぎるということも
指摘
を何度も受けているわけですが、依然としてこれをカットしている。 いろんな難しい問題もあるんだろうと思いますけれども、実際の
支援
行動というのは現地の国際
組織
に任せて、それは二億ドル出せばいいと、こんな格好になって、
難民
は自国には受け入れないというのでは、これは本当の
意味
で
支援
ということになるのかどうか、大変問題ではないかという、私はそういう
認識
で質問をしているわけですが、この点について先生の御見解を伺っておきたいと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
69
○
参考人
(
長有紀枝
君) 又市先生、引き続きありがとうございます。
難民
の受入れなのですけれども、この問題というのは、やはり
政府
だけではなくて、実際に受け入れるのは私
たち
国民
一人一人がそれだけの準備があるかどうかというのと非常にリンクしているのだと思います。受入れが厳しいということの
一つ
は、
日本国
民といいますか、そちらの
状況
をそんたくしてという
部分
もあるのではないかと思います。 やはり
難民
の受入れ、海外への
国際協力
と同じように、本当に
日本
社会
そのものを開いていかないといけないと思う一方で、
難民
の
方々
が一番いいのは、やはり自分の国に帰れること、それができないときには、せめて近く、隣の国などにいて、なるべく近い
環境
にいることだと思いますので、まあ遠く離れた
日本
で受け入れるのも非常に重要なのですが、同時に、
難民
支援
と、それから
難民
の方が一日も早く元の生活に戻れるような
支援
を引き続きしていく必要があるのではないかと存じます。
又市征治君(又市征治)
70
○又市
征治
君 ありがとうございました。終わります。
谷亮子君(谷亮子)
71
○谷亮子君 谷亮子です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 本年二〇一五年二月十日に閣
議決
定されたばかりの
開発協力大綱
の下で、
我が国
の
ODA
等の在り方についての質疑ということでございまして、大変御多忙のところ、本日開催の
特別委員会
に御
出席
していただきました
薬師寺参考人
、そして長
参考人
に心よりお礼を申し上げたいと存じます。ありがとうございます。 初めに、
薬師寺参考人
に御教示いただきたいと思っております。 私は、今日は保健医療分野に関する
日本
の国際
貢献
についてお伺いさせていただきたいと思います。
開発途上国
の
現状
というものを見てみますと、
開発途上国
に住む
人々
の多くは、先進国であれば日常的に受けられる基礎的な保健医療サービスを受けることができないという
現状
も報告されております。また、衛生
環境
などが整備されていないために、感染症や栄養不足等によりまして年間六百九十万人以上の五歳未満の子供が命を奪われてしまっているという
現状
、そしてさらには、産婦人科医や助産師など専門技能を持つ者による緊急産科医療が受けられないなどの理由により年間二十八万人以上の妊産婦が命を奪われてしまっているという
現状
等々、深刻な
状況
がこれまで報告をされてきております。 このような問題を解決するという観点から、二〇〇〇年以降は、
国際社会
は、ミレニアム
開発
目標の保健関連の目標、この中では、乳幼児死亡率の削減、そして妊産婦の健康改善、さらにはエイズ、マラリア等の疾病の蔓延の防止等の達成に取り組んでまいりましたけれども、その達成期限というのが本年二〇一五年となる中、低所得国を中心にその進捗が遅れ、達成が難しいのではないかという報告もされております。このような
現状
を踏まえた上で、やはり
ODA
が果たす役目、役割というのは大変重要であると私は考えております。 そこで、
薬師寺参考人
が
座長
を務められました、また、その中でも
議論
をリードされてこられました
有識者懇談会
の
報告書
では、先ほど他の
委員
の中でも
お話
ございましたが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ等、また、
課題
解決先進国としての
我が国
の経験と知見を
世界
に共有していくことは
我が国
の基本姿勢であるとともに責務でもあるとされていらっしゃいますけれども、今後の保健医療分野における
我が国
の国際
貢献
の拡充に向けた取組についてどのようにお考えでいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
72
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 私の個人的な考えですけれども、先生おっしゃったような、いわゆる乳幼児の死亡率が非常に問題なわけですね。それで、例えばインドネシアなんかもそういう、一般的に何をやるかというと、病院をつくればいいんじゃないかと、こういう
議論
をするわけですよ、どこも。だけれども、助産婦のいわゆるそういう
人たち
を派遣する
組織
だとか、もちろん病院も必要なんですけれども、そういう
議論
が細かいですね、救っていくんだという相手の、やっぱり子供
たち
、赤ちゃん
たち
がたくさん死んでいるわけですね。それがいわゆる中進国といいますか、卒業国なんかにも多いわけですよ。 ですから、そういう点で、いわゆるインクルーシブネスの中に大人だけではなくてやっぱり子供
たち
も赤ちゃんもいるんだということが我々の
安全保障
に関するインクルーシブネスの
考え方
で、
国連
も、ミレニアムではエイズとかああいうようなものがまだ続くわけですけれども、やっぱりそういう妊産婦とかマラリアだとか、そういうマラリアが全部終わっている国と終わっていない国があるし、エボラみたいなんかが始まっている国もある。 だから、そういう点で、やっぱりそういうグローバルヘルスの分野というのは、
ODA大綱
にも書いていますけれども、ますます重要になってきていると、こういうふうに思います。
谷亮子君(谷亮子)
73
○谷亮子君 ありがとうございます。 やはり
日本
の保健医療ですとか、さらには医療技術、そしてさらには医療器具といったものはやはり
世界
有数の優れた技術があるというふうに
世界
からも
評価
されていますので、何とかやはりそういったことで
貢献
していかなければならないなというふうに私も感じているところでございます。 続きまして、長
参考人
に御教示いただきたいと思います。 長
参考人
におかれましては、長年
難民
を助ける会に勤務されまして、その間、最前線の現場で
国際協力
の推進に力を尽くしてこられまして、現在は
難民
を助ける会の
理事長
として様々に活躍、また推進に力を尽くされていらっしゃいます。 そこで、長
参考人
が
理事長
を務めていらっしゃいます
難民
を助ける会は、全ての障害のある
方々
が
社会
に平等に参加できるということを目指すとの目標に基づき、
社会
のサービスの行き届かない国、地域で障害のある
方々
の経済的又は精神的、
社会
的自立を
支援
すること等を
活動
の
重点
に据え、アフガニスタンでの理学療法クリニックの運営
支援
、そしてさらにはタジキスタンやラオスでのリハビリテーションの施設への
支援
、さらにはカンボジア等での車椅子の製造と配付
支援
、ミャンマーでの職業訓練校の運営や障害のある児童のこれは里親
プログラム
等の多様な
支援
活動
を
実施
されていらっしゃいます。 このように、これまでの
活動
経験を踏まえた上で、こうした極めて有
意義
な
支援
活動
を更に充実させていく上で、今後もっとこうしたい、こういったことに取り組んでいきたいという等のお考えがございましたら、
是非
お聞かせいただきたいと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
74
○
参考人
(
長有紀枝
君) 谷先生、どうもありがとうございます。 今
お話
しくださいましたように、私ども、障害のある
方たち
への
支援
というのを非常に重視しております。その理由の
一つ
は、やはり何といっても私
たち
、国や
国連
機関と比べますとお財布が小さいものですから、その小さなお財布でも確実に
支援
が行き届くようにということで、障害者の
方たち
に特に絞った
支援
などをしております。 とはいえ、常に財政難でございまして、
日本
の皆様は自然
災害
が海外で起きたときには非常に賛同してくださって御寄附たくさん寄せてくださいまして、
政府
の
助成金
だけではなくて皆様の御寄附で成り立っているのですが、こういった障害のある
方たち
の
支援
であったり、また
紛争地
の
支援
になると御寄附がなかなか集まらないというのが
現状
でございます。 そういった、
日本
の皆様にその
部分
を御理解いただいた上で障害のある
方たち
への
支援
をしていきたいと思うのですが、先ほど
一つ
目の御質問で、乳幼児の死亡率ですとか妊産婦、大変、先生、数字を挙げておっしゃってくださいました。そういうところへの
支援
をもっともっとしていかないと、今、
安全保障
という
言葉
が今日何度も出てきておりますが、まさにそういうところの
支援
が手薄になると、そこにテロが巣くうんだと思います。本当に私
たち
が考える
安全保障
は、そういう見過ごされがちな
方たち
のところへの今までどおりの
日本
の
強み
を生かした
支援
を
官民
両方でしていくことで、テロが起きないような
社会
といいますか、それが巣くわないような
社会
への
貢献
も同時にしていきたいというふうに思っております。 ありがとうございます。
谷亮子君(谷亮子)
75
○谷亮子君 ありがとうございます。 やはり
人間
の
安全保障
というのが非常に重要であるということを私
自身
も感じております。 そして、もう一点、長
参考人
にお伺いさせていただきたいと思います。
難民
を助ける会では、これまで様々な
支援
対象国においてスポーツ用品の供与や運動専門指導員によるスポーツ指導、さらには障害者スポーツ振興のようなスポーツに関わる
支援
というものを非常に広く
実施
されていらっしゃいます。また、
薬師寺参考人
が
座長
を務められました
有識者懇談会
の
報告書
の中でも、質の高い
成長
を通じて
貧困
の削減を目指すとして、スポーツは
人間
としてのバランスの取れた
成長
の実現という観点から質の高い
成長
の一要素との記載がなされておりました。 そこで、
国際社会
で責任ある地位を占める
我が国
がスポーツを通じて国際
貢献
、また国際
支援
を果たしていくことについてどのようにお考えでいらっしゃるのか、
最後
にお聞かせいただきたいと思います。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
76
○
参考人
(
長有紀枝
君) 引き続きまして御質問ありがとうございます。 私
たち
、スポーツの中でも、特に今先生がおっしゃってくださったような障害のある
方たち
へのスポーツ
支援
というのを念頭に置いてやっております。その良いところは、障害のある
方たち
自身
がスポーツを通じてもう一度自信を取り戻していくということももちろんなのですが、やはり皆様、地元での差別やそういったことに非常に苦しんでいる
方たち
が多くおられます。そういう
方たち
に職業訓練をしていただいて御自分で稼げるようになるということで周りの理解を得るというのももちろんなんですが、スポーツで活躍することによってもそういった差別や偏見の根を取り除けることに
貢献
できるのではないかと思いますので、
日本
のますますそういう
部分
での
支援
というのがよいのではないかと思っております。
委員長(山本順三君)(山本順三)
77
○
委員長
(
山本順三
君) 谷亮子君、時間が来ております。
谷亮子君(谷亮子)
78
○谷亮子君 貴重な御
意見
ありがとうございました。 終わります。
荒井広幸君(荒井広幸)
79
○荒井広幸君 どうも今日はお疲れさまです。
最後
になりました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 早稲田
大学
のエジプト考古学をやっておられる吉村作治先生、何度か現地で賊に襲われて危険な目に遭ったそうでございます。そのときに、おまえ
たち
は何だということであって、
日本
だと、この発掘
調査
している早稲田だと。ああ、それならおまえ
たち
は俺
たち
のためにやっているんだということで理解されて難を免れたというのがあって、その後、荷物を運ぶにしても発掘をするにしても、日の丸と早稲田
大学
の旗を立てておられるそうなんですね。これが、安全に身を守る相互理解のシンボル、平和の旗になっているわけです。 今、従来の
日本
へのイメージというのが変質してきているんではないかという私は心配をするんです。それは過剰な心配になってくれればいいわけですけれども、客観的に言えば、あした衆議院で
国民
投票法を、十八歳でやるということを含めて、この法律あした出てまいります。
憲法
改正の手続が法制化として進んできております。そして、自衛権に関わる御案内のとおり様々な
議論
が今起きて、
安全保障
法制を、これを作っていくと、こういうことにもなっている。同時に、衝撃的でしたけれども、これだけ我々は平和を愛している
国民
、国でありますが、ISによって邦人の皆さんが殺害されたわけです。また、中国、韓国との歴史問題を含め、領土問題を含めて緊張
関係
もあると。
世界
中は、ひとつ大きく
日本
を注目しているんだと思います。総理の七十年談話もありましょう。アメリカに行っての共同の宣言があるのかもしれません。非常に大きく私はやっぱり
日本
のイメージというものが少しずつ海外の
方々
に変質して受け止められてきているんじゃないかと。これは我々一人一人の行動も含めてそういう形で伝わっているんじゃないかなと。
言葉
を換えさせていただけば、誤解を受けているんじゃないのかなという心配なんですね。その
意味
において、今回非常に私はタイミングが悪いと思っているんです。
国益
を前面に出している。 そしてもう
一つ
は、他国軍への
支援
を、
災害
援助
など非軍事
目的
の場合はその実体的
意義
に着目し個別的、具体的に検討すると、こう言って、これが
薬師寺先生
も関わられて、これは大きなところですよと、こうおっしゃっている。
国益
の確保を始め、それらを明記しますが、同時に、積極的平和主義をきちんとして
ODA
をより戦略的に活用するということと、先ほど来からありますように、
ODA
を
軍事的用途
や
紛争
助長に使わないと、
原則
をこれも維持しているということなんですが、こういう
状況
の中で正しく捉えられているかという
意味
においては、非常に
ODA
まで軍に加担するのかという私は誤った理解というのが浸透してしまうんじゃないかという危険を持っているんです。 よって、草の根の皆さん方の、テロや反
政府
軍等々の武力に巻き込まれるおそれを私は感じるんですが、この点、そうならないようにきちんとした説明を
日本
政府
はしていくべきだと思うんです。身をもってそれをまた示していくには時間が掛かります。 じゃ、当面取れる対策は何かというと、いわゆる先ほど来から
先生方
からも、
実質的意義
ですね。これは軍事的転用がされないようにきっちりケース、ケースを見てやっていくんだと、それはセネガルの軍の病院の例もあるんだと、こういう御説明なんですが、果たしてそれだけで、我々立法府として、はい、そうですよと言うわけにはいかないんですね。というのは、
政府
のこれは裁量的余地が大きくて、ある
意味
では抜け道にもなりかねないというおそれを抱いている人も
世界
中にいないとは言えないんですよ。 私は、そういう立場を取らないつもりではいますが、そこに説明が行き届かないと、邦人が非常に危険な
状況
に立たせられるし、
日本
の
ODA
や
日本
の国柄が誤って取られてしまうという大変な、当面の
国益
より百年の国害を私は与えてしまうことになるんじゃないかというふうに思いますので、
薬師寺先生
、長先生に順番に、軍事
目的
と受け止められない、そういう余地を残すためには、
外交
上も大変な難しさをそうなると持ちますから、やはり軍事転用を防ぐための運用基準というのはどうしたらいいとお考えか。運用基準というのが作れるのかどうか、それを国会がチェックできるようにするという
意味
で、
政府
に裁量を残さないという
意味
ですよ。二つ目は、軍事転用をしていくという、追跡
調査
をやらないといけないと思うんですよ、これ。こういうものを作った方が私はいいと思うんです。 運用基準というのは果たしてできるのかどうか、そして追跡
調査
をしていくということは必要だと思いますが、いかがでしょうか。この二点、
薬師寺先生
、長先生にお尋ねしたいと思います。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
80
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) 大変難しい御質問です。 我々は、
国際社会
が、それぞれの
国々
が同じような
議論
をやはりしているわけですね。それで、その中に、
国際社会
に入ることによって
日本
の安全と繁栄があるわけですので、そうすると、
国際社会
、特に
国連
の
議論
、いろいろな
議論
と一緒にしながら我々は言っていく必要があると思いますね。
日本
の中だけで閉じられている
世界
ではないのでね。でも、
日本
の中でやっぱり説明をしなければいけないというふうに思います。 私は、個人的には、運用の基準だとか、軍事転用のおそれがないような何かルールを決めなきゃいけないかとか、そういうようなものの前に、やはりこういう
議論
をきちんと皆さんが理解をしていただいて、そして、うまく今までは個別にやってきたわけですから、私の個人的な感じとしては、ルールを決めちゃうともうそれで動かなくなってしまう可能性がある。だから、そういう点では、私は、やや、ルールを決めたりとか運用の基準を決めたりするのはもう少し待った方が、国際的な
議論
、
国連
の中の
議論
も含めて
議論
をするべきではないかというふうに思います。
荒井広幸君(荒井広幸)
81
○荒井広幸君 ありがとうございます。
参考人(長有紀枝君)(長有紀枝)
82
○
参考人
(
長有紀枝
君) 荒井先生、お答え申し上げます。 私も、運用基準ですとか追跡
調査
というのは非常に重要だと思う一方で、果たしてどうそれができるんだろうと、答えを持っていない
状況
です。
他方
で、私
たちNGO
としましては、やはりこの点に関しての徹底した情報公開というものを求めていきたいというふうに思っています。何が起きているのかを私
たち
が見守れるような
状況
であってほしいというふうに願っております。短いですが。
荒井広幸君(荒井広幸)
83
○荒井広幸君 両先生の御
指摘
、私も分かります。まず、我々も理解しなくちゃならないし、
国民
の皆さんも、拠出する側としてですね、その気持ちが形になっていくわけですから、みんなの理解が必要だと。 同時に、我々だけがそう国内でも
意見
が分かれると、
世界
中に発信されるのは分かれた
議論
で、ネガティブなのが多くなるんですよ。そのネガティブなものが周知徹底、悪い
意味
でされていくと、
日本
というのはすごく誤解を受ける。そうすると、その誤解を受ける、時間たって、ああ、そうじゃないんだなと思ってもらえるまでの実績の積み重ねの前に、ちょうどいわゆる、何というんですか、谷間が訪れてくるという私は心配もいたすものですから、少なくともある種の、どういう
意味
でそれを
ODA
として、もちろん向こうから出てくる話ではございますけれども、きちんとそれを取捨選択して、軍事転用がないようにすると。 その取捨選択、そして中身の確認、そういうことの中で、
相手国
を信頼するということももちろん重要なことでありますけれども、ここに
一つ
の何かの、一定の、
薬師寺先生
おっしゃる、ルールという話になるといかがなものかということはあるかもしれませんが、ここの
一つ
のやっぱりガイドラインというのは必要なのかなと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
委員長(山本順三君)(山本順三)
84
○
委員長
(
山本順三
君)
薬師寺参考人
、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
参考人(薬師寺泰蔵君)(薬師寺泰蔵)
85
○
参考人
(
薬師寺泰蔵
君) はい、すぐ終わります。 国会ですごく
議論
されていますので、もし軍事転用があったらもう全て駄目になってしまいます。だから、それは個別具体的にきちんと担保して、されないような、いわゆる個別的にまずやっていかないと、やっぱり重要な問題ですので、そういうことだというふうに思います。 以上です。
荒井広幸君(荒井広幸)
86
○荒井広幸君 終わります。
委員長(山本順三君)(山本順三)
87
○
委員長
(
山本順三
君) 以上で
参考人
に対する質疑を終了いたします。 この際、
参考人
の
方々
に
一言
御挨拶を申し上げます。 本日は、貴重な御
意見
をいただきまして、誠にありがとうございました。本
委員会
を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日の
調査
はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時二分散会